2019年06月08日

おばあちゃんの編み棒の色

ネット上の上映リクエストシステムのドリパスが毎日順位を上げている。
とってもありがたくて、毎日確認してしまう。
皆様の何位に上がった!みたいなSNSのコメントをついリツイートしたくなるのだけれど。
ぐぐぐっと抑えている。
このシステムはたくさんのたくさんの作品のファンが集まっていて。
純粋に投票しているんだよなぁとランキングをみて思ったから。
多分、出演者たちが皆で投票をお願いします!って動きい始めたら今の何倍も伸びるのはわかっているけれど。
出演者たちがあおって投票していただくことは、なんだかその純粋な思いを裏切っているような気がするからだ。
多くの映画ファンが純粋な思いで投票しているのだから。

お客様同士でご友人を誘うのと、関係者が直接お願いするのは違う。
この世の中は結果が全てなのだから結果だけを目指せよという心の声をずっと聞こえないふりしてる。
それにランキング入りしても上映は決定しない。
それならとチケット予約が一定数まで行かないと上映できないと書いてある。
組織票のランキング入りでは、その時になって予約していただける人が集まると思えない。
TOHOなのだから日本全国なのだ。
お客様に愛されてランキング入りするのであれば、もしかしたら興味を持っていただけるかもしれない。
だからこそ、誰かの純粋な思いのようなものに横槍を入れるようなことだけはしたくない。
きっと、他の映画のファンも、セブンガールズという作品の動向を調べたりするようになってくるから。

もちろん上映できるほどの上位に行けるかどうかはわからない。
ギリギリで難しいかもしれないとも思う。
それにしたってさ。
ちょっとすげーだろ!って自分はなんていうか自慢したくなっちゃうよ。
だってさ、ランキング20位以内を確認してみたんだけれど。
どの映画も全国ロードショーをしたような作品だとか、有名俳優が出演してたりなのだよ。
それはつまり公開時の宣伝力が全国規模だった作品だし、知名度という分母が桁違いな作品ばかりだってこと。
単館上映で上映を続けてきたような作品は「セブンガールズ」だけなのだ。
あとね、作品じゃなくて、出演者のファンたちが投票している作品もあったよ。
今週はこの作品を推しましょう!みたいなさ、すごい愛情だ!って驚いた。
確かに全国のファンがそれなら上映を観れるし、楽しいもんなぁ!ってシステムの良さを感じたのだ。
そういう中に、この作品を全国に届けたいですなんてコメント共にセブンガールズがあるんだぜ。
こんなに自慢できること、早々ないんじゃないかなぁ。
セブンガールズを知らない方も投票し始めてくださってるんだなぁと最近は思っていて。
ひょっとしたら唯一という事もあってミニシアターファンもいるのかもしれない。

本当はこれを猛烈にアピールしたいけれど自分なりにぐっと抑えて。
もし再上映が可能だとすれば・・・というものを自分のできる範囲ではやっている。
大したことではないかもしれないけれど、そういうことを積み重ねるしかない。
まるでこれは皆様とのマッチレースみたいだよ。

どんな方法でも、まずは結果を出せばいいという考え方はもちろんそれはそれで正しい。
結果を出してそこから帳尻合わせできることだってあるし、そこから考えたっていいのだから。
セブンガールズだって、映画化が決定してから製作開始しているのだし。
あの時の多くの皆様の雪崩のような勢いの応援を思い起こせば特にそう思う。
また芸能の世界では「他人を蹴落としてでも」なんてよく言われたりもする。
他の作品のファンなど気にしないで、どんどん進めばいいじゃないかというのがまかりとおる正義なのだ。

セブンガールズの撮影が終わって、少し時間が空いた。
撮影データを受け取りに行った。
編集は自分がやると伝えてあったけれどね。
すごく心配してくださっていたのだよ。
製作で入ってくださったスタッフさんが色々教えてくださった。
うちのパソコンを貸し出しましょうか?とか、アプリケーションについてとか。
生データのままじゃなくて、取り込みまではやっておきます!とかさ。
あの信じられないセットの中で、信じられないような撮影の日々を共に過ごしたスタッフさんだから。
その撮影データがどれだけの宝物で大事なものか知っていて。
バックアップも含めて、そのデータをどうするかというのをすごく気にしていて。

もちろん宣伝費に食い込んでしまうかもしれないという前提であれば。
編集を誰かにお願いすることが不可能だったわけではない。
いや、むしろ、殆どのスタッフさんがそうなのだろうと想像されていたわけで。
だからこそ、撮影セットのバラシの日に、自分が編集すると口にしたら、録音部さんがすごく驚いてたんだ。
たった5日でも撮影データは映画の数倍に及ぶ。
NGカット、サブカメラ、各テイク、全てを一本の作品にしていく。
撮影部や録音部、照明部とプロにお願いした素材の仕上げが、初の編集だなんて。

でもね。
データを受け取りに行った時。
小野寺さんの編集が一番良いと思おうって、言ってくれたの。
製作スタッフさんが。
余りにも膨大なシナリオ、余りにも数の多いカット数。
その全てを小野寺さんは把握しているし、出来るならそれがベストだって。
遠回りになっちゃう部分もあるのかもしれないけれど。
小野寺さんは、まぁ、出来ちゃいますねと少し笑いながら言われて。
でも、わからないことがあったらどんどん聞いてください!と言ってくれて。

自分の中ではもう一つあって。
それは監督が好きなように編集するというか。
詰まった時に意見を言えたり、悩んでいる時に提案出来たり。
あるいはその提案を、こんなのやらねぇよ!って監督が言い返せる関係性であるかとか。
プロのエディターの意見であれば、多分、自分がやるよりも監督はOKを出しやすくなるなと思ってた。
時間をかけてくれることが申し訳ないということまで考えてしまう監督なのだから。
どこかで、まあいいかが出てきてしまうかもしれない。
遠回りでも自分がやれば、監督は躊躇も遠慮もしない。
嘘だろ!この数秒のシーンだけ、なんで何十回も観るんだよ!みたいなことだって実際にあったもの。

それとね。
編集って、やっぱり編み物なのだと思うよ。
映像や音声という素材を、丁寧に編み込んでいく。
セブンガールズという映画はその時点ですでに工場既製品のセーターではなかった。
おばあちゃんの手編みのセーターのような、ひと編みずつ思いがこもっている作品だった。
だから、自分がやって正解だったんだって思う。
その後の吉田トオルさんとのやり取りまで含めて。

結果的にだけれど。
毎日映像をSNSで発信できるようなことも出来るようになった。
素材もノウハウも手の内にあれば、そういうことが出来る。
明らかにやれることが一気に数倍に膨らんだ。

結果優先でも良いと思う。
でも自分のやり方はそうじゃないな。
一歩一歩思いを込めて進む。
ひと編み、ひと編み、思いを込めて編んでいく。
ランキングに入らなかったとしても、その一票が純粋で思いのこもったものであれば。
それはきっと別の形で大きな力になるんじゃないかなって。
それを知った別の映画館が連絡をくれるかもしれないじゃないか。
だから。
今まで自分たちが歩んできた道のままで進む。
このやり方で進む。
いつ終わるかもわからない編集に向き合ったあの日。
大丈夫、どこかには辿り着くさと覚悟するしかなかった。

心は目に映らないけれど。
心を込めたものを人は感じることが出来る。
そう信じているからこそ
安易に結果は求めなかった
そう信じているからこそ
セブンガールズは完成した。

心が連鎖して連鎖して、今、こんなにも。


映画「セブンガールズ」
公式サイト:http://sevengirls.info/
上映期間終了 皆様ご来場ありがとうございました。

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posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 18:25| Comment(0) | 夢の彼方に | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする