2017年07月01日

フライングV

昼過ぎにメールが入る。
読むと、2~3GBの字幕入り映像データの作成依頼。

昨晩懸念していたことが現実になっていた。
150GBものファイルをネットで転送できるわけがない。
その場合、自分でなんとかしますよーと言っていたけれど。
比較的最新のコーデック、DNxHR HQXのQuicktime形式。
再生できないままなら、QTでのエンコードが出来ないはずだ。
無料でコーデックを配布しているURLは送ったけれど、少しだけ不安が残っていた。

急遽、用事を済ませて帰宅。
本日中にデータを送信したいというのは知っている。
時刻的には時差で余裕がありそうだけれど、じゃあ何時まで海外担当さんが会社にいるんだ?という部分もある。
駅まで走って電車に飛び乗って、駅から走って帰る。移動に1時間と少し。
そこから、データの書き出しに2時間弱。
更に、そのファイルを、ネットのファイル便にアップロードするのに1時間弱。
どう考えても、4時間はその工程に掛かるのだ。
もちろん、海外担当は、そこから更にデータ納品に時間がかかるはずだ。
それぞれ、どこかでトラブルがあれば、それぞれの時間が倍になる。

ヒリつきながら、作業を重ねていく。
書き出しだけ2回することになったけれど、なんとか、21時前には、納品できた。
よし!任務完了!

直後、ツイートと同時に加藤Pから電話。
字幕の付いた映像を確認しての連絡。
字幕が付くと、まさに海外で観る日本映画になる。
それがあまりにもはまっていて、かっこいい。
めっちゃかっこいいですねぇ!なんて電話口の声。
そして、無事送信したことも教えてくださった。

ツイートを見て、驚く。
なんと、ハッキリと「ヴェネツィアに送信」と書いている!?
舞台が終わって、それから毎日再編集から字幕付きの映像製作に走っていたのは。
その〆切が今日だったからだ。
ただ、基本的に海外プロモーション用に・・・とだけ言っていたので、ビックリした。
さすがプロデューサー!!
確かにこの企画は、何かを隠すような企画ではない。
エントリーすることを堂々と言っていい企画だ。
殆どの映画は、映画祭にエントリーしたことを書かない。
なぜなら、エントリーして、ノミネートされなければ恥ずかしいからだ。
でも、この企画は・・・この映画は・・・元々、何もない所から生まれたのだ。
なんにも恥ずかしいことなんかないし、気取るような企画ではないのだ。
むしろ、かっこつけちゃったら、アウトとすら思っている。

役者たちはちょっと面食らっているかもしれない。
どこまで言っていいのか、いつ発表するのか、何を言っちゃいけないのか。
そういう話もしていたから。
それが、まさか、プロデューサー本人が、しかも映画の1コマまで公開したのだから。
きっと、驚いているだろうなぁ。
エントリーしたことは、堂々と言っていいのだ!

先日の舞台の終幕のあいさつで、2日目からだけど、おいらは謝罪をした。
「カンヌ国際映画祭、ノミネートされずにすみませんでした」と。
後ろにいた役者たちもお客様も、思わず噴き出した。
そしてそのあと。
「これに懲りずに、ヴェネツィア国際映画祭を目指しますので、応援をお願いします!」と言うと。
笑い声と拍手がおいらの耳に聞こえてきた。
まるで、冗談みたいに、嘘だか本当だかわからないような顔で言った。
でも、その後ろで、女優の一人はお客様に言いたかったんだそうだ。
「いやいや!この人、本気ですからね!本気なんですよーーー!」と。
どんな顔で、あんなに本当のことが言えるんだろうと後ろから見て思っていたらしい。

結果の正式な発表は毎年7月の20日前後ですよ。
皆様、どうぞ、一緒に祈っていてください。
届きます。間違いなく。

GMT+2のイタリア。GMT+9の日本とは7時間の時差がある。
ギリギリの時間に送っているようで、実は生活時間帯に届いている。
地球が広い証拠さ。

一足先に、日本は上半期を終えた。
いよいよ、運命の下半期がはじまる。

加藤Pに一本のメールを送って始まったこの企画。
まだクラウドファンディングを始める前だった。
あのメールからはじまった。
本当にどこまでやるんだろう?
・・・というところまでやるつもりだ。
チャップリンの時代まで遡らないと、役者でここまで経験している人なんていないだろう。

さあ。
新しい一歩だ。
2017年の後半が始まる。
打倒STARWARSだ!
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 01:10| Comment(0) | 編集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月29日

データチェック

帰宅して、書き出しエラーがないかチェックしていく。
書き出したファイルを編集ソフトに読み込んで、プロパティを確認。
ここでエラーが起きていたら、問題点を洗い出して、再度書き出しになる。
問題なし。

3つのファイルをそれぞれシーケンサーに並べて、確認していく。
字幕のタイミング、カットした部分の確認、その他、おこりうるミスの全て。
観ているうちに、冷や汗が出てくる。
ちょっと、信じられないけれど。
この3つのファイル、どれも、問題ないのだ。
1つの字幕ファイルを切り貼りして、3つの納品データを作成、その上、書き出しをする。
この作業を間違いなく、昨晩、ダウンロードしながら、やったのか・・・。
作業量を考えるととても信じられない。
どれだけスピーディーにやったら、出来るんだよという、感じ。
ピンチになったから、逆に、思考を無駄に使用せず、作業に没頭したのだろう。
普段だったら、編集中に映像に見入ってしまうようなことも、瞬間すらなかった。
書き出しエラーだけではなく、編集エラーもない。

一つだけ。
編集したほうの字幕で、接続詞が多分、おかしい部分だけあった。
まぁ、セリフとセリフの間をカットしてしまっているからしかたがない。
何に掛かっているBUTなんだろう?って思ったけれど。
この辺は、もう仕方がないのだと割り切るほかはない。

ファイルの変換など技術的な部分で最後にトラブルがあったけれど。
そんなことは実はたいした問題点ではない。
一番大事なことは、この「英語字幕」そのものの仕上がりなのだ。
英訳ではない。英語台本。
デビッド・宮原、特有の言語感覚、ギャグ、詩的センス。そしてリズム。
そういうものを、どうやって英文にしていくのか。
おいらは何よりも、そここそ重要だと思っていて。
知り合いのバイリンガルに頼むのではなく、字幕製作会社に頼んだのはそこを重要視したからだ。
海外で観た時に、それがただの直訳では実際意味がない。
どんなにすばらしいセリフだって、日本語がわからない人には字幕しか頼りにならないのだから。
おいらは、テーマ曲の歌詞の英文を見て、その選択に感動をした。
もうそれだけで、信頼した。
「sing a single note」という語感のリズムに、心から感心した。
すばらしい、英語字幕をつけてくださった。
技術的に整合させるのは、なあに、おいらの仕事でいいのだ。

海外に持っていけば、当然、言葉の壁が立ちはだかる。
字幕が多ければ、映像に没頭しづらくなるから、いかにシンプルにするのかもカギになる。
その上、言語圏が違う国もあって、イタリア語、ドイツ語、ポルトガル語、スペイン語・・・
英語から別の字幕を重ねる場合だってあるのだ。
伝言ゲームのように、ニュアンスが少しずつ変わっていってしまうかもしれない。
そうなると、オリヂナルとどんどん乖離していってしまう。
おいらは、デビッド・宮原という人は、とても作家性の強い監督だと思っている。
それは、映像作家、演出家という成分が少ないとか、ないとか、そういう意味ではなく。
言語を操る作家性こそ、一番の武器にしている作家だと思っている。
言葉の持つ強弱、軽重、音楽性を、巧みに組み上げていく感覚が、一番の武器だ。

時々海外の映画を観ていて、これは字幕いらないよ・・・という時がある。
基本的にあまり字幕を気にしないように観ているけれど。
役者が「ヤー」なんて言ってる時に、字幕で「うん」なんて出ていると。
それは、わかるよ。表示されると目が動くから、いらないんだよって思ったりするのだ。
「Fack you」を「クソヤロウ」なんて、必要だろうか?
だから、そういう部分も気になっていたのだけれど、簡単な返事や、相槌は字幕化していなかった。
おいらは英語圏の人間じゃないけど、やっぱり、「うん」は英語にしなくてもわかるはずだと思う。
字幕が映画の補助なのか、主役になってしまうのか、邪魔になるのか。
その線引きで、きっと、字幕製作は戦っている。
とても、誠実な仕事をしていただいたなぁと、感謝している。

さて。
納品だ。
これを持っていく。
このデータを。

ネット経由だから飛行機に乗るわけじゃないけれど。
比喩的に言えば、空を飛ぶのだ。
海を越える。
字幕は、まるで、翼だ。
言語という壁をいとも簡単に乗り越えて、作品を海外に運んでいく。

その翼には。
おいらの両肩に乗っている全ての思いを運ぶ力強さがある。
翼を広げる時が来たよ。
今までのマーケットに持っていった作品とは違う。
仮編集状態だったのだから。
今度は完全版なのだから。

飛べ。
どこまでも。
飛べ。
高く。

パンパンたちを世界中に運んでおくれ。
夢のような物語がはじまっている。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 09:04| Comment(0) | 編集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月28日

字幕映像製作顛末

字幕製作会社までデータの入ったHDDを受け取りに行く。
宅配便で届けてもらうほど時間は残されていない。
かと言って、ネットでダウンロードできるような小さなファイルでもない。
オリジナル版に字幕の付いた映画を受け取って、更にそれを、再編集したA版、B版に変換しなくてはならない。
変換後に書き出して、ようやく納品だけれど、納品がもう目の前なのだ。

帰宅してすぐにデータを読み込む。
そして内容確認・・・。
・・・あれ?
何かがおかしい。
少しだけ、声と字幕がずれているような微妙な感覚。
後ろの方まで進んでみてみると、ありえないほど、字幕と映像がずれている。

とっさに、字幕製作会社に電話をかける。
確認をお願いします!と伝える。

通常なら有り得ないケアレスミスが発覚。
なんと、字幕のフレームレートがあっていなかった…。
それに、通常ならデータ作成後再生して確認をするはずなのに・・・。
なぜか、確認もしていない。
急かしてしまった悪い面が出た。
映像が23.976コマ/秒なのにたいして、字幕は24コマ/秒。
後半に行くにつれて、どんどん、字幕がずれていく。
字幕と映像が切り離れたデータなら、まだ調整も可能だったけれど、焼き込んでいる。

万事休す。
完全にスケジュール的に間に合わない。
え?こんなことで、断念するのか??

平謝りの担当さんは、深夜でもおいらの家まで新しいデータの入ったHDDを持ってくると言い出す。
さすがに、それは断った。
それを待ってからの作業というのも流石に厳しいし、何時になるかもわからない。
とにかく、こうなったら、翌日作業しかない。
・・・とは言え、書き出しにかかる時間を考えるとかなり厳しい・・・。

かなり、くじけそうになる。
針でつつかれたら、子供みたいに泣いちゃいそうな精神状態。
担当さんは何度も謝ってくださるし、映画を観て褒めてくださったし、責める気はない。
そこで、担当さんから2つのアイデアが出る。
とにかく、データの修正版をなるはやで作って、翌日の午前に渡す案と。
字幕だけの映像データであれば、多少軽くなるからデータを分割してネットで送るというもの。
どちらが良いでしょうか?という問いかけに、おいらは、即答した。
両方の可能性を追わせてください!
字幕だけの映像データもください。
でも、納品データも同時に作成してください。
両方であれば、仮に字幕だけのデータをもらって、難しくても、その時にまた考えられる。
わかりましたという回答。

まず、サンプルで冒頭5分のみの字幕データが届く。
それを取り込んで、映像に重ねる。
セリフとずれがないかの確認をして、担当さんではなくスタジオに電話。
字幕データの付け方や、やり方を教えてくださるという話だったけれど・・・
技術の人と話をしたら、その時だけ、ようやく少し頭にきた。
そんなの教わる必要もないぐらいのことだし、君たちは教えてあげたいようなケアレスミスをしたのだぞ。
担当さんと違って、少しぞんざいな話し方にピリッとした。
なめんじゃねぇ。小僧。
どんなギリギリでも、こっちは命懸けで取り組んでるんだ。

おいらの両肩に乗っているのは、一体、何人の夢だろう?
支援をしてくださった200人を超える皆様のあたたかい声。
共演した約30人の役者たち。その家族。
そして、同じぐらいの人数のこの映画に関わってくださったスタッフさん、営業さんたち。
その全ての人たちの、様々な思いが、夢が、希望が、両肩にのしかかっている。
どうにもできないけれど、どうにかするに決まってる。
出来ないじゃなくて、やる。

分割されたデータが保管してあるアドレスが届いた。
1つダウンロードして、編集に入る。
一番効率の良いタイムコードを利用したやり方を独自にどんどん探していく。
作業効率が上がるように、スペースのカスタマイズもしていく。
3つめのダウンロードの時には、すでに、作業効率はダウンロードのスピードを越えた。
だから、そのまま、A案、B案、両方の編集を始める。
データをダウンロードしている間に、2つ編集を同時進行で進めるほかはない。

全てのデータをダウンロードして、全ての編集が終わった。
そのまま、データを保存して、PCを一度、再起動。
メモリ空間を綺麗にしてから、再度立ち上げて、今、ようやく書き出しに入った。
字幕ありのA案、字幕ありのB案、字幕ありのオリジナル版。
字幕なしのオリジナル版はすでにあるから、この3つの書き出し命令をした。
1つのファイル当たり、2時間強。
書き出しエラーが発生しない限り、翌日の夜には、納品データが出来上がっている計算だ。
HDDの容量に間に合う計算にしてある。

間に合った。
間に合ってるけど。
こんな時間か・・・。
一時はどうなることやらと思ったけど。
なんとか乗り切ったはずだ。
そう願っている。

安心したら、なぜか、一滴だけ涙が出てきた。
綱渡りだ。
いや、綱ほど太くなかった。糸渡りだ。

あとは、PCに任せるほかはない。
頼むぜ、相棒。
チンチンに熱くなってるお前だけが、今は頼りだ。
おいらの両肩には、それだけの、思いがのしかかっているんだ。

大声が出したいのに。
早朝じゃないか。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 05:01| Comment(0) | 編集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする