オーディションを行った。
オーディション開始1時間前には準備時間に入って、打ち合わせをする。
おいらはそれぞれに用意した資料となるリストを渡す。
事前に頂いた、応募者様からの情報を記載したものだ。
会場に入ってすぐに準備を開始する。
椅子を並べて、机を並べて、テキストをコピーして。
ようやく準備が整い始めた時に、最初の一人がやってきた。
受付担当を決めてあって、受付をお願いする。
おいらは、当日の連絡先でもあるから、電話対応をしたりメールを確認したり。
道に迷う方もいるし、急な用事が出来る方もいる。
想像はしていたけれど、電話も何度も鳴る。
スケジュールの運行は進めなくてはいけないから、決まった人数にはならない。
どんどん案内して、なんとか、一度に最大で数人というルール内で回していく。
応募してくださった役者様は大抵、誰もが緊張をしていらっしゃる。
そして、渡したテキストを、とても真剣に読み込んでいる。
テキストには4つのシチュエーションとそのリアクションが書かれている。
その4つのうちの監督が選んだ任意の2つの演技をカメラで撮影していく。
セリフと言えるようなものはほぼなく、ただシチュエーションを成立させて、リアクションを観ていく。
おいらは実際の審査をやっている向こう側には一度も行かなかった。
連絡できる人間が審査や選考が出来る立場にあってはならないと思うからだ。
3組ごとに、選考をする監督を始め数人には、リフレッシュタイムを事前に組んでおいた。
時間もないし、もっとビッチリスケジュールを組むことも考えたけれど、無理だと判断した。
相手が真剣であればあるほど、観ることだって疲労することはわかっていたからだ。
まして、人が人を見るという作業がどれほどのことなのか、舞台に立っていればよくわかることだ。
オーディション終盤に受ける方が、疲労した状態で選考されるのは、余り平等とは言えないと思う。
おいらは、自分が受ける立場で、何度かそういう場面に出くわしたことがある。
だからこそ、流れ作業にはならないようにそうしておいた。
思ったよりもこれが効果的だったと思う。
リフレッシュがなかったら、厳しかったと選考を担当した一人が漏らしていた。
おいらは、様々な方々とコミュニケーションを繰り返した。
電話連絡もあったし、その前日以前に電話で話した人もいる。
会場でも話したり、会場の外で見かけても話をした。
応募した方々は、やはり劇団のHPやこのBLOG、そしてクラウド・ファンディングのページも観てくださっていた。
クラウド・ファンディングのページを観ていれば、最後においらの自己紹介がある。
だから、観ている人によっては、おいらのことがわかっている人もいた。
映画作品に出演する。
作品製作に関わる。
そういう目標。
そんな大きな船があるのだとしたら、オーディションに来てくださった全員が同志だ。
同じ志を持って、芝居を続けているのだと思う。
中には「小劇場から世界へ」という目標を観ての応募だと言っている方もいた。
作品の趣旨を理解してくださっている方がたくさんいた。
舞台で活躍されている方もとても多かった。
もちろん、この中の誰と実際に芝居をすることになるのかはわからない。
けれど、この映画じゃなくても、いつかどこかで、一緒に芝居をすることになるかもしれない。
いつかどこかで、その小さな川が交差するのかもしれない。
芝居をしなくても、どこかで出会うかもしれない。
そう言えば下北沢演劇祭の事前の集まりだとか、池袋のでも、たくさんの人に会った。
だから、そういう同志との交差点なのだとおいらは思っていた。
皆様、ご参加ありがとうございました。
逆にたくさんのものを頂いたのではないかと、今、実感しております。