メールが来ていた。
なんと、Cinefil。
随分前から自分もFacebookでフォローしている映画専門の媒体だ。
翌日にもすぐに記事にしてくださるとのメールに急いで、写真や予告などの資料を送信する。
稽古場に行く直前で慌てたけれど、なんとか用意が出来たから遅れて稽古場に向かった。
移動しながら、そんなに早く記事には出来ないかもしれない。
下北沢トリウッドの上映期間を考えれば、早いほど嬉しいけれど・・・。
そう思っていた。
TwitterでもFacebookでも多くのフォロワーがいるWEBメディアの一つだ。
もちろん上映前に公開されていた方がタイミングは良かったのかもしれないけれど。
今、公開されることは、これはこれで意味が出てくる。
WEBメディアは全国に向けての物なのだから。
それに多くの映画媒体がフォローしているはずなわけで。
移動中にちょっとしたトラブル。
電車に忘れ物をしてしまった。
自分としたことが・・・。
よほど頭の中が他のことで動いているとしか思えない。
稽古場に到着すると、様々な差し入れが並んでいて皆が覗き込んでいた。
応援してくださる方がいるから、自分たちはここまでやれてこれたのだ。
すぐに稽古場でやるべきことをやっていく。
映画館に移動するまでに時間を考えればそれほど多くの時間は残されていなかった。
下北沢に移動する。
朝から何一つ口にしていないことに気付いて食事を摂る。
ふとスマフォを開くと、Cinefil様の記事が公開されていた。
衝撃の早さだった。
自分が資料を送信してからは、数時間。
もちろん、その前にすでにWEBなどで色々と調べてあったとは言え・・・。
少し興奮して、プロデューサーや出演者、配給担当さんにも報告していく。
三連休の真ん中
下北沢の街は人で溢れていた。
まっすぐ歩くことが出来ない商店街は、これぞ下北沢だった。
前日に比べて寒くもない。
三連休の最後にまた雪の予報があるけれど、あまり信じられない空気感だった。
三連休の中でもきっと一番足を運びやすい日程だと思う。
思っていたように新しいお客様も含めて場内は活気にあふれていた。
場内から漏れ聞こえてくる拍手の大きさも大きかった。
最終日は翌日に仕事があるからと控える人もいる。
もっとも、前週とは違って、はじまりの時間が1時間早いから終わりも早い。
前週とはまた違った形になるんじゃないだろうかと思っている。
セブンガールズは、現代に繋がっている話だ。
そういう話が後半になって出てきた。
期せずして出てきた。
本当にそれは大事な話で、自分はよく口にしてきたのだけれど、監督の口から出てきたのは嬉しかった。
パンパンは普通の主婦や学生、女性たちが街娼に立った娼婦だ。
元々はGHQが来る前に、略奪行為が起きないように当時の日本政府が慰安所を設立した。
当初はプロの娼婦たちから集めた施設だった。
しかし性病などの蔓延もありGHQが慰安所を閉鎖してしまう。
結果的に街娼が増えていった。
当時、食べることも出来ず、男たちを戦地にとられた女性にとって街娼しか食べる術がなかった。
一説には20万人以上のパンパンと呼ばれる街娼がいたとの資料も残っている。
戦地から男が返ったり、家庭に入ることで街娼は減り、赤線が出来ることでプロ化していった。
だからそのほんの一時期だけ娼婦をしていた女たちはその体験を墓場まで持っていった。
絶対に戦地から帰った夫や家族にそれを伝えようとしなかった。
わずかな証言と、知り合いの男たちと、プロになった娼婦たちの証言だけが資料として残っている。
当時の米兵の持つ白黒写真を観ても、それが事実だったことは疑いようがない。
・・・つまり、自分の知り合いのおばあちゃんがそうだった可能性が誰にでもあるということだ。
別にそんなことを疑ってもしょうがない。
そういうことじゃなくて、そのぐらい身近で、そのぐらい現代に繋がっている物語なのだ。
誰もが戦時中、戦後に、人には言えないような傷を持っている。
闇市での買い物だって厳密にいえば犯罪だったのだから。
帰宅してカメラのSDカードをチェックすると1つだけ撮影したはずのファイルが見つからない。
何かの手違いで削除してしまったような。
ファイルの復元など色々と試したけれど、最後にはギブアップ。
今日はもうここまでとなった。
改めてCinefilの記事を確認した。
SNSに今までみたことのない方々のいいね!が残っていた。
それも、驚くほど。
ああ、また一つ広がったのだと実感した。
セブンガールズはまだまだ進むのだ。
まだまだ知名度が上がっていくのだ。
なぜなら、この話は。
学校も、親も、おじいちゃんもおばあちゃんも。
誰からも教えてもらえない、けれど、大事な大事な歴史だからだ。
調べなければわからない歴史だからだ。
物語はそんな歴史を浮き彫りにしていく役割を持っている。