今日はまるで奇跡のようだった。
昨日の夜ぐらいからどんどん席が埋まっていった。
開くたびに一つ二つと埋まっていく。
前日がサービスデーだったし、先週の木曜が伸びなかったからずっと不安だった。
10月のUPLINKでは木曜に初めて完売を記録していたから、なぜだろうと考えていた。
やっぱり興行というのは水ものなのかもしれない。
予想しようと思ったって、予想できない。
リピーターの方がたくさん来てくださっていると想像していたのだけれど。
蓋を開けてみたら、初めて来てくださった皆様がたくさんいらっしゃった。
たまたま・・・と考えてはいけないのだと思う。
きちんとこれには理由があるはずで、そこまで整理していきたい。
今すぐは無理だとしても。
それと思うのは、その日のプログラムでも大きく動くのかもしれないという事。
他に上映している作品の終映時刻によっては、連続で映画を観ることが出来る。
その受け渡しがスムーズな日は当日券が伸びているのかもしれない。
けれど、自分の中でもう一つ重要な面がある。
実は、この週はこの日だけ開映が、19:30からだった。
終映時刻が22時。
仮にイベントまで含めてロビーで挨拶をしても充分に電車がある時間。
22時半に終わる映画よりも、選択しやすかったんじゃないだろうか?
だとしたら、これは大きな発見だと思う。
なぜなら、翌日金曜日の20時開映以降のスケジュールは全て19:30~だからだ。
そして、全て同じスクリーン1で、セブンガールズ上映の前の作品が終わる時刻も一緒だ。
明日、多くの皆様に楽しんで頂いて、そこを通り抜けると、別の流れが来るのかもしれない。
明日の評判は特設大事な大事な土曜日に繋がるはずだから。
もちろん唯一、そういう時間だったのだから、次週はばらけることもあるかもしれないけれど。
それでも、やっぱり、当日に初めてのお客様がいらっしゃってくださる率が上がるのだとすれば。
これは、本当に大きいことだし、大事なことだ。
そういう意味では、UPLINK渋谷という映画館に育ててもらっているようなものだと思う。
今日は本当に登壇後たくさんの方々と握手をさせていただいた。
皆様、面白かったよ。良かったよ。と口にしてくださる。
あっさりと握手だけして帰っていく初めてのお客様たち。
帰りに、どんな話をされているだろう?
映画のことを、お連れさんと話しながら帰っているのかもしれないと思うと、なんだか心が温かくなる。
必ずもう一回観る!と宣言して帰っていってくださった方までいらっしゃった。
なんだろう。
この肯定感は。
セブンガールズという作品の持つ作品性は。
映画の告知もあるから最近はSNSに触れる時間がとっても長い。
だから、今、起きていることや全体に流れることがどうしても入ってくる。
その中でも、自分がなんとなく気に食わねぇなって思うことがある。
それは、なんというか、ネガティブな・・・否定するだけの言葉たちだ。
政治問題でも、芸能ニュースでも、他のなんでも。
なんだか、最終的に、日本人って国民は・・・みたいな言葉に収めるケースが散見する。
色々な思想があっていいと思うけれど、そんなふうにネガティブに否定する言葉で終わるのはどうなんだろう?と思う。
なんでもかんでも十把一絡げにしてしまって、結局、ネガティブに進むのは建設的じゃないと思う。
こんな日本人がいるぜ!ってだけでもポジティブになれるんだけれど。
SNSを覗いている時の感覚的な感想でしかないけどさ。
自分が最近、一番嫌いな言葉に「老害」って言葉がある。
スポーツ分野の指導者のパワハラ問題があってから、やけに目立つようになってきたけれど。
なんだか、自分がいずれ老いることをちゃんと理解して書いているのかなぁってケースがとっても多い。
自分はまだ十代の頃から、50代、60代の先輩たちに、ふくよかで豊かな文化を教えてもらった。
もちろん、今の若い人も同じだと思うけれど、押しつけがましいなって感じることだってあった。
でも、それを「害」なんて言葉で表現することはなかったんじゃないかなぁ。
これは若い人を責めているとかじゃない。
多分、若い人だって、めんどくせえと思いながら学んでいる人はたくさんいるのだから。
もっとシンプルに、他者の言葉を聞く耳を社会全体が失いつつあるというか。
自分の考えを変えようとするものを「害」と捉えてしまう雰囲気を持っているんじゃないかって感じる。
そういう空気って、実はすごくネガティブな否定的な論理だと思う。
それを続けたところで、何も生みだすことはないんだけどな。
どこか、連続した社会、歴史と繋がった今という部分までも、否定しているのかとさえ思うことがある。
セブンガールズは、そもそもが、肯定の作品なのかもしれない。
少なくても「娼婦」は、現代日本においては犯罪者だ。売春法違反になる。
登場人物の殆どは、社会的弱者であり、闇の仕事に手を染めている。
自分が演じた成瀬だって、闇の物資の横流しを考えたり、悪いことばっか考えてる。
戦後の混乱期という事もあるけれど、そんな登場人物をまるごと肯定しているのがセブンガールズだ。
否定ではなく、肯定から入る。
例え、虐げられているような存在だとしても。
それは結果的に、自己肯定に繋がるんじゃないだろうか?
日本人はうんぬんとか、老害とかの、行きつく先は実は、自己否定になる。
自分だって日本人だし、やがて年を重ねるのだから。
いずれ自己否定に繋がるような空気が充満しているとすれば、こんなに息苦しいことはないと思う。
今を生きるという事は、もしかしたら、そういう戦いの中にある。
けれど、セブンガールズは、自己肯定を教えてくれる。
どんな場所にいたって、隣にいる人を想うことが出来る、そんなことを教えてくれる。
終戦直後、10円で食事を摂れたわけで。
つまりは、とんでもないインフレを起こしていたことがわかる。
今の千円が、今の10円の価値になってしまうような変化が、日常的に起きた。
貯金なんて一晩で意味がなくなった。
・・・にもかかわらず、日本は東京五輪を開催して、大阪万博を開催して、高度経済成長期を迎えた。
先進国の仲間入りなんて、子供の頃に何度も聞かされた。
なぜ、そんなことが出来たのか、なぜ、現代の日本という国を自分たちが生きることが出来ているのか。
その答えの一つがセブンガールズなのだと思っている。
ポジティブな。
肯定がこの映画には隠れている。
それはきっと、初めて来てくださった皆様の心にも、そっと寄り添う暖かいものだ。