2019年06月15日

最初で最後の涙

クラウドファンディングで支援してくださった皆様に直接お礼を伝えたいから。
業務試写では舞台挨拶もせず受付に一人立った。
リターンの招待状を持って来場してくださった方がたくさんいらっしゃって。
皆様に言われたことがあった。
「BLOG読んでますよ!がんばったね!」
次から次に同じ言葉をかけていただいていて。
BLOG開設から実に1年半以上、毎日書き続けていて。
そりゃアクセス解析はあったって読んでもらっているのかもわからなかったから。
なんというか、もう恥ずかしいやら嬉しいやらで、ドキドキしたことを覚えている。

あなたのBLOGを朝読むのが習慣になってる。
そんな一言を聞いてどれだけ嬉しかったか。
正直に映画製作について、落ち込んだ日も、うまくいかなかった日も書き続けて。
そういう苦楽を共にしてくださっていたのだと思うと、本当に共に歩んだのだと改めて思った。
あの時に感じた思いがあるから、最終章も長くなっているのかもしれない。
振り返りながら、このBLOGはいよいよ公開日に迫ってきた。
どんどん寂しくなる。

3日。

映画「セブンガールズ」公開に当たって、前売券完売となった日数だ。
初日は発売開始直後にあっという間になくなって、週末がそれに続いて。
平日のみになってからも順調に予約が続いて完売になった。
クラウドファンディングをしてくださった方々の人数をはるかに超える売れ行きだった。
余りの順調は売れ行きに、映画館も配給さんも驚いて、お礼を伝えてくださった。

たったの1週間しか上映は決まっていなかった。
その1週間で、その後の上映が決まるといいなぁぐらいだったはずだ。
それが上映期間中に翌週のUPLINK渋谷での上映まで決定した。
自分たちは翌週に舞台公演も控えていて、そんなニュースに驚きしかなかった。
毎日舞台稽古をして、稽古場から舞台挨拶に何人かが向かった。

セブンガールズは順調な船出をした。

映画の売上は半分が映画館の収入で、半分が製作の収入だ。
配給会社の手数料はもちろん製作の収入の中から支払われる。
日本にはかつてものすごい数の映画館があったけれど、どんどん数が減っている。
興行収入が上がらなければ、映画館は経営が成り立たなくなっていく。
だから観客動員数、或いは動員力というのは映画の持つ重要なファクターになる。
もちろんそれが絶対ではない。
映画館にはそれぞれ特色があり、編成の方針がある。
顧客層の違いだってある。
セブンガールズという作品を気に入ったからという理由だけでかけてくれることだってあり得る。
逆に、動員力があるから上映しておこうという映画館だってあるだろう。
それでも重要なことに変わりはない。

だから拘っていた。
K'sシネマでの1週間を満員のまま終わりたいと願っていた。
まさか前売りが完売して、上映中に翌週の渋谷上映が決まるなんて素早い展開は予想も出来なかったけれど。

初日の舞台挨拶。
もう誰もスタッフをやらないで良い日だった。
お客様の対応は映画館の仕事だからだ。
その日初めて自分も、そして試写会で働いてくれたみんなも舞台挨拶をすることになった。
自分はマイクを握り、MCをした。
皆や監督から一言ずつもらっていった。
お客様は舞台挨拶も楽しんでくれてるかな?テンポは平気かな?
そんなことばかり考えていたら、プロデューサーが客席後方からやってきて締めてくださいと伝えてきた。

マイクを握ってセブンガールズを公開出来たお礼を言おうと思った。

なんだろうねぇ。
あの瞬間の感じは。
目の前にいるお客様たち全員が共にセブンガールズを公開まで進めてくださった仲間たちだった。
その皆様が自分を観ていて。
感謝の言葉を言いたいのに、それが言葉にならなくて。
あとからあとから、涙ばかり零れてきた。

自分の目的は公開じゃないんだよ。
この映画をこれから一人でも多くの皆様に届ける事なんだよ。
それを伝えたいのに。
言葉が出てこない。
感情が自分を支配していて、どうにも出来なかった。

毎回舞台挨拶のたびに同じように感極まることはあっても。
感情に支配されたのは後にも先にも、公開初日のあの時だけだ。
みっともなかったなぁ。
ちゃんとお礼が言いたかったなぁ。

ロビーで初めてのお見送りもした。
本当に信じられないほどの数のパンフレットが売れた。
文字通り飛ぶようにパンフレットが売れていった。
たくさんの皆様に声をかけられた。
そして、その日もそうだった。

「BLOG読んでるからね!がんばってよ!」
何人に言われたんだろう?
みっともない泣き顔を見せた日は特に言われたよ。
もう二度と泣かないんだと決めたよ。
く、クールに決めさせてください、お願い。

でもね。
もう泣かないけどね。
あの時の感動がそれからずっとずっと続くことになる。
お客様の顔を見るたびに、感動をいただくことになる。
上映終了とアナウンスしても、毎日のように声が届く今もだ。

その日から自分は個人的に反省を繰り返すことになる。
公開直後の喧騒の中で。
何か足りないものがあるかもしれないと探し始めることになる。

それは渋谷と大阪以外に上映館が決まっていなかったからだ。
そこで終わるわけにはいかない。
プロモーションについてもう一度考えなくちゃいけない。
こんなに大きな感動と、こんなに優しい応援を頂いたのだ、セブンガールズは!

自分が頑張らないでどうする。
涙は全て拭いて、下唇を強く噛み締めた。


映画「セブンガールズ」
公式サイト:http://sevengirls.info/
上映期間終了 皆様ご来場ありがとうございました。

■SNS

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■Twitter連動企画:下記の赤文字2行を貼り付けて140文字以内でセブンガールズをご紹介ください
 PVと公式アカウントのリンクが付いた紹介文がTweet出来ます!
#セブンガールズ紹介してみた
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2019年06月16日

徐々に広がる映画を目指して

ようやくゆっくり出来ますねなんて言われることがあるけれど。
そりゃ、一番忙しかったころに比べたらの話であって。
ゆっくりなんか出来ない。
クラウドファンディングの最後のリターンのための準備を地道に進めています。

なんとなくお察しかと思うのでありますが・・・
メイキング映像の本格的な編集に入っていて。
なんとなくで進めていけるかとも思ったけれど。
結局メイキング用に撮影しておいた映像を全編確認する。
数時間・・・長かった。
これを編集して、35分前後に出来たらなぁと思うけれど。
使えない映像も多く、なんの説明もないまま流していいのか。
追加撮影は必要なのか、検討が必要だと思う。
まぁ、多分、編集してから、誰かに音声で解説を録音してもらう方が良いのかな?
それもどんどん組み立てていかないとだ。
明日は稽古がない珍しい日曜日、どこまで追い込めるかだ。
常に何かと何かが同時進行で進んでる。
それは今もだ。

セブンガールズが公開まで行って、連日新宿で満席を記録し続けて。
そのまま大阪、渋谷の上映が決定した。
渋谷の上映はそのまま舞台公演とスケジュールが重なった。
劇団前方公演墳旗揚げ20周年記念公演「BEGINS of Sevengirls」
映画「セブンガールズ」の前日譚となる終戦後にあの歌が生まれた物語だった。

小屋入りして、舞台を演じて、そのまま映画館に誰かが言って舞台挨拶をする。
そういう日々が続いた。
新宿での上映が1日台風で上映中止になったこともありもっと動員できるかもしれないと思っていたけれど。
前週に急な決定で宣伝不足だったこと、23時すぎに終わるレイトショーだったこと。
もろもろの条件が重なったこともあって、満席というわけにはいかなかった。
それでも、K'sで満席で観れなかったからというお客様が足を運んでくださって。
幸せな出会いが続いた一週間だった。

舞台が終わって大阪での上映が始まった。
自分は最終日に一人で登壇するという予定で行ける人だけで組むつもりだった。
結果的に平日も含めて全日程、登壇イベントをすることが出来た。
大阪十三シアターセブンでの上映では気付かされることがあった。
映画館がイベントのレポを連日出してくださったことだ。
動画や、写真で、連日レポートをしてくださった。
それが思いのほか、関東のお客様を含めて皆が楽しんでいて。
同時に、これまでの自分たちが持つ宣伝の拡散力とは違うものを感じた。
特に初日の登壇イベントで出演者がダンスをした動画に関しては拡散していた。
ああ、こういうことをちゃんと考えてやっていかないといけないとその日に思った。
たったそれだけで興味を持ってくださる方が、一人だけでもいるかもしれないのだから。
当日のイベントの告知しかしてこなかった自分を悔いた。
経験して、学んで、生かさなければ、自分たちのようなものは素手のようなものなのだから。

最終日に大阪に行き、立ち寄りたい箇所を回ってから早めに映画館に行く。
そして担当者さんと話をさせていただいた。
連日のイベントについてどうだったか。盛り上がった日はどんな日か。何か問題はなかったか。
どんなことを話したか、どんな様子だったのか。
もちろん大きな問題があれば、その前に耳にしているだろうけれど。
そういうことじゃなくて、些細なことでもいいから確認しておきたかった。
その時点で次の上映館が決まっていなかった。
だからその時点での全ての最終日だったはずだ。
にもかかわらず、それをリサーチしたのは、ここから先に上映が決まった場合、そこが大事になると思ったからだ。
あくまでもお客様視点で、映画を鑑賞した後に何をするべきか。
一旦、上映が終了する中で、再検討したい課題だった。

