大阪最終日に登壇する予定だったけれど、早めに映画館に行った。
余っているチラシがあれば配ってしまいたいと考えていたからだ。
折角のチラシ、一人でも多くの人に配りたかった。
登壇するメンバーのほとんどは上映時間の後に、映画館に行ったはずだ。
結局、その前の上映されている映画の終わり時間のみの配布だった。
だから、映画館のご担当者様から話を聞く時間が結構あって、非常に興味深い話をいくつか聞いた。
それは、自分たちのこれからを考えるにとっても大事なことなのだと思う。
一番に驚いたのは、平日の夜のことだ。
平日は当然多くの人が仕事をしているから、仕事終わり以降の時間帯の方がお客様が来ると思っていた。
けれど、話を聞けば、実はご担当者さんも映画館で働くまでそう思っていたけれど、全然違うという。
平日に仕事が終わってから映画を観る・・・というのはそれほどないという。
むしろ、昼の方が動員が伸びたりもするのだという。
働いて疲れているのに、映画を観るという文化は余りないんじゃないかなぁって言っていた。
もちろん、いくつかの作品では、そんなことはないというケースもなくはないけれど。
基本的にはそうなんだそうだ。
そして、ミニシアターのお客様の年齢層は高いんですよ、という話。
そういえば地方のミニシアターなどでは、近所のお年寄りが集まるなんて記事も観たことがある。
映画好きで、昼間に時間のある高齢者が思ったよりもいるという。
もちろん、全てというわけではないと思う。
それに都内とも違うかもしれない。
それにしても、ちょっと意外だった。
土日にどれだけお客様を呼べるかが鍵だし、平日はトータルで見ているような感覚。
そして、平日の夜に今仕事が終わったような方々はそれほど来ないという事。
そういうものなのかと驚いた。
そういう意味では、名画座であるとか、或いは、アート的な作品などの上映が多いのも頷ける。
そして、いかにも若者向けの映画というのはかえって苦戦するのかもしれない。
セブンガールズという作品はどうなのだろう?と考える。
ヨーロッパの作品が好きな人がハリウッドを観ると、好きじゃないんだよねぇなんて口にすることがある。
いわゆるハリウッドの大作は、最新の技術と早いテンポ。
それに比べて、ヨーロッパの作品は、従来の映画様式のまま、じっくりと見せるというイメージがある。
だとすれば、好みが分かれるだろうなぁと思う。
同じように、セブンガールズという作品は、アート系の作品に慣れている人から見たらどうなのだろう?
もちろん、好みの問題だから、大して気にすることでもないのかもしれないけれど。
それでもやっぱり大事なことではあると思う。
舞台的、演劇的という言葉を感想で見かけるのは、実はそういう部分も大きいのじゃないかと思う。
コメディの部分のディフォルメや、展開のスピードが、それまでの映画と違いすぎるかもしれない。
ただ、やっぱり自分たちは、映画ファンに向けて映画を創ったわけではない。
余り映画を普段見ないような人も含めて、誰でも楽しめるように創っているわけで・・・。
むしろ、ハリウッドに比べたらテンポは、少し遅いかもしれないなぁと思っているぐらいだったりする。
舞台的な部分ももちろんあるのだけれど、想像以上に映像的な芝居をやっているはずなのだけれど。
どうしても、イメージとしてそう見えるというのもわからなくない。
でも、これは逆にチャンスなんじゃないかって思う。
つまり、普段、ミニシアターに足を運ばない人が、足を運ぶチャンスなんじゃないだろうか?
実際にセブンガールズを観て、初めてミニシアターに足を運んだお客様は少なくない。
そして中には別の作品に興味を持った人もいらっしゃった。
セブンガールズは開拓者になれるんじゃないだろうか?
