2017年09月30日

リスペクト

お伺いした先の現場の喫煙所で、監督と話している時に聞かれた。
・・・例の映画は、出来たの?
その予算額を聞いて、すごいなぁと言っていて。
カメラは何を使ったの?なんて聞かれたりもした。
そこにいたもう一人の演出部のスタッフさんも、驚いていた。

でも、きっと、実際の映像を観たらもっと驚くんだろうなぁって思った。
カメラも、一眼レフカメラだと思っていたようで、シネマカメラの型番を言ったら、あっ!って顔をしていた。
それはそうだ。その予算では、ちゃんと映画の器材で映画を撮影できるはずがないのだから。
むしろ、自分でちょっと撮影して編集してというのは、経験しているはずだし、そこをイメージするはずで。
それはそうだよなぁなんて、おいらも思っていた。

それはもちろん、撮影前に、スタッフさんが不可能と言っていて。
撮影後に、スタッフさんが、すごいことをやったよと言ってくれたぐらいで。
映画関係者ほど、信じられない話なんだよと言われたことを、思い出した。

その現場には数十人のスタッフさんが動き回っていて。
例えば、その日の撮影だけで、おいらたちの予算であれば、なくなってしまうような規模だ。
だから、きっと、そこにいる人ほど信じられないことをやったのだと改めて思った。

どうしたって自分は俳優だし、作品の本質を観て欲しいと願ってしまうところがあるのだけれど。
やはり、この撮影はすごいということは、大きなこの作品のポイントなんだなぁとつくづく思った。
実際、初号試写を兼ねた打ち上げの場でスタッフさんと話した時も、そんな話が何度も出た。
よその現場で話すと、誰も信じないなんて言われたりもした。

ただ同時に感じていた。
規模の大小はあるけれど。
映画の世界で生きる人は変わらない。
現場で動き回るスタッフさんの動きを見て、そのキビキビした動き。
作品に根差した、矛盾の生まれない世界観の把握。
時間帯や、時代感、アングル、シーン、前のシーンとのつながり。
その全てを頭に入れて、フレキシブルに対応していく姿。
そう、この感じだ。
この感じが、映画なんだと、つくづく思った。

アングルを変えるだけで、撮影は止まる。
カメラを移動して、見えてはいけないものを隠して、見えなきゃいけないものを足して、照明を調整する。
その時に一斉に動き出す、あのスタッフさんの動き。
湯気がなくならないように、全てのカップに、サランラップをしていく動き。
その一つ一つが、まるで一体の生物のようで、その生物の正体こそ、映画だと思う。
チームなのだ。
俳優は特別じゃない。
俳優もやっぱり、そのチームの一部なのだとおいらは思う。
自分が写っているかどうかじゃないし、作品の一部になれるかどうかなのだ。

普段、劇団と言うチームで動いている。
公演のスタッフさんも、大抵は顔なじみのあるスタッフだ。
だから、チームというのは強く意識するし、理解しているつもりだ。
劇団だと予算上、照明も音響も大道具も手伝ったりもするから、より近い関係かもしれない。
でも、映画と言うチームを感じて、また考え方が少しずつ変わってきている。
映画とは編集された映像、監督の世界観、それだけで評価されているような気がするけれど。
そうじゃなくて、チームそのものの評価なのだと思う。
たとえ、VFXやらCGを入れても、絶対に現場の空気は映像に残る。

尊敬した。
全てのスタッフさんを。
例え助手であったり、怒られてばかりの人でも。

撮影中、面白いことがあって、笑いが起きた。
その瞬間、一体感を感じた。

その心地よい一体感は、セブンガールズの現場でも何度も感じたアレだった。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 17:01| Comment(0) | プロモーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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