2019年09月25日

公開72日目

大分県別府での上映も平日に入り折り返した。
平日の昼間という日程は名古屋でもあったけれど、平日は誰も行っていなかった。
自分が想像していたよりも会場にお客様がいた。
堀川もビラ配りをしたようだ。

評判が良いですよと聞いてはいたものの。
残すところわずかという段階で地元メディアとの接触が数件あったようだ。
ああ別府での上映をして良かったと思った。
別府に住む皆様の心の中にセブンガールズが残ってくださるだろうか?
そんなことばかり考えてしまう。

結局今日も朝からずっと関東にいながら大分を思っていた。
今日も出会いがありますようにと何度も思った。

残りわずか2回。
そんなやきもきした気持ちのまま。
明日の朝、大分にたつ。
例えばたった一人だけでも来てくださったら。
精一杯お届けしなくちゃいけない。

明日は賑やかな一日になる。
平日水曜という日程だけれど、レディースデーで女性は1000円で映画を観れる。
セブンガールズでは、連日の舞台挨拶イベントをしている。
そして館長補佐の森田真帆さんがMCとして登壇してくださる。
そのセブンガールズの後の上映では「狼煙が呼ぶ」の全国行脚で名監督の豊田利晃監督が登壇する。
MCを勤めるのは、ダイノジの大谷ノブ彦さん。
更にその次の上映が、その大谷さんが毎月別府ブルーバード劇場で開催している大谷映画会。
ちょっとした映画祭みたいな一日になったと聞いている。
豊田監督とはご縁があるから別府で会う約束もしている。

堀川から空港到着時刻の確認が来た。
映画館で待ち合わせればいいと思っていたのだけれど。
お世話になったお店の幾つかに顔を出すのだそうだ。
同行できるのかはまだわからないけれど、一応連絡することになった。
自分も出来る事なら挨拶をしたい。

明日の今頃は・・・と何度も頭に浮かんできた。
そろそろ飛行機に乗っているな、とか。
そろそろ大分空港についているのか、とか。
観光ではないしワクワクするというのとは少し違う。
なんだろう?自分が求めていることは。

人と人との繋がりというのはあやふやなものだ。
ちょっとしたことで喧嘩だってするし、愛し合ったりもする。
セブンガールズという作品を通じての繋がりというのはそういう中でも微かなものだと思う。
ただ一つの作品があって、そこに集まった人たち。
けれど、その微かな繋がりがとても暖かくて、柔らかくて、愛おしいものなのは間違いない。
観てくださったお客様にありがとうと伝えると、こちらこそありがとうなんて言われて。
なんだか不思議なほど、感謝し合っている。
きっとそこには性別や国籍や宗教や思想も簡単に超えてしまうような。
例え家族のような太くて強い縄での繋がりではなくても、やわらかい布に包まれたような関係になっている。
その心地よさは上映期間じゃなかったとしても、いつだって感じられるものだけれど。
それでも、今日まで自分が求めてきたものはそんなふわりとした関係が少しでも広がっていくことなのかもしれない。

自分は常に気を付けていたことがある。
映画を観て、応援してくださる皆様を特別扱いしないようにすることだ。
その日初めて映画に足を運んでくださった方も同じように接しようとすることだ。
だから何度も来てくださる方と話している最中でも、誰かと話すのを諦めて帰りそうな方がいたら声をかけるようにした。
なぜなら、そんな初めてのお客様の中から、また新しい関係が拡がっていったからだ。
そして、いつだってまだセブンガールズと出会っていない人たちをどう呼ぼうか考えてきた。
コメントを集めた時も、メディアに連絡し続けた時も、SNSでも、カウントダウンでも。
まだセブンガールズを知らない人が少しでも興味を持つことを探してきた。
すでに応援してくださる方へのファンサービスに重点を置くことだって出来たけれど。
でも多くの応援してくださる皆様は、そんな姿をちゃんと観ていてくださった。
話の途中で抜けたことを謝っても、大丈夫ですよと言ってくださった。
それに自分じゃなくても交流している出演者たちがたくさんいたのだ。

だからかもしれない。
応援してくださる方々が足を運びづらい土地の映画館で。
恐らくほとんどのお客様が初めて、あるいは別府で知ってくださった皆様で。
平日で。昼間で。
新聞を観たり。噂を聞いたり。
或いは映画イベントが多いという理由で映画ファンだったり。
そんな場所に行けることがワクワクさせているのかもしれない。
未だ出会っていない誰かに会えることこそが。

自分はそんなことにワクワクしていて。
登壇することに関しては、わりと二の次だったりもする。
堀川果奈の地元凱旋。
舞台挨拶でも、堀川の話を聞きたいはずだ。
もちろん、娼婦たちの話でもあるのだから。
監督はともかくとして、他の役者には誰かを立てて登壇するということをさせたくないなぁって思ってた。
なんだか微妙な感覚だけれど。
自分はずっとそうしてきたから、なんとも思わないけれどさ。
今日まで最初からずっと大分上映を目指してきたから。
堀川が地元の皆様に愛されている姿を観れたら結局嬉しくなると思う。

成瀬凛太朗役としてそこに立つのか。
セブンガールズ映画化実行委員会実行委員長として立つのか。
それもまだよくわかっていないままだ。

もうたくさんのお客様にたくさんのプレゼントをもらってる。
胸の中はいっぱいだ。
今は恩返しじゃないけれど。
この幸せの輪廻を少しだけでも広げていくことだけだ。

自分はわがままなんじゃないかと思えることがある。


堀川果奈大分県凱旋上映
別府ブルーバード劇場
9/20~22 18:30
9/23~26 15:40
当日1800円/前売1300円/リピ1000円
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2019年09月26日

公開73日目

大分県別府にやって来た。

朝起きて荷物を持ち空港まで出かける。
朝食を摂ろうか悩みつつ結局そのままチケットを発行して待つことに。
空港っていつの間にすごいことになっているんだなぁ。
充電も出来るし、売店やトイレもホテル並みに綺麗で充実している。
飛行機まではバスで移動するのだけれど、それもとても新鮮な気分だった。
飛行機に到着すると想像よりもずっと小さな機体。
自分の記憶に残っているのは国際線のジャンボだけなのだから当たり前だ。

席に着くなりCAさんに富士山は何分ぐらいで見えますか?と聞いてみる。
にっこり笑って20分ぐらいと説明してくれるだけじゃなくて、ご旅行ですか?と聞かれる。
他のお客様がいるのになんだか悪い気もしたけれど。
思えば、サービス精神の塊のようなCAさんに話しかけられても、殆どの乗客は無表情で。
仕事を邪魔しちゃいけないなぁという日本人特有の感覚があるからなのか会話が続かないようで。
普通に話しかけたりする自分に嬉しそうにしてくださるのはきっといつもそうなんだなぁって思った。
飛行機が動き始める間近に、自分の座席の脇を本日MCをしてくださる森田真帆さんが通り過ぎた。
飛行機は離陸して、あっという間に窓の外の景色が小さくなっていった。
上空では気流が激しかったようで、想像以上に揺れていた。
20分ぐらい経過した頃、CAさんがやってきて、すみません、今日のルートは富士山の真上みたいですと教えてくれる。
わざわざ教えに来てくれるなんて、優しいなぁと思った。

安定飛行に入ってからシートベルトを外し、狭いと噂のトイレに行ってみる。
トイレの帰り、森田真帆さんの肩をトントンと叩いて挨拶をするととても驚いていた。
多分寝るだろうと思ったフライトは興奮したまま最後まで窓の外に釘付けで。
国東半島が眼前に迫ってきた時に、かつての大噴火を想像してドキドキとした。
飛行機が止まると、CAさんがやってきて。
富士山の写真のポストカードと、たくさんの飴が入った小袋を手渡された。
旅に出て最初に言葉を交わした方とこんな交流が生まれただけで、良い予感しかしなかった。

大分空港に到着して、その空港の違いに目を白黒させながらバスの時間を調べたりしていたら。
森田真帆さんから連絡があって、別府まで車で送ってくださると言う。
それは嬉しいです!と伝えると、先日のMCで踊ってくださったひろきさんがニコニコ笑ってやって来た。
同じ便だったことだけでも偶然なのに。
やっぱり出会いが続く旅なのだと、心が躍っていた。
大分空港から別府までの道は山々に囲まれていて、九州の持つ熊襲の匂いがしてくるようだった。

車内で連絡があったから別府駅につくなり前売券を取り扱ってくださった087~ohana~さんに向かう。
事前連絡でこれが食べたいと伝えておいて!とお願いする。
お店に入ると、そこに堀川とお兄さんが座っていた。
兄妹で話す時の二人は、信じられないほどの大分弁で。
来よった、疲れよったか、と、いつもの堀川じゃないみたいによったよった言ってくる。
お願いしていた隠れメニューの牛すじカレーはスパイシーで、濃厚で、美味だった。
サービスしてくださったホットコーヒーもすごく美味しかった。
堀川お兄さんの運転する車で、やはり前売券を取り扱ってくださったコトリカフェさんに移動。
靴を脱いであがる一軒家を改築したようなかわいいカフェ。
食事を頂いた後に今度はスイーツを!
どちらのお店でも、なんというか、あっけらかんとした笑顔で迎えてくださった。
屈託なくというか、気を使っている感じのない笑顔は気持ち良かった。

