夢を自分の現実にすることは、そんなに難しい事じゃない。
そこにただ飛び込めばいい。
夢の世界だった場所もあっという間に現実の世界になる。
いいからやってみな!ってことだ。
ただシンプルに現実にするのは簡単でも、現実というのは容赦がないという事だ。
それがどんな世界であっても。
連日、上映期間終了後だから、上映前にはあまり観て欲しくなかったメイキング映像を公開している。
あのパンパン小屋を自分たちで本当に作っていた映像は、話や写真の何倍ものリアリティがあった。
自分たちでセット設営から何から全てやったことを、プロモーションに活用した。
けれど、ほんとうのことを言えば、恐らくは映像関係者や世界にとっては、宣伝になることじゃない。
作品で勝負しろよ!って言われるという意味ではない。
それは当然するのだから。
そうじゃなくて、役者が何もかもやるというのは、本来はあってはいけないことだからだ。
自主制作だけではなく、ローバジェットの映画の世界で問題になっていることがある。
それは低予算で切り詰めた結果、それが現場スタッフのギャランティ問題にまで波及していることだ。
中には公開後に支払うと約束して未払いになっているようなケースだってあるという。
かつての映画黄金期は大きな映画会社があって、その中に大道具部や、衣装部があったわけで。
それが今は外注になり、多くの撮影スタッフたちが独立して自分たちで仕事をしている。
当然、低予算映画を製作して、あの予算でクオリティの高い仕事をしたと噂になれば仕事が増える。
増えるけれどそれは同時に、仕事的には無理が出るという事になる。
低いギャランティでスタッフを集められるのが名プロデューサーと呼ばれてしまいかねない。
本来なら、大きな予算を用意できる人が言われていたというのに。
とは言え、ローバジェットの映画が、邦画のある一部分を支えていることは現実で。
そして、そういう仕事の数が多くなければ、仕事として回らないスタッフさんも数多く存在するはずで。
毎日ある仕事じゃないし、機材費などまで考えればリスクが高くなってきている。
現実に挑むとはつまりそういうことなのだと思う。
自分たちでやるというのはある意味で最終的なやり方であり。
例えば世の中の役者たちはそんなことをしてくれるなよと思うはずなのだ。
或いは美術スタッフからすれば、役者がインパクトドライバーまで駆使するというのは困ったことかもしれない。
若いスタッフが育つ現場を奪いかねないという側面だってあるのだから。
自分たちにとって夢の世界だった映画の世界にも、その業界が持つ問題や、現実が山のようにあったという事だ。
特に役者たちは厳しい場所に立っている。
最近、SNSでよく見かける「ボランティアエキストラ」なんて言葉も昔はなかった。
映画に大勢の人を出すのであれば当然エキストラが必要になるけれど、低価格ながら昔は支払われていた。
現在は、主演の俳優次第でボランティアエキストラが集まる人数が変わるなんて言われたり。
そもそもこの「ボランティア」という言葉を使用しているのは余りにも都合がいいのではないかとも思う。
エキストラに公共性も、自立性もなく、ただ奉仕活動という側面だけなのだから。
だからと言って、エキストラをお金を出して集める予算も取れないというジレンマもある。
大きな予算の映画でもボランティアを集めているとしたら大問題だけれど。
(一度たまたま見かけた撮影でボランティアエキストラに怒鳴っている助監督らしき人がいて蹴ってやろうかと思った)
いやエキストラだけではなく、役者の出演料は判断が難しいのかもしれない。
売れていない役者であれば、経験したい、経歴に加えたい、現場に行きたい、修行したいという側面もある。
役者はオファーされるぐらいになるまでは、ギャランティのことなど口にも出せない雰囲気がある。
そして現実にお金の問題を越えたところに学ぶべきことがたくさんあるのだから困ったものでもある。
どこか丁稚的感覚が、役者や撮影スタッフなどの職人の世界には残っている。
自主映画でスタッフさんにお礼を支払っても、役者にはギャラがありませんと記載されているものもまだ多いのだ。
そもそも自分も役者として。
この人が声をかけてくれたら地の果てでも手伝いに行くというような人だっているのだ。
セブンガールズでお世話になった人たちから声をかけられたら、自分は、いく肌だって脱ぐ。
昔からある友情出演というのは、役者として生きていけば必ずあるはずだ。
それは恩義だから。
映画化するよと皆に伝えた時に。
夢がかなった!と喜んでいるその横顔をみて。
そうじゃないんだ、これから大変なんだと思ったのは。
皆に色々なお願いをしなくてはいけないからだ。
セットを創るだけじゃない。
その材料集め、ロケ地探し、撮影準備にありとあらゆること、そして宣伝。
それまでもずっと劇団でそういうことをやってきたけれどさ。
映画なんて初めてなんだし、皆は役者をやりたいのだから。
え、それも自分たちでやるの?
え、そのへんは誰かがやってくれるんじゃないの?
きっと皆、何度もそんなことを思ったんじゃないだろうか。
公開中の宣伝活動まで含めて。
でも、現実はそうじゃないのだ。
全部1から10まで自分が背負ってやるわい!と意気込んでいたけれど。
とてもじゃないけれど、自分一人で出来る分量ではなかった。
「セブンガールズ映画化実行委員会」とは、役者たちに最低なお願いをしていたのだ。
そのぐらい当たり前だろ!と思う古い体質の自分も確かに存在している。
自分は10代後半からとにかく色々な舞台を手伝って色々なことを学んだ時期があって。
その頃はもうただ同然でこき使われることなんかなんとも思わない、そういう時代だった。
むしろ勉強させてもらっているんだと思っていたり、酒をおごってもらえるなんて思っていた。
そういう時代をくぐりぬけてきた自分から見れば、自分で自分のことをやるのなんか当然のことだ。
それに自分たちでやればやるほどプラスになる部分があることも知っていた。
手作りであることは愛着を生み、愛着はそのまま作品に映ると最初から思っていた。
そしてそれは小劇場の世界にも当てはまることでもある。
「夢」である映画出演の世界だって。
小劇場と現実はそれほど大きな違いがないと知ることにもなってしまう。
自分の意志で始めたことだ。
皆を巻き込んでしまうとも考えたけれど。
皆も自分の意志で参加してくれた。
そしてあまりスタッフワークに抵抗があるなら無理しないでと伝えるしかなかった。
それでもほとんどの皆が無理をしていて。
そんな皆を守らなきゃいけないと何度も何度も思った。
傷つけちゃいけないと、何度も何度も思った。
劇団員ではないオーディションで集まった3人には、ちゃんと役者として現場に迎え入れてもらえたと思って欲しかった。
だから手伝おうとすれば何もしないでいいよと伝えて、休憩時間も用意して細心の注意を払ったつもりだ。
自分も役者だからどうしても実行委員長としての自分とは別の顔が出てきて友人のように話してしまう時間帯もあったけれど。
セブンガールズの現場ではちゃんと役者として迎え入れてくれたと思って帰って欲しかった。
でも、ほんとうのほんとうは、それを全員に感じてもらいたかった。劇団員も含めて。
映画製作するという事の現実はこうなのだ。実際に。
現場からは無茶を言われて、足りない予算でなんとか回して、身を削る。
そういう人がどんな現場にも必ず存在しているはずだ。
そうしないと出来ないことがたくさんあるのだから。
自主制作で上映まで辿り着いた多くの作品は、大抵は映画監督自身が自分の身を斬り刻んでる。
見返りをもしも求めたら、精神が崩壊するぐらいまで。
自分は皆がやってくれるから、何度も何度も甘えてしまった。
いや、その逆もある。
甘えてはいけないからと自分が必死になることが、皆にとってプレッシャーになってしまったかもしれない。
小野寺があそこまでやってるんだから・・・なんて理由で動いてくれた人もきっといるのだ。
情熱と思いと信頼と友情と。
その全ては映画が完成されて公開されるかわからない時からずっと続いていた。
皆に申し訳なくて、稽古場に行きたくなくなった日が何回あっただろう。
皆にハッピーをプレゼント出来なかったとしたら、自分はどんなやつになってしまうのだろう。
やるせない夜は、ただぼんやりと抜け殻のようになってた。
しょうがないのだ。それが現実なのだから。
時代劇を低予算でやるのであれば、そうなるのだ。
そう言い聞かせたところで。
頭の中と心の中はいつだって同調してくれない。
でもね。
小野寺個人ではない。
皆で「セブンガールズ映画化実行委員会」なのです。
どんなに自分が思ったところで、そうなのです。
ただ、自分はそこに甘えてしまってはいけないと考え続けているだけなのです。
「夢」は「現実」になった。
こんなことが起きるのかよという奇跡のような映画になったと今でも思っている。
これは皆の自己犠牲で出来た映画であるという側面は忘れてはいけない。
そして小劇場という現実の世界で芝居を続けてきた皆が舞台でみつけたように。
映画が公開されたとき、どんな風景が待っていたのか。
「現実」を受け入れた結果、そこに何が広がっているのか。
それを知ることになる。
「現実」が再び「夢」になる。
映画「セブンガールズ」
公式サイト:http://sevengirls.info/
上映期間終了 皆様ご来場ありがとうございました。
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