結果的に、セブンガールズという作品から入って、ミニシアターでアート的な作品も楽しむようになったら。
それはそれで、大きな成果になるんだろうなぁなんて想像する。
まぁ、そもそもカテゴライズしてしまうことが正しいのかどうかもわからない。
映画なんて言うものは、基本的にどの作品も、それぞれなのだから。
あくまでも、鑑賞する前の指針でしかない。
そういう意味でセブンガールズをこれからも上映していく時に。
一体、どういう作品としてカテゴライズされていくのかと想像した時に。
ああ、これはもしかしたらちょっと難しいぞと思った。
どのカテゴリーに入れたらいいのか、悩む人もいるかもしれない。
普通に、娯楽作品だと思うのだけれど、じゃあどうやって説明するんだろう?という部分。
多分、ベストは「うまく説明できないけど面白い」なのかもしれない。
作品の構造としては、大作なのだから。
低予算だとさ。
なんだか男と女が同棲している部屋で、酒呑んだり、セックスしたり、喧嘩したり、そんな作品がとても多い。
自分が20代後半にはもうそんな作品が溢れていたし、今もあるのだから。
低予算で出来ることは限られているし、その限られた中でどれだけオリジナリティを出せるかで競ってる。
それはそれでもちろん面白いし、その中での発見は今もされているはずだ。
だから、セブンガールズを低予算映画のカテゴリーにはとっても入れづらいはずだ。
なぜなら、低予算では絶対にやらなかったことを実現してしまったのだから。
なぜなら、少ない撮影日数で創りやすい映画ではないからだ。
今までの低予算映画と呼ばれてきた映画作品群からは明らかに外れている。
もちろん、肉体の門など、戦後の映画であるとか物語的なカテゴライズは出来る。
映画のスタイルとしてのカテゴリーがない場所にもしかしたらこの映画があるという事だ。
だからこそ思う。
早い時間帯、昼間に上映したら、どんなことが起きるのだろう?とか。
若い世代、十代、二十代がこの作品を見たらどんなことが起きるのだろう?とか。
この映画は希望にだってなると思う。
あ!こういう映画も作れるんだ!と思う若い世代が出てもおかしくないって思う。
或いは、若い演劇人たちが自分たちも舞台を創っていけばいつか映画だって創れると思えるかもしれない。
そして。
自分たちと同世代。
いわゆるハリウッドチルドレンたちだ。
ETやグーニーズなどのスピルバーグ作品、スターウォーズなどのSFX。
スタローンや、シュワルツェネッガーなどのアクション、ジャッキーチェンなどのカンフー映画。
ゴッドファーザーすげぇよ!とか、リーサルウェポンすごいぜ!とか。
エイドリアーーーーン!なんて、叫んでいた世代。キョンシーの真似をしていた世代。
日本の映画なんてつまらねぇよ!なんて言っていた世代。
多分、その人たちが今、映画館からすっかり足が遠のいているはずだって思う。
話題のハリウッド作品ばかり小学生の頃から見ていた世代だ。
その世代が今も映画館に通っていたら、当然、邦画の方が成績が良いなんてことは起きなかったはずだ。
仕事が忙しくなって、家庭を持って、バリバリ働いている。
けれど、実は全世代の中でも一番人数的には多い世代だ。
実際、自分の同級生の中には、邦画は観ないっていうやつがいっぱいいた。
シンプルに映画を楽しみたい層というのが確実にいて、ハリウッドは痛快なエンターテイメントだった。
そういう同世代に、セブンガールズを観て欲しいなぁと、強く思った。
だって、その世代である出演者たちが、面白いと思っている作品を創ったんだから。
ミニシアターという場所で働いている担当者さんの話は、とってもためになった。
UPLINKの浅井代表のインタビュー記事も相当勉強になった。
そして、それを読んで、そこに合わせるわけではなくて。
そこに新たな風を吹かせることが出来れば、それが本当の成功なんだなぁと思った。
セブンガールズにはその力がある。
少なくても、自分はそう思っている。