2016年10月21日

美術設営4日目

ほぼ美術が組みあがっているから、ご褒美でいつもより遅い入り時間。
とは言え、朝、まだ誰も来る前からロケ地に行く。
同じぐらいについたメンバーに窓を開けるのをお願いする。

ほぼ先が見えた段階で、裏導線の片付けに入る。
そして、早い段階でここまで来れた分、こだわりの部分に入っていく。
見切れを隠し、外観にもこだわり、小道具を配置して、汚しも入れていく。
低予算だけど、うん千万円の美術を組むんだ!と言っていたけれど。
美術スタッフさんも、これは、数千万の映画のセットですよ・・・と言ってくださる。
女優陣には、もう手を出さないでいいよ。練習していいよと伝える。
男性陣も、もうそこまでの力仕事は残っていない。

汚しまで入れた美術セットに実は感動している。
でも、ここからさらにこだわりが入るし、翌日は、美術の確認も入る。
そこで、また家具や道具の置き場が変わっていくだろう。
直しも入るかもしれない。
そこまで行って、はれて、この映画のセットが完成するのだ。

女優陣が音楽を鳴らして、踊り始めた。
稽古場の平らなフロアリングの上で練習してきたダンス。
それが、パンパン小屋の前で、客に向かって踊るダンスになる。
地面には勾配があって、決して踊りやすい環境ではない。
当然、稽古場のように広くスペースを使うこともできない。
カメラアングルが決まれば、勝手に踊る範囲を変えることもできない。
足元が安定していない分、踊りが小さくなっているのがわかる。
今日、ダンスを出来た女優陣は良いけれど・・・きっと苦労するだろう。
二日間のリハーサル予定日は監督が来て演出もする。
自主稽古のつもりだったけれど、監督が来てくれるなら、当然、そちらが優先だ。
踊る時間が必ずあるとは言い切れない。
今、ダンスしておくことは大きな大きなアドバンテージになるだろう。
本番までダンスの練習時間があるかどうかなんか今の時点ではわからない。
役者たちは、そして、芝居に集中していきたくなるだろうし。

作業はほぼ終了している。
もうやることもないから、ばれていいよと一言。
それぞれ家路につく。
一人、ロケ地に残って、立ち上がったパンパン小屋に向かう。
シナリオを開いて、まず自分のシーンを読み込む。
時間が出来たら必ずやろうと思っていたこと。
ロケ地の、あの部屋でシナリオを読み込むという作業。
その場の空気、その場の持つ力、その場の距離感。
それをたっぷりと感じながら、夜、一人での稽古。
最高に贅沢な時間。
劇場でも、人より早く劇場入りして、そういう時間を必ず作ってきた。

ふと、足音が聞こえる。
女優が二人、戻ってきた。
やっぱり、稽古しようかと思って・・・と。
一人の贅沢な時間だけど、別に邪魔でも何でもない。
相手役と確認することだってある。
三人で、シナリオを片手に、芝居の確認をしていた。
セリフを口にしたり、戸を開けてみたり。
必要な小道具を思い出してみたり。
ここは、全員のロケ地なのだ。
贅沢においら一人で、少しでも満喫できたのだから十分だった。

翌日総仕上げが終われば稽古になる。
稽古になれば、監督中心に動くことになる。
自分で気持ちを入れて行ったり、人物像を固めて行ったり。
そういう作業は、自分でみつけていかないといけない。
本当の勝負は、ここからだ。
思う存分、演じ切る。成瀬凛太朗を生きる。
そこだけを目指す。
そういう段階が近づいてきている。

あと3日。
もう、すでに、役者モードにスイッチを入れている。
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2016年10月22日

美術設営最終日

ほぼ美術は上がっている。
周囲を回って、ここ気になるなぁというところをひとつづつ潰す。
既に拘りの世界に入っている。

これでもかと潰していって、ある程度、片付いた瞬間。
もちろん、許可を仰いでから。
おいらは、大きな声で叫んだ。

「男、役者モード解禁で!」

これまで付けていた軍手を脱ぎ捨て、作業着を脱ぎ捨てて。
おいらたちは、一気にセットに立つ。
頭から出来るシーンやるぞ!という声と共に、芝居をどんどんやる。
稽古場とは違う空間。無対象だったはずの扉や襖。
想定していた場所に想定していた物がないこと。
やってみて、わかることが山ほど出てくる。
でも、明日からはそうはいかない。
やってみて、わかることというレベルではなく。
やりながら、対応できることが、役者だ。
当然、やれるべきだし、それがプロの現場だ。

地震の影響で、遅れて美術のチーフが到着。
皆が稽古をしている中、おいらは抜ける。
セットを一つ一つ確認してもらう。
幸い、図面通り、イメージ通りの美術で、直しも少なかった。
いいんじゃないですか?と笑顔で言うけれど。
その笑顔が怖い怖い。
美術を見回ってチェックが終わったころ。
役者はほとんどいなくなっていた。

昨日残った三人で、芝居の稽古。
セットの中での贅沢な稽古と確認。
その空間に本当なら1~2泊するぐらいのほうが生活臭もでる。
二人が帰ると、真っ暗なパンパン小屋に一人。
幽霊が怖いなんて人には耐えられないような空間だろうけれど、幸い、おいらは一切気にならない。
今、まさに、この立派すぎる映画セットを占有している。

台本を端から、演じていく。
演じている途中に連絡の電話が入り、全員にメールを送る。
メールを送ってから、再度、また台本に集中する。
ちょっとセットをいじったりもする。
おいらは、この時代のここに居候していると、自分の無意識に刷り込んでいく。

翌日翌々日の二日間は稽古日と予定していた。
それは、演出の再確認を現場でやりたいと思っていたからだ。
なぜなら、おいらたちは舞台をやってきたからだ。
舞台人は、意地でもリハーサルをやる。
それは、場当たりであったり、ゲネプロであったりだ。
舞台に実際に立っての稽古時間をきちんと設けるのだ。
監督は打ち合わせで来れない可能性があるけれど、それでも稽古は必要だと思っていた。
それが、まず、監督が来ることになった。
まだ足りていない演出をしたいと言っていた。
それが、今日になって、助監督も、撮影監督も来ることになった。
つまり、これは、カメリハのリハのような稽古になるということだ。
もう、自分たちで確認のための稽古をする時間は残っていないと確定した。
明日は、すでに、撮影本番同様の稽古をしなくてはいけないということだ。

覚悟しなければいけない。

なぜなら。
おいらたちは、まずスタッフさんに芝居を観てもらうからだ。
その芝居を観て、アングルを決めたり、カット割りを変えたりもある。
このリハーサルで、実際の映像のほとんどが決まっていく。
そして、この芝居をもっとよくみせたい!と思ってもらえることが出来たのなら。
それは、現場の空気になっていくのだから。
おいらたちはやらなくてはいけない。

この2日の稽古が終われば、もう本番しかない。
舞台と違って、チャンスは1度しかない。
だとすれば、明日、明後日は、舞台本番の3日目ぐらいの出来じゃないとだめだ。
もう、この芝居は何も言われなくてもわかる。
そういう自信をもって挑まなくてはいけない。

野郎ども。
役者解禁だ。
今日稽古した役者たちはそのイメージを掴めただろうか?

待ったなしだ。
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2016年11月27日

最終撮影前夜

最終の撮影。
明日の天気が気がかり。
予報では、曇天でにわか雨もあるかないか。
なんとなく、降らないんだろうなぁとは思っているけれど・・・。
衣装もPCも持っていくから余計に気になる。

撮影開始時刻の1時間前に集合にした。
メイクや衣装の準備がある。
全部準備して現地集合でいいんじゃないかという意見もあったけれど。
女優はまだしも、男は厳しい。
そもそも、家でメイクもできないし、雨が降ったら現地でもできない。
やはり事前に集まって、どこかで準備をした方が確実だ。
荷物が多い人間もいる。

おいらもその時間に集合する予定だったけれど・・・。
その前の撮影のスタッフ集合時間に行くことになった。
余り大人数になるのは困ると思うんだけれどなぁ。
まぁ、行くだけ行って、邪魔なようならすっと消えてしまう予定。
その分、皆より早い時間になっちゃうけど、まぁ、時間的余裕は出来るのかなぁ。
まぁ、行くしかない。

撮影した分は、その日のうちにデータをくれるという。
HDDにコピーすることになる。
おいらも、一応、だからPCを持っていくことにした。
HDDのフォーマット次第だけれど、PCに転送可能ならバックアップが一つ増える。
その上、すぐにでも、編集に取り込むこともできるのだ。
だったらやっぱり、PCを持って行った方が良いだろう。
どちらかのHDDがクラッシュしたらと考えると冷や冷やするしね。
ただ、おいらのwinだからなぁ。HDDのフォーマット気になるなぁ。

今日は、明日の撮影と、テーマ曲のRECの連絡などなど。
様々な連絡が交差する日だった。
一体、何人の人と連絡を取ったんだろう?
ロケ地撮影前も確かにそうだった。
監督との編集が出来ない日で良かったかもしれない。
隙間を観て、母親の顔も見に行けた。

ああ、明日で自分の撮影も終わる。
この映画の撮影がついにクランクアップするのだ。
午前中だけで終わってしまうのだとしても、やけに感慨深い。
まだ編集も終わっていないのに感慨深くなってどうする!
けれど、アフレコを除けば、役者小野寺隆一の仕事は終わるってことだもんな。

気付けば11月最後の日曜日。
師走ももう間近だ。

信じられないスピードで2016年が過ぎていく。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 00:00| Comment(0) | 撮影準備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする