音楽監督から更新データが届いた。
昨日の問題点を洗い出す前だったから一つ一つ貼りなおす。
監督の編集点に即した音源に代わっていく。
やはり、編集しながらの音声は昨日とは違う。
昨日は埋もれていた音声が、編集時は聞き取れる。
Mpeg2に書き出したときに、2mixされるから、倍音の少ない音は埋もれていく。
それはわかっていたし、かつ、Mpeg2の場合音声はMP3に変換されることもわかっていた。
だから、ある程度、音声が劣化するのはわかっていたけれど、あそこまでバランスが崩れると気になった。
バンドでレコーディングしていた頃のヘッドフォンを探し出し、試しに聞いてみる。
これは、レコーディング用だから、基本的に鳴っているすべての音をそのまま聞かせるように設計されている。
いわゆるモニタヘッドフォンというやつだ。
当時、レコーディングデータを聴き比べるために、ある程度のものを購入してあった。
普通に音楽を聴くためのヘッドフォンではなくて、あくまでもモニタ用。
再生環境で、どれだけ変わるのか試してみたかった。
PCに接続して、ヘッドフォンで聴いた時に、衝撃を受けた。
まるっきり、セリフが埋もれていたのだ。
こんなに、音声が奥に引っ込んでいたなんて全く知らなかった。
定位や、ゲイン、音圧などなど。
それは、整音まで触るべきじゃないなと、あえて触らないで来たのだけれど。
実際になっている音はこんなに、奥まっていたのだ。
作業中に着けていた、ヘッドセット、イヤフォンに差し替えて聴いてみるとセリフが前に出てくる。
つまり、そういう調整がされているのだ。
ヘッドセットは、マイクもついているテレビ電話などに使用するものだから、人間の音声の周波数帯を持ち上げているのだ。
そして、イヤフォンは、ウォークマンに付属していたノイズキャンセル付きのわりに高機能なものなのだけれど。
周囲のノイズをキャンセルするだけではなく、圧縮された音源をクリアにするように音像も整えていたのがわかった。
正直、ヘッドフォンの違いぐらいならと、どこか舐めていたのだけれど。
モニタヘッドフォンの大事さをここにきて思い知った。
場合によってはPCのサウンドカードも、イコライザで自動的に調整をかけている場合があるだろう。
こうなってくると、やはり、音声をある程度整えていかなくては、どうにもならないと思う。
今まで聞いていた音は、自動的に持ち上げてくれていた音だったのだから。
発声のしっかりしていない俳優の声ほど、奥に奥に埋もれているのがすぐにわかった。
これでは、まずい。
来週頭に、シナリオと書き出した映像を、字幕製作に納品する。
字幕が付けば、海外映画祭へのエントリーが待っている。
そのエントリーまでには少なくても、音声をある程度まとめておきたい。
KORNさんのスタジオに入る前に、ざっくりとでいいから整音をお願いすることも出来るのだろうか?
忙しいから難しいと言われたら、おいらがやっていくしかない。
マイクごとにゲインが違うのをおいらが調整するというのは、非常に、大変だと思うのだけれど・・・。
落ち着け落ち着け。
やれるだけやるしかない。
むしろ、モニタヘッドフォンが家にあるっていうのがすごいじゃないか。
そんな家、なかなかないんだから。
これで、モニタしながら調整すれば出来ないはずがない。
夜が明ければ、舞台の反省会だけれど。
その前に編集が入る。
反省会の進行次第では、おいらは抜けて、編集作業を続けることになるだろう。
そのぐらい差し迫っているから。
タイミング次第で、音楽監督も稽古場に来てくれるとのことだ。
監督との話もあるだろうし、そこはやはり進めないといけない。
世界には、たくさんの映画祭がある。
その映画祭ごとにディレクターがいて、素晴らしい作品を探している。
完パケ品を見せられたら一番なのだろうけれど、大抵は編集過程の映像だという。
だから、途中だからと言って、仕方ないとはならない。
出来ることを出来るだけ詰めていく。
それしかない。