六日目の上映が始まる直前にようやく別府ブルーバード劇場さんに到着。
階段を上がるとそこに、沿線してくださったお客様が二人座っていらっしゃった。
一瞬、息をのんだ。
自分が朝一番でツイートした「散歩がてら」に絡めて、ふらりと来ただけだと口にする。
まるで当たり前にオシャレに、ちょっと足を延ばしただけだと言わんばかりに。
しかも一人は日帰りだという。
その瞬間まで素晴らしい出会いが続いて、堀川まで別人のように感じていたのに。
二人の顔を観たら、ああ、こんな出会いもさせてくれるのかと心が緩んでいった。
上映開始すると手土産をわたして、ホテルに移動、チェックインをした。

こじんまりとしていながら小綺麗な部屋。
窓からは、山の中腹にある変わった形の観覧車で有名なラクテンチが見える。
そのまま視点を移動すると山の中腹から湯気が出ていることがわかる。
ここはおんせん県なのだ。
ホテルにある展望温泉をいただく。
温泉から見える街は海側で別府タワーから別府湾が一望できた。

映画館に戻ると堀川が衣装を着て待っていた。
やっぱ衣装なんだ・・・。
自分はセブンガールズTシャツを重ね着していった。
照ちゃん館長と写真を撮影する。
小さくて、やさしいやさしい感じがにじみ出ていた。
壁という壁に、昔の写真や、映画関係者のサインが並んでいる。
歴史を刻んできた映画館であることが一目でわかった。
今日はイベントだからその次の映画、更にその次とお客様がやってくる。
いつもよりもずっと忙しいようだった。
そんな忙しい中でも優しく対応してくださる。

舞台に立つと客席から暖かい空気を感じた。
堀川の旧友も来ていたという。
いつもの顔があることも心強かったけれど。
皆様が温かく迎え入れてくださった。
MCの森田真帆さんから質問が続く。
思えばMCがいるという状況での登壇は初めてだった。
5日で撮影した話には、おおと声が挙がった。
あの走り回った日々は今日もお客様に作品として届いている。

ロビーに出ると堀川の周りに人だかりが出来る。
良かったねぇ。嬉しいねぇ。
自分にも声をかけてくださるお客様もいて、心が和んでいった。
その次の「狼煙が呼ぶ」のお客様の入場もあって映画館は賑わっていた。
そんな中、当たり前のように豊田利晃監督がいらっしゃった。
本日4館目、連日の日本縦断行脚。
そのまま監督の登壇イベントも観た。

森田さんと映画の内容について話す。
一回観ただけなのに、様々なシーンについて話されている。
ああ、すごいなぁ、ああ、嬉しいなぁ。
こんな風にもっともっとたくさんの皆様に届けられたらいいのに。

一旦ホテルに戻って着替える。
SDカードから写真データを覗いてから、街に出かける。
森田さんが紹介してくださったお店で豊田監督と酒を交わす。
不思議だなぁ。
杉本亮さんとの関係で関東で出会って、九州の別府で呑む。
日本中を旅してきた話は、何度も笑った。
森田さんと堀川が一時合流して、皆で笑い合う。
豊田監督と一緒に全国を回っている方にも色々な話を聞いた。
ああ、日本中という言葉にはどれだけの響きがあるのだろう。
森田さんと堀川が大谷映画会の打ち上げに移動してから、別府で有名な別府冷麺の六盛の冷麺をいただく。
六盛の大将も一緒に呑んでいて、居酒屋のキッチンで作ってくれた。
これがものすごく美味しくて、呑みの締めには完璧な食べ物だった。
土地のつまみと、土地の名物と、土地の酒、そして様々な偶然と出会い。
なんという一日だろうか?

ホテルまで歩いた。
部屋に入って、浴衣に着替える。
テレビ番組表は関東とまるで違う。
明日は、上映前、上映後、二回の登壇になったと連絡が来る。
タイミングが良ければ六盛で冷麺以外のものをいただこうと思う。
明日も一日なんだかんだと忙しい一日になるだろう。
気付けば少しだけ眠っていた。
思えば朝早く起きてからずっと寝ていなかった。

今日だけで何人の人と出会って。
今日だけで何人の人と話をしただろう?

それなのに。

明日は最終日なのだ。
たった1日でこんなにたくさんの人と出会ったというのに。
もう最後の日がやってくる。
嬉しそうな堀川が急激に寂しくなるだろうなあ。
忙しくて、予定をたくさん入れて、寂しい気持ちを忘れるようにしているようだよ。

大分に来てよかった。
別府に来てよかった。
凱旋上映ということがどういうことなのかわかった。

おんせん県は。
当たり前のように心の奥底から温かいお湯を沸きだし続けている。
人と人とのぬくもりを描いた映画は。
そんな温かな場所で、上映の最終日を迎える。


堀川果奈大分県凱旋上映
別府ブルーバード劇場
9/20~22 18:30
9/23~26 15:40
当日1800円/前売1300円/リピ1000円
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2019年12月08日

公開75日目

日帰りの強行軍で名古屋に向かう。
雪の予報もあって心配していたけれど通過後に振ってくれたようで安堵する。
日本の道路工事の進化は凄まじくほんの数年でナビにはない道があったりする。
特に近年は高度経済成長期からの過渡期で建て替えたり震災で防振対策をしたり。
あるいは東京五輪に向けてのインフラ整備もあって各地の道路建築が進んでいる。
高速道路が順調でもハイウェイを降りた途端に時間がかかって予定よりも少し遅れて名古屋に到着した。

朝食はパーキングエリアだったから昼食を映画館からそこまで遠くない名古屋飯にしようと話していて。
事前に調べてあった老舗の味噌カツ屋さんを目指した。
ネットの評判なんか結局は人の好みだし実際に口にしないと美味いかなんてわからないけれど。
それでもそんな時に地図と連携して探せることは大きい。
すっかり口の中が味噌カツ丼になって思っていた店に到着すると閉まっていた。
不定休と書かれてはいたけれどまさか後半部の観光地で土曜に休むことがあるなんて思ってもいなかった。
実際、自分たち以外にも何組かやってきては肩を落として帰っていったのだから開ければ満員だったんじゃないだろうか。
その建物が恐らくは戦後からそのまま続いているような建物で。
なんと窓ガラスにはあのパンパン小屋と同じバッテンのテープが貼られていた。
まさか空襲に備えてという事でもないのだろうけれど、ちょっとしびれるような建物だった。
返す返すも、あの店で食べることが出来なかったのが悔しい。

すっかり口の中が味噌カツになっていたので近くでやっている店を検索する。
結局、水族館に併設されていたフードコートが入っている建物のとんかつ屋さんに。
きしめんからドテ煮、味噌カツまで、名古屋飯は全て置いている。
口にすれば赤みその強烈なパンチがやってくる。
あのお店はどんな赤みそだったのかなぁなんて思いながら舌鼓を打った。

江戸時代、お城の周りは武家屋敷が並んでいて、維新後もそういう場所は金持ちの住む場所になった。
前回、名古屋シネマテークでの上映で名古屋城近辺にも行ったけれどやはりそんな風情は残っていた。
名古屋城の周りは、堀之内だとか都内でも見かける地名が多くてそういうものなのだなと思った。
名古屋シネマテークのある今池は名古屋城から距離もあって下町の匂いがした。
下町とは少し違うのかもしれないけれど、やっぱり城下町とは趣が違っていた。
今回の上映される名古屋ベイシティはいわゆる港湾部。
山の手の反対に位置される街になる。
驚いたことに、築地であったり入船であったり品川まであって、やはり都内と同じ地名がいくつもあった。
江戸時代からきっと港湾部には役割を伴った名前がついているのだとわかる。
そして埋め立て地でもあり外国との窓でもある港湾部は近代化が非常に早い。
横浜、神戸、そういう場所の持つ空気感がそのまま名古屋にもあった。
港湾部には南極観測船のふじが展示されていて、その雄大さに息をのんだ。

少し休んでからTOHOシネマズ名古屋ベイシティに向かう。
自分の知っているTOHOシネマズの何倍も大きな場所だった。
メガ映画館。
その建物一棟の全てが映画館だった。
馬鹿でかいデザイン性に溢れた建物に一歩入るとあのキャラメルの匂いが充満している。
こんな大きな場所で上映されるという事がなんだか信じられない気分だった。
無人のチケットカウンターに目をやると、電光掲示板に「セブンガールズ」と書かれていた。
嘘みたいだ。
デジタルで管理されたチケットカウンター。
そこに併設されている電光掲示板。
前回のドリパス上映は常設の映画館じゃないからどっちもなかったしこの匂いもなかった。
たくさんのメジャー作品のポスターが並んでいることもなかった。
シネコンで上映されるとぴりりと伝わってくる。

ご担当してくださった副支配人様に挨拶をする。
本日の導線、流れを確認して、控室を案内していただく。
なんと控室は2つも用意してくださっていて、そのどちらも広かった。
深々としたソファーにはあの臙脂色のひざ掛けも用意してくださっている。
トイレもあるし、非常口の外に灰皿まで用意してくださっていた。
すでに揃っているメンバーを案内すると皆がすごいと口にする。
でもそれだけじゃなかった。
お盆には、あのポップコーンのバケツ。ソルトとキャラメルのハーフ&ハーフが二つ。
それにドリンクまでつけて持ってきてくださった。
本日、アテンドさせていただきます。
そんな声を聞いた時に少しクラクラとした。
すみません。僕のようなものが・・・とつい口から出てしまいそうになった。
そうだ。ここで舞台挨拶をする人たちというのは、皆、そういう人たちなのだ。

どこかで時間をつぶす必要性もない快適な空間で運転手の二人はそのままソファーで眠っていた。
起こさないように抜け出して、煙草を買いがてら隣接のイオンをぶらぶらとした。
小一時間で戻って来たら、まだ二人は座った形のまま眠っていて。
そんな座り心地の良い場所に案内してくれて助かったなぁと思った。
仮眠をとるために休息できる場所も検討していたけれど必要なくなったからだ。

ふとこれまで上映してきたミニシアターでの皆様の顔を思い浮かべる。
人の体温を感じる距離で、それこそ世間話までしてしまうような距離感。
そんなおもてなしのなか、セブンガールズは上映を重ねてきた。
そしてそういう暖かさの中で少しずつセブンガールズは成長させてもらってきたのだとわかる。
大手シネコンの控室は、アテンドでそれこそホテルマンのように丁重に扱ってくださる。
けれど同時に同じ時間、同じ建物の中で、様々な映画も上映している。
例えば芸能人が舞台挨拶をするという事であればSOLDOUT以外は許されない。
もし席が一つでも空いていたら、担当者は真っ青になって宣伝をすることになる。
こういう場所で日々動員数の折れ線グラフを睨みながら映画産業を支えている人もいる。
別世界のように見えるし、それでもやはり繋がっている一つの世界なのだとも思う。
このように歓待を受け、ありがたさを感じながら。
同時に映画産業という世界の厳しさも感じ続けていた。
例えどんなに話題作だったとしても、シネコンは僅かな期間で上映を打ち切ってしまうことだってあるのだ。
出演者の一人がここで何何さんが舞台挨拶をしたからここに座ったかもなんて話しているのを横耳に。
ポップコーンをほおばった。
そして、こういう場所に来れたことの嬉しさと、ミニシアターの暖かさとが体を覆っていった。

舞台挨拶のステージに上がる。
その観客席の広さに一瞬戸惑って、そこに何年も舞台に通ってくださっているお客様の顔を見つける。
瞬間的に胸が熱くなってそれを必死で抑える。
自分はMC役だったし、感情的になってしまいそうだから。
余りにも大きいスクリーンは壁一面に広がって、没入感を高めるために少しRがかかっていた。
映画も進化し続けているのだと改めて思う。
スマートフォンの額縁が狭いように、映画館の額縁も狭くなっていっている。
予定通り進行をしながら、同時に予定外のことも話していく。
監督が最後にマイクを持って締めてくれるのかと思っていたら締めるのも自分だった。
だから、そこからは少しだけ感情的になってしまった。
というか、何も計算しないまま、その時に思ったことを口走った。

こんなTOHOシネマズさんの大スクリーンで上映させていただいたことを誇りにして生きていくのではなく。
何かの形でもう一度、名古屋に帰って来たいと思います。

自分でも何を簡単に言ってるんだと思いながら。
いただいた拍手を聞いて少しだけ震えた。
ここでもまた、これからを話している自分を。
笑われても良いのに、拍手してくれることに。
セブンガールズという夢には、夢の向こう側がある。
それを見ることが出来るか出来ないかは、まともと馬鹿との間にある壁に似たような何かがある。
どちらかと言えば、自分は馬鹿だ。
今も夢の向こう側を探してしまっている。

