夜に監督と待ち合わせて、ノマドカフェに入る。
いわゆる電源フリー、wifiフリーなカフェだ。
とは言え、別に個室なわけでもなく・・・衆人環境。
そんなカフェで、「セブンガールズ」の映画の編集が始まった。
監督用のモニタと、ヘッドフォンを渡す。
しまった。ヘッドフォン2つ用意したけれど、1つしか出力しない・・・。
こればっかりはしょうがない。
ヘッドフォンアンプを買うのはちょっと気が引けるなぁ・・・。
安くて、2系統の出力で、モバイルな製品があれば検討するしかないか。
エディターが、音なしで編集をするのは相当厳しい。
かといって、監督が音を聞かないで指示なんかできるわけがない。
幸い、翌日の編集場所は個室予定だから、なんとかなるだろうか?
とは言え、二人揃ってヘッドフォンをつけていたら、会話が出来ないか・・・。
なんか、別の手がないか考えよう。
やっぱり、軽くて持ち運びできないと意味もないだろうし。
今日は粗編集で、ここはこれ!ここはこれかな。と、どんどん指示が出て進むと思っていたけれど。
そうは、問屋が卸さなかった。
最初のシーンから、ここにこれをやってみて。
んー、違うか、ちょっとこれ試してみようか。
その繰り返しが最初のシーンから連続で飛んでくる。
まだまだエディットになれないから、ついていくのに精いっぱい。
言われてすぐに対応するけれど、いじっている最中もモニタ出力されるから、そこじゃなくて・・・が飛んでくる。
まあまあ、想定内ではある。
やはり、監督専用のコントローラがあるといい。
監督が、ホイールを回して、ここで切って!というのが一番早いと思う。
慣れとコンビネーションが完成されれば、クオリティが上がるのは見えた。
最初の2時間で、やっと1つのシーンの仮編集が終了。
もちろん、これも、まだ仮の段階で、最終的にはもっとソリッドになっていく。
続くシーンは長めのシーンで素材も多いから、覚悟していたけれど、結局、途中で閉店となった。
つまり、初日は1.5シーンで終了。
もちろん、そもそもカットの少ないシーンもあるし、1カットのシーンもある。
チョイスのしようがないシーンもあるから、早いときはどんどん進むだろう。
だから、それほど気にはしていないけれど。
最初から、思ったよりも細かい部分までこだわっていた。
監督もおいらも集中していたから、結局、一服休憩も一回だけ。
空腹にもならずに、ドリンクだけで、進んでいった。
飴玉を買っておいたのだけど、封を開けるのさえ忘れていた。
おいらが思うに、今日、編集した個所は、結果的に全部変更になると思う。
まぁ、もちろん、そんなつもりでやっていないし、決定しようと作成しているけれど。
編集が進んで、コツのようなものや、方向性が固まったら、きっと変わるなと予感した。
今日やった編集は、もちろん本番だけど、同時に予行演習的な部分もあるのだ。
時間的な都合があるかもしれないけれど、ここで妥協なんかできない。
そのお互いの確認だったと思う。
編集という立場に立つと、芝居感がまた一つ変わる。
芝居がすべてなのに、編集という場所に行くと、芝居が素材になる。
リアルタイムでそれを体感している俳優というのも不思議な存在だ。
素材になっているから芝居を否定するわけではない。
俳優の矜持を持ったまま、編集という場所に立っている感覚。
浮遊感というか、宇宙に立って芝居を観ているような俯瞰の感覚を覚える。
解散した後も、浮遊感は抜けず、夜も遅いのに、寝ているわけじゃなく電車を乗り過ごす。
ようやく帰宅して、軽く、食事をとってから、もう一度、今日編集した部分の整理をした。
思ったように、映像と音が少しずつずれていたり、タイミングが甘い部分もある。
その辺を整理して、やっと、今の時間だ。
明日は朝から一日中編集予定だけど。
まぁ、明日になってから時間を決めましょうと解散をした。
編集は迷路のようだよ。
ここが答えだと思っても、まだまだ奥が深い。
いじりたおして、結局シンプルに戻ることもある。
この繰り返しが終わっても、きっと、全体を見てまた変わるだろう。
大変は大変だ。
監督も大変だ。
おいらは、もう、頑張れよと。
でも。
大変だけど。
慣れない部分も多いけれど。
やっぱり、どこか楽しい。
監督と二人、食べることすら忘れて集中してクリエイトしている時間。
まだ100分の1にも満たないけれど。