2019年11月23日

TOHOシネマズ名古屋ベイシティ復活上映決定

ドリパスという上映終了した作品の復活上映をリクエストするシステム。
最初に上位達成した時は上映館が秋葉原UDXシアターのみだった。
多くの作品が様々な上映館で決定する中、インディーズムービーの厳しさを知る思いだった。
それでも秋葉原の上映が余りにも幸せな時間で。
ああ、こんなこともあるのか、なんてありがたいことだろうと皆で思った。

二度目の上映候補に選ばれたこともすごいことだった。
一度だけならず二度。
多くの皆様が日々リクエストを重ねてくださったからこそだった。
ただ中々上映館の連絡がなかった。
前回、一館のみだったこともあったしやはり関東を中心にミニシアターでの上映のみだからかなぁと心配だった。
実際に上映希望のリクエスト分布地図を見れば、どうしたって偏りは生まれてしまう。
上映した地区からのリクエストが多いのは当たり前のことだけれど。

上映候補が2館の連絡が来た時ドキドキした。
そこに「TOHOシネマズ」という誰だって知っている名前があったからだ。
映画「セブンガールズ」を製作すると決めたその日に、TOHOシネマズで上映されることなんて想像も出来なかった。

インディーズムービーは90%が上映できないままお蔵入りするという。
上映するために様々な映画祭にエントリーをしたり、配給会社にプレゼンをしたりを繰り返す。
映画祭の会場で目に止まったり話題になって、ようやく上映できるのだから。
そしてようやく上映出来たとしても、1週間上映してそこで終わってしまう事が殆どだ。
少し話題作になっても数か月で上映終了してしまう作品だってある。
数百という作品が映画祭にエントリーしても上映されるのは10本足らず。
そういう中にダイブするのは大きなリスクもあるぞとわかっていたはずなのに。
まさか、無冠のままこんな場所まで行けることになる日が来るだなんて。

ただ大手シネコンでの上映には条件が当然のようについた。
ドリパス上映用に借りた会場じゃないのだから。
仮に上映できないとしても、いくらでも流す作品を持っているのだから当然だ。
この曜日この時間このスクリーンであれば最低限50席の予約が入らないなら上映できないという条件。
そのラインは高いような低いような、ともかくヤキモキとするラインで。
同時にきっとギリギリになってくるんじゃないかなぁという心配だった。

その日から地道に地道に東海地区に縁のある方に、こんな映画がありますよと連絡を続けてきた。
もしくは、映画好きな人がいたら、こんなのがあると教えてあげてくださいとお願いを続けてきた。
もちろん今池の名古屋シネマテークで足を運んでくださった皆様にまた来てくれという事が一番簡単かもしれないけれど。
それだけはしないように自分に言い聞かせていた。
2回目以降のリピートはお願いするものじゃなくて、きっとお客様が選ぶことだからだ。
一度目を見て、もう一度観たいと思ってくださったお客様が自発的に選ぶことを強制したくなかった。

20日の前売予約期間の残り4日を切ったタイミングで、本日、名古屋復活上映が決定した。

ご予約いただいた皆様ありがとうございます!
一時はどうなることかとやきもきしましたけれど。
こんな形で上映決定が決まるだなんて。
リピートの皆様もいらっしゃると思います。
初見の皆様もいらっしゃると思います。
決定した直後から、登壇できるメンバーを募っております。
皆様にお会いできることを今から楽しみにしております!!

この上映が決定したことは色々な意味があると思う。
50席という条件があったけれど、それは同時にメリットでもある。
TOHOシネマズ内での上映の場合、受付があるから予約期間が終了しても当日券でも入れる。
つまりその日にシネコンに来て、観たい映画が満員だったりした人が他に何があるかなぁ?とか選ぶ作品になる。
・・・とは言え年末の大作が並んでいる中でなのだけれど・・・
普段、ミニシアターなどには足を運ばない人たちがこんな作品があると知ることが出来る機会になる。
あのポップコーンをほおばりながら映画を楽しむことが出来る。

それときっとこれは大袈裟なことなのだけれど。
毎年・・・というよりも日々生まれ続けているインディーズムービー。
その中には傑作が合って、本当ならもっともっとたくさんの人が楽しめるような作品があって。
そりゃ出演している役者が無名でも、監督が無名でも、面白い作品があって。
でもそういう作品がどんなにミニシアターで話題になっても世間にまで届かないという現状。
そんな現状に小さいながら風穴があくようなことなんじゃないかなぁって思っている。
どんなに小さな作品だって、上映に辿り着いて、少しでも話題になって、応援してくれる人がいたら。
世間という広い広い世界で上映することだって不可能じゃないだぜっていうケースになる。
本当は映画会社だって、そういう作品を探しているはずだ。
制作費がかからないで、話題になるような作品があるなら上映したいはずなのだから。
それでも中々そうはならないのは、そこに大きな大きな隔たりがあるのだと思う。
復活上映リクエストサイトというシステムがその隔たりに橋を架けてくれているよというのは。
むしろ逆に感動的なんじゃないだろうか。

当日、TOHOシネマズでたまたま観に来てくださる人もいたらなぁなんてどうしても夢想してしまう。
家族連れや恋人同士がふらっと観てみようかなんて。
そんなに甘いこと考えるなと言われてしまいそうだけれど。

名古屋も大きな空襲があった土地。
ベイシティとなれば大きな軍艦も立ち寄った場所だ。
多くの飛行機が生産された名古屋という街、そして今も多くのエンジンが生まれる街。
そこで上映されることを思うだけで震えてくる。
今池でいつも東海地方から舞台に来てくださるお客様にお会いしたことを思い出す。
映画は様々な土地に行けるのだ。

予約期間は11/27 18時まで。
TOHOシネマズのHPでの予約がそのあと出来るようになるのかは未定だけれど。
TOHOシネマズ名古屋ベイシティ 12/7(土) 15:30~
一人でも多くの皆様にご覧いただけたら。

秋葉原も80席まで予約が伸びている。
秋葉原UDXシアター 12/22(日) 16:00~
こちらは前売予約のみだから皆様お気をつけて!
予約期間は、ギリギリの12/20 18時まで。
クリスマス直前、たくさんのメンバーの登壇が決定しています。

大成功して他の地方の映画館も手を挙げてくれたらなんて。
いや、そこまで考えるのはきっとまだまだ早い。
まずはこの2つが大成功となりますように。

皆様ありがとうございます。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 23:38| Comment(0) | 延長戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月02日

再びの復活上映

その日からずっとずっと待っていた。

前回のドリパスの時もそうだったけれど。
これは本当に本当にすごいことだ。
だってランキングを見ればアニメ作品や人気アイドルが出演している映画が並んでる。
そんな中でインディーズムービーが健闘しているだけでもすごいことなのだと思う。
セブンガールズが世間と呼ばれる層にまで広がって欲しいと心から願ったけれど。
世間という場所はまだはるか遠く。
一応の配給の営業期間も終えたというのに。

ドリパスやってます!皆様、投票にご協力ください!
そう呼びかけようと思えばいつでも出来たのだけれどそれはしなかった。
ランキングに登場している映画には全て応援している人がいる。
それぞれの映画のそれぞれの応援している人たちが純粋に投票してのランキングだから。

前回、上映候補になった時、信じられないような思いだった。
そして一体どこまで広がるだろう?なんて期待していた。
けれど蓋を開けたら他の上映候補の作品とは違って上映会場は一か所。関東のみ。
それもそのはず、投票分布地図を見れば、得票数が偏っている。
当たり前だ。インディーズ作品で関東以外での上映は横浜、名古屋、大阪、別府の四カ所。
北海道でも東北でも北陸でも中部でも中国でも四国でも知られていないのだから。
知って欲しいからこそ、上映会場に選んで欲しいのだけれど。
知らないからこそ、得票数も増えていかない。
どうしたらいいのだろう?
この矛盾はずっと続くのかな?
それとも、これから地方の上映館が手を上げ始めてくれるのかな?
そう思っていた矢先に、あっという間に再び投票できるようになっていた。
一館で終わってしまった。

その秋葉原でのたった一館の上映があまりに素晴らしい記憶として残っていた。
こんなに素晴らしいイベント、また出来るのだろうか?
さすがに二度目は投票数も伸びないんじゃないだろうか?
皆でそんなことを口にしていたこともある。
信じられないことにその二度目でもランキング入りを果たした。
前回よりも少し時間がかかったかもしれないけれど、驚異的な後半の伸びを見せた。

と、同時に苦しみがやって来た。
もう秋葉原の会場で上映してしまっている。
その上、それ以外の上映館は手を上げてくれなかった。
こんな状態で上映候補になっても、本当に上映してくださるのだろうか?
そんな日はやってくるのだろうか?
上映候補になったまま上映されていない作品もあるから不安で仕方がなかった。

それでも。
自分は同時に考えなくちゃいけないと自分自身に言い聞かせ続けた。
復活上映がある場合、復活上映がない場合。
両方を想定しながら進まないといけなかった。
舞台公演が決まっていたから。
そしてその舞台のスケジュールとどうぶつかるのかもわからなかったから。
それ以外にも動いていることがあるから全てのスケジュールがうまく噛み合うにはどうしたらいいのか?
全てが繋がって、全てが大きな未来に繋がる道になるのか。
そうやって考えながら不安になりそうな自分を何度も何度も叩き砕いていた。

前回の上映館のお知らせが来たタイミングが過ぎても。
連絡がなかった。
あれ?そろそろ来るはずなのに。来ても良いはずなのに。
どうしよう?どうしよう?
ないということは、自分の中の計画はパターンBに移行するしかないのかな?
こんなことで一人で追い込まれて何やってんだよ!そんな日々だった。
また一週間待つのかな・・・そう思っていたタイミングだった。

上映企画表が届いた。
告知解禁が11/1の18時。
その瞬間まで頭がグルんグルんしていたよ。
早く応援してくださった皆様にお礼を言いたくてぜえぜえしてた。

12/7 15:30
TOHOシネマズ名古屋ベイシティ

12/22
秋葉原UDXシアター

TOHOシネマズという文字を見た時に心がドキンと本当に音を立てた。
日本最大のシネコンでの初上映・・・。
ミニシアターという場所で、その素晴らしさを心に染みるほど感じ続けてきたけれど。
同時に自分たちには遠い存在なんだろうなと思っていたシネコン。
ドリパスがTOHOシネマズ運営だというのはわかっているのにまだ無意識で思い込んでいた。

まだ名古屋での上映は決まったわけじゃない。
50席の予約が一定期間で入らなければこの上映自体がキャンセルになってしまう。
名古屋シネマテークでの上映期間を思い出せば、
観に来てくださった皆様全員がもう一度来てくれるわけではないだろうし、
どう考えても実は厳しい数字なんじゃないかって思う。
まだセブンガールズを知らない方々がどれぐらい興味を持ってくださるかで上映が左右する。

けれどもし上映が決定すれば秋葉原とはまた違った面がある。
当日券も発売されることだ。
そして、あのTOHOのバケツのようなポップコーンを食べながらの鑑賞も出来る。
秋葉原も素晴らしい会場でスクリーンも音響も最高だったと聞いているけれど。
シネコンでの復活上映はそういうことなのか!と感動してしまう。
ポップコーンで感動するなよと言われてしまいそうだけれど。

秋葉原はすでに上映決定だ。
それでも不安ばかりだ。
令和初の年の瀬だ。
天皇誕生日だった23日は平日になった。
家族サービスやクリスマスをやるならこの日の方も多いんじゃないだろうか?
素晴らしい時間帯だけれど、前回ほどたくさんのお客様は来てくださるのだろうか?
そんなことを考えながら。
前回のあの秋葉原での素晴らしい時間がぶり返してくる。
もう一度、あの時間を味わえるといいなと思ってしまう。

名古屋も秋葉原も現時点では舞台挨拶が出来るかどうかは未定。
こればっかりは映画館のスケジュールなどでどうにも出来ない。
自分たちも舞台の稽古が佳境に入っている頃。
ここからどんなふうに調整すればいいのかを考えなくちゃいけない。
それでも、やっぱり思い出してしまう。
あの幸せの風景を何度も。

不安を抱えながら。
心配を抱えながら。
それでも最高の結果と最悪の結果の両方を考えながら進み続ける。
今、思っていることのいくつかがもし成功したら・・・そんなことまで。
ドリパスだって、もっとたくさんの会場がもし手を上げてくれたら!なんてことまで考えている。
まだまだ未定なことばかりだけれど。

それでもさ。
なんと言えばいいのだろう。
映画って上映終了でどんどん下火になっていくようなイメージがあるのだけれど。
自分は別の形になるんじゃないかなって考えていて。
小さな雪の玉が転がって大きくなっていくように。
着実に着実に転がしていけたらなぁとか思っている。
下火じゃなくて、熾火というか。
前回のドリパスに来てくれたのがカメ止め出演者の市原洋さんで。
だからと言って、舞台のオファーを出すことを思いつくなんてめちゃくちゃなんだけど。
そんなオファーを受け止めてくださった市原洋さんもいてくださって。
なんか、そういうことだけでも雪玉が大きくなっているんじゃないかって思っていて。
そうやって、また少しずつでも広がっていってくれたらなぁって思っている。
そうやってどんどん色々な人たちが面白がっていったら、もっともっとってなっていくって。

だってさ。
2回だよ。
2回もセブンガールズを観て、セブンガールズを愛してくださった皆様が。
毎日毎日応援して、復活上映に辿り着けてくださったんだから。
それに全力で応えるって言うのはきっと夢を語るようなことじゃなくて。
地に足のついた確実な前進を皆様に届けていくことなんじゃないかって。
感謝してるなんて簡単に言えることだけれど。
それをどうやって、てめえは行動で示すんだよって。
そうじゃないかなぁ。

さあ。
また上映日が増える。
終わったはずのこのBLOGがまた増える。

言葉なんて軽いけど。
ありがとうございます。
感謝しています。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 02:00| Comment(0) | 延長戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月27日

公開74日目

早めに起床してホテルの簡易朝食をいただく。
みそ汁の味噌の味が少し違う。
醤油が甘いと聞いたことがあったけれど、みそも少し甘い。
少し片づけて出る準備をする。

堀川のチェックアウトの時刻を聞いていたからそれに合わせて出る。
大分県では有名なデパートに中にある有名な冷麺のお店。
開店時刻より少し早かったから別府タワーの1階の喫茶店でホットコーヒーを。
昨晩、大将にふるまっていただいたからそこに行く。
堀川は食べることのできなかった別府冷麺を。自分は別のメニューを。
豊田監督についていらっしゃった方も来ていらした。
とりあえず堀川とは一旦分かれて別行動に入る。

別府は温泉地、歓楽街。
山は富士、海は瀬戸内、湯は別府。
歓楽街としての歴史を刻んできたような細い路地を探索する。
別府湾があり、実は日本軍、そして今は自衛隊の基地も近い場所。
今はもう飲食店街だけれど、青線の名残が至る所に残っていた。
人がすれ違う事も出来ないような小径の奥には、見たこともないような自転車がホコリをかぶってた。
恐らくは青線ではなく赤線であった地域に行く。
竹瓦小道は日本最古のアーケード。木製のアーケードで小さな店がひしめき合ってた。
その中心に竹瓦温泉があったので、そのまま湯をいただいた。
千と千尋の神隠しに出てきそうな温泉。
全て源泉は同じなわけではなくて、それぞれ特徴があって効能も違うようだった。
想像以上に熱い湯だったけれど、あっという間に慣れて芯から暖かくなった。
一緒に湯に入っていた方も東京の人だった。

セブンガールズ最終日。
上映後の登壇だと思っていたら、前にもというリクエストが前日に来ていた。
そうなるとそれほど長い時間はとれない。
どうしようかなぁと思いながら、街を歩いてみる。
思っていたよりも閉店している店舗が多い。
かつての強烈な歓楽街から、観光地へと変貌している。
ストリップ小屋は閉館になっているし、怪しげな小道も様変わりしているはずだ。
ピンク映画館が一軒残っているけれど、周囲は飲食店ばかりだった。
戦後歓楽地は、映画館、飲食店、カフェ、ストリップ小屋、赤線青線。
全てが小さな地域に凝縮されていた。
今も歴史を残す映画館はそんな地域に残っていることが多い。
息をすれば人間の匂いがしそうな歓楽街は名残となって、その時間帯はひとっけも少なかった。
お年寄りが公園の日向でうまそうに缶チューハイを呑んでいた。
きっと彼らはかつての歓楽街を熟知している。

その足で街を観ながら海門寺温泉に行って湯をいただく。
玄関の地蔵の手前にも湯が沸いていて、ひしゃくで頭からかける。
だからお地蔵さんの頭に湯の花が咲いていた。
さっきの温泉とは違ってこちらは綺麗なお風呂だった。
市が立て替えて、移動したのだという。
ひなびた温泉も素晴らしいけれど、綺麗なお風呂もそれはそれで心が和んだ。

ホテルに一度帰って、準備をする。
そこまでゆったりできるほどの時間はなかったから。
15分ぐらい仮眠をとってから別府ブルーバード劇場に向かった。
今日も良く知っている顔があって、ほころんだ。
別府ブルーバード劇場の階段の途中に灰皿とソファが置かれている。
その上に看板があって、かつては2階だけではなくて3階にも映画館があったことがわかる。
今は3階は劇場として貸し出していて、イベントや催事に使用されていると聞いていた。
豊田監督の記憶に残っている映画館は恐らく3階だっただろう。
照ちゃん館長、岡本さんの二人の会話は面白い。
・・・というか圧倒的に強さを感じる。

別府の女は強いのだと思う。
実際に出会ってきた地元の女性は強い人ばかりだった。
夜に出かける予定でおしゃれをしているのだけれど、気に食わないとすぐにやりなおす。
館長補佐の森田さんは東京の人だから、笑っている。
強さを持っている女だからこそ、この一大歓楽街で88歳の今まで現役で映画館にいるのだ。
思えば、セブンガールズという作品内容だけじゃなくて、出会ってきた女の強さを何度も目にしてきた。
森田さんはすぐに岡村さんに突っ込まれる。
その感じもなんだかほほえましいやり取りで思わずニコニコしてしまった。

上映前に登壇というのは初めてだった。
前日に話したことももう一度話したけれど、今日は今日で新しい言葉だった。
芝居を辞めようと思っていた堀川は、映画を通じて人と人との繋がりを感じて、ついに大分まで来て。
そういう話をしていた。
自分も結局、色々な人に観て欲しいという話をした。
話をしていたら森田さんが目を拭いていて泣いているのがわかって。
振り返ったら、堀川も泣いていた。
多分、大分では泣かないと決めていたのだろうけれど。
たくさんの感謝が、最終日に堰を切ったのだと思う。
セブンガールズに出てくるあの女たちの強さを本当の堀川は持っていない。
逆を言えば、だからこそ猫役を演じることが出来たのだと思う。

登壇が終わって少し話をしていたら。
女性三人が出かける時間になった。
元々、上映後の登壇予定だったけれど、二回やることになったのは用事が出来たからだ。
何もそんなにまでしていただくことないのに。
照ちゃん館長が受付から出てきてハグしようと言った。
堀川も自分も館長とハグをした。
なんだか全部わかられているんだなぁって思った。
自分みたいな若輩者の考えているレベルなど、とうの昔に通過している。
例え耳が遠くなって全ての会話が聞こえていなかったとしても、表情だけで内容がわかる。
おばあちゃんって言えばかわいい存在かもしれないけれど自分はどうしてもそう思えなかった。
人生の達人の一人に出会ってしまったような感覚をずっと持っていた。
映画館は、映画会社、配給会社、地元のコミュニティ、様々な関係性の中で成り立っている。
歓楽街の時代からこの街を生き抜いてきて、今も現役の人はどれだけの戦いをしてきたのだろう。
いつもにこにこして、かわいらしい存在だけれど、自分はどうしてもそれだけに思えなかった。
今はこの街の顔の一つになっているのだ。

三人が出かけてからすぐ近くの駅前高等温泉に行く。
上映前と上映後があるなら、その間にお湯をいただいておこうと思いついた。
自分の住んでいない街に出かけたら、その街と融合するべきだと思う。
何をしようかなと思って、それが一番だと思ったからだ。
駅前温泉は、あつ湯とぬる湯で分かれていて、結局ぬる湯を選んだ。
今までで一番、トロトロとしたお湯に感じた。

映画館に戻って用意しておいた浴衣に着替える。
堀川は既に衣装に着替えていた。
お礼を伝えて簡単な質問が来る。
何度も稽古して、どうやってリセットしているのかという質問が来る。
毎回フレッシュに演じることは難しい事だけれど、その訓練をしていて。
予定調和に関しては厳しくチェックしている。
自分にとっては当たり前の話も大きく頷いていて、ああ、自分のいる世界も異世界なのだなと思った。

お客様と一緒に堀川がダンスをして、恒例の記念撮影をしてからロビーに出た。
自分にも話しかけてくださって、サインを書かせていただいた。
2回目の方が泣けたよ、今日で3回目だよ、そんな声が自分にも届いた。
ミチロウさんが最後にライブしたのが別府なんです!なんて話まで聞く。
不思議な気分だった。