それからが苦しい日々だった。
あっという間過ぎた。
自分は引き続き、様々な形で上映に向けて勉強したり検討を続けていたけれど。
それでも決まらないというのはやっぱりただただヤキモキが続いた。
それでも、もし次に上映が決定したらということは頭から消さないようにした。
そして、宣伝について、もう一度考えるようにした。
やはりそもそもの知名度が足りていないという反省点が大きかった。

それはそうだ。
役者は全員無名で、監督は漫画原作をしたことがあるとか関係なく初長編監督作品。
そもそも国内の映画祭などにはどこにもエントリーすらしていない。
最初の上映は劇団ファンが応援してくださっても、その次からはそのチャンスもなくなる。
まず少なくてもインディーズムービーと呼ばれる世界の中での知名度を少しでも上げなくてはいけない。
友人、知人の範囲で広がっても、そこに届くには何人も間に介さなければいけない。

もう一度、1から各メディアに連絡をした。
有償でのプロモーション記事をお願いすることは出来ないのだから、記事になるような内容を準備しなくちゃいけない。
そりゃバズるようなエキセントリックなことや何かをすることも、頭をよぎった。
でもそういうことをするのは違うぞと思った。
話題性は大事だけれど、必ずそういう仕掛けはあとで別の形で返ってくる。
監督の作品で、そんなことを無責任に出来るわけがない。
気分は目に映らないのだ。
何かエキセントリックな仕掛けをすれば、きっとフォロワーやいいね!が増えるという目に見える変化がある。
けれど、そっぽを向かれてしまったり、なんとなく避けられたり、そういう気分や気配はまったく目に映らない。
支持してくれる人だけを見ていたら、それはもうプロモーションではない。
当時メジャー配給の映画の一つがそういう宣伝をしていて、特に強く自分で決めたことだ。
その宣伝活動をみて、なんとなく厭になった自分がいたからだ。
無名な映画だたらこそ、まっとうに地道に、丁寧に伝えていくことだと信じた。

そんな地道な一歩一歩の最中だった。
UPLINK渋谷でのアンコール上映が決定したのは。
ものすごく嬉しかったけれど。
上映できる喜びだけではいけないと自制する自分が確実にいた。
公開した時の自分から成長している。
上映期間は1週間。
それが終わればまた上映が決まらない日々が始まる。
だからその次の映画館が決定するまで延長してもらえるには?というのを徹底的に考えた。
一週で終わったら全部自分が悪いのだと言い聞かせて、宣伝を開始した。

良いニュースは重なっていった。
ネットメディアで記事を書いてくださることが決まった。
直接のお願いがやっと届いた。
Yahoo!ニュースにも転載されると聞いて、テンションが上がったけれど。
載せてもらう役者の中から自分の名前は消した。
役者としてYahoo!ニュースに掲載されるなんて今までの自分の人生では考えられないことだけど。
メディアと連絡していた自分が掲載されてしまったら、それはもう宣伝ではない。
自己顕示欲が出てきそうになるたびに自分の頭を叩いた。
作品を監督をあの女たちを、一つでも前に押し出していく。
そして、より広がるようにしなくちゃいけない。
きっとUPLINK渋谷の上映がこれからの鍵になる。
そう信じた。

映像での再上映速報、渋谷近辺での宣伝、もう一度1から宣伝をしながら。
大反対覚悟で、渋谷での上映に向けて計画を練っていった。
通常の映画は公開週にお客様が来てそこから徐々に動員が落ちていく。

セブンガールズはその反対を行く。
上映を繰り返すたびにファンが増えて、口コミが広がっていく。
そういう作品にならないといけないと心に決めていた。


映画「セブンガールズ」
公式サイト:http://sevengirls.info/
上映期間終了 皆様ご来場ありがとうございました。

■SNS

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2019年06月17日

愛されるパン屋

自分はセブンガールズの公開の頃、映画の宣伝について勉強をした。
とにかく公開に向けて、興味を持つようなそんなことを色々と仕掛けていく。
どこの層に届けるのかきちんと決めて、そこに正面から向かう。
メディアを使用したり、話題性を自分から創っていったり。
そのために必要なリリースはどんな文面で、どんな資料が必要なのかまで。
徹底的に調べて、色々な方面に連絡して、そして結局は玉砕することばかりだった。

それはそれで間違いだったとは思っていない。
それを知っておくこと、それをすることは大事なことだ。
ただ商業に乗っている映画と、そもそも根本的にセブンガールズは違うのだとつくづく思った。
勉強して理解したことを実行したところで、大きな映画の話題性には太刀打ちがつかない。
キャスト発表第二弾!がニュースになり、有償でのSNS配信の予告編は数十万再生される。
それはやり続けるけれど、そこに固執していたら、このまま上映が終わると危機感があった。

だとしたらもうその向こう側にあるのはたった一つだった。
勉強したこと以上に自分の中にあるもの、元々よく知っているもの。
劇団運営をしてきて、バンドもやってきて、今日まで蓄積された自分たちの持っているもの。
それをもう前面に出していくしかないんじゃないのかなぁと思っていた。

小さな劇団や、バンドが出来ることはたった一つ。
「感謝」しかない。

なんだそれ?と思われるかもしれない。
大きな映画だって、感謝を大切にしているはずだ。
けれど、その距離感の違い。
目の前のお客様に何か持って帰って欲しい、楽しんで欲しい。
そうやって続けてきた自分の経験値から来る「感謝」はもっとずっと壁が薄い。
ある意味ではSNSが発展していて、距離感が変わってきたという追い風もある。
自分たちが出来るのはもう「感謝」以外にないじゃないかと思っていた。

でももちろんただ感謝したところで、それは伝わるものじゃない。
伝わるかもしれないけれど、わかりづらいし、そこから先がない。
じゃあ、どうやって感謝すればいいのかな?というのが自分の最初の考え方だった。

「映画の中の1シーンを衣装を着て生で再現する」

これを伝えた時、正直、反対意見も多かった。
プロデューサーからは衣装だけでもいい気がしますとアドバイスがあった。
監督は映画のクオリティに及ばないならマイナスにならないか?と言われた。
実際にお願いする役者にも、あの時の自分になるのは無理だとかなり言われた。
正直に言えば、全部、そう言われるんだろうなぁと最初から思ってたことばかりだった。
普通に登壇して、普通に話をすればいいじゃないかというのが念頭にあるのだから。

でも自分の中では追い込んでいた。
UPLINK渋谷アンコール上映、決まっているのは1週間のみ。
自分たちの持っているものは「感謝」のみ。
その「感謝」を形として目に見える形に出来なければ、1週間で終わるだろうと確信していた。
最終的に、監督にはどうしても再現がダメなら自分は延長できると言い切れない、やれば延長できる!と言い切った。
それでもやめろというなら、自分はもう何も考えないですしなんか別の事考えてくださいと伝えた。
なぜならその時点で自分以上にどうやって延長していくかイメージして考え尽くしている人はいないと思ってたからだ。
そして1週間しか決まっていなかったけれど、絶対に延長できるとそこに至る過程で自信を持っていた。
少なくても映画館の年末イベントが始まるまでは。

当然、皆、お客様に感謝していた。
でもそれだけじゃ、何かが足りなかった。
それを形にしたら。
きっと、それに応えてくださるお客様が現れる。
何か一つプレゼントをすれば。
それをきっと受け取ってくださるお客様がいるはずだ。
感謝を形にして、それを受け取ってくださる方がいて、それが伝わっていく。
まるで大手の映画に出来るわけがない宣伝の形。
自分たちが舞台で、バンドで、やり続けてきた当たり前のお客様とのやりとり。

その予想が確信に変わったから、いくつもの反対意見を押し切って決めた。
そういう強引なことをすれば自分の信頼が薄くなるし、嫌がられるかもしれなかったけれど。
そんなことよりも上映期間を1日でも長く続けられる方が自分にも皆にも大事なんだと信じていた。
自分が嫌われる分には別になんの問題もない。
自分はそういう覚悟をした時に、臆するような人間ではありたくない。

危ない橋だと思う。
いくら考え尽くしたところで、映画館側の都合で上映が終わることだってあるのだから。
本当に自分のイメージ通りに行くかどうかなんてわからない事ばかりなのだから。

そうやって初日を迎えて。
映画の1シーンの再現を衣装を着て演じた。
舞台俳優だからお客様に芝居を届けることをずっとやってきた。
形になった。
これが伝われば、これを受け取ってくださる方がいれば。
間違いなく他のどんな映画の宣伝よりも強い強いメッセージになると信じていた。

その日の夜。
舞台挨拶で演じた再現シーンが、SNSに動画でアップされた。
目の前で役者さんが生で芝居をしてくれた!と書かれていた。
もちろん、大きな話題になんかならないけれど。
セブンガールズという映画の元々持っているあたたかさが「感謝」という形で世に出たと思った。

実際にそれを観て足を運んでくださった方がどれぐらいいるのかはわからない。
けれど、そこに暖かい雰囲気を感じてくださった方は間違いなくたくさんいらっしゃった。
見てくれ!という強いメッセージではなく、観に来てくださった方に感謝するというメッセージ。
自分たちに残された、最後の宣伝できるポイントだった。

初日のお客様からの一言一言で。
監督の考え方も変わった。
自分からあのシーンが良いんじゃないか?と提案までするようになった。
監督も、舞台挨拶でありながら、お客様と演者の距離感がぐっと近寄ったことを感じたのだと思う。
再現に音楽をかけたい、ピアノを弾いて欲しい、そうやってどんどんプレゼントを良くしていった。
そして、お客様も連日のようにSNSで、たくさんたくさん応えてくださった。

信じられるだろうか?
自分たちのような小さな映画が年末のイベントまで3週間もの間、あのUPLINK渋谷で上映出来たんだよ。
まるで当たり前のことじゃない。
パルムドールの作品や、カメ止め!、話題作と3週間も並んでいたのだから。
知っている人ほど・・・それこそ配給さんやプロデューサーさん・・・ほど、3週間上映出来る事はありえないと口にした。

連日、新しいお客様との出会いがあった。
連日、感謝を伝えて、繰り返し来てくださる方が、一人ずつ増えていった。
さすがに三週間目には少しお客様の数は減ってきたけれど、最終の二日間はもう一度来場者数が増えていった。
年末のイベントがなければ、ひょっとしたらもう少し上映出来たんじゃないかなんて言われたりもした。

UPLINK渋谷での三週間は大きな大きな成果になった。
間違いなく、その後の上映が決まったのはこの期間上映出来たからだ。
同時にそれだけの期間上映したことで、知名度も上がっていったからだ。

これも奇跡なんだって思っている。

この奇跡の一番素晴らしいことは。
これが起きたことは、誰の手柄でもなかったという事だ。
皆が元々持っていた「感謝」の気持ちを最大の効果が出るようにしたわけで。
そして来場してくださったお客様がたくさんたくさん「応えて」くれたわけで。
そんなやり取りに、UPLINKさんが粋な計らいをし続けてくださったわけで。
その連鎖は誰のおかげでもなく、シンプルにあたたかな交流そのものだった。
お見送りでは、いつだって、たくさんの笑顔がロビーに溢れることになった。

それ以降の上映ではもう一度、舞台挨拶はトークに戻したけれど。
この3週間がベースになったと思う。
舞台挨拶に立つ役者たちは、皆、感謝の形を用意した。
よくある、自分はこんなことをしました!というトークだけで終わることはなかった。
自分が目立ちたい!みたいなトークももちろんなかった。
来てくださった方が、何か一つだけでも持って帰ってもらえるように。
小さな笑顔や、小さな希望をそっと手渡せるように。
「感謝」することが一番の自分たちのスタイルになった。

そりゃあさ。
大手の映画には、「感謝」という武器だけでは太刀打ちできないよ。
全国上映してさ、たくさんの人に届けたいのに。
広告代理店もなければ、資本もないのだから。
個人商店が巨大企業に挑めるわけがないのだ。
でもさ、愛されるパン屋であればいいじゃないかって、おいらは思ったんだよ。
その噂が全国に広がる可能性だって、なくはないって、おいらは思ったんだよ。

今、上映期間が終わって。
終了とアナウンスをしているのに。
たくさんのたくさんのお客様が再上映希望を色々な場所でしてくださっている。
それは通常の映画作品のファンというものとももしかしたら違うのかもしれない。
自分だってもう一度スクリーンで観たい作品はあるけれど。
こんな風に熱烈に応援するなんてことは考えられない。
自分の中でこれはもう映画を越えてしまっているんじゃないかという気すらしている。
セブンガールズという作品の持つ暖かさが、そのままお客様と関係者の間の暖かさになっている。
こんなに胸を張れることはないよ。
こんなに人間らしい映画上映なんかないよ。

自分たちからの感謝が止まることはない。
きっといつまでも感謝する。
例え、このBLOGが終了したとしてもだ。

いよいよ最終章の振り返りも、あとわずかになった。
どうにもこうにも感謝してもし足りない自分は一体どうしたらいいのだろう?


映画「セブンガールズ」
公式サイト:http://sevengirls.info/
上映期間終了 皆様ご来場ありがとうございました。

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2019年06月18日

先月の満月を思う

ずっと振り返ってきたけれど。
昔であればあるほど、懐かしさや思い出す瞬間の匂いとか、切なくなるけれど。
気付けばもう今年に入ってからのことを書く段階になっていて。
それはまだまだ余りにも生々しいというか、そういう記憶ばかりだ。
もうこれは振り返りではないのかもしれない。

下北沢で二週間の上映。
時間はあるけれど、ステージの広さやマイクの数に制限がある中で。
「対談」というイベントを続けることになった。
そして、トリウッドの1階にある古着屋さんとファッションコラボをすることになった。
まったく色々なことを考えるなぁなんて言われて。
でも、お客様も楽しんでショッピングしてくださったりして。
UPLINKよりも更にスクリーンと客席の距離感が近いこともあって。
なんと言うか、ホームメイドな空間が続いたなぁと毎日感じていた。
それぐらい下北沢という街は自分たちにとってのホームだった。

最終日、横浜上映の決定のメモを手渡されたあの瞬間を忘れられない人も多いと思う。
あれは本当のサプライズ発表だったもんなぁ。
自分も横浜の可能性までしか知らなかったから。

そこから横浜上映までの日々。
横浜に通い、地元の方に挨拶をして。
まだ上映館が決まるずっと前に、ジャック&ベティで上映したいねぇなんて話した日もあって。
なんというか、本当に横浜まで来たんだなぁっていっつも思ってた。
都内で7週も上映したのに、初日が満席になったのには本当に嬉しかった。

横浜での延長がないことは最初から分かっていたことだ。
その次週のスケジュールが既に発表されていたのだから。
可能性があるとしたらアンコール上映。
これまでアンコール上映されてきた作品も多い。
ほんの少しだけ、その可能性を残せただろうか?
そればかりはわからないけれど。
でもセブンガールズと同じように上映を心待ちにしている作品がたくさんあるはずで。
何かの企画、何かのタイミング、そういうものが合う日が来るといいなぁとただただ思っている。
だからと言って、無理にお願いするようなことはやっぱり出来ない。

大阪上映の後以来だった。
もう上映予定がないという状況は。
そして、上映期間の終了という言葉も遂に出てしまった。

自分の中でけりなんか着くわけがない。
何年間もずっとこの作品に尽くしてきたのだから。
本当に終了してるのかな?って何度も何度も思う。
今もセブンガールズのリターンの準備をしているし、動画もSNSも更新している。
すぱっと終われよと思っている人もいるかもしれないなぁなんて思ったりする。

そんな時。
まるきり奇跡としか思えないことが起きてる。
様々な映画館のリクエストボックスにセブンガールズを出してくださるお客様。
直接、映画館の編成担当さんにセブンガールズをかけてほしいとお願いしてくださるお客様。
映画館のホームページからメールをしてくださっているお客様、電話してくださるお客様。
毎日ドリパスのクリックを続けてくださるお客様。
上映終了しているのにファンミーティングを企画してくださるお客様。

渋谷三週間、下北沢二週間のあとの一週間はあまりにも早く通り過ぎた。
終わらない、終われない、応援してくださる皆様がSNSに溢れている。

日本のどこかで。
自分たちの知らない土地で上映されているんじゃないかなぁなんて思うこともある。
そんなわけがないのだけれど、もしかしたら、上映されてたらなんて考えてしまう。

ここで上映して欲しかったなぁって映画館がある。
そこに足を運びたかったっていう場所がある。
シネマ5、御成座、出町座、横川シネマ、塚口サンサン劇場、ナナゲイ、シネマスコーレ
シネマ・ロサ、ユーロスペース、UPLINK吉祥寺、文芸坐・・・
北海道、東北、北関東、信越、中国、四国、九州、沖縄、そして有楽町。
舞台のセブンガールズが生まれた池袋。
他にもまだまだ。自分の知らない映画館だってたくさんある。
自分の思い入れだけの場所もたくさんあるけれど、日本全国に行きたいと願っていた場所、場所、場所。
いや、場所じゃないかもしれない。
そこで本当なら出会うべき人たちがいたんじゃないかという思いが残る。
ドリパスをみれば1週間しか上映していない名古屋から応援してくださる人がたくさんいらっしゃる。

そんなに簡単じゃないのだ。
それでもどこかから連絡が来たりしないかなぁなんて未だに思ってしまう自分がいる。
それどころか電話して直接持ち込んで、飛び込んでしまいたい欲求が今もある。
直接お願いしたらどこかで出来るんじゃないかなぁなんて思ってしまう。

はたから見れば、とても良くやったというイメージなのもわかっている。
最初の一週間で終わるかもしれなかったのだから。
それが東名阪の三都市で上映して、関東で8週も上映したのだから。
アンコールも延長上映もあったのだから。
上映すらされない作品の方が多くて、上映されても1~2週が普通の中で。
セブンガールズという作品は、お客様に愛していただいたからこそここまで来たのはわかっている。


・・・実はね、こんなことも考えてた。

誰かがこんな風に展開しているセブンガールズに目を付けて。
それなら全国一斉に宣伝して上映してみようかみたいなさ。
あるいはうちの映画館で一日3回3週間やってみましょう!みたいなさ。
この動員数でこれだけのファンがいるという事は、ひょっとしたら化けるかもしれないぞ!
そんな風に考える人がいるんじゃないかなぁとかも思った。
っていうか、実際にそういうことが出来ないか動いていた時期もあった。
そんなことだって起きてもおかしくない雰囲気がセブンガールズにはある。今も。

だからねぇ。
上映終了しているけれど。
小野寺さんは実は諦めてないんだよ。
何かできることはないか、常に目を光らせてる。
ありとあらゆる場面を想定している。
そして、唯一の武器であるフットワークは今も羽のような軽さを持ってる。
どこにだって飛んでいくのさ。
今も、色々なことを調べては実行し続けてる。
アホみたいにね。
でも、それが今までとは違った意味になっていることも知っているってだけさ。

上映終了しているのに、誰かからコメントもらえないかなぁとか相変わらず考えてるからね。えへへ。
色々、同時進行さ!

さあ。
振り返りも終わりだ。
最終章「夢を彼方へ」
このBLOGも今週中に終わる。
総括して、終わっていく。

もちろん書いている途中に映画館から連絡が来たらいいのにと期待しながら。


映画「セブンガールズ」
公式サイト:http://sevengirls.info/
上映期間終了 皆様ご来場ありがとうございました。
※上映ご検討の映画館様、ご連絡をお待ちしております。

■SNS

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2019年06月19日

セブンガールズ映画化実行委員会 総括 1

山形沖の震災の被害にあわれた皆様にお見舞い申し上げます。
津波の警報は解除されましたが、余震が続く中、怖い夜を過ごされているのではと心配しております。
夜間のため被害状況が正確に報道されていないと思います。
もし孤立している方や連絡がとれない方がいたら必ず通報してくださいませ。
遠く関東からでもあり、知人も数人ではございますが、皆様の無事を心よりお祈りいたします。

東日本大震災に学んだことです。
災害があった時ほど、他の地域は通常運転をするべきだと思いました。
東北に比較すれば関東の被害は小さかったとはいえ、長い期間、ほとんどの仕事が休業となりました。
また多くの舞台や、エンターテイメントが自粛いたしました。
それは結果的に経済活動を停滞させ、また多くの文化が救いになるのだという事を忘れることなのだと知りました。
大変心配な気持ちはございますが、今日のBLOGも通常運転とさせてくださいませ。
どうか、ご寛容に。

さて振り返りも終わって、ここから先は「セブンガールズ映画化実行委員会」とはなんだったのか。
その総括をして、このBLOGを締めようと思っています。

多分、この「セブンガールズ映画化実行委員会」というのはそれ自体だけではないのだなぁというのが実感です。

まずそれまでがある。
映画化を思いつくまでの長い長い時間です。
たまたま公開時期と旗揚げ20周年記念公演が重なりましたけれど。
この企画を思いついた時、すでに17年も一緒に過ごしてきたのです。
何人かは更にその前から芝居を始めていました。

ハッキリと言えば役者なんてものを目指すというのは現在の日本では社会的につまはじきになることを覚悟するのと残念ながら同意です。
芝居で飯を食うという事はほんの一握りしかいません。
そしてその芝居を志している若者から、さらに搾取しようとする人も実際に存在しています。
芝居をしたことがない人が芝居を教えると言い、お金を出せば仕事が来ると言い。事務所に所属できるよとほのめかし。
最近ではワークショップ運営代行の会社が出来ていたり。
レッスン費のために食費を切り詰めて、人によっては厳しい仕事をしたり、消耗して役者を辞めていった人は何万という数になるはずです。
夢は一部の人には食い物であり、夢は残酷で、夢は馬鹿にされます。

親戚には、いつまでやるの?そろそろやめるんでしょ?と普通に言われます。
アルバイト先でも、そろそろちゃんと生きていくことを考えたらどうだ?と言われます。
ねぇねぇ、劇団ってまだ続けてるの?と半笑いで聞かれます。
若くエネルギーがあった頃はそのたびに怒っていたけれど、今では受け流すことを覚えました。
・・・売れると思ってるの?
なんていう言葉にはもう何も感じなくなりました。

そして辞めていく仲間もいました。
理由を一つの言葉でまとめようとする人もいるけれど、自分はそう思ってないです。
それぞれが皆、違う理由で、違う思いで、違う形で辞めていきましした。
やむなく辞めていった人も何人もいるし、摩耗してしまった人もいると思います。
でも辞めていった仲間たちも皆、自分にとっては今も仲間です。
例え疎遠になっていたとしてもです。
お前がいたから今があるという事は自分にとってすべて本当のことだからです。

そんな中で。
劇団を続けてきました。
年にほぼ二回の舞台公演。
そのたびごとに動員できるか心を傷めて。
赤字が出て劇団が潰れてしまうのではないかというストレスと戦って。
それでも毎公演が過去のどの公演よりも素晴らしい最高の公演になると信じてきました。
そして面白い作品を創れば必ずいつか、今の何倍も何倍も芝居をしやすくなる。
そう信じてきました。

続けることが出来た理由も、一つではないと思います。
作品への信頼や、自分たちの目指しているものへの確信、確固たる自己。
でもその大きな理由の一つは待っている人がいることです。
こんな僕たちを応援してくださる皆様がいてくださった。
千秋楽に紙テープを投げてくれたり、記念公演にケーキを買ってくださったり。
遠くから来てくださったり、手紙をくださったり。
そういう皆様がいる限り、続けなきゃいけないよねといつも話していました。
でも、自分たちはなんだか甘えてばかりで、ロクな恩返しも出来ていませんでした。
社会に出れば否定的な言葉を浴びる僕たちにとって、そんな皆様がどれだけの光だったか。
言葉でなんか説明出来るはずもないのです。

「夢」に臆病になっていました。

映画を創ろうと最初に口にした時。
全員で、やろうやろう!と盛り上がらないのもわかっていました。
そんなうまい話があるかな?と、身構えてしまう。
いつか映画に出たい、銀幕の登場人物になりたいと誰もが思っていたはずなのに。
まして、僕のような・・・小野寺が口にすることですから。
出たよ、なんか言い出したよ。
そんな反応も少なからずあるだろうと予測していたのです。

でももうそれは夢ではいけないと思っていました。
自分たちは役者で、デビッド・宮原はドラマの監督を経験している。
その状況で映画を製作するというのは、現実的なこととして考えられなくてはいけなかったと思うのです。
何年も何年も積み重ねてきた、毎日のように考えてきた、芝居って何だろう?ってことを形にする。
そんなことは当たり前のことなんです。
ライブを重ねたミュージシャンが音源を残すように。
劇団や演劇だけが、疲労して摩耗して次の世代に受け渡して自然と引退していくなんておかしいのです。
そして、いつの間にか、自分たちだけの夢じゃなかったのです。

この劇団の役者がもっとたくさんの人に愛されて欲しいとお客様に言われたことがあります。
この劇団の作品をもっとたくさんの人に知ってもらえたらなぁとお客様に言われたことがあります。
厳しい言葉を投げかける親戚の中でも、毎回、友人を誘って観に来てくれる親戚がいます。
見には来れないけれど、応援してるよと連絡をくれる人がいます。
いつか辞めてしまったメンバーから、頼むから売れてくれよなんて言われます。
そんな言葉をいただくたびに、ははは、なんて苦笑いしか出来ない自分をいつまでも恥じていました。

もちろん。
今、公開しているメイキングを観たらわかるように。
そんなに暗いことばかりじゃないです。
いつだって仲間と会えば笑います。何度も何度も。
呑みに行ってくだをまいたり、悪口を言ったり、喧嘩したりもします。
でも、全体的に楽しいよなぁって思う事ばかりです。
ただその形が社会の中では認められておらず、生活の中では厳しさも伴っているだけです。
そりゃ、遊んでいるだけだって思われても仕方がないのかもしれません。
だから夢を忘れて、ただただ楽しむことだって出来るのかもしれません。

・・・いつか、自分の心の中にある炎が小さくなっていって
     そうなったら、もしかしたら

そんな恐怖と戦いながら。
自分はまだ戦う。戦える。
夢を夢としない。
夢を現実として立ち向かう。
そう決めて、僕は走り出しました。
背中に聞こえる声を感じながら。
背中に聞こえる視線を振り切るように。

長く芝居を続けてきたことは、それはある意味自分との戦いだったのです。
いつくじけてもおかしくない自分を感じながら。
まだまだだ、これからだ、やってやる、と唇を噛んでいました。
そして、今だ!と僕は思ったのです。

セブンガールズ映画化実行委員会とは。
夢を現実に変えることでした。
夢の世界にあった映画を、現実の世界として取り組む。


それが「セブンガールズ映画化実行委員会」のなりたちです。
映画「セブンガールズ」ほどではないけれど。
それと同時上映していた、裏の作品です。



映画「セブンガールズ」
公式サイト:http://sevengirls.info/
上映期間終了 皆様ご来場ありがとうございました。
※上映ご検討の映画館様、ご連絡をお待ちしております。

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posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 03:06| Comment(0) | 夢の彼方に | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする