2019年03月20日

零れた一粒と零れなかった一粒

大事なおもちゃが壊れちゃって子供がびいびい泣いている。
それを見ている大人が、そんなおもちゃぐらい仕方ないわよと言う。
けれど子供はまるでこの世の終わりが来たんじゃないかと思うほど泣き始める。
なぜわかってくれないんだ?
これじゃないとだめなんだ!
大人はまた買ってあげるわよと子供に言う。

子供は知らない。
だから泣いてしまう。
失うことが傷つくこと、寂しいこと、全部知らない。
自分が傷ついていることを大人が理解してくれないことがわからない。

大人は知ってる。
生きることは失うことだと。
これからもっともっと失うことだって、もっともっと寂しい日が来ることだって
いつかそのおもちゃを自分で捨てる日が来ることだって経験してきた。

小さな傷が増えていって。
いつの日にか強くなっている。
それでもいつか恋をして、失恋をした日にもう一度泣くだろ。
それでもいつか大人がいなくなって、喪うことも知るだろ。
大きな傷もどうしたって受けていくのだ。
この世の終わりのように感じる日が再びやってくるのさ。
それでも。
そんな日がやって来ても。
泣きやまなくちゃいけない。
また歩き出さなくちゃいけない。
小さな傷は予行練習だよ。
いずれ君のそばの僕もいなくなるんだから。

けれどいいかい。
この世の終わりなんかやってこない。
例えば君が死んだって、この世は続いていくのだ。
たくさんの物を失って。
死にたいぐらい寂しい日も。
死にたいぐらい悲しい日も。
全部抱えて、やっぱり明日を迎えなくちゃいけない。
忘れるなんて出来っこない。
全部全部持ったままだ。

だから傷ついて。
その傷を何かのせいにしちゃだめだ。
そうしないとこれから何度も何度もそれを繰り返すことになる。
傷ついて、悲しめばいい。
そしてそこからもう一度笑える自分の見つけ方を覚えるのさ。
それは音楽かもしれない。
それは友達かもしれない。
それは本なのかもしれない。
なんだっていいのさ。
必ずみつかるよ。

君を傷つけようとする悪い奴なんか実はそこまでいないのだ。
おもちゃだって壊れるし、いなくなりたい人だっていないし。
人は何かのために行動をするけれど、傷つけるための行動なんてごくごくわずかだよ。
悪意がないとは言わないけれど。
そんな時は傷つく必要さえないよ。
そんな時こそ笑い飛ばしてしまうのさ。
結果的に誰かが君を傷つけることはどうしたってこれから起きるだろう。
その時、君が何を思うかが、君の人生になる。

生きることは失うことなんだよ。
生まれた時に誰だって全てを手にしている。
少しずつたくさんのものが零れ落ちていくんだよ。
記憶にも残っていないけれど。
最初は誰だって、立つことも話すこともご飯を食べることも出来ないのさ。
何から何までやってもらえるような生活をしていたんだぜ。
けれど生きていけば最後には全部自分で始末を付けなくちゃいけなくなっていく。
なんてことだ。

でも僕もまだわからないんだけどさ。
きっときっとそうやって真摯に生きていけばさ。
何もかも失った手の平に一粒だけ最後の何かが残っていると思うんだ。
その一粒を大事にしていたんだなぁってその日にやっと気付くんだ。
そしたら、君、とってもとっても幸せだよ。
この世がはじまるって思うんじゃないかなぁ。
何年もかけて大事にしてきた一粒に出会える日が楽しみで仕方がないよ。

だから泣けばいい。
涙が枯れるまで泣けばいい。
叫んでもいい。
今はそれでいいよ。
育つとは悲しいことだねぇ。

枯れたと思った涙も。
もう一度流れる日が来るから。
嬉しくて幸せで泣いてしまう日だって。



泣き叫ぶ子供を眺めながらニヤニヤと。
おいら思ったのだ。
君にはまだまだセブンガールズは早いぜ。
子供だからなぁ。

わからないはずだぜってさ。

手の平を見たら。
大人になった自分にもまだまだたくさん残ってらあ。
これからも傷ついていくんだなぁ。
これからも失っていくんだなぁ。

まあ笑い飛ばすさ。


映画「セブンガールズ」
公式サイト:http://sevengirls.info/
2019/5/18~24
横浜 シネマ・ジャックアンドベティ:http://www.jackandbetty.net/

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posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 04:08| Comment(0) | 映画公開中 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする