上映時間とかわからない部分はあるのだけれど。
例えばそれがわかっているのだとしても今のままで横浜シネマ・ジャックアンドベティが満員になるだろうか?
座席96席+車いす席1席、立ち見を含めた定員は132名。
それが約一週間。
公開時のK'sシネマをも超える最大キャパシティの映画館に自分たちは挑むのだ。
スクリーンだって大きいし、まさに映画館という場所に挑むのだ。
やる以上、満員御礼立ち見客が出て毎回札止めという状況を目指さないといけないと自分は思う。
目標は常に最高結果を目指さなくてはいけない。
最高の結果を出すために出来ることを検討していかないといけない。
なぜならセブンガールズはそれにふさわしい作品の力を示してきたからだ。
大阪で上映して、名古屋で上映をして。
そこで作品を好きになってくださった方々が渋谷や下北沢まで遠征してきてくださる。
そういうことってどう考えたって普通の事じゃないはずだ。
一人でも多くの方が観てくだされば、そんなお客様がまた一人増えるかもしれないという事だ。
作品を愛してくださって、もっと作品のことを知りたい、もう一度観たいという方が増えるのかもしれない。
そういうことが起きる映画なのだから。
だとすればもっともっと。
一歩でも二歩でも前に進まなくちゃいけない。
映画館に行ける皆様に興味を持っていただかなくちゃいけない。
横浜シネマ・ジャックアンドベティという映画館についたお客様に興味を持っていただかなくちゃいけない。
なんかビジネス的な動員を目指す!数字を目指す!という意味になってしまいそうで怖いけれど。
そういうことじゃなくて知って欲しい観て欲しい、なんかこんな映画があるぞとなって欲しい。
この映画が持っている可能性は1つ2つじゃないのだからという思いだ。
自分が製作に関わったから。自分が出演しているから。
そんなことじゃないんだと思う。
実は出演者の一人が天下のNHKのドキュメンタリーで取材されていて。
その放送を観たのだけれど。
それを観て、同じ出演者やお客様が喜んでくださっているその陰で自分はとっても頭に来ていた。
「劇団員」という肩書に、なんというか頭にきてしょうがなかった。
なんで「俳優」じゃないんだ?
その線引きは何なんだよ?
ステレオタイプな紹介の仕方をして、1つの演出にしたのだろうけれど。
会社を辞めて夢を追って続けている人という紹介しかないのか?
自分が・・・自分がこの番組のディレクターだったらどうした?
やっぱり「劇団員」と紹介したのかな?
それが番組的には良い演出だって言うのは理解できるから。
やっぱり世間的にはそういう目で見られているんだよなぁ。
セブンガールズを応援してくださる方々はどう感じているだろう。
役者としてみてくださっているのか、夢を追っている人と見られているのか。
もちろんこんなことを思っているのは自分だけなのかもしれない。
出演者の殆どは夢を追いかけてそれを応援してくださっている!と思っているかもしれない。
無名でも、劇団員でも、役者だ。
自分はもうそのことに25年以上も抗ってきた。
だからきっと、こんなことを思っているほうがおかしいのかもしれない。
だって夢を追いかけて、それを応援してくださるなんて、こんなに幸せなことはないんだから。
例え自分だけだとしても、自分はその幸せを全身で受け止めようとはしない。
なぜならそれは自分以外の誰かも馬鹿にしているからだ。
自分が出会ってきたたくさんの先輩たちを。先達を。尊敬している人たちを。
有名な俳優の殆どよりも、とんでもない芝居が出来る俳優たちを知っている。
ちょっとした仕草だけで観客の涙を誘ってしまうようなすごい役者を知っている。
その人たちは売れることにそもそも興味がなかっただけで、ずっと劇団員だったよ。
でもその人たちの芝居を有名な俳優たちがお忍びで観に来ていたよ。
飲み屋で絶賛していたよ。
数十年前は劇団で演劇をしている人を映像の世界の人はリスペクトしていたんだよ。
客席にはプロデューサーやディレクター、映画監督が役者探しに通い続けていた。
なんだったら「この人たちこそ本当の俳優だ!」なんて口にする有名人もいたよ。
おいら、その席で一緒に呑んでいたんだから。
そりゃそうだよ。
タレントが俳優に転身する前は舞台から俳優を引っ張ってくるしかなかったんだもんな。
音楽の世界でそんなことをしているかなぁ?
メジャーデビューしているアーティストがいて。
インディーのバンドに、肩書なんかつけているかなぁ?
まぁ、今のインディーズの状況は知らないけれどさ。
自分が知っている頃は、かけらほどもメジャーに負けてるなんて思ってる奴はいなかった。
セブンガールズを表現する時に。
たったの300万円、撮影は5日、リハーサルは7~8か月とか言うけどさ。
それ以上のものが本当にある。
20年間、芝居って何だろう?演じるってどういうことだろう?嘘と本当の境目はなんだろう?
それを毎週毎週稽古し続けてきた俳優なんて実はいないんじゃないか?ってことだ。
いいかい?毎週日曜日だぜ?
20代も、30代も、40代も。
売れるとか売れないとか、そんなことじゃなくて。
芝居ってなんだ?どうやったらお客様に喜んでもらえるんだ?
そんなことばっかり、毎週稽古し続けてきた役者がいるなら目の前に連れてきてくれ。
今、売れている有名な俳優が稽古を欠かさずやって来たなら教えてくれ。
舞台が終わった直後、演出家が不在でも、じゃあこんなことやろうと自分たちで提案してきた連中だぜ。
そりゃ仲良しクラブみたいになっちゃうときもある。
喧嘩する時だって、険悪な空気になる日だってあった。
それでも芝居を良くするために本当に毎週稽古し続けてきている。
隣で芝居する仲間に勇気を出して「へたくそ!」って口にして落ち込んだ日だってあった。
そういう全てが「役者」「俳優」だって思うよ。
少し前に夏木マリさんがテレビ番組で「俳優」という肩書は名乗らないって言ってた。
昨日、その辺にいた子が、一本作品に出ただけで「俳優」って名乗るんだから同じにしてほしくない。ってさ。
すごいことを口にしちゃうものだなぁって思ったけれど。
それを思えば肩書なんかどうでもいいのかもなぁと思う。
自分は「セブンガールズ」がメジャーと呼ばれる映画に劣っているとかけらほども思っていない。
自分は「セブンガールズ」に出演している無名の俳優たちが有名な俳優に劣っているとかけらほども思っていない。
夢は売れることじゃない。
この作品をたくさんの人に届ける事だ。
同じことのようで、全然違う。
売れないと、有名にならないと、作品は届けられないけれど。
自分の中でしっかりと別の事だと思っている。
・・・なのに。
そういう強い思いをもった俳優でありながら。
自分は宣伝のことも考えなくちゃいけない。
そして宣伝のことを考えるのであれば、冷静に「世間の目」というものを判断しなくちゃいけない。
誰も知っている人がいない映画にどうやって足を運びたいと思ってもらえるのか。
考えて、考えて、胃袋をひっくり返してぶっ倒れても、また考えなくちゃいけない。
「劇団員が映画を創った」そのキャッチコピーを背負わなくちゃいけない。
きっと、それも世間の目から見れば魅力なのだから。
ああ。
やっぱりセブンガールズを横浜で最高の結果にしたい。
したくてしょうがない。
何かが変わる力をこの作品は持っている。
例えこんなこと思っているのが自分一人だとしても。
かわいくない意見だとわかっているけれど。
抗え。戦え。
強き志を忘れるな。
立ち止まって生きるぐらいなら、足を前に出して死ね。
苦しいのは当たり前のことなのだから。
一生だ。どうせ一生続く戦いだ。
夢を追いかけている姿を応援してくださることは幸せなことだ。
それを全身で浴びて幸せに感じている出演者だってたくさんいる。
そんな出演者のために応援し続けていただけたらこんなに嬉しいことはない。
ただその陰で偏屈かもしれないけれど唇を噛んでいる自分がいるってだけだ。
声も出さず、顔にも出さず、叫び続けている自分がいるってだけだ。
自分はそういう全てを呑み込んで応援してくださる皆様に感謝をしている。
真実の涙に感動し続けている。
それは純粋に作品を楽しんでくださっている姿だからだ。