美術の設営についに入った。
やはり、昨日のうちに基礎の舞台を組んでおいたのは大きかった。
基礎の上に柱を並べて、そのあと、どこにどんな材料を組み込むか立ち並べていく。
美術さんが、ここに、これを!こんな建具ないですか?こんな家具ないですか?にもどんどん対応していく。
イメージがどんどん具現化されていく。
基礎からやってたら、こんなに進んだはずがない。
本当に色々なラッキーがあった。
美術の杉本さんとの出会いはもちろんだけれど。
家具類や建具などを旅館からいただけたこと。
足場丸太をいただけたこと。
トタンをいただけたこと。
ほかにもたくさん、信じられないけれど、手に入れてきたこと。
そして、このロケ地!
何かがないと思うと、このロケ地でみつかるという偶然の連続・・・。
ちょっと、信じられないような素晴らしい環境の中、セットを組み立てている。
気づけば、柱の間に壁が立ち、部屋の仕切りが立ち。
少し道具を置くことで、雰囲気を見るようなところまで行って。
朝早くからすでに12時間経過していたのだけれど。
真っ暗な夜の暗闇の中で、作業灯に照らし出されたその部屋は、まさにパンパン小屋そのものでした。
もちろん、これは、まだまだ途中段階。
ここから、さらに材料を重ねたり、汚しを入れたり、していくわけで・・・。
照明だって作業灯ではなくて、本当の照明になって。
そこに、衣装を着てメイクをしたパンパンガールが立つと思うと・・・。
うわあ!!!
これは・・・これは、とんでもないことになる!!!
・・・と確信したのです。
俳優ってね。
稽古着で稽古をしているでしょ。
ジャージとか短パンとかTシャツとかさ。
それがね、変わるの。
衣装を着ると、自分でその気になっちゃう。
セットに立つと、自分でその気になっちゃう。
音楽が流れると・・・照明が灯ると・・・
どんどん、芝居はよくなっていくのですよ。
それが起きると確信したよ、おいらは。
明日も朝が早い。
明日には、ほぼほぼ建て込みが終わって、明後日から装飾に進めるぐらいにしたい。
さすがに、男だけでは、もう無理な段階だから女優にも手伝ってもらうことになる。
終戦後・・・
焼野原・・・。
銀座から富士山が見えるような焼野原。
雨露をしのぐために、そこら中に落ちている燃え残った廃材で小屋を建てていった。
それは、まさに素人建築で、建築の常識なんてなんにもないような掘っ立て小屋。
男は兵隊にとられていたから、女だってバラックを建てた。
そんな、風が吹けばきしむような雰囲気のバラック街。
おいらたちは、その当時と、同じように廃材で、素人建築していっている。
これは、すごいことなんだよ。
本当に、奇跡のようなことなんだ。