今日からは全員で同時に稽古。
稽古場では恥を何度もかくのだけれど、それを観られる人数も倍になる。
ここからここから。
忘れないでいるべきことは、厳しい視点を維持することだ。
作品に取り組むという事はそういう事だ。
相当厳しい内容もあったようにも思うけれど。
でも実は厳しいようで、厳しくない。
むしろ、今までだったら、てめえでなんとかしろと言って、放っておく。
全員の前で恥をかけばいい。
でも、今回は映像に残る。発信する広さが違う。
だから、優しくなってしまう。
今までは言わないで放っておいたことも、言わないとかわいそうだと思ってしまう。
でも、それでいいと思っている。
その後、パンパンたちのディスカッションもあった。
お互いのイメージカラーを確認しあった。
劇団と違って、そもそも誰かも知らない人や、海外の人だってこの映画を観るかもしれない。
これが誰か、すぐにわかるようにしていかなくちゃいけない。
もちろん、戦隊物のヒーローまでハッキリとするわけではなくて。
この役はこの色のイメージだよね。じゃあ、それを意識して衣装とかも考えようぐらいのものだ。
そして、そのイメージカラーは、美術さんや、ヘアメイクさんに役の説明として添付する。
各配役のイメージを深めてもらう。
恐らく、役者同士でも、自分で思っていたカラーと、人から見たカラーの違いがあったはずだ。
カブリもなくなるし、イメージの差異も埋まるのだから、大事な作業だなぁと思った。
稽古の終わり頃。
美術スタッフがイメージを持参してくださった。
監督にイメージ画像を見せて、確認する。
監督は、何度も同じことを言った。
「本当ですか・・・本当にこれ、出来るんですか」
イメージ画像は、予想していた内容なのに。
予想を遥かに越えるイメージになっていた。
そこから、実際の確定の美術になって、更に図面になって、必要な部材がわかる。
どんなイメージだろう・・・まだイメージだから、と思っていたのだけれど。
図面もあり、2方向からのイメージ画像があり、かつ、カメラを配置できるよう計算までされている物だった。
イメージ画像には・・・。
まさに、バラック街が現出していて、そこにはパンパンが立っていた。
何度も何度も確認してしまう。
ここで撮影したら、どんな映像になるだろう。
想像しただけでもわくわくする。
そんなイメージがそこにあった。
この予算でこんな美術を組む映画なんて、恐らく、どこを探してもない。
美術スタッフと共に、酒を飲む。
実際の建込みになったらどんなことがあるか。
実際に必要な部材はあとどれぐらいだろうか。
様々な話をしながら、力強い言葉も頂く。
そして、ここから更に、最終稿に入っていく。
実際に撮影する現場が解れば、それを最大限活用したシナリオに書き換えられる。
最終稿があがれば、更に、動き出す者もあるだろう。
そして、演出も可能になる。
実際に、動けるスペースがわかれば、撮影に入る前に、動きを決められる。
それをしておくことが出来るからこそ、この映画を撮影できる。
早い段階から稽古出来れば出来るほど、クオリティが上がっていく。
まったなしだ。
どんどんどんどん進んでいる。