この世にはどうしょうもねぇ奴がいる。
まったく理解できないし、何をしたいのかもわからない。
冷静に考えれば、ちょっと気持ち悪い。
そういう奴だ。
生きていれば。
普通に生活をしていれば、必ず、どこかで会ってしまう。
なんとなく、そこにいる。
会えば、まぁ、そこまでひどく思うこともないけれど。
根本的にはとても理解不能だ。
少しだけ冷静に。
少しだけ真面目に。
考えれば、そういうことになるだろう。
昔は、事件なんかが起きれば「自称俳優」なんて書かれていたけれど。
今じゃ、大手新聞社ですら「劇団員殺人事件」なんて見出しにしたりする。
劇団員なんてのは、要するに、まともに働く気もなくて、社会から見れば大人になり切れない連中。
それでも、十代、20代なら、まだわからなくもないけれど。
30代を過ぎても、未だに、売れるわけでもなく、貧乏しながら芝居を続けてるなんて正気の沙汰じゃない。
確実に社会の摂理からは一歩外れてしまっている。
それが夢なのだとしたら、どこに行きたいんだよ?
どうしょうもねぇ奴らだ。
いつまで経っても。どこまで行っても。
毎日BLOGを書くと約束したからって1年半も毎日書くなんて、その時点で、おかしい。
いや・・・同じような世界にいるのに、映像のスタッフだって、ちょっと呆れていた。
自分たちでロケ地を探し、セットを組み上げて、衣装も小道具の段取りも組んである。
やると言ったら本当になんだってやる。
そういうやつが、いる。やつらが、いる。
映画の世界だって、当然、社会のルールで、資本の中で生まれているのに。
こいつらは、そういうところから外れている。
どうしょうもないねぇ。
社会から見れば、なんの役にも立っていない。
楽しいからやってるの?
自分がこうなりたいって言ってやってるの?
何が面白くて、そんなにストレスを自分から抱え込んでいるの?
その通り。まったくその通りだ。
そのぐらいのことは、もうとっくに理解している。
いつまでやってるんだよ?なんて、逆にもう誰からも言われなくなってきた。
何を言ったって、やめる気なんかサラサラないのを見透かされてきた。
カンヌ映画祭まで1週間を切った。
世界中の名作が溢れかえる、世界一の映画の祭典だ。
映画祭出展作品だけではなく、マーケットも同時開催されて、全部で1000を超える作品が上映されるという。
その作品群の中に、そんなどうしょうもない奴らが考えて、実行して、撮影された映画が紛れ込んでいる。
なんてことだ。
どうしょうもない奴が。
しょうもない妄想を描いて。
とんでもない状況をひっくり返して。
とてつもないことを起こそうとしてる。
信じられない奇跡を、今も思い描いている。
得体のしれない連中が、やらかしてやがる。
「劇団員が映画を創った!?」
こんなのは、プロモーションではなんの魅力にもならないだろう。
本人たちは思い入れがあるから、このすごさを・・・なんて思うかもしれないけれど。
世間一般から見たら、そもそも、劇団員という存在が、理解不能な連中なのだから。
「どうしょうもない連中が、快作を創った」って書いて、ようやく通用するぐらいのことだ。
意外に、冷静に自分のことを観ているつもりだ。
社会全体の平均的な視線ぐらいまで、俯瞰するようにもしている。
そして、それを理解したうえで、あえて、自分を保てるかどうかだ。
自分からの視点だけで生きていたら、次元が同じになっちまう。
今、どうしょうもない奴が、世界を目指しているぞ。
海の向こうを睨んでいるぞ。
どうだ?
どうしょうもない俺の背中は。
見ろ!俺の背中を。
どうしょうもない奴らの中においても、更に、誰よりもどうしょうもないだろう?
この世にはどうしょうもねぇ奴がいる。
まったく理解できないし、何をしたいのかもわからない。
冷静に考えれば、ちょっと気持ち悪い。
そういう奴だ。