2017年11月16日

矛盾じゃない共存

少し体調が落ちて、風邪薬を飲んでみたら、変な時間に寝て目覚める。
普段、ケミカルな薬をあまり飲まないから、少し効きすぎてしまう。
子供の用法要領でいいんじゃないかなぁ?なんて思うんだけれど。
薬学に詳しくないから、意味がないようじゃなぁと思ってしまう。
咳止めが入ってるのだと、すぐに寝てしまうなぁ・・・。
なんとなく和漢が、自分には体に合っているんだよなという気がしている。
まぁ、あくまでも気がするだけなのだけれど。
ひいじいちゃんや、その上の世代が長生きしているから、当時もあったような薬がいい気がしているだけだ。
もっとも、現代の食文化、現代の自然環境、世代による遺伝情報の変化があるのだから比較にならないのだろうけれど。

要するに臆病なんだな。
どうも、化学的な成分を定期摂取することに躊躇ってしまう。
だからと言って、いわゆる漢方も、どこか怖い。
本当に書かれている成分なのかなぁ?とか、とんでもなく古いの入ってそうだなぁとか。
何十年前のキノコとか入ってるんじゃねぇ?とか思ってしまう。
なんの根拠もない癖に。
ウーロン茶とかでも、普通に数十年前のとかが高価だったりするでしょう?
だから、自然と和漢・・・江戸時代とかから続く日本人の漢方薬・・・に安心してしまう。
現代でも残っているっていうことは、それなりに、日本人に合っていて効果もあるんだろうなぁと。
確かに龍角散を飲んで寝ると、翌朝の喉の調子が良い。
まぁ、劇的な変化はあまりないから、体調が悪いと結局、化学的な薬になるし、病院に行けばもらう。
そんなんだから、結局、利きすぎて、眠くなったりしてしまうのだ。

結局、そういうところが老舗の安心感なんだよなぁと、思う。
幕末の芝居をやったから良く知っているのが、かつて新撰組の土方歳三が行商した石田散薬。
土方本人が「あれは効かねえんだ」なんて、小説の中で言ったりしたし。
維新後の薬学法で認められなかったりもしたから、今は残っていない和漢の一つだけれど。
実は、大正後期ぐらいまでは少しだけ取引され続けていたなんて証言もあるみたいだ。
・・・というのも、石田散薬じゃないと効かない!という人が何人もいたらしい。
打ち身などに効くという効能だから、戦地に持っていった兵士も多くいたという。
当時の薬学ではなんの根拠も示せなかったし、基準をクリアできなかったのにだ。
今、調べたら、逆に効能が認められたりする可能性もあるけれど、やはり販売は出来ないはずだ。
なんせ、日本酒と一緒に呑む散薬だから、そんな薬が販売できるわけがない。
それでも、欲しがる人がいたというのは、どういうことなんだろう?と考える。

余り疑い深いのもどうかとは思うけれど。
なんでもかんでも人が信じるのかと言われたら、そんなことはない。
何かを選ぶときに、やはり、人は信じる何かが必要で、それに後押しされて一歩踏み出す。
薬なんかは、いわゆる自分自身の肉体に変化をもたらすモノなわけで、疑いから入る。
これは効くのか?そしてこれは、副作用はないのか?自分に合っているのか?
そんな中、安心感のある製品があれば、どうしたって、そちらに手を出したくなる。
老舗の安心感は、一定のベースとなるファンを獲得していく。
うちの舞台も来年20周年となる。
都内では毎日、数十の劇団が作品を発表し続けているわけで。
その中から、時間とチケット代を使う以上、面白いものを選びたいという心理は必ず働く。
長く続いているという事は、そこで、一つの安心感があるという事だ。
老舗が守るのは、ファンであり、その中から少しずつ新しいファンを獲得していくという事だ。

ただ一方で、人には好奇心というものもある。
疑ってしまう猜疑心の反対側の、まだ見知らぬものを知りたいという欲望だ。
コンビニエンスストアに行けば、新製品が並びまくっている。
お菓子でもホットスナックでも飲み物でもデザートでも弁当でも。
当然、ドラッグストアに行けば、最新の風邪薬が棚のほとんどを占めている。
昔からの商品名に、エースとか、ゴールドとか、付いた新製品が並ぶ。
棚の占有率をみれば、それが一番売れているというのは間違いない。
一定のファンを獲得するというよりも、お試しも含めて、爆発的に売る製品だ。
ここに並ぶほとんどの製品は2年後には姿を消している。

演劇でも映画でも、興行というのは、いわゆる流行ものなわけで。
この好奇心を刺激するような部分がないと、公演の規模を大きく出来ない。
一方で、明治座だったり、新劇劇団であったりという、老舗も存在している。
地道に一定の観客を集め続けるし、チケットの販路や、団体客の斡旋のルートも確立されている。
限定商法というのがあって、冬限定とか期間を限定するだけで、購入意欲を刺激するというのがあるけれど。
興行は、まさに今しか観れないという限定感もある。映画にはないけれど。
そういえば、映画も「男はつらいよ」や「釣りバカ」のような安定した作品がなくなってきているなぁ。
それは本当はあった方がいいのにな。

そういう全ての要素が、しっかりと、持てると面白いんだけれどなぁと思う。
いわゆる老舗の安定感。一定の興行と、定期的な公演。
それに加えて好奇心が湧く公演。時々上演される、真新しい挑戦がある公演。
両方が同時にあってもいいし、二つのラインがあってもいい。
そういう中で、映画を創ったとか、誰かが映像の出演をしたとか。
或いは主宰である監督が、別の形で作品の発表をしたとか。
様々な信頼を獲得し続けていけたら、それがベストだ。
らしさを求められたり、らしくなさを求められたり、一見矛盾しているけれど。
そうじゃなくて、両方求められているのだと思った方が良い。

普段は和漢。
たまにケミカル。
どっちも、あってくれなきゃ困る。

どうもそのぐらいが、自分には合っている気がする。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 05:18| Comment(0) | プロモーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月15日

笑顔の信頼

とある撮影に向かう。
勝手知ったるメンバーと待ち合わせて。
特に迷うことなく、時間通りに到着。
懐かしいスタッフさんとも久々の再開。
映像の企画は製作発表されるまで詳細を書けないのが困るけれど。

カメラの前に立てば緊張する場合もあるけれど。
昔ほど緊張することもなくなった。
まして、勝手知ったるメンバーがいて、顔見知りのスタッフさんもいる。
自然、緊張よりも現場の空気を良くしようなんて意識も働いてくる。
緊張による悪循環の反対のような好循環。
もちろん、シーンによっては緊張感を創らないといけないけれど。
それもすんなりと作っていくことが出来た。

面白い事やら、書きたいことも色々とあるけれど、割愛。
個人的にこの現場の監督さんとは実は3度目のお仕事。
作品も数本観ている。
演出や、やり方や、楽しんでくれる場所、そういうものも少しだけ見えてきた。
編集されたものを観るのが楽しみだ。

ほんの少しでも力になれたのかなぁ、なんて帰りに考える。
スタッフさん、嫌じゃなかったかなぁとか、ネガティブにも考えたりする。
共演者の方とも色々話したけれど、気を使わせてなかったかなぁとか、思う。
多分、そういうことは皆が考えるのだろうけれど。
考えながら、気にしてばかりよりも。
撮影中の、表情を思い出すようにする。
ほんの少しでもプラスになればと参加しているのだから。

スタッフさんに挨拶をして。
お疲れ様でした!と言って帰る。
そんな時に、笑顔が少しでも見えた。
その表情だけで十分なご褒美だ。

おいらたちは、一歩踏み出して、今までになかったことをした。
それは、自分の中の経験になって、自分の中の記憶になって、そこから先の道を見せてくれている。
だから、いつだって、その一歩を躊躇してはいけないんだ。
その一歩が、何十歩になることだってあるのだから。
なんにもならないことだって、それはあるだろうけれど。
無駄な一歩なんかやっぱりない。
少なくてももう一歩前に行くときは、前よりも二歩前にいるのだから。

助監督さんが、劇団を面白そうだと言ってくれたことが嬉しかったな。
そういう意味では、個人でありながら個人じゃない部分も持ってる。
皆や代表が、恥をかくようなことをしちゃいけないんだよなって、緒を締める。

そういう言葉を色々な場所で。
そういう言葉を色々な時間で。
少しずつ残していくことが大事だ。
信頼は、何よりも強い力だ。
学べ。学べ。

きっとそういうものは、映画公開後にも、すごく大きな力になると思う。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 03:13| Comment(0) | プロモーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月14日

無意識をチェックする

最近、イップスという言葉を目にすることが多くなった気がする。
ここ数年になって、一般化してきた言葉だと思う。
そもそもは、ゴルファーの言葉だったらしい。
肉体的な故障などなんにもなく、それまで普通にできていたパットが出来なくなる現象らしい。
20年以上続けているゴルファーなどには突然起きることなんだそうだ。
それが徐々に宮里藍選手の引退なんかで広がっていって。
例えばフィギュアスケートの浅田真央選手がジャンプのイップスなんじゃないかとか。
例えば、阪神タイガースの藤波投手が、投球イップスになったとか。
様々なスポーツの場面で言われるようになったなぁと思う。

記憶による防衛本能などに根差した精神疾患だと、理解している。
本能的に、一瞬で緊張して、指や手がいつもとは違う稼働をしてしまう。
怪我に繋がる記憶や、失敗に繋がる記憶、強烈な痛みの記憶。
本能はそれを回避したり、それを無意識に注意してくる。
ベテランに起きると言われていたけれど、最近では子供のスポーツでもあると言われているようだ。

昔は、なんというか、ビビってるとか言われていたことなのかもしれない。
一度、危険球を受けたバッターが、インコースには自然と腰が引けてしまってスランプになる。
お前、ビビってるんじゃないよ!とただ怒られて、克服に時間がかかる。
そういうのが、実は脳的な現象だよと、最近になってちゃんと理解されつつあるという事だ。
怖さを気合で乗り切ることなんか、とても出来るわけがない。
もちろん、そういう状況になった選手を昔から丁寧に指導する人もいた。
かなり遅いスピードの球でインコースの球を打つところから地道に再度慣れるようにしていく練習だ。
時間はかかるけれど、繰り返すことで、無意識に体が動く所まで持っていけば確かに克服できる。

実は、役者は、そういう精神疾患との戦いともいえる。
知り合いの俳優の中には、赤面症、多汗症、吃音症は何人もいた。
稽古では普通に芝居が出来るのに、本番で早口になる役者、途端に活舌が甘くなる役者。
緊張する場面になると、噛んでしまうというのも、たぶん、細かい精神疾患の一つなんじゃないだろうか。
或いは、稽古場で、ダメ出しに耐えられなくなるという症状もなくはない。
緊張は必ず、本番でも稽古場でもするんだけれど、実際に見える部分に現れる人も多い。
そうなると、やっぱり繰り返しで克服するのか、リラックス法を覚えるのかになっていく。
或いは、自分のスタンスを固めて、自分のスタイルを確立することで軽減していく。
演劇の場合、昔からあることだから、様々な方法が既に考案されている。
そこを恐れていては、結果的に芝居にならないから、方法を探すしかない。

もちろん、演劇も肉体を使うものだから、同じようなことがあるのかもしれないけれど。
実は、肉体的なことだけではなく、同じようなことって言うのは潜在的にあるんじゃないだろうか。
例えば作家や絵描きが書けなくなるという現象はとても似ていると思う。
なんのイメージも湧かないだけじゃなくて、無意識に、〆切の厳しさ、評価の残酷さがペンを置く。
そういうことって、きっとあるのだろうなぁと思う。
或いは、それまでは、自分らしい角のある絵を描いていたのに、どこかで角を取ってしまう。
芝居でも昔はこういう場面で思い切った表現が出来たのに二の足を踏んでしまうという事があるけれど。
同じようなことがきっと、頭脳労働にもあるのだと思う。

気合が足りないとか。
やる気がないとか。
簡単に言えないところなんだよな、本当はと思う。
無意識的なブレーキは、どこにでもあるのだ。
それはもう、反応に近いことだから。

シンプルにね。
大失恋をして、告白できなくなってしまうのも、きっと同じようなことだって思う。
それを怖がっているというのは簡単だけど、無意識レベルで拒否してしまう場合は、克服は簡単じゃないよ。
勉強が苦手になる子供にだって、もしかしたら、そういう面があるかもしれない。

大なり小なり、実はそういうことを誰もが抱えているんじゃないかと思う。
トラウマなんて言葉もあったけれど、もっと微細な部分。
意識できるもの、わかるものならいいけれど、気付いていないことも含めたら、相当数あるんじゃないだろうか。
緊張で人差し指一本が動かなくなるだけで、ゴルフのパットが入らなくなる。
経験を重ねることは、臆病になることでもあるのかもしれない。

自分にもそういうものが、30年近く芝居を続けてきたおかげなのか。
織のように重なっている。
舞台本番前に、なんで緊張しないの?なんて聞かれることもあるけれど、緊張していないわけじゃない。
大きく震えたり、血の気が引けたり、体が固まるようなことは余りないけれど。
指一本、声一つ、細かく細かく、無意識レベルの影響を感じる。
そこから、逃げるわけにもいかない。
丁寧に、自分でチェックして、その正体がなんなのか。原因はどこにあったのか。
探っていくことでしか、何も解決していかない。
チェックを怠ると、一年後に一気に大きな問題になったりすることもあるから。

そこに向き合う稽古をしてきたんだなぁと思う。
今は監督のテキストで稽古をしてきているけれど。
それまで持ち寄っていた時に、克服できないまでも向き合うという事をしたのかと。
今日になって、ふと、思いついた。
何かをしなくちゃねと思った中で、その何かとは、きっと、それだった。

気合とかじゃない。
丁寧に自分を知っていくことからしか始まらない。

それは、お客様に観ていただく人間の責務だと思う。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 02:39| Comment(0) | プロモーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする