2017年12月14日

偉大な骨組

小学校の国語の時間に確か、最初に起承転結という言葉を習った。
いわゆる物語を創作する際の基本のようなもので。
物語が始まり、状況が分かり、物語が動き、結末に続く。
そういう4部構成をさす。
漢詩の構成からと聞いたことがある。

実は日本には、もう一つ、同じような言葉がある。
序破急と言われる。
序章があって、秩序が破れて、急展開する。
どちらかと言えば、和楽などの音楽の世界の構成らしい。
世界が、はじまりと終わりでまるで変ってしまう流れだ。

面白いなぁと思うのは、小説では起承転結が多いのだけれど。
映像では、実は序破急が多いことだ。
ハリウッドのあるアメリカでは、シナリオ研究が盛んなのだけれど。
シナリオの神様みたいな人が、三部構成の伝説的な教本を書いているらしい。
そうやって見ると、ハリウッド映画の三部構成はすぐに思いつくんじゃないだろうか?
アメリカンヒーローものだって、スペースオペラだって、三部構成を軸にしている。

もちろん、映画には、物語の希薄なものもあるし、ドキュメンタリーもある。
だから、全ての作品がこれに倣っているわけではないけれど。
ただ、基本がある。
そして、基本が、作品を安定させるし、わかりやすくする。
少年がいじめられて始まる物語のラストは、やはり、こうでなきゃいけないというのがあるのだ。

セブンガールズは起承転結とは少し違う。
どちらかと言えば、序破急に近い。
実は、監督の描く作品群の中では珍しい。
監督が書く台本は、起承転結が、骨組みとしてしっかり組み込まれている。
物語の骨格をしっかりして、その中で、自由にあちこちに飛ぶ。
骨格がしっかりしているからこそ、好きなように様々な場所に展開できる。

おいらは、物語を運ぶ役割を演じることが最近増えていて。
とても、構造に近い場所で芝居をしているなぁと感じているのだけれど。
監督が、ここ数年、物語の構造を役者に説明することも増えてきた。
その中で、起承転結の話もたびたび出てくるようになった。
スピード感をそこから変えていかなくちゃいけない場合など、演出で口にするのだ。
それは、運ぶ役割の役者一人じゃどうにもならない。
出演者全員が、展開を知っていて、流れを理解した時に生まれるパワーを求めているのだと思う。

エピソードに力を入れすぎて、全体の構造を忘れてしまうとバランスを失う。
なんの話だか、観客側に伝わりづらくなる。
そういうことが、起きるのは、実はよくある話。
役者は、その役の主観を生きているから、どうしても目の前のエピソードに力を入れてしまう。
でも結果、全体の構造では、あくまでもエピソードに過ぎない。
クライマックスの前に、クライマックス的なことをしてしまうと、淀みが出来る。
だから、主観を生きる役者も、構造を知っていくことは大事なことだ。

どういう展開になるか、まったく予想もつかないのに。
後から思えば、しっかりと、骨組みがあった。
そういう作品に出会うと、嬉しくなる。
最初のシーンから最後のシーンまで、全てが頭の中で繋がっていく。

恐らく、人間が発明して、長く続くシステムだ。
それこそ、漢詩からなのだから。
普遍的なものなんて信じないけれど。
進化し続けながら、それでも、偉大な力を今も持っている。

感情を揺さぶるような作品には理由が必ずあるのだ。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 03:36| Comment(0) | プロモーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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