夕方ぐらいにTwitterのトレンドの1位が「映画ファン」になっていた。
一瞬、何かの間違いなんじゃないかと思った。
何かそういう映画カテゴリとかが表示されるようになったのかな?と思ったぐらいだ。
でも、実際にトレンドワードで、あっという間に数万のTweetが投稿されていた。
理由は朝配信されたニュースで、それがYahoo!ニュースにまで拡がったからのようだ。
更に、そこに言及する映画関係者や、映画ファンの投稿が一気に拡がっていった。
記事の内容は、洋画の配給会社の抱える矛盾点をわかりやすく書いたものだったのだけれど。
その内容の一部が、映画ファンを刺激するような内容になっていた。
映画ファンが怒り、一部の人がそんな映画ファンを非難するという繰り返しが起きていた。
簡単に言えば、洋画を日本で上映する際のプロモーションについてだ。
まず最初に、邦題について書かれていて、その後に、プロモーションのタレント器用についても書かれていた。
原題がかっこいいのに、邦題になるとかっこわるくなると非難する映画ファンがいるという事。
映画とは全然関係のないお笑いタレントが応援すると記者会見しているやり方への非難があるという事。
それに対して、そんな非難は全体のお客様の1%程度で、気にしませんよという発言。
そこから更に、非難しても映画ファンは見に来る、余り文句を言っていると映画ファンの求める映画が上映できなくなる。
そんな映画ファンの神経に触るような言葉が散りばめられた記事になっていた。
記事の内容自体は実際の現場の問題や、劇場側からの希望。現在の洋画と邦画のバランス等々。
勉強になるようなこともたくさん書かれていてとっても興味深いものだった。
確かにそうなんだろうなぁと思いながらも、そこに映画という「文化」に対して、実に「仕事」的な感覚が強すぎる感じがあった。
もちろん、仕事なのだし、そこを非難してもしょうがないのだけれど。
そしてその内容を見ると、いわゆる中規模の海外の映画の配給会社の意見だった。
自分はハッキリ言って、甘えだなぁと思った。
セブンガールズなんて単館映画で宣伝費なんかなくて、正直彼らから見ても雑草のような存在だ。
けれど、自分から観たら、なんというか甘すぎると思う。
例えば「カメラを止めるな!」のケースはレアケースなんです!と言い切っているけれど。
きちんと分析して、その理由を探って、自分たちのプロモーションにフィードバックしていると思えなかった。
感覚的に捉えて、まあ、あれはレアだから・・・なんて口にするのはマーケティングでも何でもない。
イレギュラーなケースの中に、たくさんのヒントが転がっているのなんてマーケティングの基礎中の基礎だ。
例えば、自分の記憶だと、ウォン・カーウァイ監督の「恋する惑星」が大流行した時代があった。
その時にタレント器用なんてしていただろうか?してなかったと思う。
アジア映画はまだまだ日本では上映が少ない時代に、どうやって広がったのか覚えていないのか。
ある一定の観客動員が見込めるであろうやり方をなぞっているだけなら、あまり発言なんかしない方が良い。
まして、映画ファンの意見なんて気にしないような発言は、まるっきり時代に合っていない。
というか、どんな作品にも、その作品にあったプロモーションの形があると自分なら思う。
お金がない?何を言うか。セブンガールズなんか、本当にお金がない。
一般のお客様が足を運びたくなるようなプロモーションを劇場が求める。
だから、文句を言うなら劇場に・・・という考え方が映画ファンに対して失礼だなぁと思った。
弱い立場をアピールするなんてずるすぎる。
邦画に比べて・・・と隣の芝生ばかり見るのも興ざめだ。
でも映画ファンが感じた怒りの本質は実はそんな表面的なことでもビジネス的な仕組みでもないのだと思う。
もっともっと、ずっとシンプルなことだ。
海外から売れる作品を見つけて持ってくる!という商品に対するスタンスに悲しんでいるんじゃないだろうか?
海外で自分が惚れ込んだ作品を見つけて、日本でも広めたい!であるべきじゃないだろうか?
よしんば、自分が持ってきた作品じゃなくても営業をするなら100回観て好きになるべきだ。
少なからず世の中の営業マンは、まず商品知識を叩きこんで、その商品を愛することが大事だと知っている。
誰かに上映してもらったり、時間とお金を使って観ていただくのであれば、最低限の礼儀だ。
持ってきて売る側が作品愛をもしも持っていないのだとすれば、愛する映画を探している人は悲しくなる。
その作品を愛しているのであれば、どんな邦題でもきっと許してくれる。
その作品を愛しているのであれば、どんなプロモーションでもわかってもらえる。
そういうことなんじゃないかって自分なんかは思う。
このぐらいやっておけば、映画館で回してくれる、一般の人は来てくれるだなんて。
自分は「セブンガールズ」という作品の持つ力を誰よりも信じると決めた。
この作品に対する「作品愛」だけは、監督と同レベルで持つ。
そりゃ、不安になったり、及び腰になる日だってないわけじゃないけれど。
良い作品です!面白い作品です!と胸を張って言えないとしたら、こんなにお客様に失礼なことはない。
そして、この「セブンガールズ」を愛してくださったお客様がいる。
表も裏も含めてそんなお客様の誰よりも自分がセブンガールズを知っている。
自分がセブンガールズのファン代表だって、思えるぐらいに。
だからこそ、この映画をどうやって人に伝えよう?次は何が出来るだろう?と考えられる。
そして、例え微力でも、必ずそういう熱意は伝わるし広がっていくのだと固く信じている。
バカだったと反省することもたくさんあるけれど。
映画ファンは1%です。
でも意見は見ています。
その意見に賛成したくても出来なくて自分たちも悔しいです。
なぜ、そう言えなかったんだろう?
セブンガールズを応援してくださる方々を見ると、映画ファンもいるし、そうじゃない方もいる。
けれど、そこになんの差異も感じない。
あくまでも「セブンガールズ」という作品を愛してくださっていると感じている。
勝手にカテゴライズして、どこか一部分を切り捨てるようなことがつまらないとすぐにわかる。
規模が小さすぎるからだって言われそうだけれど。
そんなのは、別に言わせておけばいい。
しかし。
製作が売れる映画を創って。
配給が売れる映画を営業して。
劇場が売れる映画を上映して。
では未来はない。
製作が良いと信じることのできる映画を創って。
配給がその映画の良さをどうやって伝えるか考えて営業して。
劇場がその面白さを発見した映画を上映する。
そういう連鎖にした方が、将来的には大ヒットを生み出すはずだ。
そんなことは当たり前だし、歴史が証明しているのに。
映画を観ずに数字を見ているのだろうか?
もっともっと議論になった方が良いと思う。
そのきっかけとしての記事なのかもしれない。
少なくてもTwitterでトレンド1位になるのなんか簡単なことじゃない。
映画ファンがたくさん発言したというのはとても良いことだったんじゃないかなぁと思った。