映画館の外で何人かのお客様と顔を合わせることになった。
お客様が皆様、嬉しそうな顔をしてくださっていた。
名古屋は広い。
港湾部と、繁華街と、下町と、山の手と。
車でも数十分かかる。
今池と港区での上映で出会った皆様だけじゃないのだ。

セブンガールズはそれこそマーベルであるとか、釣りバカ日誌であるとか。
一般の誰もが足を運ぶような映画と同じように。
普通に暮らしている人がふらりと入って楽しめるエンターテイメント作品を目指した。
編集している時はミニシアターで上映していくと決まっていたわけじゃない。
こんな大スクリーンでの上映を想定して編集をしていた。
だから特別アーティスティックな作家性の強い作品ではない。
だから特別メッセージ性の強い社会派の作品でもない。
だから特別映画ファンに向けたB級テイストを込めた作品でもない。
ミニシアターでスマッシュヒットを続ける作品たちとは少しだけ違う方向かもしれない。
特別な売りはない。
だから大スクリーンでの上映は実は本来目指していた道なのかもしれない。
そしてミニシアターでの上映を続けることが出来たのはある意味で奇跡なのかもしれない。
いつか自分が映画館にふらりと入って出会ってきた映画たちのように。
こういう場所でしか出会えないお客様に今日出会うことはできたのだろうか?

帰りの車中、運転する二人には申し訳なかったけれど気付けば眠っていた。
様々な思いが交錯して、これからを思った。
ふとスマホで、12/22の秋葉原のページをみてみた。
気付けば90席もの予約が入っている。
前回を上回るペースだけれど。
前回以上のお客様が来てくださるかどうかはまだわからない。
ましてや年の瀬の大事な日曜日。
それでもきっとここでの成功がまた次に向かう一歩になることは間違いがない。
舞台も直前で出来る事は限られているけれど、何をしたらいいのだろう。
舞台も大成功にしないとという使命感で足がすくむよ。

秋葉原の大スクリーンでまた思うのだろう。
自分が走り続けた4年間を。
そしてそれを通じて知ったことを。
そんなことを思うと、また脳味噌が軋み始めて。
カロリーが急激に消耗される。

楽しい名古屋の一日。
同時に様々な思いが交錯する名古屋の一日になった。

上映成立させてくださって皆様ありがとうございました。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 03:49| Comment(0) | 夢の彼方に | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月23日

公開76日目

去年の今頃、上映機会を増やせないかと悩み続けて。
UPLINK渋谷さんが手を挙げてくださって。
その上映期間が2度もの延長が決まって。
そして、その上映がもうすぐ終わるという事がわかった、そんな頃。
その一年後の今日、セブンガールズがあんなに大きなスクリーンで上映されると思っていただろうか。
気付けばこのBLOGも76日を数えた。
もうすぐ待望の77日を迎える。実に11週の上映になる。

まだ名古屋から2週間しか経過していないという気がしないほどの毎日が続く。
未だに形になるのかどうかもわからない事のために今日は朝一番から動き回っていた。
今にも泣き出しそうな空を見上げながら、持ってくれ、もう少しだけ待ってくれ。
そう呟いていた。
始めは一人で全てと思っていたけれど、それは余りにも苛酷だと気付き手伝ってもらった。
その手伝ってもらった途中で一度、秋葉原UDXシアターに挨拶に行って。
再び合流して、もう一度映画館の外に出る頃には多くのお客様とすれ違った。
映画を観る前に顔を見せてしまって、なんだか申し訳ない気分になった。
自分でも自分が今、何をしているのか一瞬分からなくなった。
これから上映が始まるというのに。

この2週間、なぜ自分は映画化をする作品に「セブンガールズ」を選んだのだろう?と考え直していた。
なんだか色々なこと、色々な作業に追われながらだからあくまでもぼんやりと。
劇団の代表作はいくつかの作品があるはずで。
再演を4度も上演したのはセブンガールズだけだけど、最初に再演した作品は別の作品だったはずだ。
もちろん、とてもじゃないけれど映画化なんかしようと思えばとんでもない予算が必要な作品もある。
現実的にバラック小屋というまさに手作りだった街であればと思った部分があったのだけれど。
それにしても一番自分たちらしく自分たちの劇団らしい作品だったのかと聞かれたら判断が難しい作品でもあって。
多くの作品の物語の構造とは違う作品だし、特に劇団の公演が近づいてウェイトがかかるほどに。
劇団は劇団でいつも通りに、映画は映画でそのままという道に進めるだろうか?と思い悩んでみたり。
大きな覚悟が必要になってくるんだなぁなんて考えてみたり。
自分が言い出したのだから。
映画化を言い出したのも。この作品を映画にしようと言い出したのも。

この2019年を通じて次の舞台がいかに恐ろしいか。
どう説明していいのかわからないけれど。
映画という編集された世界での自分の演じた芝居を知った皆様が。
もし舞台の自分にがっかりしてしまったら。
今までずっと舞台を応援してくださった皆様が。
もし映画に専念した結果として観た時に成長を感じてもらえなかったら。
自分はそんな気分に襲われるたびに、眩暈がする。
応援してくださるアングルからの「良かったよ」ではいけない。
応援してくださっている皆様が言葉を失うような舞台でなければ自分にとっては成功じゃないから。
ただ良かったよと言われるような舞台はただのファンサービスに過ぎない。
そんなスタンスで生きることは自分は出来ない。
自分の中に自分はこんな風ではいけない、こうあるべきだという確固としたものがあって。
そことのギャップに今にも震えそうになる。
だから逃げ出したくなるけれど、そこは自分の矜持だ。
ここだけは譲らないという場所を持っていなければ、役者なんかやってはいけない。

TOHOシネマズのご担当さんは前回の秋葉原を覚えていてくださっていて。
交通の遅れのお客様を待ってからの上映をしてくださっただけではなく。
前回同様、舞台挨拶を最後列から見てご意見まで下さった。
ドリパスで名古屋で上映出来たことも喜んでくださっていて。
どんどん他の地区でもやりたいと要望を出した方が良いよなんて言ってくださった。
要望なんて出せるのだろうか?
その方法すらわからないけれど、やはりリクエストしてくださる方がということなのだろうか。
わからないけれど、この作品をもっと広く上映しなよと言ってくださっているような気がして。
なんだか不思議なぐらい心が暖まった。
そう言いつつ、三度目がもしあったら、ひ、、、日比谷のTOHOさんで・・・とは言えないのだけれど。
ガールズを有楽町に立たせたいなんて言えないよなぁ。
秋葉原での上映だってありがたいのだから。

今日も初めてセブンガールズを観てくださったお客様がたくさんいらっしゃった。
そんな日が来たのも全て応援してくださる皆様のおかげで。
ああ、きっとまだまだ本当はセブンガールズを知らないままで、そんな機会がないままの方がいる。
そんなことまで同時に思って。
大きな感動と同時に、自分の力の足りなさばかり思ってしまうのも本当だったりする。

ロビーでお客様のお見送りをする。
初めてのお客様、何度も足を運んでくださったお客様。
今回少しだけいつもと違ったことがあるとすれば。
クラウドファンディングのリターンを、大分の上映が終わって、この日までにと郵送したということ。
それが届いたよというお客様も来てくださっていて。
それを喜んでくださった皆様も目の前にいたという事。
ああ、ああ、最前列に何人もいたなぁ。
舞台再演の頃のTシャツを着て、鑑賞してくださったお客様もいて。
初めてのお客様から、長い歴史のあるお客様で、多層的になっていることがすごいなぁって思う。
全てのお客様に自分が出来ることがあるのだろうか?

電車に飛び乗ると、足がジンジンしはじめた。
朝10時前からあちこち歩き回って、途中、ばったりと足が止まってしまったけれど。
それにしても結局、再開して登壇前まで千代田区を歩き回った。
足がむくんで踵が痛くなっていた。
電車でSNSを開くとたくさんのお客様のコメントが溢れている。

ぶわっと2019年という1年が蘇ってきた。
名古屋シネマテークに始まって、下北沢の2週間。
なんとも言えぬもう終わってしまうという思いと共に通った横浜。
秋葉原の復活上映、大分別府での温かい交流の数々。
初のシネコンだった名古屋。
そして2019年の終わりにもう一度秋葉原。

メールを開けばたくさん溜まっている。
そうかぁと思いつつ、開き、返信をする間もない。
今は、とにかくやることを片付けないといけない。
この恐怖と震えに対峙しながら。
明るい光が見えるその時まで。

メリークリスマス。
良いお年を。

大きな声で皆様に届けた。
和洋折衷しっちゃかめっちゃかだ。
1月にまたお会いしましょうなんて言わない。
ここは映画館だから。

さて。
作業に戻るとしよう。
今はたくさんの愛情をチャージしたのだから。
この元気をそのままパワーにしなくちゃもったいないもんね。

ありがとう2019年。

さあ2020年の幕開けだ。

期待してもらえる自分になれていたら。
どうかどうか少しだけでも。
期待してあげてください。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 02:35| Comment(0) | 夢の彼方に | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月08日

