2019年12月23日

公開76日目

去年の今頃、上映機会を増やせないかと悩み続けて。
UPLINK渋谷さんが手を挙げてくださって。
その上映期間が2度もの延長が決まって。
そして、その上映がもうすぐ終わるという事がわかった、そんな頃。
その一年後の今日、セブンガールズがあんなに大きなスクリーンで上映されると思っていただろうか。
気付けばこのBLOGも76日を数えた。
もうすぐ待望の77日を迎える。実に11週の上映になる。

まだ名古屋から2週間しか経過していないという気がしないほどの毎日が続く。
未だに形になるのかどうかもわからない事のために今日は朝一番から動き回っていた。
今にも泣き出しそうな空を見上げながら、持ってくれ、もう少しだけ待ってくれ。
そう呟いていた。
始めは一人で全てと思っていたけれど、それは余りにも苛酷だと気付き手伝ってもらった。
その手伝ってもらった途中で一度、秋葉原UDXシアターに挨拶に行って。
再び合流して、もう一度映画館の外に出る頃には多くのお客様とすれ違った。
映画を観る前に顔を見せてしまって、なんだか申し訳ない気分になった。
自分でも自分が今、何をしているのか一瞬分からなくなった。
これから上映が始まるというのに。

この2週間、なぜ自分は映画化をする作品に「セブンガールズ」を選んだのだろう?と考え直していた。
なんだか色々なこと、色々な作業に追われながらだからあくまでもぼんやりと。
劇団の代表作はいくつかの作品があるはずで。
再演を4度も上演したのはセブンガールズだけだけど、最初に再演した作品は別の作品だったはずだ。
もちろん、とてもじゃないけれど映画化なんかしようと思えばとんでもない予算が必要な作品もある。
現実的にバラック小屋というまさに手作りだった街であればと思った部分があったのだけれど。
それにしても一番自分たちらしく自分たちの劇団らしい作品だったのかと聞かれたら判断が難しい作品でもあって。
多くの作品の物語の構造とは違う作品だし、特に劇団の公演が近づいてウェイトがかかるほどに。
劇団は劇団でいつも通りに、映画は映画でそのままという道に進めるだろうか?と思い悩んでみたり。
大きな覚悟が必要になってくるんだなぁなんて考えてみたり。
自分が言い出したのだから。
映画化を言い出したのも。この作品を映画にしようと言い出したのも。

この2019年を通じて次の舞台がいかに恐ろしいか。
どう説明していいのかわからないけれど。
映画という編集された世界での自分の演じた芝居を知った皆様が。
もし舞台の自分にがっかりしてしまったら。
今までずっと舞台を応援してくださった皆様が。
もし映画に専念した結果として観た時に成長を感じてもらえなかったら。
自分はそんな気分に襲われるたびに、眩暈がする。
応援してくださるアングルからの「良かったよ」ではいけない。
応援してくださっている皆様が言葉を失うような舞台でなければ自分にとっては成功じゃないから。
ただ良かったよと言われるような舞台はただのファンサービスに過ぎない。
そんなスタンスで生きることは自分は出来ない。
自分の中に自分はこんな風ではいけない、こうあるべきだという確固としたものがあって。
そことのギャップに今にも震えそうになる。
だから逃げ出したくなるけれど、そこは自分の矜持だ。
ここだけは譲らないという場所を持っていなければ、役者なんかやってはいけない。

TOHOシネマズのご担当さんは前回の秋葉原を覚えていてくださっていて。
交通の遅れのお客様を待ってからの上映をしてくださっただけではなく。
前回同様、舞台挨拶を最後列から見てご意見まで下さった。
ドリパスで名古屋で上映出来たことも喜んでくださっていて。
どんどん他の地区でもやりたいと要望を出した方が良いよなんて言ってくださった。
要望なんて出せるのだろうか?
その方法すらわからないけれど、やはりリクエストしてくださる方がということなのだろうか。
わからないけれど、この作品をもっと広く上映しなよと言ってくださっているような気がして。
なんだか不思議なぐらい心が暖まった。
そう言いつつ、三度目がもしあったら、ひ、、、日比谷のTOHOさんで・・・とは言えないのだけれど。
ガールズを有楽町に立たせたいなんて言えないよなぁ。
秋葉原での上映だってありがたいのだから。

今日も初めてセブンガールズを観てくださったお客様がたくさんいらっしゃった。
そんな日が来たのも全て応援してくださる皆様のおかげで。
ああ、きっとまだまだ本当はセブンガールズを知らないままで、そんな機会がないままの方がいる。
そんなことまで同時に思って。
大きな感動と同時に、自分の力の足りなさばかり思ってしまうのも本当だったりする。

ロビーでお客様のお見送りをする。
初めてのお客様、何度も足を運んでくださったお客様。
今回少しだけいつもと違ったことがあるとすれば。
クラウドファンディングのリターンを、大分の上映が終わって、この日までにと郵送したということ。
それが届いたよというお客様も来てくださっていて。
それを喜んでくださった皆様も目の前にいたという事。
ああ、ああ、最前列に何人もいたなぁ。
舞台再演の頃のTシャツを着て、鑑賞してくださったお客様もいて。
初めてのお客様から、長い歴史のあるお客様で、多層的になっていることがすごいなぁって思う。
全てのお客様に自分が出来ることがあるのだろうか?

電車に飛び乗ると、足がジンジンしはじめた。
朝10時前からあちこち歩き回って、途中、ばったりと足が止まってしまったけれど。
それにしても結局、再開して登壇前まで千代田区を歩き回った。
足がむくんで踵が痛くなっていた。
電車でSNSを開くとたくさんのお客様のコメントが溢れている。

ぶわっと2019年という1年が蘇ってきた。
名古屋シネマテークに始まって、下北沢の2週間。
なんとも言えぬもう終わってしまうという思いと共に通った横浜。
秋葉原の復活上映、大分別府での温かい交流の数々。
初のシネコンだった名古屋。
そして2019年の終わりにもう一度秋葉原。

メールを開けばたくさん溜まっている。
そうかぁと思いつつ、開き、返信をする間もない。
今は、とにかくやることを片付けないといけない。
この恐怖と震えに対峙しながら。
明るい光が見えるその時まで。

メリークリスマス。
良いお年を。

大きな声で皆様に届けた。
和洋折衷しっちゃかめっちゃかだ。
1月にまたお会いしましょうなんて言わない。
ここは映画館だから。

さて。
作業に戻るとしよう。
今はたくさんの愛情をチャージしたのだから。
この元気をそのままパワーにしなくちゃもったいないもんね。

ありがとう2019年。

さあ2020年の幕開けだ。

期待してもらえる自分になれていたら。
どうかどうか少しだけでも。
期待してあげてください。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 02:35| Comment(0) | 夢の彼方に | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月08日

公開75日目

日帰りの強行軍で名古屋に向かう。
雪の予報もあって心配していたけれど通過後に振ってくれたようで安堵する。
日本の道路工事の進化は凄まじくほんの数年でナビにはない道があったりする。
特に近年は高度経済成長期からの過渡期で建て替えたり震災で防振対策をしたり。
あるいは東京五輪に向けてのインフラ整備もあって各地の道路建築が進んでいる。
高速道路が順調でもハイウェイを降りた途端に時間がかかって予定よりも少し遅れて名古屋に到着した。

朝食はパーキングエリアだったから昼食を映画館からそこまで遠くない名古屋飯にしようと話していて。
事前に調べてあった老舗の味噌カツ屋さんを目指した。
ネットの評判なんか結局は人の好みだし実際に口にしないと美味いかなんてわからないけれど。
それでもそんな時に地図と連携して探せることは大きい。
すっかり口の中が味噌カツ丼になって思っていた店に到着すると閉まっていた。
不定休と書かれてはいたけれどまさか後半部の観光地で土曜に休むことがあるなんて思ってもいなかった。
実際、自分たち以外にも何組かやってきては肩を落として帰っていったのだから開ければ満員だったんじゃないだろうか。
その建物が恐らくは戦後からそのまま続いているような建物で。
なんと窓ガラスにはあのパンパン小屋と同じバッテンのテープが貼られていた。
まさか空襲に備えてという事でもないのだろうけれど、ちょっとしびれるような建物だった。
返す返すも、あの店で食べることが出来なかったのが悔しい。

すっかり口の中が味噌カツになっていたので近くでやっている店を検索する。
結局、水族館に併設されていたフードコートが入っている建物のとんかつ屋さんに。
きしめんからドテ煮、味噌カツまで、名古屋飯は全て置いている。
口にすれば赤みその強烈なパンチがやってくる。
あのお店はどんな赤みそだったのかなぁなんて思いながら舌鼓を打った。

