稽古日。到着するなり一つショックな話。
下唇を強く噛む。
それでも、前を向くしかない。前に進むしかない。
にじんだ涙は初めてのことじゃない。
悔し涙はガソリンだ。
くそぉ!くそぉ!
映画館にディスプレイをするポスターが到着する。
真っ白いポスター。
通常のポスターはマットコートという紙が多いけれど、これは上質紙。
真ん中にロゴがあって「※ご自由にコメントをお書きください」と記載されている。
会場に設置するコメント用ポスターだ。
来場された皆様にも自由にコメントを残してもらえるように。
最初の筆入れは監督。慣れ親しんだ監督のサインが書かれた。
その後は、出演者たちがおのおの自由に書き加えていく。
その場にいる出演者だけではスカスカ。
来場した皆様でこのポスターを完成させていただけたら嬉しいです。
様々な人にとっての映画。自分の映画。それがこのセブンガールズに最もふさわしい。
ちなみに、もしもう書く場所がないと思ったら声をかけてください。
念のために複数枚用意してあります。
一枚目は純粋にディスプレイをして、二枚目に書き込めるようにしていただくつもりです。
最終日に、複数枚飾ってあったら、きっと感動してしまうだろうな・・・。
タカラモノになる。
背伸びしないで、格好をつけないで、等身大のそのままのものをディスプレイする。
そのぐらいがきっと、ちょうど良いのだと思うのです。
物販用のパンフレットの背表紙も実は同じ感じのデザインになっています。
当日のお見送りで、その日にいる出演者にお声を頂ければ、パンフレットにサインいたします。
なんだか、サインをするだなんて、生意気だよなぁと思いながらも。
印刷という複製では表現できない、サインというアナログを残せるようにしたかった。
それは、会場に設置するディスプレイにも共通するもの。
なぜなら、映画ってそういうものじゃないかという、すごく原理的なことを思ったからです。
映像は複製できるけれど、スクリーンで観れば、それがいつの間にか自分の中のものになる。
映画を観ながら思い浮かんだことが、きっと、映画の本質で。
それは圧倒的にオリヂナルなアナログなのだと思うのであります。
メールを確認すると、納品したマスターデータにノイズがあったとの報告。
データの問題か、メディアの問題か、プレイヤーの問題か。
複製したバックアップを持ってきていたから、ケイズシネマに行ける人間に託す。
ノイズが出たあたりを観て問題ないか、可能なら全編チェックまで。
問題が出れば、もうデータそのもので再度書き出しになるし。
問題がなければ、メディアかプレイヤーの問題になってくる。
ちょっとはらはらとしながらも、データじゃないことを祈る。
稽古場で次に会うのは公開日だねという話になる。
皆が、ええええ!と声をあげる。
カウントダウンなんかしているのに、なんだか実感が伴わない。
次に会うのは映画公開日。
またな。今度な。
映画マスターデータの全編チェックをしてくれる出演者からメールが来た。
その画質に、驚きを隠せないでいた。
マスターデータは、高精細。撮影素材からカラコレしている以外はほぼそのままの画質。
圧縮率も異常に小さいし、ビットレートもネット映像の何倍も高い。密度が違う。
これを観たら、DVDなんか出したくなくなる。あんなに画質を落としてまで。
試写会や、他のチェックで観てきた画質とは一線を画している。
その画質で、監督と一緒にずっとずっと編集してきた。
幸い、ラストまでノイズが出なかったとの報告。メディアの問題だったかな・・・。
ラストまで高画質で楽しんだことを、贅沢な時間だったと書いている。
明日、再納品を託す。
気付けば日は明けて、5日前。
指折り数えることが出来る日数。
世界がセブンガールズを知る日は近い。