2019年03月08日

ツラガマエ

90年代の頃だっただろうか?
中性的なイメージの男性タレントがどんどん人気になっていった。
それまでのスターとはちょっとというか雰囲気が違いすぎて自分の中で違和感ばかりになった。
三船敏郎さん、高倉健さん、菅原文太さん、石原裕次郎さん、小林旭さん、勝新太郎さん
スーパースターっていうのは自分の中ではゴリゴリの男っぷりの良い人たちだった。
ナイスガイだった。
それがどこか女性的な男性がどんどん人気になっていった。
その流れはその後もどんどん続いていって、今もそう変わることがない。

中性的なタレントに綺麗な顔をしているなぁと思うけれど、実はかっこいいなぁと思ったことが余りない。
だから正直そういうかっこよさを自分は本質的には理解できていないのだと思う。
あれは少年的なかわいさを残している男性の方が母性本能をくすぐるのかなぁと思ったり。
その辺で自分はやっぱりずれているのかもしれない。
でも現実的に今の人気を観ても間違いないわけで、このずれをどうすればいいのか考えてしまう。

一時期、本格的にそのずれみたいなものを修正できないか実践していたこともある。
でも結局、途中でバカバカしくなってやめてしまった。

ちなみにいわゆるお化粧系のバンドなんかの魅力はなんとなくわかる。
つまりは完全なる偶像に向かっているのだろうなぁと思っている。
徹底的に偶像的なアーティストを目指すのであればビジュアルイメージだって必要になってくる。
さすがにそれはわかるんだな。
わからないのは、やっぱり俳優かもしれない。
俳優は偶像を目指すというよりもリアリティを目指すべきだからかもしれない。

万引き家族が世界でも国内でも話題になったこと。
その中で樹木希林さんが入れ歯を外しての老人を演じたこと。
100円の恋で、あざだらけになって顔を腫らした、安藤サクラさんが初の最優秀主演女優賞を獲ったこと。
そういう事の全てを考えても、やっぱり役者が求められているのは偶像なんかじゃないと思う。
今時男子は化粧水に乳液、脱毛までやるなんて、それはそれでもちろん構わないのだけれど。
竹原ピストルさんが俳優デビューして話題になったように、役者はその正反対に位置すると今も思っている。
役者は晒すことが仕事なのだというのが自分の軸になってる。

皴一本に感動してしまうことがある。
自分はそういう俳優でありたい。
自分の過ごしてきた時間が全て顔に出ているような。
そんな男になりたい。
自分の中で良い顔ってのは、こういう顔だぜっていうのがハッキリとある。

まぁ自分は、監督の書く台本の中で何度もビジュアルをいじられてきたというのがあって。
実際に綺麗な顔をしている役者が何人も所属していたというのもあるから。
その劣等感からそんなことを考えるようになったと思われてしまいそうだけれど。
監督が台本に不細工とか顔がみっともないとか書いても、自分でそんなことを思ったことがない。
それを聞いてお客様が、ドッ!と笑うのだから大多数がそう思っているのだろうけれど。
それがなんというか、綺麗かそうじゃないかというだけの価値観なんだろうなぁと、変に分析していた。
もちろん劣等感みたいなものはずっと抱えているんだけれど、そこから理論武装するような自分にはなりたくなかった。
自分にとって劣等感は、常に前に進むためのエネルギーでしかなかった。
綺麗かどうかが判断基準なら、価値観をぶっ壊してやる!っていう使い方ばかりだった。

自分は今、どんな面構えだろうか?
歩んできた道がきちんと刻まれているだろうか?
そこにいるだけで存在感があるような人間になれているだろうか?
雰囲気のある奴だろうか?
若く見えたいとかどうでもいい。
その年齢の、それだけ経験を重ねた説得力を存在に欲しい。

やっぱりさ。
歳をとることが美しいのだということがわかるのが俳優だと思うのだよ。
見た目が若いのが美しい・・・みたいな価値観は、実はすごく程度が低い価値観だと思うな。
内側から来るものが若いのはもちろん素晴らしいと思うけれど。
自分から見ると、それこそイタいなこの人っていう人も多い。
そうじゃなきゃ、ホント、年をとることがネガティブなことになっちゃんじゃないかなぁ。
そんなバカバカしいことがあるもんか。

それでもある種の俳優たちはある年齢で去っていく。
それも美学なのかもしれないけれど。
自分は皴だらけのあなたこそ観たいのだ。

舞台でも映像でも自分はそこの信念だけは変わらずに進んできた。

セブンガールズという映画にそれはどこまで出ているのだろうか?
今になって自分の芝居のことも考え始めている。
自分は自分のみっともない部分、人間的な部分までさらけ出せているのだろうか?
汚れや皴が美しく見える所まで突き詰めているだろうか?
成瀬凛太朗という人物を愛おしく感じてもらえるだろうか?

あの土の匂い、あのカビの匂い、飛び回るハエ、常に浮かんでいる土埃。
そしてそこに生活しているリアリティ。
そこまで映像に残っていると自分は感じた。
物語以上にセブンガールズという映画に必要なものだったと思っている。

人を喪った時に気付く自分の心の中にある他者との繋がり。
生暖かい泥の塊のようなものが実はいつだって自分の中にあったのだと初めて知る。
そしてそれがなくなることの喪失感で、心と心の繋がりを知る。
ドロリとそこから零れ落ちてしまうと、心にぽっかりと穴が空くのだ。
そんな心の繋がりをスクリーンの中の登場人物とお客様の間に持てるとしたら。
きっとその映画はお客様にとって特別な一本になる。
登場人物がお客様にとって二人称になった時、初めて、それが生まれる。

だからこそ思う。
出逢って欲しいと。
すでに観て欲しいではない。
体感して出会ってほしい。
誰かの心の隙間にするっと入り込みたいのだ。


映画「セブンガールズ」
公式サイト:http://sevengirls.info/

2019/5/18~24
横浜 シネマ・ジャックアンドベティ:http://www.jackandbetty.net/

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posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 04:23| Comment(0) | 映画公開中 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする