稽古場に向かう。
諸々準備して監督到着と共に今日はミーティングを主に。
横浜に向けて何が出来るのか。
新しい展開はどんな可能性があるのか。
セブンガールズは、そうやっていつも最終的にオープンに話し合う。
意見は拾い集めていく。
全てに耳を傾けて、どこかに偏らないように注意深く。
結局、最終的にはいつだって、頑張ろう!で終わるのだけれど。
手間のかかること、面倒なこと、それを結局どこまで楽しめるのかなのかもしれない。
考えてみれば映画製作やら舞台制作やら、まぁ面倒なことに真剣に取り組んできた集団だから。
楽しみ方は知っている。
笑っちゃえばいいとわかってる。
ミーティングが終わってすぐに別の作業に入る。
短い時間だったけど、あっという間に皆がケラケラ笑いだす。
さっきまで真剣な顔をしていても瞬間に切り替わる。
いつものように近くの店に呑みに行こうかと思っていたけれど。
どうせならと先日下北沢に来てくださった居酒屋にふらりと立ち寄ることにした。
カメラを止めるな!に近い方々が足を運ぶ店でポスターなどが貼ってあるらしい。
お客様のツイートでそんなお店があると知っていたのだけれど、そちらの店長さんが足を運んでくださった。
まぁ、お忍びであとで写真でも載せて、実は行ってた的な漠然とした計画。
カメラを止めるな!を観た面子で、そこで飲むのも面白いだろうぐらいの軽い気持ちで。
席について最初のオーダーで店長さんにあっさりとばれてしまった。
不覚。そういうつもりじゃなかったので少し焦ったけれど。
たまたま日本アカデミー賞優秀賞を受賞された録音部のスタッフさんと。
シネマロサで3月に上映する、さらば大戦士トゥギャザーVの監督さんとスタッフさんがいらっしゃった。
期せずしてミニシアター3作品の、監督、キャスト、スタッフさんが揃うという。
数年かけて映画製作してようやく公開にこぎつけた映画監督。
素晴らしいなぁと嬉しくなった。
録音部のスタッフさんはベテランさんで経験豊富だから様々な体験談が出てくる。
ミニシアターの世界にも横の繋がりがあるという話は興味深かった。
カメラを止めるな!の上田愼一郎監督とずっと一緒にやって来たんですよと。
お互い切磋琢磨して、作品を産み出している。
片やそれが大ヒットに繋がり、片や刺激を受けて初公開に向かう。
面白いから、色々と聞いてみた。
公開に向かってどんなことをしているのか。
どんな映像を撮影していきたいのか?
劇場映画の監督になっていきたいのか?
酒の席だから、あまり遠慮するのもつまらない。
折角、交流するならどんどん話を聞いた。
自分よりも一回りも年齢が下の映画監督が夢を持っているということに酔った。
当たり前だけれど、当たり前じゃない。
聞けば、鐘を打ったように返ってくる。
そしてそこにスタッフさんの言葉も乗ってくる。
気付けば、ベテランスタッフさんが一番真剣な顔で話していたりする。
なんだか、演劇畑の懐かしい空気を吸っているような気分だった。
無名の舞台俳優でしかないけれど。
同じ創作に向かっている人の言葉は刺激的だ。
帰り道。
出会いという刺激と。
今日話したことについてポツポツと考え始める。
さて、どこから手を付けていくか。
何の計画を立てていくのか。
皆が思っている数倍のスピード感で対応していかなくちゃいけないんだろうなぁと思う。
少なからず予定を組まなくちゃいけない案件が増えた。
情熱は裏切らない。
そんな言葉が自分の口からついて出た。
それがどんな結果やどんな答えだとしても。
望んだような結果が出なかったとしても。
その情熱は必ず何かを自分にくれる。
なんにもならなかったと思えたとしても、目を凝らせばわかる。
今はわからなかったとしても、いつかわかる。
情熱が裏切るわけがないのだ。
カメラを止めるな!のヒットを自分なりに考えたり、遠くから眺めていたけれど。
この近い距離感でそれを感じていた人たちに触れたことは想像以上に大きい経験になった。
面白い。
とっても面白い。
何年もかけて公開まで進んだ情熱は絶対に何かを残しますよ!と力説した自分は。
もしかしたら自分に向かって言っていたのかもしれない。
ミーティングの内容を反芻しながら。
話半分で出たような冗談のような企画まで頭の中で整理した。
事務的で整然と淡々と整理しなくちゃいけないのだけれど。
実際には自分の中にもっともっと熱い情熱があるんだなぁと自覚せざるを得なかった。
ベテランスタッフさんがチラシを観て驚いていた。
この時代の空気を良く作ってる!と。
全部、自分たちで創ったんですよ、と伝えるとそれには驚愕していた。
若い監督から「DIY的な!」と声が出た時、ちょっと答えるのに窮した。
DIYなんてレベルじゃないからだ。
でも、そんなことを話してもきっと、信じてもらえない。
床から、柱から、全部作っただなんて。
同じことだ。
床から、柱から、全部作るだけさ。
あらん限りの情熱を込めて。
誰にも信じてもらえないようなことを。