アンコール上映二度目の週末がやって来た。
UPLINK渋谷には3つのスクリーンがあってその中でも一番大きいスクリーンX。
予約の時にはスクリーン1と表示される場所での上映。
ここには、アップライトのピアノがある。
スクリーン1で上映させていただけるというのはそれだけ期待されているという事だ。
ずっと都内上映の週末は、満員を繰り返してきたけれど。
土日とスクリーン1で上映するにもかかわらず前売が完売していなかった。
同日の他のスクリーンで上映されている作品の予約数を見たり、ずっとドキドキしていた。
期待していただいているのに、申し訳ないという思いが強かった。
皆で一致団結して、宣伝したり、お知らせしたりしてきたけれど。
やれるだけやってきてなのだから、ここからは作品の本当の実力がわかってくる。
きっと、そういう事なんだと思う。
CMも、或いは、映画媒体にも、宣伝予算がないから大きく扱われることはない映画。
監督は、今、日本で一番規模の小さい映画だと思うと口にする。
手作りの部分も多くて、宣伝も自分たちで考えてやっている。
それでも、応援してくださる方がいて、応援してくださる方が増えていく。
それは純粋な作品の持つ力だ。
もっともっとたくさんの方に観ていただくことが出来れば。
いわゆる宣伝範囲が広ければ、母数が大きくなるのだけれど。
もしそれが出来るとすれば、まずここまではやらないとというラインがあるはずで。
自分の中ではやっぱり今週が重要な一週なのだと思うようにしている。
朝から、どのぐらい席が埋まっているか気になって仕方がなかった。
この週末次第で、その先が決まるぐらいに考えているから。
さすがにこれではと思っていたのだけれど。
上映直前になって、当日予約がどんどん入ってきた。
腹の底がぶるっと震えた。
組んだイベントや、その前の周知について反省しはじめていた時だったから。
直前になってぐぐっと、伸びていった。
会場に向かって、打ち合わせに参加する。
当日の流れを聞いて、いくつかのお願いをしておく。
板の上に立ってきたからLIVEには慣れているメンバーだけれど。
実は、登壇者はほぼ全員が毎日緊張している。
劇場で舞台をやるのとは、まったく感覚が違うからだ。
どんな状況になるのかイメージすら持てない。
照明も音響もセットもないという事も、不安要素になっていく。
映画のシーンを生で再現すると言っても、ほぼ演出のない状態は稽古場と変わらない。
ひょっとしたら、お客様に、何やってんだ?これは?と思われるかもしれない。
そんな気持ちに支配されるのかもしれない。
きっとそれでいいのだと思う。
そうやって緊張して、それでもお客様の前に立つことが大事なのだと思う。
連日、舞台挨拶の写真を撮影してきたから、自分はイメージが掴めているけれど。
ある意味、新しい角度からの再現シーンも、きっとはまると感じていた。
今まで多くの映画で似たシーンはあったかもしれないけれど、それを生で観ることなんか出来ない。
スクリーンの特別な迫力感と、生の迫力感は、質が違う。
その質の違い自体が、エンターテイメントになるとわかっていた。
一瞬、いつもは無口な役者が込み上げているのが分かった。
とても良い舞台挨拶になった。
ロビーで、今日も初めて来場してくださったお客様に出会えた。
ふと気付いて、ロビーの写真を撮影しつつ玄関の外に一歩出た。
そこにいたお兄さんに思わず会釈した。
面白かったです!そう言って、にこりと笑ってくださった。
ありがとうございます!たったそれだけの会話だったけれど。
きっと、ロビーで自分から役者に声をかけるようなタイプでもなく。
初めてご覧いただいて、そっと帰ろうとされていた方だったのだと思う。
あの笑顔は本当にうれしかったなぁ。
ハンサムなお兄さんだった。
帰りの電車で、SNSをチェックしながらふと見てみると。
日曜日の席が、埋まって来ていた。
日曜の良い時間帯。毎週様々な作品が当日券も伸ばしている枠。
まだまだセブンガールズという作品があること自体を知らない方も多い。
今日のように直前に当日が伸びれば前売分の完売はあるかもしれないというところまで来ていた。
やれることは全てやった上で、この一歩も二歩も先に進めるように。
SNSには初めてご来場いただいた方の感想も上がっていた。
多くの動画も公開されていた。
泣けてくるようなコメントがあった。
15年も応援し続けてくださったお客様と。
わざわざ遠い地から映画を観に来てくださったお客様と。
SNSでコメントのやり取りをされていて。
こんなことが起きるなんて、それだけでもう感無量になった。
思いに応えなければいけない。
たくさんのたくさんの。
自分に出来ることは全てやって行こう。
大事な大事な日がやってくる。