バラエティに出演するなんて珍しいですねぇ!
そんなゲストが出ている番組はほとんどが番宣だったりする。
テレビドラマであれば、編成期に集中しているけれど、映画の場合は常にある。
役者と呼ばれる仕事をしていて、いわゆるタレントというのとは一線を引いている人でも。
クイズ番組やトーク番組に出演して、珍しい!なんてやり取りをしている。
役者は撮影が終われば、その後の編集作業や、様々な作業に関わることがない。
撮影が終われば、もう次の作品に向かうのが役者だ。
けれど、実は、プロモーションだけは違う。
映画に出演すれば、プロモーションをすることまでが役者の仕事だ。
自分の映画を観て欲しいという純粋な気持ちだって、もちろんあるはずだ。すごくあるはずだ。
けれど、そういう気持ちとかの問題ではなく、それは仕事なのだと思う。
なぜなら、役者の名前が、映画の看板だからだ。
海外だと、実は監督の名前で映画に行く観客が一番多いらしいけれど。
日本でアンケートをとれば、常に一位は、出演者で映画を選んだという答えになるらしい。
看板という意味も含めてのキャスティングであり、そのために多くのスタッフさんが動いているわけで。
宣伝部や営業部が、自分の名前をあちらこちらで売り込んでくださっているのだから。
そこで、宣伝に協力しないですよ・・・というのは、やはり筋が通らない。
むしろ、どれだけ人気のある番組で番宣のキャスティングをもらえるのか四苦八苦している人だっているのだから。
それは別に日本だけじゃない。
ハリウッドスターが日本にやって来て、映画の宣伝をする。
あれは、でも、日本だけじゃない。
終われば韓国に行き、香港に行き、シンガポールに行き、世界各国で映画の宣伝を重ねる。
とてもゆったりとした観光気分になれるようなスケジュールじゃない。
そういうことを世界の一流と呼ばれる人たちがやっている。
映画に出ました。芝居をしました。それだけでは、役者はダメなのだという事だ。
舞台だったら、演じているその日が終われば、全てが終わる。
映像は、演じた日々がはるか昔に通り過ぎてから、完成するのだから本来の仕事の後に、別の仕事があると思っているぐらいで間違いない。
「セブンガールズ」の撮影が終わって。編集に入った頃。
皆の中では一度撮影が終わって、まだ編集作業をしていることに、信じられないよぉなんて言われたりもした。
その時に、でも、皆にも、公開が決まれば宣伝とか頑張ってもらうことになるからね!と口にした。
その時は、まだざっくりとそうなんだなぁぐらいに思っていたかもしれない。
そこまで具体的に考えられるわけがないのだ。
本来の仕事である芝居は、舞台という形で次から次にやってくる。
その時その時、演じ続けなくてはいけないのだから。
セブンガールズの撮影から、舞台を4度も繰り返しているのだから。
演じるたびに、苦しんで、楽しんで、悩み続けたのだから。
公開が決まって。
告知が始まって。
そして、予告編の映像を観て。
いよいよ映画の公開が近づいた時。
ここで、皆の中で具体的になった。
今、プロモーションというのを役者の仕事として取り組まなくてはいけない。
そういう場所に立っていることに気付いた。
元々、このセブンガールズという映画は、全員で取り組んできたものだ。
舞台特有の演技的な癖を見直し、稽古を重ね、ロケ地を探し、セットに必要な廃品を集め。
スケジュールを組み、シナリオを分解して、衣装を用意して、小道具を自作して。
なんにもないロケ地にパンパン小屋を建てて、物干し台を立てて、トイレだって用意して。
全ての片付けまでやって、自分たちで、ロケ地の掃除までして。
それは、つまり、熱意そのものだった。
情熱だけで、本当に映画を創っちゃったよと、色々な人に言われた。
そういう映画が、セブンガールズだ。
撮影が終わって、抜け殻のようになっていた役者もたくさんいた。
今日、これから公開までの間。
もう一度、その熱意が。その情熱が。夢を現実にしていく力が。
全員で獲得していくものなんだという確認をした。
全員で協力して、全員でこの映画を少しでも多くの人に観てもらえるようにしていく。
今、決まっている映画館のキャパシティの何倍も何十倍も何百倍もの人たちに知らせていく。
例えそれがどんな形であったとしても。
役者の名前が看板にはならない無名だったとしても。
テレビ番組での番宣なんて出来ないとしても。
それでも、やれることはあるはずだと、全員で考える。
そういう事が始まった。
自分は突っ走ろうと思う。
こいつ、どこまでやる気だよと、思われるぐらいやろうと思う。
それが、この企画の第一歩を踏んだ責任だ。
ここで、人任せにするのは、自分の生き方に反する。
それを見て、こいつに任せておけばいいやという連中じゃないことは嫌というほど知っている。
こいつがここまでやるなら、自分は何が出来るだろう?そういう連中がたくさんいる。
だから、まずは突っ走る。
お前、やりすぎだろう・・と思われるぐらい徹底的に。
誰が頑張っても届かないぐらいまで、まずはやればいい。
それを指さして笑われるかもしれないなんて恐怖は無駄な恐怖だ。
意味がないかもしれないなんてのは、結局自分の中に生まれる幻のようなものだ。
そんなことを考えないでただただ取り組んでいけば、いずれいつの間にか一人で走っていないことに気付く。
撮影の時だってそうだったんだから。
色々な映画のHPを観に行くメンバーがいるだろう。
色々な映画の公式SNSを研究するメンバーがいるだろう。
色々な映画のヒットした原因を探すメンバーもいるかもしれない。
それはもうとっくに自分はやってきたことだけれど。
どんどん、そうやって、皆が参加してくる。
この数で、プロモーションに本気で取り組める映画なんてどこにもない。
すごいことが起きちゃうかもしれないよ。
セブンガールズとい映画は面白いよ。
そこにいる娼婦たちが手に手を取り合って、生きていくんだから。
そんな映画を、やっぱり、皆が手に手を取り合って、広めていく。
映画のテーマそのものだ。
ひとりぼっちじゃないし。
皆が、自分は何が出来るか。
そんなことを話し合った日が今日だった。