稽古場に到着早々PCを立ちげる。
稽古中にある程度、舞台用の印刷物をあげて、監督に観てもらいたかった。
本当は週末までの平日に仕上げて、この2日のうちに確認してもらいたかったけれど。
結局、MA前の準備に忙殺されて、後回しになっていた。
MA後に帰宅してからでもと思っていたけれど、そのまま眠ってしまっていた。
入稿のタイミングを思えば、もうギリギリだったのだ。
中々、思うようにスケジュールを進めるというのは難しい。
稽古がはじまる直前ギリギリまで作業を進める。
一定のレベルまで行った頃、稽古用のキャスティングをしているような声を聞く。
あれれ?思わず声をかける。
やる時は言ってと言ってあるのに。
すぐに稽古に合流する。
役者の仕事。
まだ未完の台本を繰り返し稽古していく。
当然、全体感などは、わからない。
わからないなりに、台本から、まだ少ない情報を読み取っていく。
文字で書かれた劇を、肉体を通すことで、演劇にしていく。
毎公演、毎週毎週続いてきたこと。
とっても、当たり前なことで、知らぬうちに日常になってきたこと。
まだ初見のシーンも含めて、台本を読まずに芝居を見たりする。
残念ながら、まったく、内容が自分の中に入ってこない。
キャラクターの見分けもつかない。
ここから、どこまで進むだろう。
いつものように。
いつもの稽古が続く。
おいらは、おいらなりに、今度の作品をもっとわかりやすく、もっと伝わるように。
自分なりの解釈を練り込みながら、様々な役を演じていった。
後半、全員のキャスティングも決まった。
飯休憩の隙間を縫って、印刷物のデータがほぼほぼ校了。
稽古終了後に、監督に、確認をしてもらう。
とりいそぎは、これともう一つだけ。
それが終われば、あと2つ。本番前にもう2つ。
まぁ、いつものように、粛々と進むだけだ。
帰って、そのまま入稿してしまおうと思ったけれど。
前日の作業も含めて、アルコールを肉体に入れたかった。
今週末をよく乗り切ったと、自分なりに思いがある。
・・・というか、完全に疲労している。
この疲労を、アルコールで吹き飛ばせないかなぁなんて思ってた。
まぁ、結果、疲労はなくなった気がするだけで、激しく残っているけれど。
いつものように、作品の稽古が走り始めて。
いつものように、おいらは、同時作業を進めて。
いつものように、各々が苦しむのだろう。
でも、本当はいつもとは違う。
違うんだよなぁ。
前日に、音声が仕上がったんだぜ。
まさに、映画が生まれる直前なんだぜ。
この責任、この意義、それまでとそれから。
わかってるかなぁ。わかってないかなぁ。
きっと、そろそろ出来上がる!と待ってるだけかもしれないけれど。
そうじゃない。
これが、完成したら、同時に、おいらたちは、生まれ変わらなくてはいけない。
そのことは、結局、うまく伝えられないままだ。
いつものように。
稽古をして。
また一週間がはじまる。
昨日までのおいらは、もう、どこにもいない。