朝起きて、多少の修正を重ねてから稽古場に向かう。
少し早めについて、直したいところだけ直して、再度書き出し。
監督に最新の映像を渡すためだ。
もし、タイムコードがずれるような編集をしたいと言い出したら字幕製作に入っている以上、コトだ。
これで思い残すことがないのであれば、それはそれで問題がない。
それに、音声の問題を多少はクリアできているはずだ。
LRパンで、今まで聞こえなかった音が聞こえてきている。
その上で稽古場で、皆に、今、どんなスケジュールで動いているか報告。
アフレコがいつになるか、まだまだ未定なことも伝える。
本来なら、MAをするスタジオでRECしてしまえば、早い。
けれど、MAをするスケジュールが3月にずれ込んでいる。
2月最終週の、映画祭への出展も、3月半ばのマーケットへの出展にも間に合わない。
だから、今ある音源の、バランス調整だけはお願いしている。
とは言え、元々聞こえていない音声は、やはりアフレコが必要。
代替えの音声データを、いくつか探しながら、やはりみつからないケースがある。
とにかく、何テイクも撮影していないのだから、テストから数えても、ない音が出てくるのだ。
いくつかの提案があった。
その中で仮のアフレコという提案がある。
仮でアフレコをしておいて、それが使えるなら、そのままMAに入ることも出来る。
さすがにそのままじゃっていう音声だけ、MA時にアフレコするという方向性でも行ける。
古賀Pの事務所に機材があるとのことでそこでやろうと思えばできるという話ももらっている。
ただ、大人数だから、そこをどう調整するのかも考えなくてはいけない。
まして、2月末以降に伸びてしまいそうな気配もある。
それも含めてMAをお願いするKORNさんに相談に乗ってもらう。
仮とは言え、アフレコを先にやっておけば、作業効率は格段に上がるのだから。
そしてもう一つ。
まだ次回公演の稽古が本格的に始まっていないのなら思い切って稽古場での仮アフレコをしてしまう案だ。
ただし、稽古場は天井が低いために、反響音が凄い。自然と箱なりのリバーブがかかってしまう。
だから、やるのであれば、稽古場の別部屋の壁と天井に、毛布などで養生して、なるべく反響音を殺さないといけない。
その上で、PCMレコーダーか、もしくは、PCにオーディオインターフェースを接続するしかない。
レコーダーもインタフェースもないから、ここは考えどころだ。
もちろん、諦めるという選択肢もある。
完パケまでにアフレコRECをすればいいのだから。
別に映画祭だって、マーケットだって、日本語がわかるわけでもないし、音声が完璧じゃなくていいのだ。
とりあえず現状で進めていくという方向もあるのだ。
ただ、音声さえしっかりしていれば、その分、劇伴音楽も持ち上げられるしクオリティは確実に上がる。
クオリティを、出展までに少しでも上げたいと思うのは仕方のないことだけれど。
1mmでもいいから、高みに近づけたいという思いが、アフレコが可能じゃないかと自分に問いかける。
KORNさんへLINEで相談が続く。
PCMレコーダーなら、やはりオーディオインターフェースの方が良いこと。
オーディオインターフェースのおすすめを聞いたらいきなり高価な機種を勧められてびびったけれど。
とは言え、これなら、という機種はなんとなく聞けた。
もし、それでいくなら、なんと、マイクなどを貸してくださることになった。
マイクと言っても、その辺のマイクではなく、レコーディングに使用する高価なマイクだ。
だとすれば、必要機材も限られてきた。
劇団員の数名から、スタジオにアフレコにいく交通費を計算したら、それ以下の機材ならそろえてもいいんじゃないかという意見も。
なるほど、その視点はなかった。
確かに、移動費や、その時間がかかることを思えば、稽古場でやってみる価値はあるのだ。
実はオーディオインターフェースなしでは一度アフレコを試している。
PCのマイク入力から直で、音声を入れてみた。
笑っちゃうほどノイズが乗っていたけれど、インターフェースさえあれば出来ることはわかっている。
やるか・・・。
っていうか、やれるのか?
やってしまうのか。
しばし、悩もう。
まぁ、悩む時間なんかほとんどないんだけどさ。
悩んでいる時間があれば、その分、作業は遅れるし、クオリティは上がらない。
稽古場で。
そこには監督がいて。
高価なマイクも揃う。
やる価値はあるんじゃないだろうか?
そもそも、そうやって、大道具を集めて、ロケ地を見つけて、やってきた企画なのだから。
皆の前でエンジニアな顔を出すこともなんにも厭わない。
帰宅して、Pにもメール相談してみる。
明日にはアドバイスも来るだろう。
もしやるとなったら。
ついに、劇団員が、映像を観る機会を持つことになるんだなぁ。