2018年06月21日

今はもうない

予定していたロケ地が撮影一か月前という直前でだめになって。
撮影を延期するかどうかギリギリのスケジュールの中。
ふくらはぎが悲鳴を上げても、自転車をこぎ続けた。
蔦の絡まるトタンで出来た廃工場を見つけた時、ため息が出た。

管理されている不動産に直接交渉をして。
その工場の持ち主が、誰でも知っているような大企業だと知った時、なぜ諦めなかったのだろう?
大企業に直接電話してアポイントを取って、キリキリする中、資料を作成して直接お願いに伺った。
あの工場は、もう20年以上も誰も立ち入ることがない場所だった。
防災上にも、管理を続けなくてはいけないという意味でも、取り壊しを検討している場所だった。
面会してくださったご担当者様が、許可が下りるかはわからないけれど、やってみましょうと言ってくださった。
総務部の許可、法務部の審査、大きな大きな企業体に、おいらのようなものが正面から向き合うことになった。
ご担当者様にアドヴァイスを頂きながら、必要な書類を作成して、答えを待った。

その土地に初めて一歩踏み入れた時、既に映像が思い浮かんだ。
20年前に貼られたポスターがそのまま貼ったままになっていた。
工場のラインがそのまま残っていた。
大量の伝票が段ボール箱に詰め込まれていた。
錆びついたシャッターを20年ぶりに開けた時、20年前の空気が初めて霧散した。
いつか忍び込んだ小動物の足跡が、すでに埃で埋まっていた。

元々の建物の外装を生かしながら、自分たちで撮影の準備をしていった。
楽屋にする部屋を掃除して、転がっている栗を拾って、ぶら下がっている電線をたくし上げていった。
土地の神様にお祈りして、電気を準備して、水道を準備して、仮設トイレを設置して、バラック小屋を建てていった。
設営に準備していた1週間というスケジュールをはるかに上回って、数日でセットを組み上げた。
皆で食べたBBQは忘れることが出来ない。
通える距離の都内、駐車場もある。インフラも整っている。移動なしで撮影ができる。
こんな好条件のロケ地が見つかるなんて、奇跡だ。
それも全て、好意からだった。
スタッフさんに、この土地を見つけたことを絶賛された。

組みあがったセットに一人残って。
まるでさっきまでパンパンたちが客をとっていたような居間に寝転んだ。
ランプの灯の中、シナリオを開いていた。
どこかで小動物が草を分けながら歩く音がした。
ランプを持って、帰ったはずの役者が二人、自分たちも練習したいと戻ってきた。
オレンジのランプの光の中、幻のような風景がそこに浮かんでた。
娼婦らしさってなんだろうね?なんて、話をした。

全ての撮影が終わって、セットがなくなった時。
まるで夢から醒めたようだった。
おいらたちは、掃除を始めた。
弱っている壁は補強をして、小動物が入ってこれないように穴をふさいでいった。
また人が来るのは何年後になるのかもわからなかったけれど掃除をしたかった。
土地の神様に感謝して、おいらたちは、あの場所を去った。

完成披露試写会のお知らせを、席数などの確認が整ったのでようやくご担当者様に送った。
そのやり取りで、あの場所が今年の初めに工事が入って、更地になっていると知った。
セブンガールズはあの場所の貴重な映像資料でもあるんです。とまで言ってくださった。
お借りした時点で取り壊しの検討をされていて。
終わった時のご報告の際も、取り壊しの予定が進んでいると聞いてはいたけれど。
ある意味で、セブンガールズの撮影が入ったことは、取り壊し計画を一歩進めたのかもしれなかった。
防災上のことを考えたら、いつまでもそのままにしておくことは難しかったはずだ。

もうあの場所はどこにもない。
あの濃密な2週間を過ごしたおいらたちの記憶と、スクリーンの中にしか残っていない。
聖地巡礼なんて出来ない。
坂道を自転車で登り切って辿り着いた蔦の絡まったトタンの壁はそこにはない。

奇跡だったんだ。
あんな場所が今まで残っていた事。
セブンガールズを待っていてくれたとしか思えない。
取り壊されずに20年以上もそこでただただ待っていてくれたんだ。
なくなってしまうことは、もう決まっていた事だったんだから。

忘れるものか。
目をつぶれば、どこに何があったかすぐに思い浮かぶ。
あの空気も、あの匂いも、あの小動物の足跡さえ、思い出せる。

この映画は奇跡だよ。
奇跡の映画だ。
一体、いくつの軌跡が重なって出来上がったんだろう?

だから、きっと、もう一度奇跡を起こそう。

ご担当者様から、大ヒットを願っているという一文を頂いた。
大きな映画会社製作の映画ではないこの映画にとっての大ヒットとはなんなのだろう?
大成功とは何なのだろう?

もう一度ペダルを踏もう。

きっと、あの土地の神様も、映画の中から微笑んでくれている。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 06:38| Comment(0) | 映画公開への道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月22日

PV第9弾公開


色々あって、PV公開の紹介が今日までズレてしまったけれど。
水曜日にPVの第9弾を公開した。
あさひのPVは、実は悩んだ。
なぜなら、あさひは、このパンパンたちの中でも重要な役割を持っているから。
あさひ個人のエピソードとは別にだ。
そんなことを言ったら、全員そうなのだけれど。
けれど、あさひが様々なエピソードの中で、何をしてきたかを並べるべきなんじゃないかって思った。
ただこれは、それぞれの役の紹介。
あさひ個人のエピソードにするべきだと、自分の中で整理を付けた。

そう。これまで8人のそれぞれのエピソードを紹介してきたけれど。
全て、エピソードであって、セブンガールズという物語の軸ではない。
それぞれのエピソードが折り重なっていく中で、彼女たち全員が生きていく物語だからだ。
個人的なエピソードは、そのための深さになっていくものに過ぎないのだと思う。
残り2人。
この2人も、もちろん、その役個人のエピソードを中心に描いている。
全てのエピソードは、全体に干渉して、全体の物語の要素でもあるのだけれど。

今日も一つ必要な作業を終える。
もちろん、まだまだ修正が入るのを見越して前倒しにしてあるのだけれど。
やるべき項目の仮の段階は一応、全てこれでクリアしたはずだ。
あとは、ここからじっくりと、内容について検討して、修正を重ねていくだけになる。
印刷物は入稿〆切があるから、前倒しの更に前倒しで進んでいかないといけない。

ここからが一番難しいことはわかっている。
本当の山はここからなのだから。

先日の日本戦から、テレビを付ければ、あちこちで「半端ない」という言葉が躍っている。
流行語大賞ノミネートなんて早くも言われている。
たった1試合で、ワードが強い意味を持った。
それまでは気にも留めなかったワードが、あっという間に意味を持つ。
言葉にはそういう側面がある。
ただただ心に刺さってくる言葉もある。
あとからゆっくりと侵食してくるような言葉もある。
どういうわけか、記憶に残ってしまう言葉もある。
音楽が流れるような言葉まである。

よくバンドや新曲の紹介で、「ストレートな歌詞が・・・」なんて言葉を見かける。
そう思って、歌詞を読んでみると、そんなにストレートにも思えなかったりする。
恐らく、ストレートという表現は、曖昧なのだ。
直線的とか、直接的とか、口語体とか、複数の意味を内包している。
抒情詩的なものの反意語ぐらいの意味で使われている。
でも、おいらの中では、まったく違う。
ストレートな言葉というのは、はっきりと決まっている。
ストレートな抒情詩だって、ある。

それは、本質に触れる言葉だ。
本音を引き出してしまう凶器だ。
誰もが、自分が言われているような気がしてしまう言葉だ。

夏至の夜。
一番、昼が長いんじゃない。
一番、夜が短いのさ。
夜をもっとくれ。

おいらに夜をくれ。

今日は誰を演じて言葉を探してみようか。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 04:15| Comment(0) | 映画公開への道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月23日

PV第10弾公開


いよいよ二桁突入したPV。
この「パンパン小屋の女たち」シリーズも間もなく終了。
それぞれの娼婦たちのイメージと、バックボーンがなんとなくでも伝わって。
かと言って、ネタバレになるわけでもなく、そして映画が楽しみになるような。
そして、出来ればシリーズを通して観た時に発見があるように。
そうやって来たつもりなのだけれど。
ラストにセリフだけになって、もう一つテロップでセリフが浮かび上がる。
コノ編は、全体のラストに向かう一つ前の動きとしての意味も込めて。

メジャーな映画の予告編を観ると、数万回の再生をしている。
ああゆうのを観ると、ああ、凄いなぁ羨ましいなぁと思う。
色々なWEBメディアで取り上げたり表示していたり。
もちろん、YoutubeやFacebook、Twitter、Instagramにも広告機能があるから、狙っている人のタイムラインに表示させている。
そして、出演者のファンが何度も観ているといのももちろんある。
実際に自分から探したりして、再生している回数というのはどのぐらいなのかな・・・。
今は、宣伝費の多くを恐らくネット広告にも割いているはずだ。
むしろテレビなどのCMは一切見ないのに、SNSで必ず表示されるような映画もある。
本予告が出来たら、すこしぐらいそういう広告も出した方がいいのかな?
でも、結局、宣伝費で戦っても、勝負になるわけがない。
そもそも公開されたときの上映館の数も、キャパシティも、必要動員数も違うのだから。

現実的にテレビCMで流すのと、SNSの有料広告とでは、どのぐらい観る人の数が違うんだろう?
SNSの場合は、ユーザーが自分から、再度観ることも出来るし、CMのように時間が決まっていない有利さはあるけれど。
その分、テレビCMは不特定多数に一斉に目にしてもらえるという力を持っている。
CMスポンサーになれば出演者が番宣に出たりという展開もある。
一般的な口コミではないけれど、芸能関連の感想も得られる。
やっぱり、それなりに効果が高いはずだよなぁと思う。

逆を言うことも出来る。
そこまでが、映画会社に出来る宣伝だという事だ。
お金をかけて、知名度を上げて、興味を引く。
それで計算できる動員数というのも恐らく経験からあるはずだけれど。
その動員数を更に伸ばすのは、きっと、作品の持つ力と、一般的な口コミになる。
そこのコントロールは、出来そうで出来ない。
どんな映画でも、きっと、そこで苦労している。

よく、映画ライターという職業があるけれど。映画評論家とライターでは少し違う。
評論家は、映画の評論が仕事だから、別に公開前に書く必要もないし、一般に届く内容を書く必要もない。
とても難解な評論をしていらっしゃる方だっている。
一方、映画ライターは、基本的には、メディアから信頼されて映画の記事を書いている。
例えば、テレビ番組の雑誌でも、ちょっとしたフリーペーパーでも、ファッション雑誌でさえ、映画紹介のページがある。
ああゆう場所に、依頼されて書いている。
もちろん、ただアクションが凄い!とか、わかりきったことを書いているわけじゃない。
普通に観ただけでは気付かないような角度から、興味を持つような面白さを発見して書いている。
雑誌から映画を指定されることもあるし、ライターさんによっては、取り上げる映画まで任されている方もいる。
良い所を探してくださる仕事だけれど、辛辣な意見を書く方もいらっしゃる。
批評家、評論家よりのライターさんだっていらっしゃるから様々だ。
そういうライターさんの名文章で、口コミに火が付くことだってある。
きっと、お金をかけた広告の限界点がここまでなんじゃないだろうか。

世にあるミニシアター系、単館系と呼ばれる映画も、少なからず宣伝費というのはある。用意されている。
ポスターやチラシなどの宣伝材料が必要だし、試写会だってただでは出来ない。
HPを作成するのだって、予算がかかるし、その全てが外注であればあっという間に予算は膨らんでいく。
色々な映画の宣伝や、その広がり方を探しては学んでいるけれど。
大体、軸は大きく3つで、作品のテーマ、監督のプロフィール、役者のプロフィールのどこかだ。
けれど、そのどれなのだとしても、結局、答えは一つ。
少しでも話題になった映画は、やっぱり、最終的に一般の口コミが強い作品ばかりだ。
映画ライターの名文章を、たった一人のお客様の感想が凌駕してしまうことが普通にある。

今は、PVも一人一人の紹介という意味しか持たない。
けれど、公開前にきっと、意味を持ち始めるんじゃないかと思っている。
口コミが少しずつ広がった時に。
その材料になるはずだと思っているからだ。
本予告だけでは足りない部分。
この人が好きだった!という感想にリンクできるような材料にもなる。
このシーンがすごかった!という感想にリンクできるような材料にもなる。
観終わった後に、映画をもう一度思い出したり反芻したり、記憶の補完をする材料にだってなる。
それは、実は思っている以上に大事なことなんじゃないのかって考えている。

どんなふうにとられるかな?
今回はそれが楽しみなPVになった。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 18:22| Comment(0) | 映画公開への道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月24日

雰囲気が変わっていく

印刷物の入稿〆切が近づいている。
恐らくはギリギリまで直しの繰り返しになる。
大きな変更というよりも、細かい調整の繰り返し。
ここからが本番になるのだと思う。

Instagramがとても好調だ。
フォロワー数も順調に増えているし、いいねの数も安定して増えている。
映画が好きな人や、昭和レトロが好きな人、そういう方々と繋がりつつある。
感謝だ。
出演者何人かで共同管理しながら、どんどん進んでいけばいいなぁ。
面白がってくださる人が増えたのはとっても力になる。
世に言うインスタグラマーの皆様に比較したらまだまだな人数だけれど。
初めて、今までの時間でこれだけ伸びたら立派だと思うのだよなぁ。
どうなんだろう?

完成披露試写会までに、どれだけ出来るかなんだろうなぁと思う。
それまでに、積み上げたものがあればあるほど、面白い。
役者たちも自分で出来ることがあるんじゃないかと考え始めていて。
なんだか、それぞれに何かを始めようとしている。
例え、それがなんにもならなかったとしても。
形にならないことがあったとしても。
そうやって、全員で進んでいる姿そのもの、全体の感じが勢いを生んでいく。

全体で創る雰囲気と。
じっくりと考えて、詳細に検討した告知と。
そういういくつかがクロスしながら、進めば、きっと大きな何かに繋がる。

TwitterやInstagramで、企画を始めている何人かがいて。
他にも、見えないところで色々なことを始めている人がいる。
ここから、完成披露試写会後は、本チラシも本ポスターもあるから、ネットだけじゃない活動も増えていく。
きっと試写会を観てくださった方の言葉も出てくるし、媒体にも登場するかもしれない。
より、今まで知らなかった人の目につくようになった日に。
それまでが、大きく作用するんじゃないかって思っている。

どうぞ、面白がってください。
何やってんだ?この人たち。ぐらいでも。
い、意味がわからん!だとしても。

このBLOGも、1000エントリーの大台が見えてきた。
積み重ねだなぁ。
なんというか、千里の道も一歩よりってやつだなぁ。

さあ。
稽古だ。
稽古して、日本戦も待ってる。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 13:26| Comment(0) | 映画公開への道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月25日

明日からまた頑張る

稽古日。
移動中、そちらこちらでサッカー日本代表について話している声が聞こえる。
皆、気になっているようだけど、大抵、詳しそうな人がセネガルは強いよ・・・と口にしている。
余り誰も言わないけれど、実は前回のブラジル大会で、皆傷ついているのだと思う。
勝てるよ!と口にして、惨敗をしたことで、やっぱりまだまだだったんだ・・・と消極的になった。
だから、勝ってほしいと願っても、きっと勝てるよと中々口に出来ない。
きっと選手たちもそれは一緒で、どうやって自信を取り戻すかの4年間だったのだと思う。
自分たちで応援しなくちゃなと思って、なんとなく組み立てだけ考えておく。

稽古場に着く。
ダンス稽古をしている暇を見繕って、男性陣に声をかける。
まぁ、何やってんだか・・・っていう映像の撮影。
普通に街中で。
今日中に編集してしまおうと撮影しながら決める。

稽古が始まる。
秋に向けて、映画の公開ももちろんだけれど、舞台の本番も待っている。
実は、それほど悠長な時間なんてない。
出来れば、早い段階でどんどん稽古をして芝居を作り込んでいきたい。
まだ登場人物の少ない台本だけれど、ダンスをしていない男連中は少しでも板に立てるように稽古が進む。
稽古場に来て何もしないよりも、少しでも人前に立つことだけは肌で経験したほうがいいに決まっている。
映像の撮影も、悪くない刺激だった。
ダンス稽古が続くなら男連中で何か企画ものの撮影を続けても面白いのかもしれない。
いずれ、男は男で、肉体的な稽古も入ってくるから、それまで。

稽古の後半は、基本的に観る稽古。
芝居が変われば観るのは楽しい。
余り変わらない時間帯は、観ていることが出来なくなっていく。
そういうことをずっと繰り返してきたのだから。

飲みにはいかない。
自分がサッカーを観たいのもあるし、電車が変な時間帯に混雑しかねない。
帰宅して一息。
編集をしておく。
サッカー試合前に公開しようと思ったけれど。
結果が出る前はやめておこうと決める。

試合観戦。
日本らしいプレイ!というアナウンスにはっとする。
4年前、自分たちのサッカーを目標にして、惨敗して批判された。
けれど、その経験が、いつのまにか「日本らしさ」を普通に生み出していた。
そして、そのらしさは、世界に通用するという自信を選手たちは取り戻していた。
批判され続けた監督と選手が結果を出した。
相手チームの世界的エースが、日本の強さを認めた。

試合が終わると同時に映像をアップ。
久々で劇団のYoutubeアカウントへ。
稽古だって、準備だって、色々あるけれど。
応援だってしているのだ。

諦めずに、着実に、進むのだ。
下を向かずに進むのだ。
弱音を吐かないのだ。
日本らしさとは、この一歩そのものだ。
力をもらった。

明日からまた頑張る。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 03:37| Comment(0) | 映画公開への道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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