午前中に本予告を公開した。
3種類製作して、キャッチを練り、映画館側からの意見も取り入れ、打ち合わせをして。
やれることは全て詰め込んだ。
たった90秒で信じられないカット数になっている。
スクリーンでも観てみたいなぁ。
今週から予告編が流れるというけれど、K'sシネマのどの作品で流れているかはわからない。
ご覧いただいた方が興味を持ってくださったらどんなに嬉しいだろう。
いくつかの仮の本予告の中には、物語を強調したものや、時代を強調したものもあった。
結果的に選ばれたものは、「劇団が映画を製作した」というアングルが中心になった。
実は、最終版の前から、更にそこの部分の強調までされた。
人生の中で、映画館に行ったことがない人は、今の日本にそれほどいないのではないだろうか?
人生の中で、小劇場に行ったことがない人は、実は行ったことのある人よりも多いのではないだろうか?
映画と舞台、似ているけれどここに決定的な違いがある。
「映画館に行こう」という言葉と「劇場に行こう」という言葉には、決定的な違いがある。
どちらも日本の文化として成熟はしている。歴史だってある。でも、一般浸透率に圧倒的な差がある。
自分はそこを無視して小劇場を続けてきたわけじゃない。
小劇場という世界で芝居をしながら、もっともっと多くの人に知って欲しいと思い続けてきた。
そこを諦めなかったからこそ、映画化という発想が出てきたのだ。
アンダーグラウンドにはアンダーグラウンドの文化があると割り切ることはそれほど悪い事ではないけれど。
それでも、一人でも多くの人に届けたいと願い続けることも同じぐらい大事なことなはずだ。
そのまま再び新宿のケイズシネマに向かう。
「カメラを止めるな!」を再度上映する復活の日だから、上田監督が登壇することを知った。
出待ちして、映画にお誘いしようと思っていた。
上演時間が終わっても中々出てこなかった。
そこに、先日の打ち合わせであったばかりの支配人がたまたま降りてきて。
あれ?なんて立ち話をしていたら、あれよあれよという間にロビーで待っててくださいと言ってくださった。
直接、会いに行く。
今まで、何度そんなことがあっただろう?
バンドをやっていた時、アルバムを直接忌野清志郎さんに手渡しに行ったこともあった。
会って、何かを期待するわけじゃない。
会って、直接顔を見て、声を聴いて、話をする。勇気をもらったことを伝える。
そして、映画にお誘いする。
気さくに、スケジュールまで確認してくださった。
ヒット以来、忙しい日々を過ごしているというのに。
そのまま下北沢に移動する。
新宿に引き続いて、下北沢の街にもチラシやポスターを置かせてもらうためだ。
小劇場がいくつもある下北沢。ライブハウスがいくつもある下北沢。
アンダーグラウンド、サブカルチャー、それが凝縮されたような街。
いつも舞台で回っているメンバーもいる。
その中で自分は、必ず口にした「劇団で映画を創ったんです!」
その一言が、意外にも拡がっていくことを知っている。
それが下北沢という街だから。
かつて甲本ヒロトさんと松重豊さんがバイトをしていた伝説の中華屋珉亭に行き。
サブカルチャーの中心地と言われる下北沢ヴィレヴァンにもお願いをする。
たとえ断られても行くべき場所だと思っていたから。
街を練り歩けば、盆踊りの真っ最中。
その街に、普通に本多グループの本多さんがいらっしゃったので声をかける。
映画に来てくださると話してくださった。
人数が揃ってから、いくつか行きたいところに足を運んで、自分は下北沢を後にする。
帰宅して、クールダウンしてからやらなくちゃいけないことが溜まってる。
あとは、皆に任せておけば大丈夫だ。
帰宅してスマフォを観たら大量のポスターを貼った報告の中に。
とある人気俳優がいたから、映画に誘った旨の報告もあった。
来てくださるといいなぁ。
セブンガールズがなんらかの成功を収めることが出来れば。
劇団で映画を創るという実績になる。
それが例えどんな形の成功だとしても。
ひょっとしたら、小劇場に足を運んでみようという人が増えるかもしれない。
ひょっとしたら、まだ見ぬ傑作の映画化が進むかもしれない。
海外の人が観て、とんでもない舞台だ!と言われる舞台だって山のようにあるのに。
まるで報道すらされない小劇場界が、ほんの少しだけでも底上げされるかもしれない。
本当は、作品に、メジャーもマイナーもない。
誠実に、素晴らしい作品を製作している姿に差なんてものはない。
メジャーだろうがマイナーだろうが、良いものは良い。悪いものは悪い。
それしかない。
ただ作品にはなくても、それ以外の部分には明らかにある。
小劇場の世界で、仕事として生きていけるのは、実はスタッフさんや劇場だけだ。
まともに人間的な生活が出来ない人だって大勢いる。
その理由の一つに「夢」がある。
人生を何かにささげようと覚悟しているからこそ、そこに進める。
おいらは、その夢を夢のままにしてはいけないと思っている。
その夢は、現実そのものだ。
名優が家族が出来たから引退するなんてことが何度繰り返されてきただろう?
よりによって、金が欲しいわけじゃないと、大抵の連中は思ってる。
自分も同じだ。
金なんか別にいらない。
すごい作品を創りたいという思いが、何よりも優先している。
それでも、自分なりに挑戦したい。
それを夢とせずに、現実として向き合いたい。
やがて「劇場に行こう」が「映画館に行こう」と同じぐらいの意味になる日が来るのだと。
思い込むのではなくて、そのために必要なことも、ちゃんと考えたい。
本予告を再び、確認した。
ここに込めた思いを。
下北沢に、出会った方々に、ぶつけるような日だった。
もっともっとだ。