午前中から音声の貼り付けを再開する。
今日の夜の編集までの目標設置して、一つずつ。
途方もないなぁ。
そう思っていた、音声の貼り付けも、半分ぐらいまではきた。
ただし、セリフの切り出しまでは、もちろん、まだまだ進まない。
本当に地道な作業だ。
夕方過ぎギリギリまで音声の貼り付けをしてから、編集に出発。
監督より早めについたから、そこでも音声の貼り付けをしておく。
そして、到着と同時に、クライマックスの編集が始まった。
なんというか、とても精神的に疲労度の高い編集だった。
一つ一つの表情に意味があり、そのどれも、きちんと表現していきたい。
技術的に繋がらない部分は仕方がないにしても、ここがどれだけ重要なのか、二人とも深く理解している。
脳みそがシュワシュワと泡立つような感覚。
コンマ数秒がシーンの意味を変えていく。
すごい。
すごいシーンが組みあがっていく。
クライマックスの編集が終わるころに、地震。
大き目で長い揺れ。
でも、編集で疲れているから、なんだか、どっちの揺れだかもわからなかった。
このままラストシーンまで進むのか。
それとも、今日は、終わるのか。
どっちにしろ、ここまで神経を使うと、もう、良いのが出ないよとの監督の言葉で終了とする。
監督にスケジュール確認をすると年内はもう厳しいかもしれないという言葉。
大晦日ギリギリまで追い込もうと言っていたけれど、忙しいなら致し方ない。
それならと、今日までの映像を書き出して、USBメモリに移して渡そうと思った。
書き出しをコマンドすると、書き出しに思った以上の時間がかかることがわかった。
じゃあ、帰宅して書き出して、ネット経由ですねとなった。
とは言え、年内にまとめあげたかった。
そこで、提案する。
それなら、この先のシーンは、もう大体どこがどれか決まっているのである程度の編集をしておいて、ラストまでの映像にしちゃいますと。
ラストまで一気に見れる状態で書き出した方が、監督もデータを観た時に、全体感がわかりやすいからだ。
映像をPCや家のテレビで確認して、ネット経由で指示が出来たり、次に直す個所を決めておける。
じゃあ、それで行こうとなって、今宵は解散。
帰宅すると、もうてっぺんを越えそうだった。
けれど、ここは勢いだ。
書き出しにも時間がかかれば、ネットにアップロードするのも更に時間がかかる。
だったら帰宅して勢いでラストシーンまでまとめあげて、書き出して、夜中のうちにアップロードまでしてしまおうと思った。
ラストシーンは、それこそ、編集というよりも並べて組み上げるだけだった。
口の動きを合わせていけば、それだけで組みあがってしまう。
出来上がっていくのを観ていると、涙ぐんでいる自分に驚く。
それは、組みあがったことへの達成感ではない。
この作品に純粋に感動していた。
背筋がぞくぞくと、寒くなった。
この作品の映画化は、世界に届く。
そう思って、立ち上がった企画だったけれど。
その思いが確信に変わっていた。
この作品は、とんでもないことになる。
もちろん、まだまだ編集作業は続く。
もっともっと良くしていかなくちゃいけない。
全体感を観て、前半や途中のテンポ感なども再考が必要だろう。
だとしてもだ。
だとしても、この作品は、とんでもないエネルギーを持っている。
何度も舞台で演じて、シナリオも何度も読んで、撮影をして、編集までしているおいらが涙ぐむのだ。
どんな話か、恐らく、今、監督の次に深く理解しているおいらが感動するのだ。
今、整理してタイムコードをつけた粗編集の書き出しをしている。
この書き出しデータは、まだ音声に不備があるし、タイトルも仮だし、音楽もついていないし、整音もSEもない。
色の調整もしていないから、明るさまでバラバラだ。
のりづけも、少し多めにとっているから完パケよりもテンポも悪いし、尺も長い。
当然、最後のテロップなんか、なんにもついていない。
それでもようやく最初から最後までの一本につながったデータが書き出されるのだ。
なかなか、書き出しが終わらない。
もう、こんな時間か・・・。
それなのに、なぜか、少しドキドキしている。
まったく眠くなんかならない。
今、そのデータが生成されていると思うと、それだけで、ドキドキする。
本当に映画になるよ。
本当に映画になっちゃうよ!!
それも、必ず心に残るような映画になっちゃうよ!!