小劇場の世界にいると映画の世界のメディアの豊富さに羨ましさを覚える。
実際、Yahoo!ニュースのエンタメチャンネルの中に「映画」という項目すらある。
どこを探したって「演劇」という項目なんか見当たらないのに。
舞台で話題になるとすれば、大きなスポンサーが付いた広告代理店の入った舞台だけだ。
まぁ、それも、興行収入などの桁が違うのだから当たり前なのだけれど。
Yahoo!ニュースの映画チャンネルは、時々チェックするようにしている。
どういう記事があるのかなぁと、気にするようにしている。
驚くのは、ニュースを読み進めていると、特別大きな話題作ではなくてもニュースになっていることだ。
Yahoo!などのニュースチャンネルは、基本的にポータルサイトと言われる。
いわゆる、様々なニュース媒体のニュースを集めてきているサイトになる。
大手新聞社、スポーツ新聞社、雑誌、WEB媒体の契約社の数だけニュースが掲載される。
だから、どんな小さな映画だとしても、公開情報がどこかに掲載されれば、ポータルサイトにも掲載される。
もちろん、上位topicsに入らないと、いつの間にか消えていく多くの情報の一つになってしまうのだけれど。
基本的に大手映画会社の話題作は、物量作戦に近い作戦だ。
毎日のように舞台挨拶をして、様々な媒体で出演者がインタビューを受けて。
とにかく、数多くの記事を書いてもらうことで、どんどんニュースになって行く。
やはり短観上映などの映画だと、小さな記事が一つだけ掲載されて、あっという間にスクロールアウトしていく。
同じ内容の記事が、各新聞社、各スポーツ新聞社から出れば、その数だけ表示される仕組みだからだ。
でも、逆を言えば、アクセスが分散するからtopicsには上がりづらいんじゃないかなぁとは思う。
その部分は、内容の濃いインタビュー記事でフォローアップしている。
それは、決して偶然ではなくて、間違いなく間に広告代理店がいて、きちんと宣伝計画を立てている。
話題になった数だけ宣伝になり、宣伝になる数だけ、興行成績が伸び、それが食い扶持になる仕事なのだから当たり前だ。
宣伝がそうなのだから、当然、キャスティングも、話題性のある人物に集中していく。
人気があるキャストだけではなくて、話題になりやすいキャスティングというのもあると思う。
さすがに毎日なわけじゃないけれど。
Yahoo!ニュースの映画チャンネルを観ているだけでも傾向が見えてくるし、宣伝作戦も見えてくる。
前パブ、後パブ、何人の人間がどれだけ動いているのかわからないけれど、やはりすごいなぁと思う。
そういう映画に比べたら「Seven girls」は徒手空拳に近いのだから、ため息が漏れそうだ。
ただ、実際の動員記録などを観ると、実はそのニュースとまったく比例していないんだなぁという感想だ。
この広告費、うん千万使ってるんだよ…!なんて作品が実際にそれに見合った動員をしているわけではない。
実はとってもとってもそういう意味では難しい時代に突入しているようだ。
もちろん、どんな作品でも面白ければ、動員は伸びていく傾向にあるけれど。
ここで言っているのは、初動の話だ。
大量の宣伝をかけて、初動で躓くこともどうやらあるようなのだ。
きっと、広告代理店の営業さんは、胃袋がボロボロになっているんじゃないだろうか。
それほどまでに、緻密な宣伝活動をしているなぁと、おいらには見えるから。
今は、そんな広告の方程式のようなものが、なくなってしまった時代なのだと思う。
どんな天才プロデューサーでも、宣伝方法に関しては、計算が立たないんじゃないだろうか?
一番わかりやすいのはピコ太郎の「PPAP」だろうか?
それまではマニアの間でしか楽しまれなかったYoutube作品が、海外タレントのTweetで一気にメジャーになる。
あっという間に、再生回数が伸びていって、後追いでマスコミが取り上げる。
あれを予測できた人なんか恐らくどこにもいないんじゃないだろうか?
口コミというには余りにも大きな口コミだけれど、それは予測が効かない。
おいらは考える。
ちゃんと、本気で考えている。
もし、海外のどこかの映画祭でとりあげられたらとか。
何かが起きたその時に、確実に、どこかからは取材が来るだろう。
その時、きちんと、この映画の趣旨、どこが面白いのか、売りがどこなのか。
それを説明できなければ、埋もれていく小さな記事になってしまうんだよなと。
わかってるんだけれど。
それが捕らぬ狸の皮算用だという事は。
でも、準備しなくちゃだめだ。
例え、捕っていないとしても、捕獲してから計算するのでは遅い時代なんだ。
何がどんな化学変化を起こして、どんな風に広がるかもわからない時代。
その中で、大手の物量作戦なんか絶対に出来ない。
だとすれば、確実に、一つ一つのチャンスをものにしていくしかない。
例えば出演者のインタビューがたまたま決まったとしても、その出演者がどこまで自覚できるかだ。
何がきっかけになるのか、どうやって公開して行くのか。
まだまだ未定なことばかりだけれど。
どこかで話題になることは絶対に不可能ではない。
この映画は素晴らしいのだから、一人でも多くの人が足を運んでいただける方法を常に考えるべきだ。
そうすることが、きっと、その一人から始まる口コミのスタートになるからだ。
少なくても、演劇の何十倍もその入口がある。
信じられないほど恵まれた、メディア数がそこにある。
小劇場の世界にいるおいらからすれば、それは無限の可能性にしか見えない。