日曜朝のワイドナショーという番組で松本人志さんが発言をするとすぐにネット記事になるらしい。
自分は毎週観ているわけでもないのだけれど、今日、あ!この発言!と思う発言があった。
でもこれはきっとどこもネット記事にしないのだろうなぁと思うような発言だった。
ゲストにR-1王者になった粗品さんが出演されていたのだけれど。
王者になったネタを披露した後にふと口を付いた言葉だった。
その芸というのはフリップに書かれた絵に突っ込むといういたってシンプルなネタ。
それを超高速で独特のツッコミをするというネタだったんだけれど。
あっさりと松本人志さんがそのネタを賛辞した。
「このネタはテンポは超高速で、笑いで緩急をつけているんです」
瞬間、粗品さんの口元がほころんで、はい!ありがとうございます!と違うトーンで口にした。
ネタの狙いと構造まですでに完全に理解していて、その意図への先輩の賛辞。
きっと王者になることよりもずっとずっと一番嬉しかった瞬間だったんじゃないだろうか。
それまで見せていた顔とは違う顔で喜んでいると自分は感じた。
フリップのネタは、ただの駄洒落のような瞬間的に笑うものから、ひねって考えないとわからない笑いもあった。
それを恣意的に順番を決めて、フリップをめくる動き自体は超高速にして笑いの置き方で別のラインを創っていた。
笑いのことを延々と考え続けてきた人は、その高度で難易度の高いネタを完全に理解していた。
もうさすが!と声が出てしまいそうになった瞬間だった。
これこそネット記事にするべきだと思った。
高いレベルに位置する決勝戦で優勝したネタの構造まで一言で表現する。
一緒になって笑っていたのに。
そういうことが出来る人というのは、そんなに多くはないはずで。
表現にはいつも意図があって、その意図を見事に見つけられることがある。
例えば笑いのネタで言えば、こうやって笑ってもらうという意図がある。
普通に観ていれば、その意図通りにお客様が笑ったりという事になる。
そこにどうやって笑わされたのか?という視点はない。
笑ってくださるお客様が実際には芸人にとっては最高のお客様という事になる。
意図まで見透かされるというのは実は狙いから外れていることなのだから。
それでも。
ああ!と嬉しいことがある。
狙い通りであれば、意図まで見透かされるわけではないのに。
見透かされることが嬉しいという場合がある。
もちろん意図は何層にも重層的になっている。
前述したようなテクニカルな意図もあれば、テーマなどの意図もある。
もしかしたら芸人にとっての芸人のように同業者だけなのかもしれない。
同業者にも全然理解されなかったり伝わらないケースもある。
サッカー選手がコンビネーションがうまくいかない時にイメージの共有が出来なかったと口にするけれど。
とってもそれに近い状況もある。
台本のある芝居は相手役との息が合うかで大きく変わる。
もちろんあえて相手の想像外のことをすることもあるのだけれど。
それも含めてのイメージの共有というのがある。
舞台でも映像でも同じだけれど。
このイメージの共有こそ、一番の肝なのだなぁと最近は思っていて。
例えばセブンガールズでは監督の意図を、撮影監督がすぐに察していたからこそあの短期間での映像になったのだと思う。
撮影監督と照明さんの以心伝心ぶりも見事だった。
このシーンはこういうイメージ!というのが、俳優部だけじゃなくて全体に行き渡る。
そのためのミーティングであり、シナリオであり、演技であり、仕掛けだ。
そしてその意図が見える映像であるほど、編集段階で楽になる。
そこまで意図が統一されていれば、自然と編集箇所は決まってくる。
出来上がった映像から更に意図を汲み取るというのは、ある種特別な才能だと思う。
そういう人は、あ、この人はきっとわかってくれるんだろうなぁってなんとなく気付いたりする。
そういう時にだけ感じる意図を見透かされたというよりも、理解されたという感覚は何にも代えがたい。
今日の稽古でも何度かそういう場面があった。
監督に急に無茶なお願いをしたのだけれど、あっという間に了解して、あっという間に仕事に移った。
周りの俳優たちは、え?なに?どういうこと?と言っている時には既にキーボードを打っていた。
そう、この感じ。これは現場の感じなんだよなぁと改めて思った。
監督は現場の空気を吸いたがっている。
瞬間的に思った。
稽古場でカメラを回していることがあるけれど。
基本的にカット編集の少ない映像ばかりだ。
今、監督は以心伝心の中、意図的な狙いのあるものも創りたがっている。
心の底の部分で。
うん、わかる、そう思っていた。
簡単に口にする人もいるけれど、それを口にする前にもう終わっているのだ。
それではわかっていることにならない。
やりたいことを理解してその為に一気に動く。
そうすれば例え5分でもそれなりの仕事になる。
言葉が介在するよりも行動の方が早いのだから圧倒的だ。
感覚的なようで、実にテクニカルなことなのだと思う。
これは純然たる技術の一つだ。
今朝の一言でそれをもう一度感じた。
積み重ねてきた思考の先に技術がある。
技術を持っている人は技術を理解できる。
何をやりたいのかの説明というのは一番難しい。
あらゆる側面があるからだ。
そんな時に受け取れるもの、手渡せるもの。
その数をどれぐらい蓄積出来ているのだろう?
好き嫌いじゃない判断基準はこうして出来ていく。
映画「セブンガールズ」
公式サイト:http://sevengirls.info/
2019/5/18~24
横浜 シネマ・ジャックアンドベティ:http://www.jackandbetty.net/
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Twitter:https://twitter.com/7girlsmovie
紹介記事
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