2019年06月02日

未来というのは何が起きるかわからないことだ

4度目の舞台再演をした時。
それはセブンガールズの最後の上演になると思った。

元々30人以上の登場人物がいてクライマックスの抗争シーンでは後輩も出ていた作品だった。
その作品の再演をしようとなった時に、最初の壁は実際に出演できる人数だった。
当時から考えれば余りにも人数が減っていた。
大幅にヤクザ周りの人数が減り、元々重要な役割だった役も結果的になくなった。
その上で、二役をやるという飛び道具まで使うことでようやく4度目の再演を実現することが出来た。
この物語を上映するにはもう限界に近い部分が色々出ていた。

それだけではない。
劇団員の退団が毎年のように続いていた。
皆、大人になっていく。
家族の事情もあれば、経済的な事情もあれば様々だった。
公演が終わると誰かが手を挙げて、涙を流しながら退団を伝えることがまるで恒例になっていった。
そんな中、すぐかどうかもわからないけれど、役者を辞めることについての相談が何人かから自分にも来ていた。
それは仕方のない事だけれど、確かに自分たちは信じているものがあって、けれどその先が見えづらくなっていた。

目の前にいるお客様に楽しんでいただく。
そして何か暖かいものをそっと持って帰ってもらう。
それが一番大事なことで、それを求められ続けていた。
けれどどこかで、この劇団は大きくなる、有名になると期待されていた部分があった。
それが15年を越えて小劇場で演じ続けていくうちに、この規模でずっと楽しませてくれる劇団と見えるようになってた。
役者たちもこの劇団のやっていることは面白いと信じながら。
ここからどうやって大きくなったり、もっと大きな劇場に進出できるのか。
答えがみつからないような時期が長すぎたのかもしれない。
実際にその答えはなかった。
面白いと信じているし、どんどん内容が良くなっているという実感があるのに。
真面目にコツコツとやり続けるほど、大きな世界へ!という期待感が薄まっていくと感じていた。
退団を考える役者たちも、未来がみえづらくなっていったことと比例していたように思う。

『じゃあ、何をすればいい?』
4度目のセブンガールズの舞台は、まるで最後のはなむけみたいに見えてしまうじゃないか。
自分はこの作品を一人でも多くの人にまだまだ届けたいのに。
上演する機会すらもう持てないかもしれない。
苦しかったし、もがいていたようにも思う。
具体的な未来が欲しいと強く願っていたように思う。

自分の脳みそがひねりだした答えは「映画化」だった。
その日が、セブンガールズ映画化実行委員会が生まれた日になった。
最初はたった一人だった。

正直、何も具体的ではなかった。
キャストを集めて監督を探してスポンサーを探しての映画化も含めて検討していた。
この作品を映画化するには何がベストなのか、じっくりと考え続けた。
どういう形であれ劇団の代表作が映画化されるというのは具体的な未来だと思っていたから。
別に劇団にとってプラスだとか、劇団のお客様を増やしたいというのとも違っていたと思う。
未来というのは、何が起きるかわからないことだ。
映画化するってよ!ってなったら、その先、何が起きるかわからなくなる。
そのターニングポイントを創ってしまえと思った。

ただね。
自分がこれを思いついた時。
多分、出来ないんだろうなって思ったんだよ。
正直自分は出来ると信じていたけれど、いつものように反対されて終わるなって。
自分は時々とんでもない提案をするらしくて、基本的に反対されてアイデアのまま終わることが多い。
もちろん実現したこともあったし、反対しつつのGOが出たこともあったけれど。
今じゃないんじゃない?なんて一言で消えたことなんて星の数ほどあるんじゃないかって思う。
舞台の反省会という場面で、いきなり映画化というワードを出すというのは冒険でしかない。
皆が舞台について色々と反省している間に、こいつは何を考えてたんだ?ってことになるかもしれない。

皆にとっては、何言ってんの?だったみたいで。
反対も賛成もなく、やってみれば的な感じだった。
挑戦することにマイナスはないんじゃないかなんて意見も出た。
監督には、やると言ったら自分の場合一気にいきますよ?走りますよ?と伝えた。
反対が起きなかった。
クラウドファンディングの説明をした時、誰もクラウドファンディングをちゃんと知らなかった。
多分、その説明をした日に、自分はカンヌを目指すと皆の前で言ったはずだ。
なんてことだ。

クラウドファンディングの公開、それからの日々。そして達成。
徐々に進んでいくごとに、セブンガールズの映画化は皆の未来になった。

自分たちで映画製作をして上映される作品は50%に満たないのだという。
そしてその中で上映されても、1~2週で終わってしまう作品が9割なのだそうだ。
その5%に入れるかどうかなんてことすら知らなかった。
なんせなんにも知らなかった。
そもそもどうやって映画を創るかだってわかってなかった。
ショートフィルムの製作経験はあったけれどそれだけだった。

今も映画館のほとんどはセブンガールズという作品を劇団が製作して熱心な劇団ファンが支えていると思い込んでいる。
もちろん劇団ファンにも支えてもらっているけれど。
映画を公開してから、この作品を知った人たちがたくさんいることを知らないはずだ。
そうじゃないと10週も上映出来るわけがない。
セブンガールズは、上映する全ての映画館で、新しい応援してくださる方を増やしていった。
もし全国で上映したら・・・そもそもの母数が何倍もあったら、その数だけ増えていたのだろうか?
そればっかりは状況も違うのだからわからないけれど。
けれど、普段映画をあまり観ない方まで、何度も足を運んでくださるようになったりもしたから。
ついついそんなことまで考えてしまう。

今、未来がやって来た。
不思議なものだねぇ。
思い描いていたものとは少し風景は違うかもしれないけれど。
想像も出来なかった未来にやって来たのは確かなはずなのに。
やって来たらそこには、もう未来がないのだよ。
だって、その先が見えてきてしまえばそれは未来じゃないもの。
上映が終わっていって、そこからこうなるんだろうなぁ・・・
そういう想定が出来る日がやってきたのかもしれない。

最終章だから振り返っているのに。
まとめているつもりなだけだったのに。

さて。
『じゃあ何をすればいい?』


映画「セブンガールズ」
公式サイト:http://sevengirls.info/
上映期間終了 皆様ご来場ありがとうございました。

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posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 04:14| Comment(0) | 夢の彼方に | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする