大阪での上映4日目。折り返し。
平日で言えば二日目になった。
映画上映をしてわかったのは天候のことだ。
舞台演劇でも天候は影響が出るけれど、基本的に前売りが多い演劇ではそこまで大きな影響じゃない。
けれど、映画であるとか、遊園地であるとか、外食産業であるとか。
いわゆるその日に楽しむエンターテイメントという側面が強いと天候の影響がもろに出る。
行こうと思っていても、やっぱりやめようか?ということになったりする。
そういう意味では、この大阪は最終日まで毎日好天の予報。
ただでさえ、ホームではない場所で、素晴らしいことだ。
今日も好天だった。
K'sシネマでも、UPLINK渋谷でも、そしてシアターセブンでも。
初めてその映画館でセブンガールズを観てくださって。
そのまま複数回足を運んでくださるお客様がいらっしゃる。
すごいことだよなぁと改めて思う。
舞台も劇団も知らず、有名な俳優もいない、監督にとっても長編は初作品。
そういう条件下で、セブンガールズを見つけてくださって。
そして、また観たいと言ってくださる。
純粋にセブンガールズという作品を愛してくださっている。
そんなことを考えるたびに、ぶるぶるっと震えてしまう。
ああ、ここで上映出来て良かった。出会えた。と感じてしまう。
そういう出会いを地道に繰り返していくことだけが自分たちに出来ることだ。
例えばテレビを観ていれば、すごいなぁと思ってしまう。
映画のスポットCMが流れて、映画のタイトルが深夜番組の提供に入っていたりする。
様々な番組に出演者が出ては番宣を繰り返して、街に出ればあらゆるタイアップをしている。
宣伝だけで一体どれぐらいの予算で、どれぐらいの人数が動いていて、どういう規模なのか。
想像しただけでも、クラクラしてしまう。
そして、当然ながら、その映画には看板の役者が出演している。
そういう映画は日本全国どこに行ったって、一定の需要はあるはずだ。
様々な宣伝を見て興味を持った人がいる。
出演者のファンが日本中にいる。
原作作品のファンがいる。
そういう映画を上映すれば、一定の動員があって、それが映画館の売上になる。
でも、もちろん、だからこそ。
宣伝にかかった予算と、実際の売上で、想像以上のギャップも生まれやすい。
大成功すれば、信じられないような金額の利潤を生むし、逆ならば信じられない金額の赤字になる。
大コケなんて言葉が生まれるのも無理はないほどのダメージを生むことだってある。
そして、その全てに従事する人の生活が懸かっているのだ。
それはやっぱりとんでもないことなんだなぁと思う。
それに対して、自分たちは、元々なんにもない。
そもそも宣伝費だって、チラシやポスターの印刷費と、その他ぐらいで。
クラウドファンディングで支援してくださった方々の思いがそのバックボーンになっている。
赤字になんかなりようがない。そもそもがゼロからなのだから。
上映すればするほど、自分たちにとっては、結果だけが積みあがっていく。
・・・そんな風に考えがちだ。
でも、それは全然違う話だ。間違っている。
実際には、規模の違いだけで、大きな映画と変わらないのだ。
なぜならば、それは、製作側だけの側面で考えればという事だからだ。
現実には、製作だけの話ではない。
配給会社があって、その向こうには映画館がある。
人間が動いている。
映画館にとっては、一人でも多くの動員が見込める作品を選ばなければ、経営が成り立たない。
だとすれば、やればやるだけとか、日本全国で上映してほしい!なんて簡単に言えない。
大きな映画と違って、宣伝という担保がなく、看板となる役者もいない。
それでも、日本全国で動員が見込めること。見込めるぞと思ってもらえること。
つまり、作品そのものだけが、担保になるという事になる。
製作側に赤字がないからたくさん回してほしいなんて考え方では、まず全国には行けない。
日本全国の映画館が、呼びたくなるような魅力がなければいけない。話題がなければいけない。
言ってしまえば、東名阪で上映できるようになったことだって、凄いことで、ありがたいことなはずだ。
それでも再び関東で上映したい、全国で上映してほしい、そう願うのであれば。
絶対的に必要なことがある。
それこそが、きっと、出会う事だ。
この作品を愛してくださる誰かに出会う事。
それがきっと、何よりも、どんなものよりも大きな力になっていく。
それが例え、たった一人だったとしてもだ。
だって、それ以上の説得力はないのだから。
通常の映画であれば、初日にたくさんのお客様が足を運んで、少しずつ少なっていく。
宣伝で興味を持って、看板の出演者に興味を持って、足を運ぶ。
けれどセブンガールズが進む道はそういう道ではない。
出会いを繰り返していって。
その説得力で、少しずつ興味を持ってくださる方が増えていって。
更に、出会っていく。
そしてそれは、説得力になっていく。
K'sシネマで台風が来て休映になって。
急遽、UPLINK渋谷でのレイトショーが決まった。
もちろん、振替でご来場いただけるようになったわけだけれど。
平日はやっぱり、急に決まった分、時間帯もあって、動員が落ち込んだ。
それなのに、木曜日にもう一度満員御礼になった。
UPLINK渋谷で上映し始めてから、もう一度お客様が興味を持ってくださったのは偶然じゃない。
間違いなく、出会いがあって、その出会いが生んだ説得力からの満員御礼だったのだと思っている。
急に決まった平日のそれもレイトショーの上映なのに、満員御礼が生まれたのだ。
UPLINK渋谷での上映を、たくさん宣伝出来たわけでもないのにだ。
シアターセブンでも、最終日に向かって、どんな風に変わっていくだろう?
口コミや、SNSでの評判で、少しずつ見てみようかなという方が増えるかもしれない。
そして、そうじゃないかもしれない。
それは、もうまったくわからないのだけれど。
それでもやっぱり、自分たちに出来る今一番のことは、出会う事なのだ。
そして、この映画は、前宣伝ではなくて、評判でお客様が増える作品だと言われるようになったら。
その時に、堂々と胸を張って、全国や、関東での再上映を目指せる。
観たいと思ってくれている方がたくさんいる。
それ以上の約束はないのだから。
だから嬉しい。
観に来てくださった方々の残してくださる言葉が。
その一言一言が勇気になっていく。
ああ、出会っていると感じる。
確かに、これは地道な牛歩だ。
映画という底知れない広い世界の中で、たった一歩ずつしか歩いていない。
それでも、確実に前進している。
そして、それをきっと誰かが見ている。
大阪の後の上映予定は今のところ、名古屋まで入っていない。
出会える機会は限られている。
大阪の残り3回の上映。
一人でも多くの人に出会えるように。
そして、全てのミニシアターにたくさんの人の足を運んでもらうんだぐらいに考えていかないと。
言うだけはたださ。
叫ぶだけなら、自由なんだから。
そこを意識して、そこを考えて。
全国を目指すのだ。
関東再上映を目指すのだ。
大阪での満員御礼を目指すのだ。
進め、セブンガールズ!
こんな映画は、日本のどこにもないのだから。
自信をもって、歩んでいこう。
やらいでか。