宣伝会議をする。
まず前提として。
単館上映であり、1週間限定上映であること。
キャパシティは限られている。
例えば出演者たちで頑張って、友人・知人の告知をする。
そして、満席を目指す。
舞台の動員を考えればそれは決して難しい事ではないはずだ。
だから、宣伝会議も何も、地道に頑張って声をかけよう!で終わっても良いのかもしれない。
その中で、知り合いとは別のどこかの誰かがピックアップしてくれるのかもしれない。
けれど、今日の宣伝会議は全く違うものだった。
そのキャパシティをどうやって埋めていくのか?という話には一切ならない。
いや、むしろ、そのキャパシティを度外視した、それ以上の話をしていた。
ポジティブとかそういうことでもない。
現実的で地に足の着いた、けれど、実際の数字とは別の話。
会議室に案内してもらい、プロデューサーと配給のチーフ、配給担当、自分の4人での打ち合わせ。
全員が、この作品を知らない、この映画を知らない、この劇団すら知らない人に、どう興味を持ってもらうか。
その話に終始した。
実際の数字を埋めるだけなら、この会議自体が必要ないのかもしれない。
むしろ地道に皆で声をかけ続けるというのが一番なのかもしれない。
それで満員御礼に頑張ってして、良かった!他からも声がかかるかも!でもいいのかもしれない。
いや、実際にそういうことも、頭の中ではあったのだろうと思う。
映画館で流れる本予告の最終的な確認一つでも。
「この言葉はとても作品を良く表していると思います!」
なんて、力強い言葉が飛び交う。
映画館で、別の映画を観に来た人の心に少しでもひっかかるにはということを真剣に話している。
「セブンガールズ」を今のキャパシティ以上の知名度まで高めようとしている。
それは、自分にとって誇りだった。
配給のチーフは、初めてお会いした。
メールのやり取りの中では知っていたけれど、まるでイメージが違った。
今まで何本の映画の配給をしてきたのだろう。
今まで何本の映画の宣伝会議を重ねてきただろう。
その中で最も規模が小さいんじゃないだろうかと心配になる。
それなのに、この作品をもっと多くの人に届ける事を一緒に考えてくださる。
配給担当さんは先日の試写会以来だ。
スクリーンで作品を体感してくださっていて、その魅力を口にしてくださって。
積極的な意見までくださった。
これは、すごいことだ。
セブンガールズという作品を、「自分の作品」と感じてくださっている。
恐らく、いくつかの層に別れている。
まずは友人、知人、これまで劇団を応援してくださった全ての方、家族。そして仲間たち。
そういう一人一人の皆様に足を運んでいただけるのかどうかが大事。
何よりもそういう皆様に楽しんでもらえることは、皆様への恩返しになる。
次がきっと映画ファン。
ミニシアターまで足を運んで、面白い作品との出会いを待っている層。
この映画はチェックしないと・・。この映画は観ておこう!
ある意味一番視点の厳しい層だけれど、そういう人たちにも知って欲しい。
チェックしてもらえるだけの魅力があるだろうか。
それから、映画だけではない、サブカルチャーを愛する人たち。
何か面白いものがあれば、ライブでも、舞台でも、映画でも、興味を持ってくださる。
映画に特化していない分情報を手にするのは映画ファンより遅れるだろうけれど。
セブンガールズは、劇団が映画を創ったという珍しい作品だから届くかもしれない。
その上で、目撃者になっていただけるだろうか。
そして、サブカルチャーなど限定せず、面白いことを探している人たち。
自分からはなくても友達に一緒に観に行こうよと誘われたら、積極的にどんな場所にでも出かける。
面白いことをみつけたら、周りに面白かったよ!と伝えてくれる。
ブーム、ムーブメント、ヒットを支えているのはこういう皆様だと思う。
例え偶然でも、そういう人に発見してもらいたい。
その先に、あまり映画館に行かない人たちもいる。
つまり、ブームやヒットになってから、じゃあ観てみようかなという人たち。
ここに届くのは、実際は相当難しい。
でも、実は、友人・知人と直結している。
そして、その全員が、映画ファンになったり、面白いことを探す人になる可能性を秘めている。
会議をしながら、この打ち合わせはどの層まで届けようとしているんだろうと、クラクラした。
正直、目標動員数なんて設定していない。
まずは、一週間、満員にしたいと目の前だけを見ている。
けれど、その目の前の内容が違うのだ。質が違うのだ。
ただ満員なわけじゃなくてだ。
収まりきらないエネルギーの塊のような満員を目指しているのだ。
誇らしい気持ちになる。
セブンガールズを知ってもらうために。
ただそのことのためだけに、話し合いが進んだことを、誇りだと思う。