先週向かったカフェに足を延ばそうとする。
電源さえあれば、どこだってそこはスタジオになる。
ところが、先週開拓したばかりのカフェが今日は貸し切り営業だった。
慌てて、ちょっと探しましょうと、監督と少し歩く。
音環境は悪いけれど、カラオケボックスもあるし、その前に行ったカフェにも電源がある。
電源のある席さえ空いていればそこに向かいながら探した方が良い。
ふととある駅前にたどりつき、周りを見回す。
有名コーヒーショップと、有名ファミリーレストランが目に入る。
まさか、電源を借りれるわけはないけれど・・・と、思いつつ、聞いてみることにする。
監督はコーヒーショップに。おいらはファミレスに。
そして、そのファミレスに、驚いたことに電源があった。
それも、殆どの席に電源が用意されていて、使用している人もいる。
店員さんに確認してみると、もちろん、使って構わないという。
とても驚いた。
この町の電源のある場所一覧にも掲載されていなかった。
恐らく、多くのノマドな人たちもまだ気づいていないのではないだろうか?
大手チェーン店だけど、もちろん、電源のない店の方が多いはずだ。
それも、喫煙席だった。
先週までは、お洒落なカフェだった。
時間的にも、ホットワインか何かを、普通に飲んでいる人がいるような場所だ。
もちろん、電源を貸しているだけあって、店員さんが悪い顔をするようなことはないけれど。
先週開拓した貸し切りだったカフェなんて、監督とおいら以外は女性客しかいなかった。
テーブルキャンドルがゆらゆらゆれて、五穀米やらのおしゃれなプレートを皆楽しんでいた。
電源を貸してくれるようなカフェはもうそういうところしかないだろうと思った。
いくつかの有名コーヒーショップにも電源はあるけれど、いつ行っても、そこは埋まっている。
スマホの充電でどのコンセントも埋まっているのが当然だと思っていた。
それが、まさかの、ファミレスだった。
皆様は知っているだろうか?
ファミレスで数々の文化が生まれていることを。
漫画家がネームを書き、小説家が小説を書き、作家が台本やシナリオを書いていることを。
芸人たちがネタ打ち合わせを、ファミレスでしていることを。
ファミリーユースのレストランだけれど、同時に、そういう場所でもあるのだ。
そして、ファミレス側もそれを知っていて、ちゃんと準備してくれている。
だから、電源まであるファミレスがあるのだろう。
考えてみれば、ドリンクバイキングだって、制限時間がないことだって。
当然だけど、どんなふうに利用されているのか全てリサーチされているということだ。
驚いたことに、おしゃれなカフェよりもずっと、集中して作業に取り組めた。
広いテーブル、灰皿、明るめの照明、ドリンク、そして誰も他人に興味を持たないあの感じ。
まったくの盲点だった・・・。
でもお店のどこにも、電源について書かれていない。
当然看板にすらない。
だから、積極的に、アピールしているわけではないのだろうなぁ・・・。
快適だったからなのか、編集も短い時間にしては大きく進んだ。
大きくと言っても、たかだか8分ぐらいだけれど・・・。
とは言え、1時間をついに超えたし、シーン数でいえば、十分すぎるほど進展した。
一瞬、どうするか悩む場面もあったけれど、アイデアもすぐに出てきた。
舞台ではなかったクダリがいくつか用意されている。
そのいくつかが、大きな意味を持ち始めている。
物語の連鎖の仕方も、スムーズになってきた。
もちろん、まだ物語は転がっていく。
起承転結の「承」なのだ。
テンポよく、そして、微妙に物語が混ざりながら連鎖していく。
この流れから、「転」に行けたら。
想定では、最初は物語についてこれないお客様もこのぐらいには既に物語の中に入っている状態のはず・・・。
そういう想定で、編集している。
その為の仕掛けも細かくしてあるのだから。
帰宅して、今日の整理をしようかと思ったけれど、今日はやめた。
明日は編集がないから、冷静になった明日の方が良いだろう。
まぁ、明日は優先順位的にその前にやることが山押しだけれど。
撮影もそうだけれど。
場所は大きな影響力を持つ。
編集場所がどこだったかで、やっぱり、結果が少しずつ変わってくるのだ。
そういうことを強く感じた。
確実にクライマックスに近づいて行っている。