2019年02月14日

公開57日目

冬らしい寒い日
ついに第二週の後半が始まった。
自分たちにとっては57日目でも初めてのお客様もいらっしゃる。
自分たちに出来ることは心一杯でお出迎えさせていただくことだ。

下北沢に移動する。
監督登壇の日だから打ち合わせは途中参加でいいだろうと食事を摂ってから移動する。
監督も対談イベントになってからもうかなりの数の登壇をしているから流れが体に入っている。
それでも打ち合わせには遅れても行くようにしている。
メンバーだけで打ち合わせている内容に別の角度を一つ二つ提案できることもあるからだ。

いつものように会場に移動する。
下北沢に来るのが残り3回だなんて思えない。
いつも舞台をしている街は、やっぱりいつもの下北沢だった。
寒波にもどうやら都内に住む人が慣れてきた。
来たばかりの頃は皆、下を向いて速足だったのに。
あっという間に人の体は変化に対応していく。

普段劇団で演出助手をしている二人と監督が登壇する。
テーマは演出論。
演出というと殆どの人がイメージしているのは、展開を考えたりすることだ。
ここで照明が入って、音が流れて、ダンスが始まる・・・そんな展開を考える事。
だから例えば、花火大会の演出だとか、結婚式の演出だとか。
映画や演劇の評論家すら、演出とはそういう意味だと認識して評論をしている。
けれど実際の現場では「演出」という言葉は別の意味を持つ事の方が多い。
演者から「演技を引き出す」という意味で、演出という言葉を使う場面の方が圧倒的に多い。
それに、そこにかける時間が一番長い。
ただ、そこで怒って!では演出にならない。
そこで怒るために必要な心の流れや、役者の感情の道筋まで作っていく。
そういう細かい作業こそ、現場でいう所の演出だったりする。

実際に映画に向けて準備期間のリハーサル中のファイルを持ってきていた。
シナリオやシーン表、その時の衣装や必要な小道具、外か中か、昼か夜か。出演する役まで。
そこにメモや重要なことが書かれているファイル。
ファイルを開くと、お客様も興味深そうに覗いていた。
そこから用意したのだ。
そしてその設計図から稽古をして撮影に挑んだ。
撮影中に張り出される、その日の撮影シーンもこれを利用して作られた。
そう思うと本当に手作りだったんだなぁと懐かしくなる。

話は緻密でコアな部分に触れていた。
どんな稽古をしてきたのかなんて中々わかることじゃないはずで。
例えば視線の移動なんて言う細かいことまで稽古しているという話まであった。
日常的な芝居に感情を乗せた分、少し芝居がはみ出る。
そこをそぎ落とす話なんかは、実際にあまり人から聞いたことがない話だった。

会場は残り少ない日数もあって熱気があった。
この熱気が最終日まで続くのかどうかはわからないけれど。
明日はどうなるだろう?どのぐらいお客様が来てくださるだろう?
結局、毎日そんな不安を抱えたまま2週間という日を過ごしている。

UPLINK渋谷でのアンコール上映の時は最終日が木曜日だった。
だから残り二日間はサービスデーの水曜日を監督に一人で登壇してもらって。
最終日は自分が受け持った。
幸い両日とも一人だけの登壇だったにもかかわらず想像以上のお客様が来てくださった。
下北沢トリウッドでは最終日は週末の金曜日。
週末で最終日の方が動員が期待できる分、そこを監督に任せて。
最終日前日に自分が立つことにした。
前回の最終日、一人で登壇して話したテーマは「これから」だった。
それは下北沢トリウッドでの上映の発表も伴っていたからだ。
今は発表できることがない。
それでも目の前のお客様に、精一杯届けられることがあるはずだ。

自分は先週と同じ「役作りについて」を話す。
相手役が変わって、別の女優の役作りを聞く。
前回、とても喜んでくださったから、明日も同じように誠意を込めてお届けするしかない。
セブンガールズがスクリーンに投影される機会は泣いても笑ってもあと2回しかないのだ。
そのうちの1回。
そして、その日が特別な一日になる方だっていらっしゃるのだから。

「これから」について話すのではなくて。
「これから」を感じてもらえるような日になればと思う。

忘れてなるものか。
これは「夢」だったはずだ。
誰もセブンガールズを映画に出来るなんて信じていなかった。
映画にする!と宣言した時はまだまだ夢でしかなかった。
だから、あの頃の自分たちからみたら、今、自分たちは夢の中にいるんだ。
教えてやりたいよ。
本当に映画になるんだぜ!
たくさんの人に愛される映画が出来るんだぜ!って。
くじけたり、悔し涙を流したり、へとへとになってふらふらになってぼろぼろになって。
それでも、足を前に出せと自分に言い続けた日々よ。

今、上映している。
そして、そこに来てくださる方がいるんだぞ。

最終日前日に来てくださった全ての人にとって。
絶対に忘れられない日にしよう。
帰り道でもう一度映画を楽しめるような日にしよう。

こんな夢ありえねぇよ。
おいら心から届けるしか出来ねぇよ。
なぁ、そうだろう。実行委員長。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 03:14| Comment(0) | 映画公開中 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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