江戸時代、お城の周りは武家屋敷が並んでいて、維新後もそういう場所は金持ちの住む場所になった。
前回、名古屋シネマテークでの上映で名古屋城近辺にも行ったけれどやはりそんな風情は残っていた。
名古屋城の周りは、堀之内だとか都内でも見かける地名が多くてそういうものなのだなと思った。
名古屋シネマテークのある今池は名古屋城から距離もあって下町の匂いがした。
下町とは少し違うのかもしれないけれど、やっぱり城下町とは趣が違っていた。
今回の上映される名古屋ベイシティはいわゆる港湾部。
山の手の反対に位置される街になる。
驚いたことに、築地であったり入船であったり品川まであって、やはり都内と同じ地名がいくつもあった。
江戸時代からきっと港湾部には役割を伴った名前がついているのだとわかる。
そして埋め立て地でもあり外国との窓でもある港湾部は近代化が非常に早い。
横浜、神戸、そういう場所の持つ空気感がそのまま名古屋にもあった。
港湾部には南極観測船のふじが展示されていて、その雄大さに息をのんだ。

少し休んでからTOHOシネマズ名古屋ベイシティに向かう。
自分の知っているTOHOシネマズの何倍も大きな場所だった。
メガ映画館。
その建物一棟の全てが映画館だった。
馬鹿でかいデザイン性に溢れた建物に一歩入るとあのキャラメルの匂いが充満している。
こんな大きな場所で上映されるという事がなんだか信じられない気分だった。
無人のチケットカウンターに目をやると、電光掲示板に「セブンガールズ」と書かれていた。
嘘みたいだ。
デジタルで管理されたチケットカウンター。
そこに併設されている電光掲示板。
前回のドリパス上映は常設の映画館じゃないからどっちもなかったしこの匂いもなかった。
たくさんのメジャー作品のポスターが並んでいることもなかった。
シネコンで上映されるとぴりりと伝わってくる。

ご担当してくださった副支配人様に挨拶をする。
本日の導線、流れを確認して、控室を案内していただく。
なんと控室は2つも用意してくださっていて、そのどちらも広かった。
深々としたソファーにはあの臙脂色のひざ掛けも用意してくださっている。
トイレもあるし、非常口の外に灰皿まで用意してくださっていた。
すでに揃っているメンバーを案内すると皆がすごいと口にする。
でもそれだけじゃなかった。
お盆には、あのポップコーンのバケツ。ソルトとキャラメルのハーフ&ハーフが二つ。
それにドリンクまでつけて持ってきてくださった。
本日、アテンドさせていただきます。
そんな声を聞いた時に少しクラクラとした。
すみません。僕のようなものが・・・とつい口から出てしまいそうになった。
そうだ。ここで舞台挨拶をする人たちというのは、皆、そういう人たちなのだ。

どこかで時間をつぶす必要性もない快適な空間で運転手の二人はそのままソファーで眠っていた。
起こさないように抜け出して、煙草を買いがてら隣接のイオンをぶらぶらとした。
小一時間で戻って来たら、まだ二人は座った形のまま眠っていて。
そんな座り心地の良い場所に案内してくれて助かったなぁと思った。
仮眠をとるために休息できる場所も検討していたけれど必要なくなったからだ。

ふとこれまで上映してきたミニシアターでの皆様の顔を思い浮かべる。
人の体温を感じる距離で、それこそ世間話までしてしまうような距離感。
そんなおもてなしのなか、セブンガールズは上映を重ねてきた。
そしてそういう暖かさの中で少しずつセブンガールズは成長させてもらってきたのだとわかる。
大手シネコンの控室は、アテンドでそれこそホテルマンのように丁重に扱ってくださる。
けれど同時に同じ時間、同じ建物の中で、様々な映画も上映している。
例えば芸能人が舞台挨拶をするという事であればSOLDOUT以外は許されない。
もし席が一つでも空いていたら、担当者は真っ青になって宣伝をすることになる。
こういう場所で日々動員数の折れ線グラフを睨みながら映画産業を支えている人もいる。
別世界のように見えるし、それでもやはり繋がっている一つの世界なのだとも思う。
このように歓待を受け、ありがたさを感じながら。
同時に映画産業という世界の厳しさも感じ続けていた。
例えどんなに話題作だったとしても、シネコンは僅かな期間で上映を打ち切ってしまうことだってあるのだ。
出演者の一人がここで何何さんが舞台挨拶をしたからここに座ったかもなんて話しているのを横耳に。
ポップコーンをほおばった。
そして、こういう場所に来れたことの嬉しさと、ミニシアターの暖かさとが体を覆っていった。

舞台挨拶のステージに上がる。
その観客席の広さに一瞬戸惑って、そこに何年も舞台に通ってくださっているお客様の顔を見つける。
瞬間的に胸が熱くなってそれを必死で抑える。
自分はMC役だったし、感情的になってしまいそうだから。
余りにも大きいスクリーンは壁一面に広がって、没入感を高めるために少しRがかかっていた。
映画も進化し続けているのだと改めて思う。
スマートフォンの額縁が狭いように、映画館の額縁も狭くなっていっている。
予定通り進行をしながら、同時に予定外のことも話していく。
監督が最後にマイクを持って締めてくれるのかと思っていたら締めるのも自分だった。
だから、そこからは少しだけ感情的になってしまった。
というか、何も計算しないまま、その時に思ったことを口走った。

こんなTOHOシネマズさんの大スクリーンで上映させていただいたことを誇りにして生きていくのではなく。
何かの形でもう一度、名古屋に帰って来たいと思います。

自分でも何を簡単に言ってるんだと思いながら。
いただいた拍手を聞いて少しだけ震えた。
ここでもまた、これからを話している自分を。
笑われても良いのに、拍手してくれることに。
セブンガールズという夢には、夢の向こう側がある。
それを見ることが出来るか出来ないかは、まともと馬鹿との間にある壁に似たような何かがある。
どちらかと言えば、自分は馬鹿だ。
今も夢の向こう側を探してしまっている。

映画館の外で何人かのお客様と顔を合わせることになった。
お客様が皆様、嬉しそうな顔をしてくださっていた。
名古屋は広い。
港湾部と、繁華街と、下町と、山の手と。
車でも数十分かかる。
今池と港区での上映で出会った皆様だけじゃないのだ。

セブンガールズはそれこそマーベルであるとか、釣りバカ日誌であるとか。
一般の誰もが足を運ぶような映画と同じように。
普通に暮らしている人がふらりと入って楽しめるエンターテイメント作品を目指した。
編集している時はミニシアターで上映していくと決まっていたわけじゃない。
こんな大スクリーンでの上映を想定して編集をしていた。
だから特別アーティスティックな作家性の強い作品ではない。
だから特別メッセージ性の強い社会派の作品でもない。
だから特別映画ファンに向けたB級テイストを込めた作品でもない。
ミニシアターでスマッシュヒットを続ける作品たちとは少しだけ違う方向かもしれない。
特別な売りはない。
だから大スクリーンでの上映は実は本来目指していた道なのかもしれない。
そしてミニシアターでの上映を続けることが出来たのはある意味で奇跡なのかもしれない。
いつか自分が映画館にふらりと入って出会ってきた映画たちのように。
こういう場所でしか出会えないお客様に今日出会うことはできたのだろうか?

帰りの車中、運転する二人には申し訳なかったけれど気付けば眠っていた。
様々な思いが交錯して、これからを思った。
ふとスマホで、12/22の秋葉原のページをみてみた。
気付けば90席もの予約が入っている。
前回を上回るペースだけれど。
前回以上のお客様が来てくださるかどうかはまだわからない。
ましてや年の瀬の大事な日曜日。
それでもきっとここでの成功がまた次に向かう一歩になることは間違いがない。
舞台も直前で出来る事は限られているけれど、何をしたらいいのだろう。
舞台も大成功にしないとという使命感で足がすくむよ。

秋葉原の大スクリーンでまた思うのだろう。
自分が走り続けた4年間を。
そしてそれを通じて知ったことを。
そんなことを思うと、また脳味噌が軋み始めて。
カロリーが急激に消耗される。

楽しい名古屋の一日。
同時に様々な思いが交錯する名古屋の一日になった。

上映成立させてくださって皆様ありがとうございました。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 03:49| Comment(0) | 夢の彼方に | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする