2019年02月03日

公開48日目

下北沢駅は今も工事中だ。
大昔の北口はなくなり、臨時北口かと思ったら東口が出来ている。
実は今一番トリウッドに近い出入り口は南西口になるのだと思う。
南西口を出てまっすぐ坂を下りていって角にミスタードーナツのある商店街に突き当たる。
そこを右に曲がり直進すると急に開けた交差点に出る。
ここが難関かもしれない六つ辻、左から回って2つ目の道を入ればCHICAGOの看板が光ってる。
CHICAGOの階段の脇に、トリウッドの立て看板が置いてある。

自分の中でこの六つ辻の記憶は、革のライダースに革のケースのベースを背負ったあいつの背中かもしれない。
そこには同じように革のギターケースを背負った織田がいて、まだ薄暗い早朝の中、飲み屋に急いだ。

初日という事もあって上映開始前に下北沢近辺に到着して、上映が開始してから挨拶に行く。
登壇イベントの段取りや、実際の導線、全て確認させていただく。
少し勝手知ったる下北沢の街を歩く。
ライブハウス、小劇場、古着屋、ジャンクフード。
サブカルチャーの中心地。
最近は外国人もよく見かけるようになってきた。
ギターを背負う若者、ピンクの髪の女の子、タトゥーを入れた外国人。
雑多な空気はいつ行ったって変わることはない。

待ち合わせよりも早めに集合場所に行って、連絡を一つ入れてからじっくりと考える。

登壇で対談というのはとても一般的なものだ。
けれどセブンガールズでは実にK'sシネマ以来になる。
K'sシネマでは、ゲストを迎える2日を対談にする予定だったのが、吉田トオルさんの日がなくなってしまった。
だから、実質、1度しか対談イベントをやっておらず、それもそこには監督がいなかった。
舞台挨拶のみであるとか、UPLINK渋谷でのイベントをずっとやってきている。
それはその空間にあい、かつ自分たちだけに出来るイベントにするにはと考えてきた結果だ。
下北沢トリウッドでは、それが対談になった。
一つのテーマに沿って対談の中でその映画を掘り下げていく。
もちろん、ただ対談だけではと思っていたからこそ、ファッションコラボの企画があったりはするけれど。

想像通り打ち合わせで持ち時間や座りで話すことを説明すると動揺があった。
動揺するのは初めての事ではない。
UPLINK渋谷での生再現を提案した時も、ものすごく動揺した。
それまでやってきたことから変化があれば、演者は動揺する。
それまでとはトークのテンポも変わるし、じっくりと話すというイメージが持ちづらい。
ただ自分の中では意外に勝算があった。
再現をやっていた時もトークが長引いて20分を超えた日もあったからだ。
ちゃんと話そうと思えば、30分までという時間もそこまで長くないはずだと思っていた。
19時上映開始だから、30分話しても22時には終わる。
K'sの時のように後の番組もなく、UPLINKのように終わる時間が遅くもない。
だとすれば、初めてじっくりと話が出来る機会であることは間違いがないのだ。

少し動揺したけれど、打ち合わせをしてすぐに安心を取り戻した。
一人で登壇した監督が入れば、多少脱線しても話はまとまる安心感があるからだ。
会場に移動して、緊張している登壇メンバーを横目にカメラの準備をする。
今回はカメラもゆっくり撮影できる途中でレンズを変える事さえできる。

場内からテーマ曲が聞こえてきた。
どのタイミングでエンドロールが流れるのかまで全て見なくてもわかる。
全てが終わった時に、拍手が聞こえた。
下北沢トリウッドでも、客席から自然発生の拍手が鳴った。

会場に滑り込むと、満員御礼と言っていいぐらい席が埋まっていた。
でも自分は落ち込んでいる。
再上映初日なのだからもっともっと呼べるはずだった。
何か問題があるはずだ。
そう思って反省ばかりしてしまう。
更に下北沢からジャンプアップしたい。
噂が噂を呼んで、もっと席が埋まるようになっていないといけないはずだ。
自分のやれる範囲で・・・やれる以上の範囲で動き続けているつもりだけれど。
きっと、まだ足りない。

登壇は打ち合わせとは全然違っていたけれど、和やかに進んだ。
お客様が何度か笑い、何度も頷き、盛大な拍手をくださった。
初めてのお客様の数も非常に多かった。
ロビーに出ると、たくさんのお客様が監督と、役者と話をしていた。
トリウッドに通ってらっしゃる方が、トリウッドの担当さんと話されていたから挨拶をした。
映画館についているお客様が足を運んでくださることは本当にうれしいことだ。
ファッションコラボの衣装で写真撮影もしていた。

帰り道、想像よりも対談がうまくいけたという話になった。
公開直後だったらどうだったかなぁとも思う。
これまでがあって、慣れて来た事。伝えるべき事。それをもう感覚的に理解している。
自分が話したいことよりも、お客様が聞きたい話を優先できる。
お客様にとって興味深い話になっていただろうか?

あの六つ辻を通って駅まで足早に。

君がこの世を去ってどれぐらい経っただろう?
相変わらず自分はここを足早に歩いてる。
ライダースの革と、ベースのケースのベルトの革がこすれて軋む音はもう聞こえない。
早く帰って、今日のレポートと、明日の予告を更新するんだ。

下北沢トリウッド1週間の上映が始まった。
あと何回、キミノオトを探すだろう?
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 02:31| Comment(0) | 映画公開中 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする