2018年11月18日

感じている期待

試写会に来てくださった方で、より多くの人に観て欲しいからと公開後に観ていない方がいた。
自分が席を埋めてしまうと観れない人が出来てしまうかもしれないと思ったのだと告白されて。
ああ、そうか、そんな風に考える人もいるのだなぁなんて思った。
試写会と実際に公開した映画は若干だけれど、違うものになっている。
殆ど気付かないレベルだけれど、それでも、観たいと思ってくれていることがまず嬉しかった。
それと同時に、うまく説明できていない自分がいるなぁと気付いた。

実は現実的には、席が埋まっている方が、より多くの人に足を運んでいただける。
これは一見、矛盾したことを言っているようだけれど、実際にそうだったりする。
確かに席が1つ埋まれば、満席だった場合、そこに来たい人が一人、来れなくなってしまう。
ところが、実はそんなことはなくて、それで満席であれば、より上映機会が増える。
翌週に延長になったり、興行成績から他の映画館が決まったり、数百という単位で増える。
例えばその日来れなかった人が、二度と来れないとしても、その何倍もの人が興味を持つ。
映画を思ってくださって、遠慮してくださっている方がいる時にその説明はうまく出来ないなぁと思った。
説明のしようがない事なのかもしれない。

K'sシネマでの一番館での上映は、前売りで初日が、数分で完売するところから始まった。
その勢いのまま、初日に数日SOLDOUTを記録して、結果的に3日で前売りが完売になった。
公開すると当日券も順調に伸びで、連日満員御礼が出た。
最終日にキャンセルが出たのはあったけれど、満員と言ってもいいと思う。
そのまま休映になったこともあって、UPLINK渋谷での上映になった。
その時にはすでに舞台のべた入り稽古に入っていて、出演者もSNSやメールでしか宣伝が出来なかった。
舞台の宣伝も兼ねていた。
あの時、もしかしたら、K'sシネマで遠慮した方だとか、他にも気になっていた方がいたはずで。
そういう方々が、それこそ舞台本番後のロビーで見逃しているんです・・・と言ってくれた方なのだと思う。
舞台の千秋楽が終わってから、都内上映をしていないのだから、今も見逃したままなはずだ。
あの時、どんな風に説明出来たらよかったのかなぁなんて、反省を繰り返している。

今、関東での再上映を待ってくださっている方がいる。
前述の見逃したと言ってくださっている方々もいる。
すでに複数回足を運んでくださっている方々もいる。
そして、舞台を観てから、もう一度映画を観たいと言ってくださっている方もいる。
そういう皆様に、少しでも早く、お会いできる機会を用意しないといけない。

その中でも、ああ、これは!と思っていることがあって。
それは、友人にオススメしたいのに上映していないという言葉だ。
まず映画を観に行く。それから友人に勧めたいと言ってくださっている。
確かにその場合は、同じ週に・・・というわけにはいかない。
その友人と毎日会っているならまだしも。
メールでお知らせしたとしても、残り数回では、足を運べない人も多いはずだ。
最終日に観て、勧めたいと思ったとしたら、もう機会はなかったはずだ。

だから多分、必死にならなくちゃいけない。
次に上映機会が巡ってきた時には。
遠慮せずに、勧めていかないといけないのだと思う。
もちろん、来て来て!と営業するという意味ではなくて。
後で、見逃した!と聞くのがこんなにつらいことだとは思わなかった。
それで例え席がなくなったとしても、その方が確実に次の上映機会が来るのだから。
次があれば、舞台本番前でもないし、舞台のチケットのお知らせと一緒でもない。

もちろん延長してくれるのかも、別の映画館が決まるのかもわからないことだ。まったく。
144分という上映時間は、スケジュールが埋まっていればねじ込むのは大変な尺じゃないだろうか?
それでも、中々観ることが出来ないという作品はすぐに噂になる。
だから、自分は絶対に次の上映機会が来ることになると信じている。

皆様に早く良い知らせを届けないとだ。

自分の中でのロードマップは出来ている。
そして、そのロードマップの共有もしてある。
その通りじゃなかったとしても、そうなるようにするしかない。

稽古後に出演者の一人が言った。
私の知り合いは、だいぶ見逃していて。
舞台もあったから、難しかったんだけど。
舞台が終わって、かなり観たいって言ってくれてる人がいる・・・と。

なんとなく予感がしている。
次に上映機会が来たら、また連日の満員御礼になるような予感だ。
上映してほしいという声をそれほどたくさん聞いている。
もちろん、実際に蓋を開けてみなくちゃわからないけれど。
でもなんだか、そんな気がしてしょうがない。
そのぐらいの期待感を、ひしひしと感じている。

なんと、心苦しいのだろう!

待っていてくださいな。
皆様と共に歩んできた映画は。
まだまだ、皆様と共に歩きたがっているのです。

見逃したなんて言う人が現れないように。
勧めたい方が、思い切り勧めていただけるように。

まっすぐとそこに向かうのだ。

都内で話題にならないと、全国なんて口が裂けても言えないことだ。
まずは、そこまで突っ走るんだ!!
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 04:35| Comment(0) | 映画公開中 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月17日

家出少年の大冒険

何を食べようかなぁと思った時に、ふと思い出した店があった。
子供の頃に行った記憶が微かに残っているラーメン屋が今も営業しているといつだったか目にした。
あの店にふらっと行ってみようかなぁ、なんてふと思い立った。
もう35年も前、小学四年生に転校して以来そのあたりを歩いたこともない。
なんとなく、勘を頼りにこの辺じゃないかなぁと辺りを付けて向かってみた。

そのラーメン屋はやっぱり今も営業していて。
むしろ、一部のファンがついている有名店になっていた。
あの頃はそんなに有名な店でもなかったのに。
子供の頃はコーンラーメンがディスプレイされていて、食べたいなぁといつも思っていた。
今は、ディスプレイはなくなっていた。

店を出てそのまま駅に戻ろうかと思ったのだけれど。
なんとなく、遠回りして、次の駅まで歩こうと思った。
10歳の頃の土地勘がなんとなく残っていて、そこの信号を曲がれば次の駅の方に出るなぁと思った。
信号を曲がってしばらく歩いた。
細い細い道だった。
まるで子供の頃に見たことがない景色だった。
これは、迷ってしまうかな?と少しだけ不安になったのだけれど。
あれ?でも、この生垣だけは、なんとなく見覚えがある気がするなぁなんて思った。
少年の頃の10年間の記憶。
曖昧になっている記憶。

左手に見える大きな民家に記憶が刺激される。
あれ?この家は完全に見覚えがある家だ・・・。
そも思った時に左手に、低い低いコンクリ塀があった。
瞬間、記憶がどどっと蘇った。
自分はこのコンクリ塀の上を、フラフラ揺れながら歩いたことがある。
この電柱に飛び乗って、いつか登ってやろうと思っていたことがある。

砂利の敷かれた駐車場。
その奥に小さな平屋の家が建っていた。

少年時代、自分の住んでいた場所だった。

この駐車場のエリアにかつてその平屋の家と同じ建物が六棟集まっていた。
中央に泥んこのスペースがあって、そこを囲むように建っていた。
自分は左手の真ん中の家に住んでいて、その奥の家に従兄弟の家があった。
庭とも言えないような狭いスペースにポールを立てて、場違いの鯉のぼりを飾った。
自分の住んだ家も、従兄弟の住んだ家もない。
このスペースでお父さんとキャッチボールをして、あんまり近くでやろうとするから馬鹿にするなと怒った。
次々に子供の頃からのイメージが蘇っていく。
だとしたら、道路の向かいの生垣の民家は、きんちゃんの家じゃないか!
あの角を曲がれば、お父さんが駐車場を借りていたところに出るじゃないか!
ここは梨畑だった場所で、ここは田んぼだった場所で、ここで女郎蜘蛛をつかまえたじゃないか!

伽藍とした駐車場。
きんちゃんの家と材木屋と一軒だけ残された平屋。
思い出でしか繋ぐことのできない住宅街になった景色。

記憶を頼りに歩く。
まっすぐ行けば大家さんの家があるはずだなぁ。
あの家の前には、いつもモグラがつくった土の線があったなぁ。犬がいたなぁ。
なんて思いながら。
大家さんの家はもちろんあったけど、景色は全然違っていた。
あんなに大きな道路だと思っていたのに、狭い狭い道だった。
チョークでたくさんいたずら書きした道路は、ただの狭い道だった。

ここが少年時代の世界の全てだったのか。

思った通り次の駅の駅前に出た。
明るくなった駅前に出て、さっき見た真っ暗な住宅街と、真っ白な思い出が、入れ違いで浮かんできた。
あんなに遠いと思っていた駅前は、大して遠くもなかった。

いつか、家出をした。
大冒険だった。
思えば、大した距離でもなかったんだなぁ。
結局、しゃがんで、びーびー泣きじゃくてった。
あれは何に腹を立てていたんだっけ?

あれから何度泣いたんだろう?
もしかしたら本当に大冒険を始めたのかもしれない。
自分の世界の全てから飛び出して。
何かに腹を立てながら。
結局、寂しくて、びーびー泣きながら。
そこから、飛び出していって。

振り返ればもう梨畑も、野ウサギも、モグラもいない。
田んぼも、青大将もいない。コウモリも飛んでない。
冒険してもしなくても、変化は続いていた。
それでも、あの日の少年は、きっと冒険を続けている。
少しだけ知恵を付けて。
少しだけ大人になって。
少しだけ薄汚れて。

大丈夫。忘れていない。
全部、自分の中にある。
全部、抱えたまま、冒険している。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 08:06| Comment(0) | 映画公開中 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月16日

地図には記号が並んでいる

これからのロードマップを自分の中でまとめていく。
そして共有できる部分はしていく。
自分たちの進むべき場所、目指すべき場所。
ともすれば、ついつい目の前のことに飛びつきそうになること。
そうならないように。
どうやって進んでいくのかを、共有しておくことが大事。
ただただ頑張って進むのではなくて、目標意識を持つこと。
それだけでも、大きな変化になる。
より具体的に。より明確に。

急に寒くなった。
急とはいってももう11月も半ばなわけで、本来の気温が戻ったと言った方が良い。
体が、少し対応できなくて、ぶるっと来た。
この3年間、風邪もひかなかった。
常に緊張していたからだと思う。
今回も、風邪まで行かないのだろう。
念のために薬を服用したら、目の前が回った。
相変わらず、ケミカルには弱くて、一瞬で眠くなる。

今は実は言葉の時代なのかもしれない。
このBLOGもそうだけれど。
SNSは、言葉と言葉を繋いでいく。
写真がメインのInstagramでさえ、コメントは重要なんだなぁ。
友人への連絡もメールだったり、LINEだったり、メッセンジャー。
相手の顔を見ないで、どんどん繋がっていく。
言葉と言葉が繋がって、人と人とが繋がっていく。

セブンガールズという作品も、たくさんのセリフが飛び交う。
言葉は最重要なピースの一つだし、言葉がイメージを創っていく。
けれど、と、ふと止まる。
現代から観たセブンガールズという世界は、言葉の世界ではないのかもしれない。

今、SNSの全てが消滅して、メッセンジャーもメールも消滅したらどうなるのだろう?
自分がガキの頃はコミュニケーションツールなんて、家の電話か手紙ぐらいしかなかった。
交換日記なんてものが逸った時代だ。
あの頃、言葉はいまよりもずっとずっと使われなかったような気がする。
何も言わずに相手の気持ちが伝わって、何も言わずにお互いに手を繋ぎ合って。
そんな場面が思い浮かぶ。
今、最初の告白はLINEでしたなんていうのを読むと、そのギャップに驚いてしまう。
告白なんか出来なかった人の方が多かった気がするのだけれど。

SNSの世界の承認欲求もそうだし。
多くの人が何かが足りない、何かが不足していると気付いているのかもしれない。
ネットを介した、言葉というデータのやり取りの中で。
現実的に繋がっているという実感はどんどん希薄になっていっている。
人と人との希薄な繋がりの中で、本当の繋がりを無意識的に求めている。
鈍感な心が、言葉をよりスマートに理解しようとしていく。
感情表現がヘタクソになっていく。

パンパン小屋という、肉体と肉体の世界で。
彼女たちのとるコミュニケーションは、現代、どのように映るのだろう。
名前を呼ぶだけで、何を伝えたいのかまで解る。
そんな瞬間を迎えた時、現代の人は何を思い、何を感じるのだろう?
思えば、この作品はそこを大事にしてきた。
稽古でもずっとずっとそうだった。
自分の演じた成瀬も、肝心なことは絶対に口にしない男だった。
それでも、伝わる。

今は、言葉が大事な時代だ。
ちゃんと言葉で言ってくれなければわからないと言われてしまう。
けれど、どこかで心に隙間が生まれる。
言葉なんて所詮は表現手段でしかない。
手段は結局、本質ではないのだから。
感じてよ!なんて、通じる時代じゃないけれど。
それでも、心のどこかに寂しさを皆が抱えているのかもしれない。

これからのロードマップをまとめながら。
これは伝わるのかなぁ。
この言葉の意味する部分は、ちゃんとわかってもらえるのかなぁと不安になる。
出演者に一斉送信してから、事務的な計画書も作っておく。
言葉は言葉でしかない。手段でしかない。
その向こうに本質があるのかどうかまで、どうやって伝えればいいのだろう?
言葉以上に伝わるとしたら、それはなんなのだろう?

数字だろうか?

夢の話を夢としない。
夢の話を現実にしていく。
その為に、現実的な言葉と、現実的な数字と。
そして、目標を自分の中に持っていく。
不可能に見える場所を、不可能じゃない場所に変換していく。

進むしかない。
やるしかないのだ。
地図を持って。
言葉をもって。
数字をもって。
でも、一番大事なものは、そこにはないと理解したままに。
posted by セブンガールズ映画化実行委員長 at 03:48| Comment(0) | 映画公開中 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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