クラウドファンディングでお世話になった大高さんとジャックアンドベティの支配人さんの対談を見つけた。
内容はとっても興味深い内容で土地柄のことも書いてあってとても勉強になった。
読んだ後に、ああ、やっぱりここで上映するのは運命だったんじゃないかという気がした。
もう大高さんが舞台に足を運んでくださって一緒に呑んだのは3年も前の話だ。
不思議な縁だなぁと思った。
そして、土地に眠る歴史もセブンガールズは繋がっていくんじゃないかとつくづく思った。
実は自分勝手なイメージなのだけれど。
映画館のスタッフはもっと自分よりも年上の方が多いと思い込んでいた。
どうしても名画座のイメージがあるし、映画の造詣が深い方という感覚があるからかもしれない。
実際に名古屋シネマテークのご担当はそうだったし、UPLINKの代表さんはずっと年上だ。
そして公開をしたK'sシネマのご担当だって、映画の生き字引のような方だった。
でもそんなものはイメージなのかもしれない。
現実的には自分と同世代の人たちが多く活躍されている。
UPLINKの編成担当さん、シアターセブンの担当さん、そしてジャックアンドベティの支配人さん。
驚くほど自分の年齢に近い方々が活躍されていた。
映画は常に現在を生き続ける文化でもあるわけで。
若い感性であるとか、新しい動きがどんどん出てくる。
それに現実に運営していくとなれば強烈なバイタリティーが必要になってくる。
それを思えば脂ののった世代がバリバリと情報を集めて編成したりするのは当たり前かもしれない。
勝手に自分の中で思い込みが激しかったのだろう。
そしてそれはとっても面白いことなんじゃないかって感じている。
自分と同世代という事は、自分と同じような映画体験をしてきたのかもしれない。
どこかで自分は演劇畑に集中していったのだけれど。
少なくても青年になるまでは、ほぼ同じだったはずなのだから。
映画館という場所に対する原風景だって、そう大きく違わないはずだ。
映画だけじゃなくて、テレビだって同じようなものを観ただろうし、テレビでの映画も観たわけで。
なんというか、自分の世代の皆様がそこにいるということが嬉しい。
そして嬉しいことのもう一つに。
自分よりも若い世代の製作する映画をちゃんと掬い上げていることだ。
当然、面白いから上映したり決定しているのだと思うけれど、それだけではないと思う。
今の自分が同じ立場であれば、まずそれだけっていうことはない。
これからを創るという仕事を意識してしまう年齢だからだ。
自分がまだハタチ前後の頃。
あの頃も単館映画なんていうものが出始めていて。
恐らくその旗手となっていたのが岩井俊二監督だったと思う。
そこから更に多くの映画監督が登場したわけだけれど。
その頃の監督たちは、今も映画監督として活躍している。
あの頃、若い監督にどんどんチャンスが回ってきたのはきっとそういう大人がいたからだ。
実際、北野武監督や、他ジャンル監督が生まれたのもあの時期だった。
何か新しいものを、新しい映画を、探している空気が確かにあった。
今のミニシアターと呼ばれる世界の監督たちは、どんな未来を描いているのだろう?
・・・というのも、今は映像コンテンツが求められている時代だからだ。
2020年の東京五輪の頃には5Gなんていうインフラが整って、更に動画は身近な存在になる。
NetflixやAmazonなどなどオンラインでの映像配信も続々と出ている。
更に言えばテレビの世界のキー局でさえ自社ドラマは減り、制作会社に依頼をしている。
NHKさえ遂に製作会社に依頼をするようになったのだ。
つまり、映像が作れる人はこれから引く手あまたなんじゃないだろうか?
映像コンテンツがぜんぜん足りていない。
その中で現代のミニシアターには新しい感性がやまのように溢れている。
自分が公開してから色々な作品を調べたり学んで分かったことなのだけれど。
ミニシアターの監督が、様々なメディアから仕事の依頼を受けるというケースが結構あるようだ。
それはもちろん自分オリヂナルの映像作品ではない。
PV、MV、CM、VPはもちろん、配信用バラエティ作品、深夜枠や配信用新人ドラマ等々。
とにかく映画監督を志している人たちにとっては引く手あまたな状況なんじゃないだろうか?
かつてのあの頃の監督たちだったら、そんな誘いをどうしただろう?まったくわからないけれど。
映画監督にしか興味ない!という人にとっては大変な時代なのかもしれない。
けれどそれはとっても良いことでもある。
ミニシアターという場所が職業監督の一つの発表の場になっても何も悪くない。
その中からもちろん映画だけの監督も生まれていくのかもしれないし。
職業監督をしながら、映画も製作していくのかもしれない。
とにかく映像に携わりたいんだ!という人は映画から離れていくかもしれない。
どの道が正しいとか間違っているわけじゃなくて、発表する場所があることが素晴らしい。
俳優でもある自分としては、そんな中ですごい監督に出会ってみたいなぁと思ったりする。
若いとか年上とか関係なく、面白いものを観ている監督に出会いたいと強く願う。
多分、自分はそういう映像製作の道にも進むことが出来る。
現実的に監督が書いた台本から、シーン表を起こして現場でも助監督さんの補助もした。
映像編集もしているし、今もちょっとした映像を稽古場で撮影してすぐに公開するまで行ける。
ロケ地探しから、宣伝から、HP製作まで、なんだってやってしまう。
そういう意味では、今の若い監督たちに一番近い存在は自分なのだ。
うちの監督は、それこそ映画監督がやること以外はやらせたくなかったというのもあるし。
今のデジタルな部分を完全に理解してもらうのは荷が重すぎる。
作品について、自分のスタイルについて、徹底的に考えて欲しいと願っていたから、自分はこれを覚えた。
覚えてから、実は実際にちょっとした映像を創って欲しいという仕事をやったりもした。
最初に編集したのが劇場映画なんだから、これ以上の強みはない。
でも実は自分は想像以上に自我が強いから依頼されて何かを創るというのは結局むいていないんだろうなぁ。
かと言って映画監督をやれる甲斐性もないのだけれど。
そういう中でミニシアターというシーンはいったいこれから何を産み出すのだろう?
自分と同世代の、支配人さんや編成さんたちは、「これから」をどんなふうに見ているのだろう?
どこかで酒を酌み交わして話でもしたいなぁとつくづく思う。
そしてどんな映画監督が生まれるだろう?
作家性が強い監督も、娯楽性が強い監督も、奇抜な監督も。
どんどん生まれてきたら面白いなぁ。
そしてどんどん出会えて行けたらいいのになぁ。
ひどいものさ。
どんどん未来まで考えてしまうのだから。
けれど。
今、自分の世代が何か時代を創ろうとしているんじゃないか?
そんな気がしてドキドキしてしまった。