2019年06月07日

あいつにありがとう

今起きている事。
現在ソノモノ。
それに触れながら、そこを触りながら。
少しずつ少しずつ、この最終章ではセブンガールズを振り返っている。
企画から、仕込みまで書いて、ああ、撮影の日々かぁと。
あの日をどう書けばいいのだろうか?
現代のことからなんて触れることが出来るのだろうか?

あのね。
役者です。
おいら役者です。
時々共演者や監督やプロデューサーにも役者だってこと忘れられるときありますけど。
自分は根本的には役者なんです。
何をやっていたって。
何処に立っていたって。

たった5日であのボリュームを撮影するわけだから。
そりゃ信じられないほどのスケジュールだし、常に頭を使って工夫して。
衣装を着たまま電動工具を握りしめて、照明機材の足を組んだりして。
スケジュールが巻けば、出来るシーンをすぐに脳内検索をして。
助監督に呼び出されたり、役者たちに今日出番ないかもなんて言われたりして。
駆けずり回ってさ。

でも幸せだったなぁ。
何から何まで知ってる現場で。
成瀬凛太朗を演じている瞬間瞬間が。
たった1回のまばたきだって、全部幸せだった。
カメラが、照明が、マイクが、全部、おいらに向かっていて。
おいらは成瀬としてまばたきをして、呼吸をして、心臓が高鳴った。
ハエが飛んでいるバラック小屋は、全て本物の昭和の遺物で出来てた。
目の前にいる真知は、やっぱり真知だった。
自分の足が自然と前に出たり、視線を上げて真知の表情を見たり。
編集で映画からはなくなっちゃったけど、そんな小さな動きのリアクションは残ってた。
背中から聴こえてきた「星がいっぱいでも」を忘れられるものか。

全部チェックしてた。
ガールズたちはメイク替えや衣装替えに集中してもらって。
男たちには色々と撮影中の仕事を手伝ってもらってた。
だから、今、撮影しているシーンの次にどんな撮影するのかまでチェックした。
このシーンの前は、例え男でも集中させてあげたいなっていうシーンがあるじゃない。
そういう時は、男でも芝居に集中してていいよ!って言えなきゃいけないって思ってた。
だって、皆は本当は役者だから。
今、あいつ集中したい時だから、邪魔しないであげて!みたいなね。
おせっかいおじさんだよ。

こんなことを言ってはあれだけれど。
ちゃんと芝居させてくれないんだよ。
例えば自分たちが映像の現場に行っても。
その役と戦いたいって思っても。
一生懸命考えてやるのに、全然、やらせてもらえないなぁって思うんだよ。
役者にとっては自分の役でも、全体にとっては役に大小がある。
舞台でもさ。
腹が立ったり、泣けてきたり、切なくなったり。
そんな風に心が動くような役は何年もやれてなかった。
物語を動かす狂言回しだったり、役割の強い役ばかりにだった。
芝居がしたいんだって言っても、そういうのも含めて全部芝居だからさ。
なんだか難しいんだよ。

だから思い切り芝居してやろうと思ってた。
結果的に思い切り出来たのかはわかんないや。
とにかく必死な毎日だったから。
でも、ただただ残っているのは楽しかったってこと。
そして確かに、自分は成瀬としてそこに生きた瞬間がいくつも生まれていた事。

映画を上映して。舞台挨拶で撮影の日々を話すんだけどさ。
誰も、おいらに成瀬をどうやって演じたかなんか聞いてくれないよ。
皆がどんなふうに撮影したんですか?って聞いてくれるよ。
たった5日は本当なんですか?とかさ。
そうだよねぇ。自分がお客様でもそれを聞きたいさ。
自分だけじゃない。
男が舞台挨拶で撮影の日々を話す時は、大抵が芝居の話じゃなくて、大変だった話さ。
撮影の日々をおいらがここに書くなら、やっぱりそっちを期待されてるのもわかってるよ。
それに皆、ガールズたちに感情移入するのだからさ。

わかってるけどさ。

自分でここは真知の表情のがいいんじゃないですか?なんて編集で言った箇所もあるよ。
役者である自分を切り離さないと、今だって何も出来なくなるから。

でも。
自分はあの5日。
成瀬でいるために頑張ったんだぜ。
成ちゃんを演じるためだけに。
成ちゃんを通して世界に叫ぶために。
例えそれが物語上は見えづらかったとしても。
最初から最後まで。
大事な大事な宝物を持つ強さを。

でもやっぱ成瀬を観に来て!とかは結局言えないね。
あの女たちに会いに来てくださいとしか。
見つけてくれる人がいたらいいやって。
だって、自分にとってあの5日はどんな意見があろうと変わるものじゃないもん。
伝わらなくても、それはそれだもんな。

生きてきて撮影のその日まで。
たくさんのたくさんの人にお世話になってきて。
中にはもうこの世界のどこにもいなくなっちゃった人もいて。
そんな人たちの名前を一人ずつ心の中で呟いてから撮影に入った。

いつも撮影の日々を話す時は実行委員長のそれだけど。
こんな話になっちゃったよ。
ごみんなさいね。

そしてありがとう。
成瀬凛太朗よ!


映画「セブンガールズ」
公式サイト:http://sevengirls.info/
上映期間終了 皆様ご来場ありがとうございました。

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posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 02:57| Comment(0) | 夢の彼方に | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする