まだこの映画は公開されていない。
もちろん、なんの実績も残していなのだけれど。
今、これからそこに向かう前の段階だというのに、たくさんのものを手にしている。
それはもう手に余るほどの量で、この大事なものをこれからどうやっていけばいいんだ!と叫びたくなる。
叫びたくなるほど、本当にたくさんのたくさんのものを手にした。
もちろん、物理的に実質的に手にしたものもたくさんある。
ありえないと思われた映画製作が出来たことだって。
実際に、監督の初長編監督作品が出来たことだって。
ここにある、作品だって。
そして、製作段階で蓄えていった、たくさんの知識だって、到底考えられないようなものばかりだ。
けれど、本当に手にしたものは違う。
おいらが手に入れたものは、そんな物質的なものなんかじゃない。
昔は・・・ガキの頃は、実力社会というのに憧れていた。
実力があるものが勝つという単純構造の世界に行きたかった。
だから、職人的な気質に憧れたし、自分も、もっともっとと思いながら進んできた。
でも、この映画製作に携わって、おいらの考え方は完全に変わった。
実力があるから勝つなんて世界が、いかに貧相でつまらないものかわかったと思う。
自分が本当に行きたい道はここかとはっきりした。
もう、馬鹿じゃないの?と言われてもいい。
おいらは、心の繋がりだけで、進みたい。
もちろん、プロフェッショナルならお金の問題もあるし、実力の問題もある。
でも、そういうのを全て飛び越えて、心の繋がりが、一番大事だ。
別に、昔からの知り合いだとかそういうことでもないし、贔屓とかそういうことでもない。
例えば昨日知り合った人でもいい。
こいつは、信用できると思ったら、おいらは、仕事をする。
もう、それが一番だなと、心の底から思った。
例えば、製作スタッフさんや、撮影監督、美術監督、プロデューサーが、困ったことがあれば。
おいらは、このセブンガールズでいただいた恩返しのためになんだってすると思う。
飛んで行って、別にエキストラでも何でもする。
どんなに好条件でお金をたくさんもらえるような仕事よりも、それがある方を選ぶ。
だから、逆においらを信用してもらえないなら、仕事なんかいらない。
任された仕事はちゃんとやってくれるって思ってくれた時だけで、全然、構わない。
これは、やりたいことだけやるってことじゃない。
やりたくないことだってやる。
なぜなら、それが一番の力で、それがいつだって奇跡を起こすとおいらは知ったからだ。
そして、それがなければ、実際にはなんにも生まれないと、心の底から思ったからだ。
何度、ありがとうございました。と言っただろう?
この映画を通じて、本当にたくさんの人に言った。
おいらがありがとうございましたと言った数だけ、おいらは何かを手にしている。
支援してくださった方々。スタッフさん。撮影協力してくださった皆様。
全てのありがとうに、心の繋がりがある。
困ったことが何度もあった。
そのたびに、手を差し伸べてくれる人がいた。
おいらも、いつだって、そういう人でありたいと思う。
そして、いつか、全員が笑えるようなことに、自然と繋がっていくのだと信じている。
それこそ、撮影を終えた、今のおいらの夢だ。