2019年06月19日

セブンガールズ映画化実行委員会 総括 1

山形沖の震災の被害にあわれた皆様にお見舞い申し上げます。
津波の警報は解除されましたが、余震が続く中、怖い夜を過ごされているのではと心配しております。
夜間のため被害状況が正確に報道されていないと思います。
もし孤立している方や連絡がとれない方がいたら必ず通報してくださいませ。
遠く関東からでもあり、知人も数人ではございますが、皆様の無事を心よりお祈りいたします。

東日本大震災に学んだことです。
災害があった時ほど、他の地域は通常運転をするべきだと思いました。
東北に比較すれば関東の被害は小さかったとはいえ、長い期間、ほとんどの仕事が休業となりました。
また多くの舞台や、エンターテイメントが自粛いたしました。
それは結果的に経済活動を停滞させ、また多くの文化が救いになるのだという事を忘れることなのだと知りました。
大変心配な気持ちはございますが、今日のBLOGも通常運転とさせてくださいませ。
どうか、ご寛容に。

さて振り返りも終わって、ここから先は「セブンガールズ映画化実行委員会」とはなんだったのか。
その総括をして、このBLOGを締めようと思っています。

多分、この「セブンガールズ映画化実行委員会」というのはそれ自体だけではないのだなぁというのが実感です。

まずそれまでがある。
映画化を思いつくまでの長い長い時間です。
たまたま公開時期と旗揚げ20周年記念公演が重なりましたけれど。
この企画を思いついた時、すでに17年も一緒に過ごしてきたのです。
何人かは更にその前から芝居を始めていました。

ハッキリと言えば役者なんてものを目指すというのは現在の日本では社会的につまはじきになることを覚悟するのと残念ながら同意です。
芝居で飯を食うという事はほんの一握りしかいません。
そしてその芝居を志している若者から、さらに搾取しようとする人も実際に存在しています。
芝居をしたことがない人が芝居を教えると言い、お金を出せば仕事が来ると言い。事務所に所属できるよとほのめかし。
最近ではワークショップ運営代行の会社が出来ていたり。
レッスン費のために食費を切り詰めて、人によっては厳しい仕事をしたり、消耗して役者を辞めていった人は何万という数になるはずです。
夢は一部の人には食い物であり、夢は残酷で、夢は馬鹿にされます。

親戚には、いつまでやるの?そろそろやめるんでしょ?と普通に言われます。
アルバイト先でも、そろそろちゃんと生きていくことを考えたらどうだ?と言われます。
ねぇねぇ、劇団ってまだ続けてるの?と半笑いで聞かれます。
若くエネルギーがあった頃はそのたびに怒っていたけれど、今では受け流すことを覚えました。
・・・売れると思ってるの?
なんていう言葉にはもう何も感じなくなりました。

そして辞めていく仲間もいました。
理由を一つの言葉でまとめようとする人もいるけれど、自分はそう思ってないです。
それぞれが皆、違う理由で、違う思いで、違う形で辞めていきましした。
やむなく辞めていった人も何人もいるし、摩耗してしまった人もいると思います。
でも辞めていった仲間たちも皆、自分にとっては今も仲間です。
例え疎遠になっていたとしてもです。
お前がいたから今があるという事は自分にとってすべて本当のことだからです。

そんな中で。
劇団を続けてきました。
年にほぼ二回の舞台公演。
そのたびごとに動員できるか心を傷めて。
赤字が出て劇団が潰れてしまうのではないかというストレスと戦って。
それでも毎公演が過去のどの公演よりも素晴らしい最高の公演になると信じてきました。
そして面白い作品を創れば必ずいつか、今の何倍も何倍も芝居をしやすくなる。
そう信じてきました。

続けることが出来た理由も、一つではないと思います。
作品への信頼や、自分たちの目指しているものへの確信、確固たる自己。
でもその大きな理由の一つは待っている人がいることです。
こんな僕たちを応援してくださる皆様がいてくださった。
千秋楽に紙テープを投げてくれたり、記念公演にケーキを買ってくださったり。
遠くから来てくださったり、手紙をくださったり。
そういう皆様がいる限り、続けなきゃいけないよねといつも話していました。
でも、自分たちはなんだか甘えてばかりで、ロクな恩返しも出来ていませんでした。
社会に出れば否定的な言葉を浴びる僕たちにとって、そんな皆様がどれだけの光だったか。
言葉でなんか説明出来るはずもないのです。

「夢」に臆病になっていました。

映画を創ろうと最初に口にした時。
全員で、やろうやろう!と盛り上がらないのもわかっていました。
そんなうまい話があるかな?と、身構えてしまう。
いつか映画に出たい、銀幕の登場人物になりたいと誰もが思っていたはずなのに。
まして、僕のような・・・小野寺が口にすることですから。
出たよ、なんか言い出したよ。
そんな反応も少なからずあるだろうと予測していたのです。

でももうそれは夢ではいけないと思っていました。
自分たちは役者で、デビッド・宮原はドラマの監督を経験している。
その状況で映画を製作するというのは、現実的なこととして考えられなくてはいけなかったと思うのです。
何年も何年も積み重ねてきた、毎日のように考えてきた、芝居って何だろう?ってことを形にする。
そんなことは当たり前のことなんです。
ライブを重ねたミュージシャンが音源を残すように。
劇団や演劇だけが、疲労して摩耗して次の世代に受け渡して自然と引退していくなんておかしいのです。
そして、いつの間にか、自分たちだけの夢じゃなかったのです。

この劇団の役者がもっとたくさんの人に愛されて欲しいとお客様に言われたことがあります。
この劇団の作品をもっとたくさんの人に知ってもらえたらなぁとお客様に言われたことがあります。
厳しい言葉を投げかける親戚の中でも、毎回、友人を誘って観に来てくれる親戚がいます。
見には来れないけれど、応援してるよと連絡をくれる人がいます。
いつか辞めてしまったメンバーから、頼むから売れてくれよなんて言われます。
そんな言葉をいただくたびに、ははは、なんて苦笑いしか出来ない自分をいつまでも恥じていました。

もちろん。
今、公開しているメイキングを観たらわかるように。
そんなに暗いことばかりじゃないです。
いつだって仲間と会えば笑います。何度も何度も。
呑みに行ってくだをまいたり、悪口を言ったり、喧嘩したりもします。
でも、全体的に楽しいよなぁって思う事ばかりです。
ただその形が社会の中では認められておらず、生活の中では厳しさも伴っているだけです。
そりゃ、遊んでいるだけだって思われても仕方がないのかもしれません。
だから夢を忘れて、ただただ楽しむことだって出来るのかもしれません。

・・・いつか、自分の心の中にある炎が小さくなっていって
     そうなったら、もしかしたら

そんな恐怖と戦いながら。
自分はまだ戦う。戦える。
夢を夢としない。
夢を現実として立ち向かう。
そう決めて、僕は走り出しました。
背中に聞こえる声を感じながら。
背中に聞こえる視線を振り切るように。

長く芝居を続けてきたことは、それはある意味自分との戦いだったのです。
いつくじけてもおかしくない自分を感じながら。
まだまだだ、これからだ、やってやる、と唇を噛んでいました。
そして、今だ!と僕は思ったのです。

セブンガールズ映画化実行委員会とは。
夢を現実に変えることでした。
夢の世界にあった映画を、現実の世界として取り組む。


それが「セブンガールズ映画化実行委員会」のなりたちです。
映画「セブンガールズ」ほどではないけれど。
それと同時上映していた、裏の作品です。



映画「セブンガールズ」
公式サイト:http://sevengirls.info/
上映期間終了 皆様ご来場ありがとうございました。
※上映ご検討の映画館様、ご連絡をお待ちしております。

■SNS

紹介記事

■Twitter連動企画:下記の赤文字2行を貼り付けて140文字以内でセブンガールズをご紹介ください
 PVと公式アカウントのリンクが付いた紹介文がTweet出来ます!
#セブンガールズ紹介してみた
pic.twitter.com/hv23Ma0t0f
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2019年06月18日

先月の満月を思う

ずっと振り返ってきたけれど。
昔であればあるほど、懐かしさや思い出す瞬間の匂いとか、切なくなるけれど。
気付けばもう今年に入ってからのことを書く段階になっていて。
それはまだまだ余りにも生々しいというか、そういう記憶ばかりだ。
もうこれは振り返りではないのかもしれない。

下北沢で二週間の上映。
時間はあるけれど、ステージの広さやマイクの数に制限がある中で。
「対談」というイベントを続けることになった。
そして、トリウッドの1階にある古着屋さんとファッションコラボをすることになった。
まったく色々なことを考えるなぁなんて言われて。
でも、お客様も楽しんでショッピングしてくださったりして。
UPLINKよりも更にスクリーンと客席の距離感が近いこともあって。
なんと言うか、ホームメイドな空間が続いたなぁと毎日感じていた。
それぐらい下北沢という街は自分たちにとってのホームだった。

最終日、横浜上映の決定のメモを手渡されたあの瞬間を忘れられない人も多いと思う。
あれは本当のサプライズ発表だったもんなぁ。
自分も横浜の可能性までしか知らなかったから。

そこから横浜上映までの日々。
横浜に通い、地元の方に挨拶をして。
まだ上映館が決まるずっと前に、ジャック&ベティで上映したいねぇなんて話した日もあって。
なんというか、本当に横浜まで来たんだなぁっていっつも思ってた。
都内で7週も上映したのに、初日が満席になったのには本当に嬉しかった。

横浜での延長がないことは最初から分かっていたことだ。
その次週のスケジュールが既に発表されていたのだから。
可能性があるとしたらアンコール上映。
これまでアンコール上映されてきた作品も多い。
ほんの少しだけ、その可能性を残せただろうか?
そればかりはわからないけれど。
でもセブンガールズと同じように上映を心待ちにしている作品がたくさんあるはずで。
何かの企画、何かのタイミング、そういうものが合う日が来るといいなぁとただただ思っている。
だからと言って、無理にお願いするようなことはやっぱり出来ない。

大阪上映の後以来だった。
もう上映予定がないという状況は。
そして、上映期間の終了という言葉も遂に出てしまった。

自分の中でけりなんか着くわけがない。
何年間もずっとこの作品に尽くしてきたのだから。
本当に終了してるのかな?って何度も何度も思う。
今もセブンガールズのリターンの準備をしているし、動画もSNSも更新している。
すぱっと終われよと思っている人もいるかもしれないなぁなんて思ったりする。

そんな時。
まるきり奇跡としか思えないことが起きてる。
様々な映画館のリクエストボックスにセブンガールズを出してくださるお客様。
直接、映画館の編成担当さんにセブンガールズをかけてほしいとお願いしてくださるお客様。
映画館のホームページからメールをしてくださっているお客様、電話してくださるお客様。
毎日ドリパスのクリックを続けてくださるお客様。
上映終了しているのにファンミーティングを企画してくださるお客様。

渋谷三週間、下北沢二週間のあとの一週間はあまりにも早く通り過ぎた。
終わらない、終われない、応援してくださる皆様がSNSに溢れている。

日本のどこかで。
自分たちの知らない土地で上映されているんじゃないかなぁなんて思うこともある。
そんなわけがないのだけれど、もしかしたら、上映されてたらなんて考えてしまう。

ここで上映して欲しかったなぁって映画館がある。
そこに足を運びたかったっていう場所がある。
シネマ5、御成座、出町座、横川シネマ、塚口サンサン劇場、ナナゲイ、シネマスコーレ
シネマ・ロサ、ユーロスペース、UPLINK吉祥寺、文芸坐・・・
北海道、東北、北関東、信越、中国、四国、九州、沖縄、そして有楽町。
舞台のセブンガールズが生まれた池袋。
他にもまだまだ。自分の知らない映画館だってたくさんある。
自分の思い入れだけの場所もたくさんあるけれど、日本全国に行きたいと願っていた場所、場所、場所。
いや、場所じゃないかもしれない。
そこで本当なら出会うべき人たちがいたんじゃないかという思いが残る。
ドリパスをみれば1週間しか上映していない名古屋から応援してくださる人がたくさんいらっしゃる。

そんなに簡単じゃないのだ。
それでもどこかから連絡が来たりしないかなぁなんて未だに思ってしまう自分がいる。
それどころか電話して直接持ち込んで、飛び込んでしまいたい欲求が今もある。
直接お願いしたらどこかで出来るんじゃないかなぁなんて思ってしまう。

はたから見れば、とても良くやったというイメージなのもわかっている。
最初の一週間で終わるかもしれなかったのだから。
それが東名阪の三都市で上映して、関東で8週も上映したのだから。
アンコールも延長上映もあったのだから。
上映すらされない作品の方が多くて、上映されても1~2週が普通の中で。
セブンガールズという作品は、お客様に愛していただいたからこそここまで来たのはわかっている。


・・・実はね、こんなことも考えてた。

誰かがこんな風に展開しているセブンガールズに目を付けて。
それなら全国一斉に宣伝して上映してみようかみたいなさ。
あるいはうちの映画館で一日3回3週間やってみましょう!みたいなさ。
この動員数でこれだけのファンがいるという事は、ひょっとしたら化けるかもしれないぞ!
そんな風に考える人がいるんじゃないかなぁとかも思った。
っていうか、実際にそういうことが出来ないか動いていた時期もあった。
そんなことだって起きてもおかしくない雰囲気がセブンガールズにはある。今も。

だからねぇ。
上映終了しているけれど。
小野寺さんは実は諦めてないんだよ。
何かできることはないか、常に目を光らせてる。
ありとあらゆる場面を想定している。
そして、唯一の武器であるフットワークは今も羽のような軽さを持ってる。
どこにだって飛んでいくのさ。
今も、色々なことを調べては実行し続けてる。
アホみたいにね。
でも、それが今までとは違った意味になっていることも知っているってだけさ。

上映終了しているのに、誰かからコメントもらえないかなぁとか相変わらず考えてるからね。えへへ。
色々、同時進行さ!

さあ。
振り返りも終わりだ。
最終章「夢を彼方へ」
このBLOGも今週中に終わる。
総括して、終わっていく。

もちろん書いている途中に映画館から連絡が来たらいいのにと期待しながら。


映画「セブンガールズ」
公式サイト:http://sevengirls.info/
上映期間終了 皆様ご来場ありがとうございました。
※上映ご検討の映画館様、ご連絡をお待ちしております。

■SNS

紹介記事

■Twitter連動企画:下記の赤文字2行を貼り付けて140文字以内でセブンガールズをご紹介ください
 PVと公式アカウントのリンクが付いた紹介文がTweet出来ます!
#セブンガールズ紹介してみた
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2019年06月17日

愛されるパン屋

自分はセブンガールズの公開の頃、映画の宣伝について勉強をした。
とにかく公開に向けて、興味を持つようなそんなことを色々と仕掛けていく。
どこの層に届けるのかきちんと決めて、そこに正面から向かう。
メディアを使用したり、話題性を自分から創っていったり。
そのために必要なリリースはどんな文面で、どんな資料が必要なのかまで。
徹底的に調べて、色々な方面に連絡して、そして結局は玉砕することばかりだった。

それはそれで間違いだったとは思っていない。
それを知っておくこと、それをすることは大事なことだ。
ただ商業に乗っている映画と、そもそも根本的にセブンガールズは違うのだとつくづく思った。
勉強して理解したことを実行したところで、大きな映画の話題性には太刀打ちがつかない。
キャスト発表第二弾!がニュースになり、有償でのSNS配信の予告編は数十万再生される。
それはやり続けるけれど、そこに固執していたら、このまま上映が終わると危機感があった。

だとしたらもうその向こう側にあるのはたった一つだった。
勉強したこと以上に自分の中にあるもの、元々よく知っているもの。
劇団運営をしてきて、バンドもやってきて、今日まで蓄積された自分たちの持っているもの。
それをもう前面に出していくしかないんじゃないのかなぁと思っていた。

小さな劇団や、バンドが出来ることはたった一つ。
「感謝」しかない。

なんだそれ?と思われるかもしれない。
大きな映画だって、感謝を大切にしているはずだ。
けれど、その距離感の違い。
目の前のお客様に何か持って帰って欲しい、楽しんで欲しい。
そうやって続けてきた自分の経験値から来る「感謝」はもっとずっと壁が薄い。
ある意味ではSNSが発展していて、距離感が変わってきたという追い風もある。
自分たちが出来るのはもう「感謝」以外にないじゃないかと思っていた。

でももちろんただ感謝したところで、それは伝わるものじゃない。
伝わるかもしれないけれど、わかりづらいし、そこから先がない。
じゃあ、どうやって感謝すればいいのかな?というのが自分の最初の考え方だった。

「映画の中の1シーンを衣装を着て生で再現する」

これを伝えた時、正直、反対意見も多かった。
プロデューサーからは衣装だけでもいい気がしますとアドバイスがあった。
監督は映画のクオリティに及ばないならマイナスにならないか?と言われた。
実際にお願いする役者にも、あの時の自分になるのは無理だとかなり言われた。
正直に言えば、全部、そう言われるんだろうなぁと最初から思ってたことばかりだった。
普通に登壇して、普通に話をすればいいじゃないかというのが念頭にあるのだから。

でも自分の中では追い込んでいた。
UPLINK渋谷アンコール上映、決まっているのは1週間のみ。
自分たちの持っているものは「感謝」のみ。
その「感謝」を形として目に見える形に出来なければ、1週間で終わるだろうと確信していた。
最終的に、監督にはどうしても再現がダメなら自分は延長できると言い切れない、やれば延長できる!と言い切った。
それでもやめろというなら、自分はもう何も考えないですしなんか別の事考えてくださいと伝えた。
なぜならその時点で自分以上にどうやって延長していくかイメージして考え尽くしている人はいないと思ってたからだ。
そして1週間しか決まっていなかったけれど、絶対に延長できるとそこに至る過程で自信を持っていた。
少なくても映画館の年末イベントが始まるまでは。

当然、皆、お客様に感謝していた。
でもそれだけじゃ、何かが足りなかった。
それを形にしたら。
きっと、それに応えてくださるお客様が現れる。
何か一つプレゼントをすれば。
それをきっと受け取ってくださるお客様がいるはずだ。
感謝を形にして、それを受け取ってくださる方がいて、それが伝わっていく。
まるで大手の映画に出来るわけがない宣伝の形。
自分たちが舞台で、バンドで、やり続けてきた当たり前のお客様とのやりとり。

その予想が確信に変わったから、いくつもの反対意見を押し切って決めた。
そういう強引なことをすれば自分の信頼が薄くなるし、嫌がられるかもしれなかったけれど。
そんなことよりも上映期間を1日でも長く続けられる方が自分にも皆にも大事なんだと信じていた。
自分が嫌われる分には別になんの問題もない。
自分はそういう覚悟をした時に、臆するような人間ではありたくない。

危ない橋だと思う。
いくら考え尽くしたところで、映画館側の都合で上映が終わることだってあるのだから。
本当に自分のイメージ通りに行くかどうかなんてわからない事ばかりなのだから。

そうやって初日を迎えて。
映画の1シーンの再現を衣装を着て演じた。
舞台俳優だからお客様に芝居を届けることをずっとやってきた。
形になった。
これが伝われば、これを受け取ってくださる方がいれば。
間違いなく他のどんな映画の宣伝よりも強い強いメッセージになると信じていた。

その日の夜。
舞台挨拶で演じた再現シーンが、SNSに動画でアップされた。
目の前で役者さんが生で芝居をしてくれた!と書かれていた。
もちろん、大きな話題になんかならないけれど。
セブンガールズという映画の元々持っているあたたかさが「感謝」という形で世に出たと思った。

実際にそれを観て足を運んでくださった方がどれぐらいいるのかはわからない。
けれど、そこに暖かい雰囲気を感じてくださった方は間違いなくたくさんいらっしゃった。
見てくれ!という強いメッセージではなく、観に来てくださった方に感謝するというメッセージ。
自分たちに残された、最後の宣伝できるポイントだった。

初日のお客様からの一言一言で。
監督の考え方も変わった。
自分からあのシーンが良いんじゃないか?と提案までするようになった。
監督も、舞台挨拶でありながら、お客様と演者の距離感がぐっと近寄ったことを感じたのだと思う。
再現に音楽をかけたい、ピアノを弾いて欲しい、そうやってどんどんプレゼントを良くしていった。
そして、お客様も連日のようにSNSで、たくさんたくさん応えてくださった。

信じられるだろうか?
自分たちのような小さな映画が年末のイベントまで3週間もの間、あのUPLINK渋谷で上映出来たんだよ。
まるで当たり前のことじゃない。
パルムドールの作品や、カメ止め!、話題作と3週間も並んでいたのだから。
知っている人ほど・・・それこそ配給さんやプロデューサーさん・・・ほど、3週間上映出来る事はありえないと口にした。

連日、新しいお客様との出会いがあった。
連日、感謝を伝えて、繰り返し来てくださる方が、一人ずつ増えていった。
さすがに三週間目には少しお客様の数は減ってきたけれど、最終の二日間はもう一度来場者数が増えていった。
年末のイベントがなければ、ひょっとしたらもう少し上映出来たんじゃないかなんて言われたりもした。

UPLINK渋谷での三週間は大きな大きな成果になった。
間違いなく、その後の上映が決まったのはこの期間上映出来たからだ。
同時にそれだけの期間上映したことで、知名度も上がっていったからだ。

これも奇跡なんだって思っている。

この奇跡の一番素晴らしいことは。
これが起きたことは、誰の手柄でもなかったという事だ。
皆が元々持っていた「感謝」の気持ちを最大の効果が出るようにしたわけで。
そして来場してくださったお客様がたくさんたくさん「応えて」くれたわけで。
そんなやり取りに、UPLINKさんが粋な計らいをし続けてくださったわけで。
その連鎖は誰のおかげでもなく、シンプルにあたたかな交流そのものだった。
お見送りでは、いつだって、たくさんの笑顔がロビーに溢れることになった。

それ以降の上映ではもう一度、舞台挨拶はトークに戻したけれど。
この3週間がベースになったと思う。
舞台挨拶に立つ役者たちは、皆、感謝の形を用意した。
よくある、自分はこんなことをしました!というトークだけで終わることはなかった。
自分が目立ちたい!みたいなトークももちろんなかった。
来てくださった方が、何か一つだけでも持って帰ってもらえるように。
小さな笑顔や、小さな希望をそっと手渡せるように。
「感謝」することが一番の自分たちのスタイルになった。

そりゃあさ。
大手の映画には、「感謝」という武器だけでは太刀打ちできないよ。
全国上映してさ、たくさんの人に届けたいのに。
広告代理店もなければ、資本もないのだから。
個人商店が巨大企業に挑めるわけがないのだ。
でもさ、愛されるパン屋であればいいじゃないかって、おいらは思ったんだよ。
その噂が全国に広がる可能性だって、なくはないって、おいらは思ったんだよ。

今、上映期間が終わって。
終了とアナウンスをしているのに。
たくさんのたくさんのお客様が再上映希望を色々な場所でしてくださっている。
それは通常の映画作品のファンというものとももしかしたら違うのかもしれない。
自分だってもう一度スクリーンで観たい作品はあるけれど。
こんな風に熱烈に応援するなんてことは考えられない。
自分の中でこれはもう映画を越えてしまっているんじゃないかという気すらしている。
セブンガールズという作品の持つ暖かさが、そのままお客様と関係者の間の暖かさになっている。
こんなに胸を張れることはないよ。
こんなに人間らしい映画上映なんかないよ。

自分たちからの感謝が止まることはない。
きっといつまでも感謝する。
例え、このBLOGが終了したとしてもだ。

いよいよ最終章の振り返りも、あとわずかになった。
どうにもこうにも感謝してもし足りない自分は一体どうしたらいいのだろう?


映画「セブンガールズ」
公式サイト:http://sevengirls.info/
上映期間終了 皆様ご来場ありがとうございました。

■SNS

紹介記事

■Twitter連動企画:下記の赤文字2行を貼り付けて140文字以内でセブンガールズをご紹介ください
 PVと公式アカウントのリンクが付いた紹介文がTweet出来ます!
#セブンガールズ紹介してみた
pic.twitter.com/hv23Ma0t0f
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