2019年06月05日

無限の願いを無限の愛で

今日も映画館に直接リクエストをしてくださったという報告がいくつか・・・。
中には直接リクエストをしたいとスタッフさんに伝えたなんて言う方もいらっしゃった。
落ち着いて考えれば、自分にそんな事が出来るのかなぁと思う。
自分は吹っ切れたらなんだってやるし、行くと決めたらどこにでも行くやつだけれど。
もうフットワークだけでここまで乗り切ってきたような自分なのだけれど。
それにしたって純粋すぎる。
それは中々出来ることじゃないぞと自分に置き換えればわかる。
映画を既に見てくださった方が営業マンになっているなんて最強じゃないか。
だって、何回も観ているのに、まだ観たいんだ!って叫んでいるようなものなのだから。

リクエストは数なのかもしれない。
たくさんリクエストがあれば上映を考える・・・そういうものなのかもしれない。
それでもファン投票的な一票とは中身が違うよなぁって思う。
これだけリクエストがあるなら上映しようというのはわかるけれど。
これだけ誰かに愛される映画なら上映してみようということが起きたとしたら。
それを想像するだけでゾクゾクしてしまう。
もちろん想像ばかりでそれが難しいことなことはわかっているつもりだけれど。

パンフレットを創った時。
自分は裏表紙にたった1行の願いを書いた。
願いだったはずなのに。

けれど考えてみれば「セブンガールズ」という作品の生きる場所はそこにしかないのかもしれない。
決して数の力で大きくなる作品じゃない。
だからこそパンフレットにだって書いたのだから。
著名な何か・・・監督の名前の大きさ、役者の名前の大きさ、映画祭の受賞歴、その他鹿諸々
それは確かに数になって返ってくるのだと思う。
そういうものを持たぬ自分たちにとって大事なことは、数ではなくて深さなのだから。
深い愛情で答えていくことしか出来ないという言い方も出来るのだけれど。

まだ上映が決まる遥か前から、自分たちはそのコンプレックスと戦っていたように思う。
知らない役者しか出てない映画に誰が観に行くんだよ!と何度耳にしたことか。
映画の予告編を観れば、受賞歴、監督の名前、役者の名前、キスとか裸とかのショックな映像。
どんな話なのかあらすじよりも冠を前面に出している予告編がほとんどだ。
そんな中でセブンガールズはどうやって宣伝していくのかもわからなかったのだ。

例えばロケ地を探し回るのに、Googleマップを観て、行く範囲を決めてから自転車で探したと言っても信じてもらえない。
例えばあのセットの材料費が実はほとんどゼロ円だと言っても誰にも信じてもらえない。
廃業する旅館をリストアップして、廃棄する家財を頂戴して。
出演者の親戚のビニールハウスに保管しておいたなんて話は誰に言っても信じてもらえない。
某大企業に単身、アポイントを取って書面を作成して、ロケ地をお借りしたことも信じてもらえない。
そしてそうやって努力を重ねたところで、それが宣伝材料にはならないし、有名人の名前に及ばないことも知ってた。

プロデューサーと話している中で、こんな言葉があった。
映画は全てを把握している誰かがいないと難しいんですよ。そういう言葉だ。
自分はその全ての把握をするつもりで動き回った。
セット関連だけじゃない。予算回りだってそうだし、シナリオ回りだってそうだ。
助監督さんにシナリオを手渡す時点で、すでにシーン表を作成しておいた。衣装リストも作ってあった。
シーン表には、昼/夜、メイクの有無、出演者、室内/外、かかるであろう時間、全てを記入した。
考えうる作業は全て準備しておいてからスタッフさんを迎えるつもりだった。

大きな予算がないのだから当たり前かもしれないけれど。
その当たり前すら超えておかないといけないと思ってた。
それにしてもやりすぎと言われるぐらいまで準備した。

だってそれしかなかったから。
セブンガールズという映画を自分たちで創ると決めた時点で、それしか武器がなかった。
公開した時に、自分たちで創ったんだという武器以外に想像も出来なかった。
どんなに素晴らしいあらすじやキャッチコピーを思いついたって。
内容なんか映画を観なくちゃ絶対に解らないのだから。
ありえない製作過程を経て創られた映画でなければ、上映すら出来ないかもしれないと思ってた。

今、直接映画館に足を運んでくださる方がいらっしゃる。
やっぱりそれはありえないんじゃないかって思う。
ありえないことをやってやろうと製作した映画は、こんな形で奇跡を生み出している。
自分たちが重ねた苦労の日々は、ダイレクトに誰かの心に届いてる。

数じゃない。
思いの深さだ。
それしか持ってない。

好き嫌いはあるだろうから、そりゃ色々な感想が上がると思う。
でも必ずこれが見える人がいると信じて走った。
伝わらないはずがないと信じるしかなかった。
たまたま好みじゃなかった人だって、コンディション次第ではこれを感じる日だってあるはずだ。
物語にも映像にもそこに映る全てにも、そして会場にいる出演者や監督にも。
それだけは常にあるのだから。

もちろん映画はビジネスでもある。
だから映画館だってお客様が入らなければ上映できない。
どう考えたって一番強いのは、数だ。
それなのにいつも信じられないほどの皆様が足を運んでくださる。
深さが。
数を創る。
誰かが愛してくれる映画に興味を持つ人が生まれ続けてる。
今も!!

上映期間は終わってる。
このBLOGも最終章でどんどんまとめてる。
でも終わってない。
終わるわけがなかったんだ。
そもそもこの映画が大事にしてきたことには終わりなんかあるわけがないのだから。

数に広がりには限界があっても、思いの深さに限界などあろうものか!

あの日まだ皆様に出会う前だった。
おいらは太ももをパンパンにしながら坂道を自転車で登っていった。
あがった息遣いの中、坂の上を目指した。
ある、絶対にある。ロケ地がある。トタンがある。どこかに可能性がある。
それは無限の何かを作品に込めるようなことだったのかもしれない。

再上映とかじゃないぜ。
でもやっぱこれはそうなんだ。

キセキハコレカラってことだ。


映画「セブンガールズ」
公式サイト:http://sevengirls.info/
上映期間終了 皆様ご来場ありがとうございました。

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2019年06月06日

美しい顔

蒼井優さんという女優さんは凄い女優だなぁとずっと尊敬していて。
その凄さのようなものってどう伝わっているのかなぁといつも思っている一人で。
でもあれほどの女優さんが、映画の中よりも何よりも、一番美しく見えるのには驚いた。
いつかセブンガールズを観て欲しいし、いつか一緒の作品の中で生きてみたいなぁ。
それでもあんなに美しい顔を自分は引き出すことなんか出来ないだろう。
皆様の言われる魔性的なものはないと山ちゃんが口にした時、確かに涙ぐんでいて。
ああ、恋多き女優なんてレッテルはきっと重かったし、そんなもん嘘だ!という男に出会ったんだなぁって。
それでもこれからもきっとどんなレッテルを貼られようが作品の中にどんどん入っていくのだろうなぁ。

本音で生きるのはつらい事なのだと思う。
俳優は虚構の中で、本当に生きるということを考えるわけだから。
中途半端な建前というものにどうしても生きていれば気付いてしまう。
俳優の中でも女優は特にそういう感覚が鋭い。
嘘を見破る能力がずぬけているのが女優という生き物で。
その女優が本質をみたからこその恋なのだと思う。
山ちゃんも、ずっと本音を口にする芸風を貫いていて。
それはあちこちに摩擦を生むけれど、ひよらずに取り組んできている。
これを口にしたら嘘になるっていう言葉はずっと避けてる。
それは実際には過酷で厳しい道だとおいらは思うよ。

おいらは本音も建前も使い分けるけれど。
それでも言うべき言葉を飲みこむことはしない。
言いたいことを言いたいように言う。
それでお叱りを受けたこともあるし、そりゃ摩擦だって生んできた。
もちろん時と場所とは自分なりに考えているけれどそのタイミングが来ればちゃんと口にする。
(アホみたいにSNSで発言するのが自由とかは思ってない)
その代わり、何十倍、何百倍にも膨れ上がって返ってくる。
言われるし、怒られるし、言えない人には陰口だって言われるだろう。
人によっては、小野寺から言ってよなんて頼まれることだってある。
言われる覚悟をしないと口に出来ないのだから、全然へっちゃらだ。
めんどくさいから小野寺が悪いってことにしよう!なんて言葉が流行ったことだってあるよ。
それは何を言われても自分が堂々とできるからだと思っているから問題ないし綺麗に収まるならそれで良い。

正直な意見をきちんと言えるか言えないかは、自分が言われる覚悟と共にあるってことだ。
言いたいこと言って、言われるのが嫌だなんてわがままは自分の中にない。

いつも舞台制作をしていく中で摩擦は起こる。
誰が何を言った、誰かれが何をやってくれない、皆ちゃんと考えているの?
そりゃあ何かを団体で創ろうと思えば、個と集団なのだから出てくる。
そんなことはなんでもなくて、結局、全員が良い舞台にしたいという思いからなのだ。
向いている方向が同じだからこそ生まれてくる当然のことなのだ。
そういう摩擦も含めて、全てが千秋楽に笑い話になる。
それはいつものことだし、当然そうなると思っていた。

でもね。
映画「セブンガールズ」の映画製作では、そういう摩擦がほとんどなかったように思う。
全然なかったのかって聞かれたら、それは嘘になるけれど。
これ手伝ってくれない?ってお願いをして断られたことなんか殆どないんじゃないだろうか。
そもそも舞台のようにいつもやっていることではなくて、全員が初体験だったこともあるかもしれない。
自分は企画して、打ち合わせをして、全てを把握しているものだから、どんどんやることが増えていった。
そういう中でやっぱり皆にどんどんお願いをしなくちゃいけなかった。
正直、これは頼みづらいこともいっぱいあった。
これを担当してもらってもいい?これってやれないかなぁ?
断られたらどうしよう?
大変じゃないかなぁ。
いっそのこと、自分でやっちゃえばいっか。
そういう毎日だった。
けれど、不思議なほど、本当に皆が映画製作に向かっていった。

自分は本音でぶつかり続けるしか出来なかった。
そういう意味では不器用なのかもしれないけれど。
そもそもありえないことをしているのだから。
なんにもわからない道で、ただまっすぐ撮影を成功させなきゃいけなかった。
ただでさえうっとおしいであろう自分が、いつもよりもうっとおしかったと思うのだけれど。
でもそのうっとおしさに皆が乗ってきていた。

その一番の皆に頼みづらかったことが仕込みだった。
撮影に入る一週間前から。
ロケ地にパンパン小屋を自分たちで建てる。
空いてる人は集合!
その後は撮影が入っているのだから、長い時間拘束になってしまう。
そもそも空いているわけがない。
意識的に空けないと絶対に無理なのだから。
なんにもない倉庫を、まるでスタジオのようにセットが建つ場所に作り替えていく。
自分はこんなに贅沢な俳優体験できねぇよと思っていたけどさ。
でも、皆にお願いするのは、毎回心が摩耗した。

でもたくさん参加してくれたんだよ。
綺麗におめかししてスクリーンに上がる女優が泥だらけになった。
誇りまみれになって、擦り傷だらけになって。
自分たちの映画は自分たちで創る。
自分は逃げずに本音でぶつかるしかないと思っていたけれど。
ぶつかれば、返ってくるってわかっていたけれど。
返ってきたのは、それこそ、皆の本気だった。

映画に映っているのが、セブンガールズの全てだ。
でもね。
おいらは思うのだよ。
あのほこりまみれの顔が、あの汗だくの顔が、あの疲れ切った顔が。
実は一番美しかったよなぁって。
あんなに美しい顔は、映像に残ってないよ。
もちろん、その美しさは映画の中に空気として映っていると思っているけれど。
きっとそれは見える人には見えるはずだもの。

あの日々は虚構なのかもしれない。
少なくても日常ではなかった。
かつて終戦直後にバラックを建てた人々と同じように。
自分たちでバラックを建てていった。
あそこには本当しかなかった。

自然と。
本当に自然と。
セットを創りながら、おいらたちは作品世界に入っていった。
それは組みあがっていくセットと同時に。
セブンガールズという作品も組上がっていく儀式のようなものだったのかもしれない。

未だに世界でセブンガールズしかない。
間違いなくオンリーワン。
セットをここまで役者たちが創った作品なんて聞いたことがない。
どんなご褒美をもらえるのかもあの頃は知りもせず。

全てに自分たちの魂が宿ってる。
全てのカットにあの日の空気が映ってる。
虚構の映画という作品の中に「本当」が詰まってる。


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2019年06月07日

あいつにありがとう

今起きている事。
現在ソノモノ。
それに触れながら、そこを触りながら。
少しずつ少しずつ、この最終章ではセブンガールズを振り返っている。
企画から、仕込みまで書いて、ああ、撮影の日々かぁと。
あの日をどう書けばいいのだろうか?
現代のことからなんて触れることが出来るのだろうか?

あのね。
役者です。
おいら役者です。
時々共演者や監督やプロデューサーにも役者だってこと忘れられるときありますけど。
自分は根本的には役者なんです。
何をやっていたって。
何処に立っていたって。

たった5日であのボリュームを撮影するわけだから。
そりゃ信じられないほどのスケジュールだし、常に頭を使って工夫して。
衣装を着たまま電動工具を握りしめて、照明機材の足を組んだりして。
スケジュールが巻けば、出来るシーンをすぐに脳内検索をして。
助監督に呼び出されたり、役者たちに今日出番ないかもなんて言われたりして。
駆けずり回ってさ。

でも幸せだったなぁ。
何から何まで知ってる現場で。
成瀬凛太朗を演じている瞬間瞬間が。
たった1回のまばたきだって、全部幸せだった。
カメラが、照明が、マイクが、全部、おいらに向かっていて。
おいらは成瀬としてまばたきをして、呼吸をして、心臓が高鳴った。
ハエが飛んでいるバラック小屋は、全て本物の昭和の遺物で出来てた。
目の前にいる真知は、やっぱり真知だった。
自分の足が自然と前に出たり、視線を上げて真知の表情を見たり。
編集で映画からはなくなっちゃったけど、そんな小さな動きのリアクションは残ってた。
背中から聴こえてきた「星がいっぱいでも」を忘れられるものか。

全部チェックしてた。
ガールズたちはメイク替えや衣装替えに集中してもらって。
男たちには色々と撮影中の仕事を手伝ってもらってた。
だから、今、撮影しているシーンの次にどんな撮影するのかまでチェックした。
このシーンの前は、例え男でも集中させてあげたいなっていうシーンがあるじゃない。
そういう時は、男でも芝居に集中してていいよ!って言えなきゃいけないって思ってた。
だって、皆は本当は役者だから。
今、あいつ集中したい時だから、邪魔しないであげて!みたいなね。
おせっかいおじさんだよ。

こんなことを言ってはあれだけれど。
ちゃんと芝居させてくれないんだよ。
例えば自分たちが映像の現場に行っても。
その役と戦いたいって思っても。
一生懸命考えてやるのに、全然、やらせてもらえないなぁって思うんだよ。
役者にとっては自分の役でも、全体にとっては役に大小がある。
舞台でもさ。
腹が立ったり、泣けてきたり、切なくなったり。
そんな風に心が動くような役は何年もやれてなかった。
物語を動かす狂言回しだったり、役割の強い役ばかりにだった。
芝居がしたいんだって言っても、そういうのも含めて全部芝居だからさ。
なんだか難しいんだよ。

だから思い切り芝居してやろうと思ってた。
結果的に思い切り出来たのかはわかんないや。
とにかく必死な毎日だったから。
でも、ただただ残っているのは楽しかったってこと。
そして確かに、自分は成瀬としてそこに生きた瞬間がいくつも生まれていた事。

映画を上映して。舞台挨拶で撮影の日々を話すんだけどさ。
誰も、おいらに成瀬をどうやって演じたかなんか聞いてくれないよ。
皆がどんなふうに撮影したんですか?って聞いてくれるよ。
たった5日は本当なんですか?とかさ。
そうだよねぇ。自分がお客様でもそれを聞きたいさ。
自分だけじゃない。
男が舞台挨拶で撮影の日々を話す時は、大抵が芝居の話じゃなくて、大変だった話さ。
撮影の日々をおいらがここに書くなら、やっぱりそっちを期待されてるのもわかってるよ。
それに皆、ガールズたちに感情移入するのだからさ。

わかってるけどさ。

自分でここは真知の表情のがいいんじゃないですか?なんて編集で言った箇所もあるよ。
役者である自分を切り離さないと、今だって何も出来なくなるから。

でも。
自分はあの5日。
成瀬でいるために頑張ったんだぜ。
成ちゃんを演じるためだけに。
成ちゃんを通して世界に叫ぶために。
例えそれが物語上は見えづらかったとしても。
最初から最後まで。
大事な大事な宝物を持つ強さを。

でもやっぱ成瀬を観に来て!とかは結局言えないね。
あの女たちに会いに来てくださいとしか。
見つけてくれる人がいたらいいやって。
だって、自分にとってあの5日はどんな意見があろうと変わるものじゃないもん。
伝わらなくても、それはそれだもんな。

生きてきて撮影のその日まで。
たくさんのたくさんの人にお世話になってきて。
中にはもうこの世界のどこにもいなくなっちゃった人もいて。
そんな人たちの名前を一人ずつ心の中で呟いてから撮影に入った。

いつも撮影の日々を話す時は実行委員長のそれだけど。
こんな話になっちゃったよ。
ごみんなさいね。

そしてありがとう。
成瀬凛太朗よ!


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2019年06月08日

おばあちゃんの編み棒の色

ネット上の上映リクエストシステムのドリパスが毎日順位を上げている。
とってもありがたくて、毎日確認してしまう。
皆様の何位に上がった!みたいなSNSのコメントをついリツイートしたくなるのだけれど。
ぐぐぐっと抑えている。
このシステムはたくさんのたくさんの作品のファンが集まっていて。
純粋に投票しているんだよなぁとランキングをみて思ったから。
多分、出演者たちが皆で投票をお願いします!って動きい始めたら今の何倍も伸びるのはわかっているけれど。
出演者たちがあおって投票していただくことは、なんだかその純粋な思いを裏切っているような気がするからだ。
多くの映画ファンが純粋な思いで投票しているのだから。

お客様同士でご友人を誘うのと、関係者が直接お願いするのは違う。
この世の中は結果が全てなのだから結果だけを目指せよという心の声をずっと聞こえないふりしてる。
それにランキング入りしても上映は決定しない。
それならとチケット予約が一定数まで行かないと上映できないと書いてある。
組織票のランキング入りでは、その時になって予約していただける人が集まると思えない。
TOHOなのだから日本全国なのだ。
お客様に愛されてランキング入りするのであれば、もしかしたら興味を持っていただけるかもしれない。
だからこそ、誰かの純粋な思いのようなものに横槍を入れるようなことだけはしたくない。
きっと、他の映画のファンも、セブンガールズという作品の動向を調べたりするようになってくるから。

もちろん上映できるほどの上位に行けるかどうかはわからない。
ギリギリで難しいかもしれないとも思う。
それにしたってさ。
ちょっとすげーだろ!って自分はなんていうか自慢したくなっちゃうよ。
だってさ、ランキング20位以内を確認してみたんだけれど。
どの映画も全国ロードショーをしたような作品だとか、有名俳優が出演してたりなのだよ。
それはつまり公開時の宣伝力が全国規模だった作品だし、知名度という分母が桁違いな作品ばかりだってこと。
単館上映で上映を続けてきたような作品は「セブンガールズ」だけなのだ。
あとね、作品じゃなくて、出演者のファンたちが投票している作品もあったよ。
今週はこの作品を推しましょう!みたいなさ、すごい愛情だ!って驚いた。
確かに全国のファンがそれなら上映を観れるし、楽しいもんなぁ!ってシステムの良さを感じたのだ。
そういう中に、この作品を全国に届けたいですなんてコメント共にセブンガールズがあるんだぜ。
こんなに自慢できること、早々ないんじゃないかなぁ。
セブンガールズを知らない方も投票し始めてくださってるんだなぁと最近は思っていて。
ひょっとしたら唯一という事もあってミニシアターファンもいるのかもしれない。

本当はこれを猛烈にアピールしたいけれど自分なりにぐっと抑えて。
もし再上映が可能だとすれば・・・というものを自分のできる範囲ではやっている。
大したことではないかもしれないけれど、そういうことを積み重ねるしかない。
まるでこれは皆様とのマッチレースみたいだよ。

どんな方法でも、まずは結果を出せばいいという考え方はもちろんそれはそれで正しい。
結果を出してそこから帳尻合わせできることだってあるし、そこから考えたっていいのだから。
セブンガールズだって、映画化が決定してから製作開始しているのだし。
あの時の多くの皆様の雪崩のような勢いの応援を思い起こせば特にそう思う。
また芸能の世界では「他人を蹴落としてでも」なんてよく言われたりもする。
他の作品のファンなど気にしないで、どんどん進めばいいじゃないかというのがまかりとおる正義なのだ。

セブンガールズの撮影が終わって、少し時間が空いた。
撮影データを受け取りに行った。
編集は自分がやると伝えてあったけれどね。
すごく心配してくださっていたのだよ。
製作で入ってくださったスタッフさんが色々教えてくださった。
うちのパソコンを貸し出しましょうか?とか、アプリケーションについてとか。
生データのままじゃなくて、取り込みまではやっておきます!とかさ。
あの信じられないセットの中で、信じられないような撮影の日々を共に過ごしたスタッフさんだから。
その撮影データがどれだけの宝物で大事なものか知っていて。
バックアップも含めて、そのデータをどうするかというのをすごく気にしていて。

もちろん宣伝費に食い込んでしまうかもしれないという前提であれば。
編集を誰かにお願いすることが不可能だったわけではない。
いや、むしろ、殆どのスタッフさんがそうなのだろうと想像されていたわけで。
だからこそ、撮影セットのバラシの日に、自分が編集すると口にしたら、録音部さんがすごく驚いてたんだ。
たった5日でも撮影データは映画の数倍に及ぶ。
NGカット、サブカメラ、各テイク、全てを一本の作品にしていく。
撮影部や録音部、照明部とプロにお願いした素材の仕上げが、初の編集だなんて。

でもね。
データを受け取りに行った時。
小野寺さんの編集が一番良いと思おうって、言ってくれたの。
製作スタッフさんが。
余りにも膨大なシナリオ、余りにも数の多いカット数。
その全てを小野寺さんは把握しているし、出来るならそれがベストだって。
遠回りになっちゃう部分もあるのかもしれないけれど。
小野寺さんは、まぁ、出来ちゃいますねと少し笑いながら言われて。
でも、わからないことがあったらどんどん聞いてください!と言ってくれて。

自分の中ではもう一つあって。
それは監督が好きなように編集するというか。
詰まった時に意見を言えたり、悩んでいる時に提案出来たり。
あるいはその提案を、こんなのやらねぇよ!って監督が言い返せる関係性であるかとか。
プロのエディターの意見であれば、多分、自分がやるよりも監督はOKを出しやすくなるなと思ってた。
時間をかけてくれることが申し訳ないということまで考えてしまう監督なのだから。
どこかで、まあいいかが出てきてしまうかもしれない。
遠回りでも自分がやれば、監督は躊躇も遠慮もしない。
嘘だろ!この数秒のシーンだけ、なんで何十回も観るんだよ!みたいなことだって実際にあったもの。

それとね。
編集って、やっぱり編み物なのだと思うよ。
映像や音声という素材を、丁寧に編み込んでいく。
セブンガールズという映画はその時点ですでに工場既製品のセーターではなかった。
おばあちゃんの手編みのセーターのような、ひと編みずつ思いがこもっている作品だった。
だから、自分がやって正解だったんだって思う。
その後の吉田トオルさんとのやり取りまで含めて。

結果的にだけれど。
毎日映像をSNSで発信できるようなことも出来るようになった。
素材もノウハウも手の内にあれば、そういうことが出来る。
明らかにやれることが一気に数倍に膨らんだ。

結果優先でも良いと思う。
でも自分のやり方はそうじゃないな。
一歩一歩思いを込めて進む。
ひと編み、ひと編み、思いを込めて編んでいく。
ランキングに入らなかったとしても、その一票が純粋で思いのこもったものであれば。
それはきっと別の形で大きな力になるんじゃないかなって。
それを知った別の映画館が連絡をくれるかもしれないじゃないか。
だから。
今まで自分たちが歩んできた道のままで進む。
このやり方で進む。
いつ終わるかもわからない編集に向き合ったあの日。
大丈夫、どこかには辿り着くさと覚悟するしかなかった。

心は目に映らないけれど。
心を込めたものを人は感じることが出来る。
そう信じているからこそ
安易に結果は求めなかった
そう信じているからこそ
セブンガールズは完成した。

心が連鎖して連鎖して、今、こんなにも。


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2019年06月09日

手作りの映画

健康診断の予約をしていた。
横浜での上映が終わって少ししてからにしようと思っていたのだった。
いつもとは違う病院でいつもとは違う診断もあった。
相変わらず終わってから体に何かが残っている感覚。
長く食事を摂らないことも、血液がなくなることも、バリウムも、そのための下剤も。
検査ぐらいでぐったりするのはなんとかならないものか。
健康診断で具合が悪くなるなんてなんだか意味が解らない。
早めに寝たのに、一日中眠かった。
母親のもとに顔を出してSNSを覗いてみる。
公式で動画を公開していない日は久々なのかなぁ?寂しいかなぁと思い立つ。

ちょっと蔵出し動画でも。
まぁ、毎日はないと思うけれど。
蔵出し写真まで含めたら色々あるのです。
クラウドファンディングのリターンでメイキング動画というリターンがあって。
どうにも編集しづらい動画ばかりで困りつつも。
まぁ、少しだけならいいかと。
言葉で自分たちでセットを創ったといくら言っても、写真で見せても。
現実に電動工具を手にしている動画の説得力はやっぱりすごいなぁと思う。

ハンドメイド。
手作りの映画。
かっこうをつけることはないのだ。
これを駄目だと言われたって、これが自分たちなのだから。
なんの悔いだってない。

それでもセットを創っている時は皆がいて。
撮影の日々だって、その準備だって、皆がそこにいた。
でもその後。
実際の編集に入ってからはそうじゃなくなった。
なんというか不思議な時間帯だなぁっていつも思っていた。

役者たちは仕事が終わった。
撮影が終わったら、あとは出来上がって公開が決まって、宣伝をお願いするまでやることがない。
撮影がピークでポストプロダクションはただ待つだけになる。
自分も同じ立場でありながら編集を選んだからなんというかその緊張感の差が不思議だった。
役者たちは芝居をしたがって、急遽2日だけの公演を企画したりしたけれど。
監督と自分は、まだまだあの撮影の日々からの毎日の延長戦が続いていた。
稽古場に行けばその緊張感の違い、差に驚いたりしていた。
今、真っ最中の自分と、終わっている皆。
伝えたくても伝わるわけもない事。

基礎となる編集術と、編集ソフトの勉強を繰り返した。
何冊の本を読んだかもわからないし編集ソフトの本は常に肌身離さず持っていた。
あれってどうやるんだっけ?ってすぐに調べられるように。
出来る!と言った以上、監督に編集で提案まで出来ないといけないから。
編集は魅惑の作業だった。
いわゆるあとからの演出。
凄く良いカットがあるからそれをどうやって見せるかとか、色々に悩んだ。
基本的な編集術で進めた。
もうフェードアウトも、クロスフェードもほとんど使ってない。

監督が見せたい場所、シナリオ上見せなくちゃいけない場所。
そういうものを分解して再構築していくような作業だった。
実は1か所どうにもこうにも矛盾してしまう箇所もあった。
いるはずの人物が次のカットでいないというような問題だった。
そこは実はシナリオから編集の段階で、シーンの入れ替えをしている。
順番を変えれば成立するはずだと、シナリオをもう一度読んで再構築した。

モバイルでの編集だったから、毎日、場所が変わった。
カフェやファミレス、コワーキングスペース。
ヘッドホンを付けて、ただただ編集した。
1日でたったの1シーンしか編集できなかった日もあった。
繋ぎはコマ送りで確認して、最善の繋ぎを模索し続けた。
映画が今、生まれようとしているという時間を監督と過ごしたのだ。

映像を並べる処から始まって。
まず最後まで粗編集をして。
そこからもう一度頭から細かく編集する。
それが終わってから・・・
もう2回は頭から編集していった。
まだやりたい、まだあそこは出来る。
実は監督は公開直前まで編集をしたがった。
シーンごとの直しまで含めたら、何回直していったんだろう?
多分ゴールなんかないんだね。

本当は監督に新しく何かを撮影して一緒に編集したいとお願いしたいのだけれど。
セブンガールズという作品を完成させた今、公開をした今、簡単に次回作については考えられないと思う。
でも自分は撮影から編集の間の、クリエイティブな監督にじかに触れてきたから。
疲労感と共に溢れていた充実感を知っているから。
やっぱり監督は現場に出たいはずだし、編集したいはずだよなって思う。
その道を新たに切り開くには、もしかしたら、別のアプローチが必要なのかもしれない。
自分なりに考えていかないとだ。
機運は創るものだからだ。

編集の日々をうまく書こうと思ったけれど。
どうも書きにくい。
いや、書きにくいってことはないんだけれど・・・。
舞台は稽古が終われば本番だけれど。
映像は演じてから、その後に演出がやってくる。
舞台ばかりやって来た自分の中でどんな革命が起きたのかなんて。
簡単に言葉に変えられるものじゃないらしい。

そんな役者いる?
監督をした役者はいる。
プロデューサーをした役者もいる。
でもエディターをした役者なんて聞いたことがないよ。

役者は自分で台本を解析して肉体表現に変換していく。
まさかそれを再度解析して再構築していく現場に立ち会うだなんて!

素材が映画になっていく。
でも編集してもそれで終わりじゃなかった。
それはまだ形を創っただけで、その形を磨く工程がまだまだ残ってた。

自分はその全てに立ち会った。


映画「セブンガールズ」
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#セブンガールズ紹介してみた
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posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 04:24| Comment(0) | 夢の彼方に | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする