映画のパンフレットっていつ読むものだろう?
自分が子供の頃は、入場時に購入して、席に着いてすぐにパンフレットを開いた。
今から始まる映画にワクワクしながら、監督の言葉や、役者たちの写真に魅入った。
けれど、最近のパンフレットの多くには、表紙に「ネタバレ注意」の文字が書かれている。
確かに90年を超えた頃から、パンフレットを観る時間帯が変わったような気がする。
もういつのことだか忘れたけれど。
マナー問題で話題になっていたのを記憶している。
上映前に隣の人がパンフレットを観ていて、それが目に入ってしまった!という歯がゆいようなクレーム。
ってことは、多分、パンフレットを購入して上映前に観た人からのクレームがあったのじゃないかと思う。
ネタバレ記事があるなら、あると書いておくべきだ!という意見があったのか。
もちろん製作側が、なるべくフラットな状態で映画を観て欲しいという希望があってなのかもしれない。
実際、今、パンフレットを創っていて、開演前に観たらネタバレになるなぁという写真がある。
今までWEBやInstagramでは公開できなかった写真たちだ。
そして、それを積極的に採用している自分もいる。
パンフレットは、例えば映画を観た後に、喫茶店で友人と話しながら映画を思い出すアイテムでもある。
そう考えれば、ネタバレになるような写真を掲載しないという選択肢はない。
工夫しているパンフレットは、「このページ以降ネタバレあり!」なんていうのもある。
確かにそうすればいいのかもしれないけれど・・・。
なんとなく抵抗がある。
そんな一言のために、一部のクレームのために、ページを割くというのはどういう意味なんだろう?
映画を観た後には、何の意味もないページになるのが、どうしても気になる。
・・・というか、出演者がページ構成を考えて。出演者が印刷データを作成するパンフなんて多分、日本初だ。
そういうものなのに、こんなものを創りたいという編集の意図に、余計なものを付け加えたくない。
もちろんページ数の限度や、データの持ち方で出来る限度はあるけれど、なるべく意図通りにしたい。
だいいち、ネタバレしたらつまらなくなるような映画じゃない。
いわゆる叙述トリックを中心とした映画であれば、確かに必要かもしれないけれど。
この映画は、こうなるとわかっていても面白くなるように創ってある。
こうなるんだろうなぁと、予測していても心が動くような作品にしてある。
そんなことを考えつつ。
「ネタバレ注意」を書くべきなのか悩んだままだ。
本当はもっと自由だったと思うんだよなぁ。
映画の前は絶対に観ない!っていう友人もいたし。
客席でパンフレットを読みながら楽しみに待っている人もたくさんいた。
隣の人が開いていたからって、そのぐらいのチラ見じゃなんにもわからないし、怒る人もいなかった。
実際、前述したマナーの話が話題だったときも、見なきゃいいじゃんという意見がたくさんあった。
パンフレットはあくまでも映画の補足だから、パンフレット単体で何かがわかるわけでもない。
ほんの少しだけ、映画の記憶を、映画の思い出に変化するお手伝いをするものだ。
待ちきれなくて、上映前にちらりとのぞき見して、ワクワクする気持ちを高めるものだ。
その人が自由に自分の判断で見てくれたら、それで充分だ。
多分、ネタバレ注意と書かれているパンフレットだって、ネタバレしようと思ってるわけじゃない。
映画を観た人が、パンフレットを楽しんで欲しいから、映画の作品内容に触れざるを得ないだけだ。
同時に、映画を観るなら何も情報を入れないで欲しいという思いだってあるというだけなのだと思う。
解説書でもなく、ビジュアルブックとも違っていて、大図鑑でもなく、もちろん映画評論でもない。
書籍ですらない。
映画館でしか手に入れられない、映画という思い出の一部。
手元に置いて置ける映画だ。
そういうものなんだもんな。
ネタがどうこうってのは、なんだか実は次元が違う話なんだと思う。
そういえば、海外の映画にはパンフレットがないらしい。
ハリウッド俳優は来日すると、必ず自分の映画のパンフレットを手に入れるんだそうだ。
本来は映画は、記憶の中だけに残るものなんだなぁ。
なんというか、とっても日本らしいものなのかもしれない。
出演者なんて、通常、コメントを求められて後から見るだけだ、パンフレットなんて。
どのぐらい売れるかもわからないし、もしかしたら在庫を抱えちゃってどうしょうもなくなるかもしれないけれど。
それでも、パンフレットは創ろうと決めたんだから。
出演者が創るなんて、ありえないパンフレットなんだから。
そういう根源的な部分までちゃんと考えながら作りたい。
欲しい人だけが手にしてくれたらいい。
かつて、劇団でパンフレットを創った時も、デザインはお願いしていた。
チラシはあっても、これはさすがに初めてだなぁ。
自分にとっても、大事な一冊になるだろうな。
さあ、つづきつづき。