稽古日。
届いたDMを作成して投函したり、美術の打ち合わせをしたり、映画パンフの打ち合わせも。
稽古もしながら、他のこともする。
役者でありながら、役者以外のこともするのが劇団だ。
それが自主運営だ。
いつだったか、自分たちで運営しているんだと自覚しようという話になった日があった。
あれから、もう何年経ったのだろう?
この強さをどう説明すればいいだろう?
もちろん、全ては、監督がいるからだ。
主宰として、踏ん張ってきた。
余裕がある時は時間を創ってもらって、打ち合わせをする。
監督が忙しい時は、出来るところまでやって、それを確認してもらう。
逆に、なんにもしないで考えてください~!なんてことは、さすがにしなくなった。
イメージはありますか?と確認して、あればそれを生かして、なければ提案する。
その提案の段階で、こういう時は誰に相談しようか?誰なら意見してくれるかな?
そういうことが、何も言わなくてもわかる強さ。
任せるよ。という場合もあれば、一回見せて。の場合もある。
それが出来る集団にいつの間にかなっている。
20年前、旗揚げした時は、監督が自分の手でチラシを創って、それをカラーコピーしたのだ。
劇団内に制作部もなかった。
インターネットなんかなかったし、スタッフさんとのやり取りだってバラバラだった。
制作部がないと、スケジュールもままならないと話をした時に。
制作とは、劇団のリーダーシップと勘違いしているメンバーすらいた。
実態はまったくの逆で、劇団の働きアリのようなものだとも、気付いていなかった。
最初は何人もいた制作部も、一人抜け、二人抜け、気付けば数人になっていた時期もあった。
役者をやりたいのに、自分たちだけ、何度も打ち合わせたりすることにどうしても疑問を持ってしまった。
若かった。
なんで自分ばっかこんなに働いてるんだ!と怒っているメンバーがいた。
それを見て自分も同じようなこと思っちゃうなぁなんて感じていたり。
仲間と「まぁ、思うけどな」と話したり。なぐさめあってみたり。
怒られて、その怒られていることすら、誰も知らないことに悔しがって。
でも、監督は、別にそんなの損してないよといつも口にしていた。
そうなんですかねぇなんて口にしながら、制作部の人数が減っても、踏ん張ってきた。
まぁ、損得の話でもない。
劇団が10周年を越えて、大幅に人数が減った時に。
もう制作部というよりも、全員で、自分で運営している自覚しようという話になっていった。
それぞれが、一人欠けただけでも困るような責任を持とうと。
今の人数になって、ヘッドライナーズというチームの中で役割を持たない役者なんていない。
誰に何を任せるか、もうなんとなく決まっている。
劇場入りすれば、誰に何を聞けばいいのかわかっている。
もちろん、ウェイトの大小はあるかもしれないけれど、結局、責任感は同じ。
きっと、そうなって初めて、自分たちは映画製作に挑むことが出来た。
映像の現場に行くことは、たまにはある。
そこに行けば、役者は役者だけやればいい。
楽屋があったり、メイクしてもらったり、食事まで出て。
劇団運営の中とは、雲泥の差だ。
もしも、それが普通で、それを当たり前なのだと思っていたら、きっとセブンガールズは生まれてなかった。
今の、この集団だから、映画化なんていう大きなプロジェクトに一歩踏み出すことが出来た。
監督が、手書きでチラシを創っていた劇団がだ。
全員が、必死に、本当に命までかけちゃってるんじゃないかという勢いで、セブンガールズは産み出された。
監督におんぶにだっこじゃない。
スタッフさんに、任せるわけじゃない。
「自分たちの映画なんだ」という自覚をもって、この作品を産み出した。
いよいよ明けて、27日6:00から、20周年記念セットの予約が開始される。
20周年を記念するセットに、ふさわしい。
「映画」×「舞台」
20年の時間を過ごしてきたからこそ辿り着いた、スペシャルな2週間。
そんな日を迎えるというのに。
いや、そんな日を迎えるからこそ。
当たり前のように、いつもの稽古が続いた日だった。