僕達はいつだって奇跡を待っている。

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緊急事態宣言に伴い多くの映画館が休館になった。
宣言された一都六県から映画館がなくなった。

4月11日に予定されていた秋葉原UDXシアターでの映画「セブンガールズ」ドリパス復活上映も中止となった。

新型コロナウイルスの蔓延という状況下、僕はこの映画の復活上映の宣伝をしなかった。
それは皆様に愛され、投票によるランキング入りという性格上、
遠方から来てくださる可能性もあり、お客様に少しでも危険があるなら避けたいと思っていたからだ。
いつもならば来て欲しいと大きく宣伝を重ねているのに。
ただただ毎日を過ごすことしか出来なかった。
楽しみにしていてくださった皆様には頭を下げる事しか出来ない。

映画「セブンガールズ」はそれ自体が奇跡だと思っている。
全国的には無名の俳優、無名の監督。
劇団の代表作を自分たちで映画化したインディーズムービー。
そんな映画が、1館一週間の上映のみの予定が全国10館以上に広がり、
TOHOシネマズ主催のドリパスで、インディーズムービーとしては異例の3度ものランキング入り。
今も多くの皆様に復活上映を望まれている。
幸せこの上ない作品だと思う。

そんな作品が世に出たのは、ミニシアターという文化があったからこそだ。
大手のシネコンしかない世界であったらきっとこの映画が世に出ることはなかった。
そして上映していただいた各映画館さんはどこも暖かくて、素晴らしい映画館ばかりだった。

今、そのミニシアターが苦しんでいる。
新型コロナウイルスの蔓延が始まってからの自粛ムードで、映画館の観客動員は9割も落ちたという。
その上、今回の緊急事態宣言での休館。
現時点では政府からの補償については詳細が発表されない状況。
このままでは全国のミニシアターが閉館の危機になるという。
映画文化を絶やしてはいけないと、#SaveTheCinemaという運動も始まった。
他にも多くの活動があって、入江悠監督や映画媒体がまとめてくださっている。

savethecinema_logo.jpg

映画「セブンガールズ」を世に出してくれたミニシアターという文化に何か恩返しをしたいと思っている。
署名だけではなくて、もっと僕たちだけに出来る事を。
元々、クラウドファンディングで多くの皆様の支援で始まったこの映画だからこそ。
今度は映画から支援を出来るんじゃないかと思う。
いや、しなくてはいけないんじゃないかと考えている。

僕は、セブンガールズ映画化実行委員会の実行委員長として今日、企画書をまとめた。
そしてこれまで上映してくださった映画館様、わかる範囲の全国のミニシアター様にメールを送った。
大して大きな力になれるかはわからないけれど、少しでも恩返しになればと思っているのだけれど。
もしかしたらメールの返信などほとんど来ないかもしれない。
それでもいいと思っている。
とにかく、今、出来る事を一つずつやっていくことだ。

今の状況を戦時下に例える人がいる。
僕は戦時下だとは思わない。
まったく冗談としても笑えない。
そもそも戦時下を知っている世代なんてほとんどいないじゃないか。
明らかに現代は平和の時代であり、ウイルスと戦うわけではない。

「皆で支え合って生きていく」

映画「セブンガールズ」のテーマだ。
奇しくも、風邪が恐怖となる場面まで描かれている映画だ。

僕達は戦うべきじゃない。
「生きていく」べきだと思う。
いや、生きる事こそ戦いで、戦争なんかじゃないということだ。
今、どうやって生きていくかを問われているのだと思う。
そして生きていくには、映画や音楽や演劇は必要なもので。
生きていくには、夢や未来や希望や光が絶対に必要なのだと改めて考えている。

僕にできる最大の事。
連絡が出来ていないミニシアター様もあるけれど。
全国に届きますように。

あの女たちの歌声が今こそ必要なのだと固く信じております。
「戦争が終わってから、女たちは戦った」というキャッチコピーのように。
「この蔓延が終わってから、セブンガールズは戦う」そう思っています。

応援してくださった皆様に。
またスクリーンで出会えることを願っております。
皆様に甘えることなく、僕の出来る事をやっていきます。

それは未来へと繋がる道です。

セブンガールズ映画化実行委員会
実行委員長 兼 成瀬凛太朗役
小野寺隆一
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 03:12| Comment(0) | 夢の彼方に | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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