所用で渋谷に向かった。
あの完成披露試写会以来になる。
試写会会場だったユーロライブに向かった。
ロビーにチラシを置いてもらっている。
棚にチラシが置いてある写真を撮影しようかなぁと思ったからだ。
ない。
どこにもチラシがない。
少し慌てる。
ロビーにはちょうど人がいない時間だった。
そのまま階段を上がって、ユーロスペースに行く。
ロビーでチラシの棚を見せてもらった。
・・・ない。
どこにも、1枚たりともセブンガールズのチラシが置いていない。
そんなことがあるだろうか?
試写会であれだけの数を置いてきたし、K'sシネマからも送付してあると聞いている。
棚のスペースには限りがあるから、公開順に置いてあるわけで。
まだ置いていないのかなぁと、考えたけれど、同時期公開の映画のチラシは置いてある。
同じK'sシネマで同時期に公開する作品のチラシも間違いなくある。
それとも、まだ送っていないのかな・・・そんなことあるかな・・・?
でも、試写会で置いてきたのは間違いないし・・・。
受付の方に聞いてみた。
セブンガールズっていう映画のチラシって置いてないですか?と。
あれ、ないですか?あったと思いますよ。の一言。
!!!!
・・・あった?
今はないけれど、あった。
それはつまり、チラシがはけたという事なのか?
映画館から送った分も、試写会でおいてきた分も、全部!?
ちょっとドキドキしたまま、階段を下りていく。
このビルには、地下に映画美学校がある。
そこにも、チラシを送ってあると聞いている。
階段に沿ってチラシの棚があって、観ると、近日中にK'sシネマで公開する映画のチラシが並んでいるゾーンがある。
そこを詳細に見て回ったけれど、やっぱり、1枚もない。
ユーロスペース、ユーロライブ、映画美学校、合わせて何枚だ?
その数がはけている・・・!?
舞台でも置きチラシをする。
都内各劇場にチラシを置いてもらう。
それでも、大抵、20~40枚程度で、全部なくなることはあまりない。
映画は、置きチラシが結構なくなるんですよと聞いてはいたけれど。
実際、新宿の近隣の映画館の次ぐらいに多数のチラシを置いてもらっているはずだ。
その数は、数百という数だった。
それが、綺麗すっかりなくなっている!?
わずか1か月半ぐらいで?
それはつまり、数百人の人が、あのたくさんのチラシの棚から、セブンガールズのチラシを持って帰ったという意味だ。
チラシを全部持って帰る人もいるかもしれないけれど、選んで持って帰った人もいるという事だ。
映画ファンの裾野の広さを思い知らされた。
駅まで歩いている間、ずっと、背中がぞくぞくしていた。
同時に、やっちゃったのかな?とも思った。
各ミニシアターを、2週に一回ぐらい回って、チラシを追加するとかをするべきだったのかもしれない。
こんなにあっという間になくなるなんて思ってもいなかったし、印刷した分は、全部配ってやれとあちこち回ってしまった。
映画ファンが集まる場所で、今、チラシが底をついているだなんて!
ユーロはある意味、映画ファンの集まる聖地のような場所だ。
だとしたら、実際に上映するK'sシネマは、どのぐらいハケているんだろう・・・?
もちろんチラシを手にした方々の中で実際に映画館に足を運んでくださる数はわからないと思う。
でも、間違いなく、チラシを魅力的だと手にしてくれた人もいる。
舞台でよくある折込チラシのように無理矢理渡したのではなく、自分から持っていってくれた人がだ。
自分の中ではチラシを観て、足を運んでくださる方は1割以下じゃないかと思っていたのだけれど。
少なくても舞台と同じ尺度では測れないし、可能性は無限にあると考え直すようにした。
配ったチラシの数だけ、足を運んでくださればあっという間に満員御礼だ。
そんな簡単じゃないだろうと思いながらも、いや、映画ファンってもっとすごいぞと思う自分がいる。
SNSで、チラシの写真をアップしてくださっている映画ファンの方をみかけるようになった。
どこかの映画館で、どこかの街角で手にしてくださって、行きたいと書いてくださっている。
キャッチコピーも、あらすじも、ピックアップされたセリフも、いただいた文言も、全て徹底的に考え尽くした。
それを目にして、観たいと思ってくださる人がいるという事の感動はどう表現すればいいのだろう?
考えてみれば、小劇場に比べて、映画の作品数は圧倒的に少ない。
恐らく、数百分の一だ。
もちろん、だとしても、同時期に公開されている映画は数十作品になるのだけれど。
小劇場だと、毎週100作品以上どこかで上演されている。選択肢が広い。
小劇場ファンと映画ファンの数の違いと、作品数の違いは、そのまま知名度に直結していく。
自分が想像している以上に、すでに映画ファンは「セブンガールズ」という作品を知っている。
単館上映とかは、あまり関係ないのかもしれない。
むしろ単館で一週間限定の上映となると、観る機会が限られているということになる。
もっともっと知っていただきたいという思いは、今もあるけれど。
それとは別に、知った上で、観たいと思ってもらえるようにすることこそ大事だと気付く。
いや、観たいと思うだけじゃなくて、実際に足を運びたいという思いだ。
大きな力の一つが口コミなのは間違いがない。
観た人の実際に出てきた言葉は、創った人間の言葉とは違った重みがある。
けれど、きっと、映画ファンの人たちは、人の意見だけで映画を選ぶことなどない。
信用できる映画評論家や、映画秘宝やTBSラジオなどの、映画好きが集まる中での評判の方がきっと強い。
でも、もっと言えば、人の評価はさておき、自分はこう評価するよ!という意識が強い人達の存在を感じる。
それは、たまに映画館に足を運んだり、評判の良い映画は見ておくという層とは別に存在している。
まだ、誰も発見していないような、面白い作品を見つけ出したいと思っている方々だ。
そして、そういう方々は、すでにセブンガールズを知っている。
ひょっとしたらチラシもすでに持っている。
ああ!なんということだろう!
そこまで想像が至った時に・・・。
なんと、自分はわくわくしはじめてしまったのだ。
そういう、映画通の人たちが目にした時、きっと、驚愕の映像体験をしてもらえると、本気で思っている。
想定を超えることが出来るはずだと、確信している自分がいる。
こんな映画を本気で製作した連中がいるのか!と必ず見つけ出してくれる人がいると。
もっと言えば、賛否両論を楽しみにしている。
議論されることすら、楽しみで仕方がない。
セブンガールズをけなすような人がいても全然問題ないのだ。
その中で、この映画、とんでもないことを目指してないか?と口にする人が絶対に現れる自信があるのだ。
さあ。
考えろ。
もっともっとだ。
チラシを手にしてくれる人がいることまでは、腹の底から理解した。
今度は、観たいと思ってもらう事。
その次は、観に行くと決めてもらう事。
そして、更にその先に。
この映画について、どんどん賛否含めて、口にしてもらう事。
とっても面白いマーケットだ。
演劇ファンと似ている部分と、似ていない部分がある。
メジャーな映画とも全然違う層だ。
そういう方々に、体感してもらおう。
セブンガールズを共有してもらおう。
その先に、この作品の未来がある。