終わってそのまま堀川は実家に向かう。
最後の夜ぐらいゆっくりすればいいのだから。
電車の時間まで甘えられたらいいけれど。
ご両親も仕事があるはずだ。
せめて、ことや食品のお弁当を、帰りの電車で頬張ればいい。
きっと新幹線の中で、寂しくてたまらなくなるんだから。

狭い暖簾の掛かった居酒屋に行く。
そこもおばあちゃんが元気に切り盛りしていた。
何を呑む?と席に座るや否や。
飯、食いたいんですけど・・・と伝えると、いいよいいよ!と。
名物のりゅうきゅうがあったから、それを飯にぶっかけてくれとお願いする。
いいよ、どんぶりにしてあげるよなんて。
今、お茶入れてあげるから、ちょっとだけ残して茶漬けにしなよなんて言ってくる。
やっぱり圧倒的に強い。
ばんばん切り盛りをしているし、目が行き届いてる。
お願いするよりも前にどんどん聞いてくる。
りゅうきゅうは、元々、魚の捨てる場所や前日の刺身を漬けにして無駄なく食べる漁師の文化だったそうだ。
だから関サバ、関アジが混ざっていたりする。
一口食べると、信じられないぐらいのゴリっとした歯ごたえ。
自分たちが普段食べている刺身とは鮮度が違う。
むしろそのコリコリとした歯触りを楽しむような料理だった。
お茶をかけて、最後の米の一粒までかきこんだ。
漬けのタレと、海苔と、白ごまと、お茶と、少し柔らかくなった刺身がたまらなかった。

そのまま旅人さんどうぞと表に書かれていたBarに入る。
大阪でもあった地元の人との交流をしたかった。
マスターと二人で、かつての別府について聞く。
別府は、満州帰りの人が多かった。
地理的にも九州全体が日本の中でも割合が多いはずだ。
別府冷麺も満州の朝鮮族に教わった味を再現したのが始まりだった。
中華の古いお店は、大陸の味そのままだし、餃子も有名なのだと聞く。
地元の人と、外国人と、日本各地から集まる大学と、その留学生と、観光客。
そんな人たちが毎日のように交錯する街なのだと知る。
その小さな出会いが重なって街を形成していった。
漁師の飯と、満州帰りの冷麺と、観光地としての名物と。
全ては人と人との間で生まれてきた。

ホテルに戻る。
二日間で出会った様々な人の顔を思いながら。
0時を過ぎてからブログを書くけれど、多分、寝てしまうなぁと思った。
どうせ眠ったって、4時間もすれば起きてしまう。
そういう体になった。

堀川が実家に向かってすぐに路地裏で仔猫に出会った。
実家で飼っている猫と同じカラーの兄弟。
二匹はじっとこちらを見ているけれど、おびえて近寄ってこなかった。
堀川が演じた猫ちゃんは、野良猫を見て自分で自分にそんな源氏名をつけた。
好奇心はいっぱいなのにどこか心では怯えている。
強い女たちに出会って、猫の弱さってやっぱりあるなぁなんて思う。
あさひや、コノに憧れて、猫は強がっていただけだ。
真奈は全部知ってた。
映画館のロビーに漏れてきたいくつかの音が強くなろうとする真奈だったとき。
急にグッと来た。
音を聞くだけで、それが開始から何分で、どんな絵か頭の中に浮かぶ。

このかつての歓楽街であの仔猫は逞しく生きていくだろう。
そして別府という街は変わりながら、保養地として続くのだろう。
ラグビーワールドカップ予選で、伝統の一戦が大分県で開催することになった。
街のいたるところに子供たちの書いたラグビーの絵が飾られていて。
きっとこの子供たちが次の別府を生み出していくのだなぁなんて思ったよ。

全ては繋がっている。
全てが続いている。
今はなき遊郭もストリップ小屋も。
形を変えて。
そしてそれは間違いなく前進なのだと思う。
前へ、前へ。
きっと今日も逞しい女が生まれている。

再訪したい。
心から願う。
そういう街だった。

堀川果奈大分県凱旋上映
別府ブルーバード劇場
9/20~22 18:30
9/23~26 15:40
当日1800円/前売1300円/リピ1000円
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 06:36| Comment(0) | 映画公開中 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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